魔王な悪役令嬢はハッピーエンドに立ち向かう!

夢見月まひわ

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02 ゲーム

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 この世界は前世で遊んでいた恋愛シュミレーションRPG"星と月の輝き~レイヴァテインの姫~"の世界に似ている。

 転生直後に関わらずそう思うのは、第一に私が転生した少女の名が"星月ホシツキ"に登場するラスボスであり、魔王な悪役令嬢ティアラ=ヴィドフニルと同じだったからだ。
 そして悪夢ともいえるレイヴァテインの姫こと主人公アンナ=レイヴァテインに殺されたこと。
 はっきり言って似ているレベルではなく、全く同じと言って差し支えないのだけど、それでも何もかもが同じでなかった為に、その答えは保留にしていた。
 なぜなら、あの最終局面において勇者が一人だったこと。そしてなにより、あの時あの女が笑っていたからだ。

 "星月ホシツキ"のヒロイン、レイヴァテインの姫は戦闘狂じゃない。なによりも誰よりも優しく、悪逆非道の限りを尽くした魔王ティアラ=ヴィドフニルにさえ、最後の最後まで対話を試みるような心根の持ち主だったはずだ。
 それが対話もせず、相対するも間もなく切り掛かり、笑顔を見せるなんてありえない。

 それになにより魔王撃破後のスチルはティアラ=ヴィドフニルを救う事が出来なかったことに対する己が無力さを嘆き涙するアンナ=レイヴァテインの姿だった。
 私はそのシーンが大好きだった。
 なぜそれがあぁなってしまったのか分からないけど、あの女は私の憧れた人物像では決してなかった。

「ーーーーーお嬢様、軽食をお持ちいたしました。ご気分は優れないかもしれませんが、お嬢様は二日ばかり寝込まれており、十分にお食事を取られておりませんので、お腹は空いておられるでしょう」
「そうね……ありがとう、フリージア」

 私はどうやらこの二日間、高熱で寝込んでしまっていたらしい。
 その原因は定かではなく、悪役令嬢ティアラの両親もとても心配していた様子だった。

 目が覚めたと聞いて部屋に飛び込んできたお父様の目の下には大きな隈があったし、その後に駆けつけたお母様も目を赤くしていた。
 ティアラ=ヴィドフニルが家族にとても愛されている事が良く分かった。
 だけどこのままじゃティアラは悪役令嬢となって、18の歳に主人公アンナに殺されてしまう。
 それは……それだけは嫌だ。

 私は幸せになるの、今度こそ。そして長生きするの、今世こそ。
 私は私が幸せに、長生きする為にあの女には絶対負けない!

「ーーーーーフリージア。お父様に言伝を頼めるかしら?」
「はい。もちろんです。ご用件を伺いましょう」
「私ね。強くなりたい!」

 "星月ホシツキ"のラスボスである悪役令嬢、ティアラ=ヴィドフニルは最強のキャラクターとして主人公レイヴァテインの前に立ち塞がる。
 ゲームではそんな最強キャラを勇者率いる騎士、賢者、聖職者、盗賊のパーティーで迎え撃つのが一番の攻略法だった。

 ただロールプレイング要素を持つ"星月ホシツキ"はパーティー編成も自由だったから、必ずしもその5人が現れるとも限らないけど。
 ……いくら最強って言っても悪役令嬢一人に対し、精霊王レイヴァテインの加護を受けた主人公に加え、天才鬼才と呼ばれる高スペックな攻略対象者達が協力し合っているんだから、負けて当然だと思う。だけど私には負け=イコール死が待っている。
 だから卑怯だの何だのと泣き言は言ってられない。

 私は今世こそ幸せに、長生きするのよ!
 その為にも主人公勇者には絶対負けないんだから!

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