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悶々北斗
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拓真の家に寄った日の深夜、北斗はデッサンを描き終えてほっと一息ついた。
会社に戻ってすぐに水穂に電話をかけ、失礼なことを言ったお詫びをしようと思ったら、先に謝られてしまった。悪い人ではないと感じながら、もう一度だけデザインを描いてもいいか打診すると、水穂は大喜びした。
それから、彼女の部屋に関するイメージや、どんな人を招いて、何をアピールしたいのかを探り、何とかアイディアを束ねて描き起こした。会社でできなかった分は家に持ち帰り、ちょうど今、ラストの一枚が終わったところだ。
できることはやった。これでだめなら、どんなに誠意を尽くしても、水穂の願いには届かないだろう。例え断られたとしても、不満はない。
打開策を投じてくれた拓真に感謝の念が湧く。さすが女性を相手にした美容整形外科病院を経営しているだけあって、アドバイスは適格で、頼もしさについ心が緩んだ。途端に降ってきたキス。
「本当に油断も隙もあったもんじゃない」
無意識に唇に触れながら、北斗は荒々しく求める拓真の舌を想像した。熱さやぬめり、与えられる快感でぼ~とした北斗の顔を見るために、離れた口元から尾を引く糸までも・・・・・・
思い出してはいけないという禁止事項はどこへやら、昼間自己申告で誤魔化せると思ったせいか、禁じていた記憶の扉が次々に開いていく。
男に抱かれる事実を知らなかった北斗は、今まで快感だと思っていた限界を、あの日拓真によって軽々と越えさせられた。振り切ったと言っても過言ではない。
あの指がどこをどう押したか、探られて引き出されるスパークするような快感。シーツを掴んで身悶えた、狂おしいほどの情熱的で淫靡な残像。
「思い出したくないのに、なんで、こんな・・・・・・」
ズボンに押さえつけられるような圧迫感を感じ、北斗は硬くなった己を自覚した。
今度の金曜日に拓真に会って、あの快感を与え続けられたら、もう元の自分ではいられない気がする。
怖い・・・・・・と北斗は思った。
頭では怖いと思っているはずなのに、熱くなっている男の部分が刺激を望んでいる。
ベッドに寝転んで、熱のこもった下半身に手を添える。びくりと身体が震えた。
拓真に触れられた箇所をトレースしながら、会話までもを蘇らせる。
『や…ぁ…そこばかり、触らないで…くれ』
息も絶え絶えに訴えながら、拓真の手に自身を擦り付けてしまった北斗を見て、拓真がにやりと笑って訊ねるのが目に浮かんだ。
『おねだりか?どこを触って欲しい?』
「・・・・・・ク゚ッ」
背中を丸め、荒い息を吐きながら、北斗は手で迸りを受け止めた。
やっちまった。よりにもよって、あいつを想像しながら抜くなんて!
「くっそ~。あいつ許さないんだからな!俺をこんな風にしておいて、女と明日会う約束をするなんて、絶対に許さない。邪魔してやる」
その時の拓真の顔を想像して留飲を下げた北斗は、間違いを洗い流すためにシャワーを浴びに行った。
熱いお湯を浴びながら、どうやったら拓真の鼻を明かしてやれるだろうと、突いてやるための弱点をウキウキしながら考える。
「まず、意地が悪いところだろ。そいつを相手にばらしてやればきっと引くな。ん?でも水穂さんのことで相談したときは、真剣にアドバイスしてくれたんだったっけ」
それなら、どうして意地が悪いと思ったんだと振り返り、ベッドの中の言動だと思い当たって赤面する。慌てて、他に悪いところはと探ってみれば、まず思い浮かんだのは、端正で男らしい顔だ。
「却下!」
キスのうまさを女性の前で暴露して、浮気性だと思わせる手もあるが、男同士のキスの証言をすれば、痛手を被るのは自分も同じだ。
顔の部分に固執してはいけないと、下へと考えを巡らせる。胸板が厚く引き締まった身体は羨ましい限りで、一つづつ除外していき、悪いところを知るほど拓真と長くつきあっていないことに気が付いた。
それなのに、どうして自分はあいつのことばかり考えているのだろう?
「あ~止め止め!思い出しちゃいけなかったんだ」
ようやく都合の良い禁止事項を思い出し、北斗は入った時とは反対に、悶々とした気分でシャワーを終えたのだった。
会社に戻ってすぐに水穂に電話をかけ、失礼なことを言ったお詫びをしようと思ったら、先に謝られてしまった。悪い人ではないと感じながら、もう一度だけデザインを描いてもいいか打診すると、水穂は大喜びした。
それから、彼女の部屋に関するイメージや、どんな人を招いて、何をアピールしたいのかを探り、何とかアイディアを束ねて描き起こした。会社でできなかった分は家に持ち帰り、ちょうど今、ラストの一枚が終わったところだ。
できることはやった。これでだめなら、どんなに誠意を尽くしても、水穂の願いには届かないだろう。例え断られたとしても、不満はない。
打開策を投じてくれた拓真に感謝の念が湧く。さすが女性を相手にした美容整形外科病院を経営しているだけあって、アドバイスは適格で、頼もしさについ心が緩んだ。途端に降ってきたキス。
「本当に油断も隙もあったもんじゃない」
無意識に唇に触れながら、北斗は荒々しく求める拓真の舌を想像した。熱さやぬめり、与えられる快感でぼ~とした北斗の顔を見るために、離れた口元から尾を引く糸までも・・・・・・
思い出してはいけないという禁止事項はどこへやら、昼間自己申告で誤魔化せると思ったせいか、禁じていた記憶の扉が次々に開いていく。
男に抱かれる事実を知らなかった北斗は、今まで快感だと思っていた限界を、あの日拓真によって軽々と越えさせられた。振り切ったと言っても過言ではない。
あの指がどこをどう押したか、探られて引き出されるスパークするような快感。シーツを掴んで身悶えた、狂おしいほどの情熱的で淫靡な残像。
「思い出したくないのに、なんで、こんな・・・・・・」
ズボンに押さえつけられるような圧迫感を感じ、北斗は硬くなった己を自覚した。
今度の金曜日に拓真に会って、あの快感を与え続けられたら、もう元の自分ではいられない気がする。
怖い・・・・・・と北斗は思った。
頭では怖いと思っているはずなのに、熱くなっている男の部分が刺激を望んでいる。
ベッドに寝転んで、熱のこもった下半身に手を添える。びくりと身体が震えた。
拓真に触れられた箇所をトレースしながら、会話までもを蘇らせる。
『や…ぁ…そこばかり、触らないで…くれ』
息も絶え絶えに訴えながら、拓真の手に自身を擦り付けてしまった北斗を見て、拓真がにやりと笑って訊ねるのが目に浮かんだ。
『おねだりか?どこを触って欲しい?』
「・・・・・・ク゚ッ」
背中を丸め、荒い息を吐きながら、北斗は手で迸りを受け止めた。
やっちまった。よりにもよって、あいつを想像しながら抜くなんて!
「くっそ~。あいつ許さないんだからな!俺をこんな風にしておいて、女と明日会う約束をするなんて、絶対に許さない。邪魔してやる」
その時の拓真の顔を想像して留飲を下げた北斗は、間違いを洗い流すためにシャワーを浴びに行った。
熱いお湯を浴びながら、どうやったら拓真の鼻を明かしてやれるだろうと、突いてやるための弱点をウキウキしながら考える。
「まず、意地が悪いところだろ。そいつを相手にばらしてやればきっと引くな。ん?でも水穂さんのことで相談したときは、真剣にアドバイスしてくれたんだったっけ」
それなら、どうして意地が悪いと思ったんだと振り返り、ベッドの中の言動だと思い当たって赤面する。慌てて、他に悪いところはと探ってみれば、まず思い浮かんだのは、端正で男らしい顔だ。
「却下!」
キスのうまさを女性の前で暴露して、浮気性だと思わせる手もあるが、男同士のキスの証言をすれば、痛手を被るのは自分も同じだ。
顔の部分に固執してはいけないと、下へと考えを巡らせる。胸板が厚く引き締まった身体は羨ましい限りで、一つづつ除外していき、悪いところを知るほど拓真と長くつきあっていないことに気が付いた。
それなのに、どうして自分はあいつのことばかり考えているのだろう?
「あ~止め止め!思い出しちゃいけなかったんだ」
ようやく都合の良い禁止事項を思い出し、北斗は入った時とは反対に、悶々とした気分でシャワーを終えたのだった。
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