一刻センリの時案内記

田沼あげたか

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インパクト

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 「ねぇねぇ!ちょっといいかな?私同じクラスの高遠っていうんだけどわかる?」  
それは突然だった。男なら全員惚れてしまうような、ショートヘアのボーイッシュガール高遠が帰り道の途中で話しかけてきたのだ。正直かなり驚き、気が動転していたが、俺はクールを装いこう返した。
「おう、分かるけど、どうかしたか?」
「私ね電車通学なんだけど、君と同じ駅で降りるんだよ。だから一緒にどうかなってね。」
そりゃあ願ってもないグッドシュチュエーションですぜ。でも待てよ。
「そりゃあ大歓迎だけどさ、なんで俺の降りるを駅しってるんだ。」
 彼女はほんの少しだけ驚いた顔をしたように見えた。しかしすぐにこう返した。
「うーん、前にたまたま見かけたんだ。いつだったかな、それは覚えてないかなっ。」
何かごまかしているようにも見えたが、とりあえず今は納得しておく事にした。
「まぁいいや。もうすぐ電車くるだろ?ちょっと急ごうぜ。」
 その後、俺たちは帰りの電車に乗り、特に特筆することも無いような自分たちの高校生活の話をした。そんな話をしているうちに目的地に付き電車を降りた。

「あのさっ、今から暇?ちょっと西口公園よってかない?」
「まぁいいげどな。あそこなんにもないだろ。年いったおじさんたちがウォーキングしてるところしか見たことないぞ?」
「散歩だからいいんだよ。ランニングしてもいいけどね。でも君そういうの嫌いでしょ。できるのに自分からはやらない的な。なんか君そんな感じするよね。」
「おいおい、どんな偏見だよ。」
そう言いつつも確かにそうだった。運動神経が悪いわけじゃないが自分からは動こうとする連中は、にわかに信じられん。俺は家でゴロゴロしながらネットサーフィンをして、これからの人生で1回使うか使わないかくらいの無駄な知識を仕入れているほうがよっぽどマシな時間の使い方に思えるね。
「あのね、ちょっと話があるんだ。公園2周ぐらいかかるかも。」
「へいへい」
最初は青春的なシチュエーションを期待していたが、ほぼ初コミュニケーションでのこのフレンドリーさは、そういった案件ではないと薄々俺に感づかせてくれた。まぁいい。ここは女友達ができたことを祝してじっくり話を聞くことにしよう。
「で話っていうのは何だ。」
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