吸血鬼

吸血鬼

この男、吸血鬼
種の保存のためにより良い血を求めていた
そしてある王族の城にたどり着いた
「やっと見つけた
私にふさわしい血だ」
吸血鬼が王にかぶりつく
吸血鬼は唸る
「さすがは王の血
甘みがあってとても美味だ」
しかし王はうろたえる
「吸血鬼様、いけません
私は糖尿病
吸血鬼様にうつってしまいます」
それを聞いた吸血鬼は焦る
「なんてことだ
今すぐお口直しだ
そして何とかしてこの血を薄めなくては」
吸血姫は次に王妃に噛み付いた
しかし王妃もうろたえる
「吸血鬼様、いけません
私は夫には内緒にしておりましたが、実は白血病なのです
吸血鬼様にも移ってしまいます」
それを聞いた吸血鬼は焦る
「なんてことだ
糖尿病の次は白血病
早く口直しをして、血を薄めなければ」
吸血鬼は王子を見つけた
この際病気持ちかどうかと疑う猶予はない
吸血鬼は王子に噛みついた
王子はうろたえるだけで、特に何も言わなかった
吸血姫は満足して逃げ帰る
我が家に辿り着いたところで、悪態をついた
「まったく、何て王族だ
私の体が心配だが、血の補給は何とかできたし、よしとしよう」
その後、町ではトリック・オア・トリートと言い、トリートと言うと下半身を露出してはコウモリになってどこかへ行ってしまう吸血鬼が現れるようになった
あの吸血鬼だ
なんてことはない
王子の血は変態の血だったということだ