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080 ネロの話とナツミの決意
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長椅子は成人男性が三人座れる長さになっている。私の向かい側にはジルさんが座り、ジルさんの隣にはカイ大隊長が座る。そして最後にはレオ大隊長が座った。
ニコニコ笑いを絶やさない銀縁丸眼鏡のネロは私の隣に座った。
途中で食後の飲み物であるコーヒー代わりのココを、私の分だけ持ってきたシンがこの面子に飛び上がるほど驚き、慌てて追加を取りにいった。
そして今それぞれの前にココが渡るとジルさんがキセルの煙を吐きながらネロさんを見つめた。
「ネロ。例の話をまずナツミにしてもらえるかしら?」
ジルさんは薄笑いを浮かべながら気怠そうに片ひじをついている。その隣でカイ大隊長が背筋をピンと伸ばして座っている。
カイ大隊長は神経質そうな顔をしていて頬が少しこけている。年齢は高そうだがとても端整な顔立ちで色香が漂う男性だ。彼の白いシャツは染み一つない。そして彼からはジルさんからいつも香るムスクの香りがする。
その隣のレオ大隊長は体が大きく、ザックの頭一つ大きい男性だった。豪快で足が長く股を大きく開いて座っている。成人男性三人が座れる長椅子が彼のお陰で一杯一杯となっている。大隊長二人は目の前のココを飲んでいた。その様子を見てから私も熱々のココを一口飲んだ。
隣でネロがジルさんの声を聞いて小さく返事をした。横から私の顔を覗き込み、皮脂汚れがある眼鏡の向こうでブルーの瞳が細くなった。
ネロさんはノアのお兄さんだ。ノアと同じプラチナブロンドでも顔や姿は似ていない。細身でも筋肉質なノアとは真逆で目の下は窪んでおり痩せ型だ。
先日、私が腰を治して以来足腰は丈夫なようで体調は良さそうだ。
実はその時からずっと私の医療魔法の事を調べてくれていた。血液を少し持ち帰り分析してくれていたのだ。
「ナツミさんの医療魔法はですね。何と超がつくほど万能な事が分かりました。病気や怪我、場合によっては呪いの類いも跳ね返す事が出来るんです」
「呪い?! そんなものまで」
その魔法の対象なのか、対象ではないのか不明確な、恐ろしい言葉。
しかし、呪いと聞いて黒いフードの女性の姿が頭をよぎる。
そんな悩む私の隣でネロさんは説明を続ける。
「ただ万能だけれども代償も大きい。ほら前に僕の腰を治してもらった時には体力だと思っていたけれども」
「代償?」
「そう。普通は医療魔法は素材や魔法陣を使って発動させるんだ。例えば、何かの薬を作りたければ薬草と魔法陣を使って作る。でも、ナツミさんの魔法は危ないと思った時だけ自動的に発動してしまうみたいだ。それも素材や魔法陣なしで」
そこでネロさんは言葉を切ると私の方に向いたまま両手を広げて天を仰いだ。
何故そこで天を仰ぐの。まるでスポットライトがネロさんにだけ当たっているかの様。
私は両手を挙げたネロさんに驚き、思わずファイティングポーズを取る。
「ああ、何と素晴らしい最強の医療魔法なんだ。お陰で僕の腰も全快してこの通り」
手を挙げたまま腰を中心に上体をねじってみせる。
が、そこでココのカップをカチャリと音を立てておいたカイ大隊長が溜め息をついた。
「ネロ小隊長。話を脱線させるな」
カイ大隊長ははらりと垂れた左側のプラチナブロンドを手で払う。その奥には鋭そうな眼光が──なかった。左目は抉られており無惨な傷跡があった。
私は瞳がなかった事にヒュッと息を呑んだ。怖いと言うよりも驚いたが正しい。
もう片方の右目は海の底の様な色をしたブルーだ。
海の底は静かで優しいイメージが私の中にあるからだろうか、不思議と温かみを感じる。
座った姿勢が美しく私は釘付けになる。
私がジッと見つめていた事に気がついたカイ大隊長は、視線を私にあわせた。
「何か?」
ひと言、カイ大隊長が私に尋ねた。穴が空くほど見つめていたので疑問に思ったのだろう。声を掛けられると思っていなかったので私は思わず考えていた事を口に出してしまった。
「左目がないって、思って。あ」
言った自分に驚いた。
そう話した途端、マイペースのネロさんも斜めに座るレオ大隊長も息を呑んだのが分かった。
何を口走っているの私はっ!
私は開いた口がそのままになってしまい固まる。尋ねられたカイ大隊長は小さく口を開けた。
大隊長に向かって何て事を口走って。
どうしよう命がないかも。斬首か? いやいや何時代の話をしているの。
その瞬間私の向かい側に座るジルさんが吹き出した。
「ヤダ、ナツミったら傑作! この海の底の様な瞳の色をした男に向かって左目の事を開口一番尋ねる? ナツミやっぱりあなたは大物よ」
最後は天を仰いで笑いながら、隣に座るカイ大隊長の方をバシバシ叩いた。
「その、あの。す、済みません! まさか隠れている瞳がごっそりないなんて思ってもなくて。じゃなくて、違う。えっと、ほら、ダンさんも左目がないのですが隠れてないから、じゃぁなくて。って言うか、ジルさん笑いすぎです。それにカイ大隊長を叩きすぎです」
私は慌てて中腰になる。目の前で笑い転げるジルさんを止めようとしたが、次々と出てくる言葉が失礼すぎて墓穴を掘り続ける。
「プッ、ハハッ! 確かに、隠す意味ねぇからなぁ。少しでも怖がられまいとしているのに結局怖がられているんだからなぁ」
とうとう端に座っていたレオ大隊長までが、笑いながらカイ大隊長の肩を数回叩く。
「怖がられまいとしている?」
レオ大隊長の意外な言葉を聞いて私は目を丸めてしまった。
「そうなんだ。この傷を見たら怖がられると思っているんだぜ、こいつは。全く違うのになぁ。威圧的で恐ろしい雰囲気は、そもそも治らないって事に気がついてないんだ」
豪快に笑うレオ大隊長だった。
「ジル、レオ。痛い。叩きすぎだ」
カイ大隊長が無表情のまま隣のジルさんにされるがままになっている。ぐらぐら揺れながら体の軸をずらす事なく座り続ける。
「ははぁ確かに確かに。怖いと思われているのはその左目のないせいではなくて、無表情だという事ですよね? ナツミさんの指摘はもっともですね。隠さなくても怖いダンさんと同じです。なので、僕はかねてよりカイ大隊長には顔面体操を勧めているのですが」
「「「ネロ」」」
更に脱線して話しはじめたネロさんを一括するのは向かい側に座る三人の大人だった。
ネロさんが加わるといつも話が脱線するのだった。
「なので、ナツミさんはとても凄い医療魔法を得ていますが、それは命を削りながら発動しているんです」
ようやく話が戻ったが、ネロさんから聞いた話は深刻なものだった。
「い、命を削る」
私は横に座るネロさんの顔を覗き込んで息を呑んだ。
「ナツミさんが医療魔法を使用するとお腹が減るでしょう? それぐらいなら良いんです。だって食事をすれば良いのですから。でも、意識を失う程に相手を治癒する事があるのはとても危険です。ナツミさんの命が削られてなくなってしまう。そんなものが、無意識に発動してしまうのであれば、なおさら」
「あ……」
確かにマリンを助けた時だけ倒れてしまった。一日中寝て目が覚めたらお腹が空いていた。あの時はとても危なかったのだろうか。
もし、眠ったままで目を覚まさなかったら? 私はそのまま命が果てるのだろう。
ネロさんはフッと笑いながら冷めてしまったココが入ったコップを持ち上げる。
「まぁ、僕の腰を治してもらっておいて言うのも何なのですが。とにかく無意識に発動しない様に気をつけて欲しいのです」
「はい。でも、無意識なものを発動させないっていうのは」
私は困って口に手を当てる。
無意識なのに、どうやって止めたらいいの。
「何か発動したら『あれ? 何だか違うな?』と感じる事はありませんか? 例えば、妙に手が光って見えるとか」
私は医療魔法が発動した時の感覚を思い出す。
「あっ! そういえば手が温かくなって金色に見えます」
どんなに自分で念じても発動しないのに、勝手に発動した時は手が温かくなったかと思えば金色に光って見えた。
「それです。その感覚に陥った時は、是非手を離してください。手を触れてさえいなければ発動はしないはずです」
「……分かりました」
私はゴクンと唾を飲み込んで横に座るネロさんの、油膜の張った眼鏡に自分の姿を映して頷いた。
その様子を見ていたプラチナブロンドのカイ大隊長が息を吸い込んで低い声で発した。
「実はこの話は、今ここで話をしている五人しか知らない事だ。まだザック達には話をしていない」
「え?」
カイ大隊長の海の色をした右目が私を真っすぐ捕らえた。無表情で感情が読み取れない。
「お前──失礼した。ナツミと呼ばせてもらおう。ナツミとザックは恋人なのだろう? 執着しているのはザックの方だと聞いている。のめりこみ方が異常だと噂話を聞いたのでな」
「恋人ですけど。のめりこみ方が異常かどうかは……」
私は視線を逸らしてブツブツと呟いてしまう。
マリンとの過去について心配事が浮上している今、何とも歯切れの悪い返事となってしまった。駄目だ何だかザックの恋人という言葉でマリンがちらついて仕方がない。
「何だ。もうザックは飽きられているのか? あいつも大した事ないな」
ハハッと、左耳の揉み上げを撫でながら苦い笑いを浮かべたのはレオ大隊長だった。
いけない。不安や感情の大きさだけで自分の感情を口にしてしまった。
私は改めて姿勢を正して真っすぐ二人の大隊長を見すえる。
「私はザックが他の女性とどうやって付き合っていたのか分からないので、執着と言われても……」
「ふむ。分からない、か」
苦笑いだったレオ大隊長が眉をピクリと動かした。それから感心した様に溜め息をついた。
「意外と冷静なんだな」
「冷静でしょうか?」
マリンの事も他の女性の事も、人からの伝聞だ。目の前で見たものではないので分からない。
「この医療魔法の話を聞いたらザックはナツミの安全を優先して閉じ込めかねない。何処かへ隠そうと、そうだなぁ閉じ込めようとするだろう。そうではなくても囮にする話を聞いた途端あの顔だ。普段は感情をうまく制御するヤツなのに珍しくてな。お陰でこの話をこんな場所で直接ナツミにする事になってしまったというワケだ」
レオ大隊長が真面目な顔をして話しはじめる。だけれどフサフサの揉み上げが気になる。何だかライオンの鬣に見えてくる。
「ザックが……」
私は瞳を伏せて机の上のココを見つめる。
閉じ込めるなんて出来る事ではない。
いつかジルさんが言っていた通り、ファルの町でこの『ジルの店』に閉じ込められたままというワケにはいかないよ。
だって私は海で泳ぎたいし、もっと自由に町に出たい。
囮の話を私からした時ザックは黒髪で黒い瞳の私こそ危ないと言い、震えていた。
命を賭けるのはザックの方なのに。
私は改めてザックの優しさと恐れている事を理解する事が出来た。
私が逆の立場でもザックの様に恐ろしいと思うだろう。突然さらわれてしまうかもしれない。しかし、それはファルの町の女性がそうなってしまうかもしれないのだ。
それならば解決はしない。同じ事だ。
「なら、この話をザックにするのは、私からでも良いですか?」
私は意を決してレオ大隊長とカイ大隊長を真っすぐ見つめた。
全力で守ってくれようとするザックに対して私の心配事をきちんと話しておきたい。
私の決心と一緒に。
「それはかまわない。しかし、この話を聞いたザックに対して説得できるのか?」
今度はカイ大隊長が両手をテーブルの上に置いてカップの前で掌をあわせて組んだ。
「説得?」
私はワケが分からなくて首を傾げる。
「アレがどんな行動に出るか想定しているからこそ、こうやって直々にナツミに話をしに来ているのだが」
どんな行動に出るか、とは先程から二人の大隊長が言っている様に、私を閉じ込めてしまうという事を言っているのだろう。
医療魔法の事が更に奴隷商人に漏れたとしたら狙われる可能性は益々高くなる。
大隊長二人はそんな私ですら囮として使って奴隷商人をあぶり出し一気に叩きたいと思っているのだろう。
「だからこそザックと話をしようと思います。だって、私この『ジルの店』に閉じ込められるのは嫌だし」
私はニッコリ笑ってみせた。
ザックとなら乗り越えていける様な気がする。
「ほう」
「ふむ」
カイ大隊長とレオ大隊長は怒る事なく口の端を歪ませてそれからゆっくりと笑った。
「『ジルの店に』閉じ込められるなんて嫌だし。なんて言葉尻だけなら何だかかんに障るわね」
ジルさんがカラカラと笑いながら改めて頬杖をついた。
「だって、閉じ込められたら私、頭がおかしくなりそうです。だって私は海にいきたい」
海で泳げば悩んでいる事も考え事もきっと整理できて道が開けて見えるに違いない。
このザックとマリンのモヤモヤも全て。
私の答えを聞いたジルさんは、不敵に笑って横に座る大隊長二人にニヤリと笑ってみせる。
「ね? だから言ったでしょ。ナツミって怯えて、囲われて、守られるだけの女じゃないのよ。私と同じで、ファルの町での常識は通じないの」
隣に座るカイ大隊長の肩をポンと叩いて「賭は私の勝ちよ」と呟いていた。
「私と同じ……ジルと同じとは。全く、お前みたいな破天荒な女が何人も増えられるのは困りものだ」
そう言いながらもカイ大隊長は右目を閉じ静かに笑う。
「あら、破天荒ですって。ナツミ最上級の褒め言葉よね」
ジルさんが間髪入れずに私に同意を求める。
「褒め言葉? ですかねぇ」
多分そうだと思いたい。私は複雑な思いで向かい側のジルさんを見つめる。
「当たり前でしょ。褒め言葉よ!」
ジルさんが私のほっぺたを餅の如く引っ張りながら呟いた。しかし余り痛くはなかった。
「ハハッ、褒めてるのさ。なぁ? ザック、分かったか。お前こそ覚悟を決めろよ」
最後は揉み上げ長めの二重巨人、レオ大隊長が両腕を組んで通路側をチラリと見た。
「ふぇ?」
気がつくと、ザックが非常に文句を言いたそうな顔をして立っていた。
口をへの字に曲げて、切なそうに私の顔を見ていた。
「サック(ザック)……」
いつの間に。
口をジルさんに引っ張られたままなので私はうまく発音が出来なかった。
何だか先程マリンとザックの関係について考えていたので心臓が大きく音を立てた。
ザックは私の声を聞くと半ば諦めた様な溜め息をついて両手を腰に添えた。
マリンの事も気になるし、自分の医療魔法の事も気になる。
言いたい事は沢山あるけれど、一つだけ分かっている事がある。
私の思いは一本道なの。ザック、あなたへ向かっているこの愛情は引き返せないんだ。
だから一緒に進んで行きたい。一人で全部背負い込んで決めて進めてしまおうとしないで。
そう思って精一杯ザックを見上げていると、その複雑な思いを汲み取ってくれたのかどうかは分からないが片方の眉毛を上げてザックは濃いグリーンの瞳を細めて微笑んでくれた。ザックに届いたのかなこの思い。
そう考えていると、ネロさんが静寂を破り、眼鏡のブリッジを上げながら声を上げた。
「やぁやぁ。ザックじゃないか。いつの間に、話は聞いていたのか。なら理解が早くていい」
その暢気な声を聞いた途端ザックは青筋を立てる。
「何が『やぁやぁ、ザックじゃないか』だっ。白々しい。あれ程ナツミの医療魔法の事は、兎にも角にも俺に最初に教えろって言ってあったのに。何でこんな事になっているんだよっ」
ザックは恨み節で上半身を倒した。おでこをネロさんのそれに擦り付け、両手で拳を作りこめかみをぐりぐりと押す。
「ああっ~痛いっ痛い。あっ、でも何だか少し癖になりそうな程よさ。ギャァ急に力を入れないで欲しい。僕はね、ちゃんと報告しようとしていたんですよ。でも、カイ大隊長に捕まってしまって」
「俺のせいか? ネロ小隊長」
カイ大隊長がギロリと右目でネロを睨んだ。ネロはザックにこめかみを力一杯拳で押され涙目になりながら唾を飛ばし気味に話す。
「えぇ~だって権力には逆らえないでしょぉ~」
「よく言うぜ、いつも勝手に実験しているくせによ!」
「ギャァ!」
ザックはポイッとネロさんを放り出す。隣に座っていた私に、ネロさんが覆い被さる様に抱きついてきた。私は体を小さくしてネロさんに抱きかかえられた。
「こっ、こら何やってんだ!」
放り投げたザックが一番驚いていた。まさかそんなにネロさんが飛ぶと思っていなかったのだろう。
「何って、ザックに投げられたので。ああ良い香り~でもよく考えたらこれはザックの匂い。でもお肌がスベスベでモチっとして」
「ヒィ」
私はゾクゾクして悲鳴を上げた。
ネロさんが私のほっぺたに自分のほっぺたを擦り付ける。痩せ型で色白なのだが、やはり男性だった。ネロさんの頬は短く生えてきた髭でチクチクする。
「あっ、馬鹿。何やってんだ!」
ザックは拳を振り下ろしてネロさんの脳天に拳骨を落とした。
ゴン! と鈍い音がしてネロさんは椅子の上に沈んだ。
「ふぅ、やっと大人しくなった。大丈夫かナツミ」
「う、うん……でも」
ネロさんは大丈夫ではないかも。私は涎を垂らしたままソファに沈んだネロさんを見つめた。
「お前達はいつもこんな無駄なやり取りをしているのか」
腕を組んでカイ大隊長が呆れた様な声を上げる。
「はっ。失礼しました」
ザックが軍人のそれっぽく言って倒れたネロさんを抱き起こしてついたてに背中をもたれかけさせていた。ネロさんは相変わらず半分口を開けたままだらしなく笑っていた。
「まぁいい。今後ネロもこの『ジルの店』に拠点を持たせる。ジル、ネロの分の部屋の用意も頼んだぞ。ネロはこう見えても医療魔法で右に出る者はそういない。きっとお前達の力になるだろう。存分に利用しろ」
そう告げると、カイ大隊長は立ち上がった。
ニコニコ笑いを絶やさない銀縁丸眼鏡のネロは私の隣に座った。
途中で食後の飲み物であるコーヒー代わりのココを、私の分だけ持ってきたシンがこの面子に飛び上がるほど驚き、慌てて追加を取りにいった。
そして今それぞれの前にココが渡るとジルさんがキセルの煙を吐きながらネロさんを見つめた。
「ネロ。例の話をまずナツミにしてもらえるかしら?」
ジルさんは薄笑いを浮かべながら気怠そうに片ひじをついている。その隣でカイ大隊長が背筋をピンと伸ばして座っている。
カイ大隊長は神経質そうな顔をしていて頬が少しこけている。年齢は高そうだがとても端整な顔立ちで色香が漂う男性だ。彼の白いシャツは染み一つない。そして彼からはジルさんからいつも香るムスクの香りがする。
その隣のレオ大隊長は体が大きく、ザックの頭一つ大きい男性だった。豪快で足が長く股を大きく開いて座っている。成人男性三人が座れる長椅子が彼のお陰で一杯一杯となっている。大隊長二人は目の前のココを飲んでいた。その様子を見てから私も熱々のココを一口飲んだ。
隣でネロがジルさんの声を聞いて小さく返事をした。横から私の顔を覗き込み、皮脂汚れがある眼鏡の向こうでブルーの瞳が細くなった。
ネロさんはノアのお兄さんだ。ノアと同じプラチナブロンドでも顔や姿は似ていない。細身でも筋肉質なノアとは真逆で目の下は窪んでおり痩せ型だ。
先日、私が腰を治して以来足腰は丈夫なようで体調は良さそうだ。
実はその時からずっと私の医療魔法の事を調べてくれていた。血液を少し持ち帰り分析してくれていたのだ。
「ナツミさんの医療魔法はですね。何と超がつくほど万能な事が分かりました。病気や怪我、場合によっては呪いの類いも跳ね返す事が出来るんです」
「呪い?! そんなものまで」
その魔法の対象なのか、対象ではないのか不明確な、恐ろしい言葉。
しかし、呪いと聞いて黒いフードの女性の姿が頭をよぎる。
そんな悩む私の隣でネロさんは説明を続ける。
「ただ万能だけれども代償も大きい。ほら前に僕の腰を治してもらった時には体力だと思っていたけれども」
「代償?」
「そう。普通は医療魔法は素材や魔法陣を使って発動させるんだ。例えば、何かの薬を作りたければ薬草と魔法陣を使って作る。でも、ナツミさんの魔法は危ないと思った時だけ自動的に発動してしまうみたいだ。それも素材や魔法陣なしで」
そこでネロさんは言葉を切ると私の方に向いたまま両手を広げて天を仰いだ。
何故そこで天を仰ぐの。まるでスポットライトがネロさんにだけ当たっているかの様。
私は両手を挙げたネロさんに驚き、思わずファイティングポーズを取る。
「ああ、何と素晴らしい最強の医療魔法なんだ。お陰で僕の腰も全快してこの通り」
手を挙げたまま腰を中心に上体をねじってみせる。
が、そこでココのカップをカチャリと音を立てておいたカイ大隊長が溜め息をついた。
「ネロ小隊長。話を脱線させるな」
カイ大隊長ははらりと垂れた左側のプラチナブロンドを手で払う。その奥には鋭そうな眼光が──なかった。左目は抉られており無惨な傷跡があった。
私は瞳がなかった事にヒュッと息を呑んだ。怖いと言うよりも驚いたが正しい。
もう片方の右目は海の底の様な色をしたブルーだ。
海の底は静かで優しいイメージが私の中にあるからだろうか、不思議と温かみを感じる。
座った姿勢が美しく私は釘付けになる。
私がジッと見つめていた事に気がついたカイ大隊長は、視線を私にあわせた。
「何か?」
ひと言、カイ大隊長が私に尋ねた。穴が空くほど見つめていたので疑問に思ったのだろう。声を掛けられると思っていなかったので私は思わず考えていた事を口に出してしまった。
「左目がないって、思って。あ」
言った自分に驚いた。
そう話した途端、マイペースのネロさんも斜めに座るレオ大隊長も息を呑んだのが分かった。
何を口走っているの私はっ!
私は開いた口がそのままになってしまい固まる。尋ねられたカイ大隊長は小さく口を開けた。
大隊長に向かって何て事を口走って。
どうしよう命がないかも。斬首か? いやいや何時代の話をしているの。
その瞬間私の向かい側に座るジルさんが吹き出した。
「ヤダ、ナツミったら傑作! この海の底の様な瞳の色をした男に向かって左目の事を開口一番尋ねる? ナツミやっぱりあなたは大物よ」
最後は天を仰いで笑いながら、隣に座るカイ大隊長の方をバシバシ叩いた。
「その、あの。す、済みません! まさか隠れている瞳がごっそりないなんて思ってもなくて。じゃなくて、違う。えっと、ほら、ダンさんも左目がないのですが隠れてないから、じゃぁなくて。って言うか、ジルさん笑いすぎです。それにカイ大隊長を叩きすぎです」
私は慌てて中腰になる。目の前で笑い転げるジルさんを止めようとしたが、次々と出てくる言葉が失礼すぎて墓穴を掘り続ける。
「プッ、ハハッ! 確かに、隠す意味ねぇからなぁ。少しでも怖がられまいとしているのに結局怖がられているんだからなぁ」
とうとう端に座っていたレオ大隊長までが、笑いながらカイ大隊長の肩を数回叩く。
「怖がられまいとしている?」
レオ大隊長の意外な言葉を聞いて私は目を丸めてしまった。
「そうなんだ。この傷を見たら怖がられると思っているんだぜ、こいつは。全く違うのになぁ。威圧的で恐ろしい雰囲気は、そもそも治らないって事に気がついてないんだ」
豪快に笑うレオ大隊長だった。
「ジル、レオ。痛い。叩きすぎだ」
カイ大隊長が無表情のまま隣のジルさんにされるがままになっている。ぐらぐら揺れながら体の軸をずらす事なく座り続ける。
「ははぁ確かに確かに。怖いと思われているのはその左目のないせいではなくて、無表情だという事ですよね? ナツミさんの指摘はもっともですね。隠さなくても怖いダンさんと同じです。なので、僕はかねてよりカイ大隊長には顔面体操を勧めているのですが」
「「「ネロ」」」
更に脱線して話しはじめたネロさんを一括するのは向かい側に座る三人の大人だった。
ネロさんが加わるといつも話が脱線するのだった。
「なので、ナツミさんはとても凄い医療魔法を得ていますが、それは命を削りながら発動しているんです」
ようやく話が戻ったが、ネロさんから聞いた話は深刻なものだった。
「い、命を削る」
私は横に座るネロさんの顔を覗き込んで息を呑んだ。
「ナツミさんが医療魔法を使用するとお腹が減るでしょう? それぐらいなら良いんです。だって食事をすれば良いのですから。でも、意識を失う程に相手を治癒する事があるのはとても危険です。ナツミさんの命が削られてなくなってしまう。そんなものが、無意識に発動してしまうのであれば、なおさら」
「あ……」
確かにマリンを助けた時だけ倒れてしまった。一日中寝て目が覚めたらお腹が空いていた。あの時はとても危なかったのだろうか。
もし、眠ったままで目を覚まさなかったら? 私はそのまま命が果てるのだろう。
ネロさんはフッと笑いながら冷めてしまったココが入ったコップを持ち上げる。
「まぁ、僕の腰を治してもらっておいて言うのも何なのですが。とにかく無意識に発動しない様に気をつけて欲しいのです」
「はい。でも、無意識なものを発動させないっていうのは」
私は困って口に手を当てる。
無意識なのに、どうやって止めたらいいの。
「何か発動したら『あれ? 何だか違うな?』と感じる事はありませんか? 例えば、妙に手が光って見えるとか」
私は医療魔法が発動した時の感覚を思い出す。
「あっ! そういえば手が温かくなって金色に見えます」
どんなに自分で念じても発動しないのに、勝手に発動した時は手が温かくなったかと思えば金色に光って見えた。
「それです。その感覚に陥った時は、是非手を離してください。手を触れてさえいなければ発動はしないはずです」
「……分かりました」
私はゴクンと唾を飲み込んで横に座るネロさんの、油膜の張った眼鏡に自分の姿を映して頷いた。
その様子を見ていたプラチナブロンドのカイ大隊長が息を吸い込んで低い声で発した。
「実はこの話は、今ここで話をしている五人しか知らない事だ。まだザック達には話をしていない」
「え?」
カイ大隊長の海の色をした右目が私を真っすぐ捕らえた。無表情で感情が読み取れない。
「お前──失礼した。ナツミと呼ばせてもらおう。ナツミとザックは恋人なのだろう? 執着しているのはザックの方だと聞いている。のめりこみ方が異常だと噂話を聞いたのでな」
「恋人ですけど。のめりこみ方が異常かどうかは……」
私は視線を逸らしてブツブツと呟いてしまう。
マリンとの過去について心配事が浮上している今、何とも歯切れの悪い返事となってしまった。駄目だ何だかザックの恋人という言葉でマリンがちらついて仕方がない。
「何だ。もうザックは飽きられているのか? あいつも大した事ないな」
ハハッと、左耳の揉み上げを撫でながら苦い笑いを浮かべたのはレオ大隊長だった。
いけない。不安や感情の大きさだけで自分の感情を口にしてしまった。
私は改めて姿勢を正して真っすぐ二人の大隊長を見すえる。
「私はザックが他の女性とどうやって付き合っていたのか分からないので、執着と言われても……」
「ふむ。分からない、か」
苦笑いだったレオ大隊長が眉をピクリと動かした。それから感心した様に溜め息をついた。
「意外と冷静なんだな」
「冷静でしょうか?」
マリンの事も他の女性の事も、人からの伝聞だ。目の前で見たものではないので分からない。
「この医療魔法の話を聞いたらザックはナツミの安全を優先して閉じ込めかねない。何処かへ隠そうと、そうだなぁ閉じ込めようとするだろう。そうではなくても囮にする話を聞いた途端あの顔だ。普段は感情をうまく制御するヤツなのに珍しくてな。お陰でこの話をこんな場所で直接ナツミにする事になってしまったというワケだ」
レオ大隊長が真面目な顔をして話しはじめる。だけれどフサフサの揉み上げが気になる。何だかライオンの鬣に見えてくる。
「ザックが……」
私は瞳を伏せて机の上のココを見つめる。
閉じ込めるなんて出来る事ではない。
いつかジルさんが言っていた通り、ファルの町でこの『ジルの店』に閉じ込められたままというワケにはいかないよ。
だって私は海で泳ぎたいし、もっと自由に町に出たい。
囮の話を私からした時ザックは黒髪で黒い瞳の私こそ危ないと言い、震えていた。
命を賭けるのはザックの方なのに。
私は改めてザックの優しさと恐れている事を理解する事が出来た。
私が逆の立場でもザックの様に恐ろしいと思うだろう。突然さらわれてしまうかもしれない。しかし、それはファルの町の女性がそうなってしまうかもしれないのだ。
それならば解決はしない。同じ事だ。
「なら、この話をザックにするのは、私からでも良いですか?」
私は意を決してレオ大隊長とカイ大隊長を真っすぐ見つめた。
全力で守ってくれようとするザックに対して私の心配事をきちんと話しておきたい。
私の決心と一緒に。
「それはかまわない。しかし、この話を聞いたザックに対して説得できるのか?」
今度はカイ大隊長が両手をテーブルの上に置いてカップの前で掌をあわせて組んだ。
「説得?」
私はワケが分からなくて首を傾げる。
「アレがどんな行動に出るか想定しているからこそ、こうやって直々にナツミに話をしに来ているのだが」
どんな行動に出るか、とは先程から二人の大隊長が言っている様に、私を閉じ込めてしまうという事を言っているのだろう。
医療魔法の事が更に奴隷商人に漏れたとしたら狙われる可能性は益々高くなる。
大隊長二人はそんな私ですら囮として使って奴隷商人をあぶり出し一気に叩きたいと思っているのだろう。
「だからこそザックと話をしようと思います。だって、私この『ジルの店』に閉じ込められるのは嫌だし」
私はニッコリ笑ってみせた。
ザックとなら乗り越えていける様な気がする。
「ほう」
「ふむ」
カイ大隊長とレオ大隊長は怒る事なく口の端を歪ませてそれからゆっくりと笑った。
「『ジルの店に』閉じ込められるなんて嫌だし。なんて言葉尻だけなら何だかかんに障るわね」
ジルさんがカラカラと笑いながら改めて頬杖をついた。
「だって、閉じ込められたら私、頭がおかしくなりそうです。だって私は海にいきたい」
海で泳げば悩んでいる事も考え事もきっと整理できて道が開けて見えるに違いない。
このザックとマリンのモヤモヤも全て。
私の答えを聞いたジルさんは、不敵に笑って横に座る大隊長二人にニヤリと笑ってみせる。
「ね? だから言ったでしょ。ナツミって怯えて、囲われて、守られるだけの女じゃないのよ。私と同じで、ファルの町での常識は通じないの」
隣に座るカイ大隊長の肩をポンと叩いて「賭は私の勝ちよ」と呟いていた。
「私と同じ……ジルと同じとは。全く、お前みたいな破天荒な女が何人も増えられるのは困りものだ」
そう言いながらもカイ大隊長は右目を閉じ静かに笑う。
「あら、破天荒ですって。ナツミ最上級の褒め言葉よね」
ジルさんが間髪入れずに私に同意を求める。
「褒め言葉? ですかねぇ」
多分そうだと思いたい。私は複雑な思いで向かい側のジルさんを見つめる。
「当たり前でしょ。褒め言葉よ!」
ジルさんが私のほっぺたを餅の如く引っ張りながら呟いた。しかし余り痛くはなかった。
「ハハッ、褒めてるのさ。なぁ? ザック、分かったか。お前こそ覚悟を決めろよ」
最後は揉み上げ長めの二重巨人、レオ大隊長が両腕を組んで通路側をチラリと見た。
「ふぇ?」
気がつくと、ザックが非常に文句を言いたそうな顔をして立っていた。
口をへの字に曲げて、切なそうに私の顔を見ていた。
「サック(ザック)……」
いつの間に。
口をジルさんに引っ張られたままなので私はうまく発音が出来なかった。
何だか先程マリンとザックの関係について考えていたので心臓が大きく音を立てた。
ザックは私の声を聞くと半ば諦めた様な溜め息をついて両手を腰に添えた。
マリンの事も気になるし、自分の医療魔法の事も気になる。
言いたい事は沢山あるけれど、一つだけ分かっている事がある。
私の思いは一本道なの。ザック、あなたへ向かっているこの愛情は引き返せないんだ。
だから一緒に進んで行きたい。一人で全部背負い込んで決めて進めてしまおうとしないで。
そう思って精一杯ザックを見上げていると、その複雑な思いを汲み取ってくれたのかどうかは分からないが片方の眉毛を上げてザックは濃いグリーンの瞳を細めて微笑んでくれた。ザックに届いたのかなこの思い。
そう考えていると、ネロさんが静寂を破り、眼鏡のブリッジを上げながら声を上げた。
「やぁやぁ。ザックじゃないか。いつの間に、話は聞いていたのか。なら理解が早くていい」
その暢気な声を聞いた途端ザックは青筋を立てる。
「何が『やぁやぁ、ザックじゃないか』だっ。白々しい。あれ程ナツミの医療魔法の事は、兎にも角にも俺に最初に教えろって言ってあったのに。何でこんな事になっているんだよっ」
ザックは恨み節で上半身を倒した。おでこをネロさんのそれに擦り付け、両手で拳を作りこめかみをぐりぐりと押す。
「ああっ~痛いっ痛い。あっ、でも何だか少し癖になりそうな程よさ。ギャァ急に力を入れないで欲しい。僕はね、ちゃんと報告しようとしていたんですよ。でも、カイ大隊長に捕まってしまって」
「俺のせいか? ネロ小隊長」
カイ大隊長がギロリと右目でネロを睨んだ。ネロはザックにこめかみを力一杯拳で押され涙目になりながら唾を飛ばし気味に話す。
「えぇ~だって権力には逆らえないでしょぉ~」
「よく言うぜ、いつも勝手に実験しているくせによ!」
「ギャァ!」
ザックはポイッとネロさんを放り出す。隣に座っていた私に、ネロさんが覆い被さる様に抱きついてきた。私は体を小さくしてネロさんに抱きかかえられた。
「こっ、こら何やってんだ!」
放り投げたザックが一番驚いていた。まさかそんなにネロさんが飛ぶと思っていなかったのだろう。
「何って、ザックに投げられたので。ああ良い香り~でもよく考えたらこれはザックの匂い。でもお肌がスベスベでモチっとして」
「ヒィ」
私はゾクゾクして悲鳴を上げた。
ネロさんが私のほっぺたに自分のほっぺたを擦り付ける。痩せ型で色白なのだが、やはり男性だった。ネロさんの頬は短く生えてきた髭でチクチクする。
「あっ、馬鹿。何やってんだ!」
ザックは拳を振り下ろしてネロさんの脳天に拳骨を落とした。
ゴン! と鈍い音がしてネロさんは椅子の上に沈んだ。
「ふぅ、やっと大人しくなった。大丈夫かナツミ」
「う、うん……でも」
ネロさんは大丈夫ではないかも。私は涎を垂らしたままソファに沈んだネロさんを見つめた。
「お前達はいつもこんな無駄なやり取りをしているのか」
腕を組んでカイ大隊長が呆れた様な声を上げる。
「はっ。失礼しました」
ザックが軍人のそれっぽく言って倒れたネロさんを抱き起こしてついたてに背中をもたれかけさせていた。ネロさんは相変わらず半分口を開けたままだらしなく笑っていた。
「まぁいい。今後ネロもこの『ジルの店』に拠点を持たせる。ジル、ネロの分の部屋の用意も頼んだぞ。ネロはこう見えても医療魔法で右に出る者はそういない。きっとお前達の力になるだろう。存分に利用しろ」
そう告げると、カイ大隊長は立ち上がった。
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