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023 7月30日 休憩中の会話
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補習授業も七緖くんと博さんのおかげで、分からないところが分かったり理解出来る様になったりして来た。少しでも理解出来ると、やる気が出てくる。面白いと感じる。
私はこの数日だけでも変わったと思う。分からないところを先生に質問したり、お昼から七緖くんにじっくり教えてもらったり。どこから手をつけてよいのか途方に暮れていたのが嘘の様だ。
それに七緖くんの教え方はとても分かりやすい。先日まで行っていたという中学生に教えていた問題集(そのぐらい私のレベルは低いのだ)を使ったり、補習授業の復習をしたりとバリエーションに富んでいていつもあっという間に時間が過ぎていく。
夕方は開店前の喫茶「銀河」で、一杯のコーヒーを飲みながら講師である博さんの元で七緖くんと一緒に勉強をする。こんなに勉強漬けでも嫌な気持ちがしないのは、一緒に行動を共にする七緖くんの影響が大きいと思う。
七緖くんは休憩する時、私と怜央そして萌々香ちゃんの話を聞いてくれる。私のつまらない独り言を静かに聞いてくれたり、逆に七緖くんから尋ねてきたり。その時は大抵、私が思ってもいなかった意見を言ってくれる。
例えば。
「何でそんなに才川くんに遠慮するん?」
「遠慮? 別に遠慮はしていないよ」
「ほやって才川くんに足、右膝の事を相談するんに『才川くんに迷惑かなって?』考えているみたいやん。巽さん彼女なんに」
「そうかなぁ」
「うん『才川くんの部活が忙しいから』とか」
「言われてみれば……そうだよねぇ」
いつも怜央の事情を優先している? 様な気がする。何故なのかと言われても『今までそうしてきたから』としか言いようがない。
「ほれに萌々香ちゃんとか言う人にも何で言い返さんの?」
「それは……うーん癖? かなぁ」
「ほんなんに癖ってあるん?」
「萌々香ちゃんて昔から結構泣き虫だし文句も多いし」
「ふぅん……萌々香ちゃんは文句が多いんや。泣き虫って言えば、巽さんも泣いたら鼻水を垂らし」
「もう! 鼻水はいいから」
鼻水を垂らして泣いた私の事を蒸し返す七緖くんだった。
だけれど、言われてみれば私って幼なじみの中でも怜央と萌々香ちゃんには特に弱い? と言うか従ってしまうんだよね。意見を言えない感じがするって言うか。
幼なじみ以外の目の前にいる七緖くんに紗理奈にはポンポン意見を言えるのに。そういえば、安原さんにも結構強気の発言をしたし。
(いつからこんな風になってしまったのだろう)
私は喫茶店「銀河」の二階、休憩室代わりの部屋で毛足の長い絨毯の上にぺたんと座っていた。部屋にはソファベッドとテーブルとテレビ、そしてたくさんの本が積まれている本棚。狭い部屋だが心地の良い空間。持ち主の博さんの性格が優しいからかな。
「うーん」
私はテーブルに頬杖をついて首を傾げ唸る。
「うーん?」
向かい側のソファベッドに足を広げて座る七緖くん。薄いグレーのTシャツから伸びた白い腕。そして前のめりになりながら長く伸びた髪をかき上げて私と同じ様に首を傾げた。
七緖くんは初めて髪の毛上げた顔を見せて以来、二人きりの時時々髪の毛を上げる様になっていた。そして話をする時は宝石の様な琥珀色の瞳で私の顔を探る様に見つめる。ウェーブした髪の毛を大きな手で押さえる仕草も段々と見慣れて来た。
私はその瞳をじっと見つめていると、分からなかった事が分かって来る様な気がした。
「昔からそう言う態度で接していたから、かな?」
「昔から気をつこうてたって事なん? 幼なじみなんに」
「幼なじみだからかな? 結局……お互いの事なんて何も知らないのよ」
私が二人の関係を知って以来ずっと感じていた事を口にする。七緖くんは大きな手で自分の口元を覆った。それから顎をさすりながら首を傾げた。
「知らんって。才川くんとは家もお隣なんやろ? めっちゃ近いんに」
「距離が近くったって……幼なじみってただそれだけなのよ」
私は目の前に広がっているノートを見つめながらぽつりと呟いた。
「ふぅん……不思議やね。ずっと一緒なんに。幼なじみでも気い使う事ばっかなんやね」
七緖くんはそう言うとこの日それ以上を聞いてくる事はなかった。
私はこの数日だけでも変わったと思う。分からないところを先生に質問したり、お昼から七緖くんにじっくり教えてもらったり。どこから手をつけてよいのか途方に暮れていたのが嘘の様だ。
それに七緖くんの教え方はとても分かりやすい。先日まで行っていたという中学生に教えていた問題集(そのぐらい私のレベルは低いのだ)を使ったり、補習授業の復習をしたりとバリエーションに富んでいていつもあっという間に時間が過ぎていく。
夕方は開店前の喫茶「銀河」で、一杯のコーヒーを飲みながら講師である博さんの元で七緖くんと一緒に勉強をする。こんなに勉強漬けでも嫌な気持ちがしないのは、一緒に行動を共にする七緖くんの影響が大きいと思う。
七緖くんは休憩する時、私と怜央そして萌々香ちゃんの話を聞いてくれる。私のつまらない独り言を静かに聞いてくれたり、逆に七緖くんから尋ねてきたり。その時は大抵、私が思ってもいなかった意見を言ってくれる。
例えば。
「何でそんなに才川くんに遠慮するん?」
「遠慮? 別に遠慮はしていないよ」
「ほやって才川くんに足、右膝の事を相談するんに『才川くんに迷惑かなって?』考えているみたいやん。巽さん彼女なんに」
「そうかなぁ」
「うん『才川くんの部活が忙しいから』とか」
「言われてみれば……そうだよねぇ」
いつも怜央の事情を優先している? 様な気がする。何故なのかと言われても『今までそうしてきたから』としか言いようがない。
「ほれに萌々香ちゃんとか言う人にも何で言い返さんの?」
「それは……うーん癖? かなぁ」
「ほんなんに癖ってあるん?」
「萌々香ちゃんて昔から結構泣き虫だし文句も多いし」
「ふぅん……萌々香ちゃんは文句が多いんや。泣き虫って言えば、巽さんも泣いたら鼻水を垂らし」
「もう! 鼻水はいいから」
鼻水を垂らして泣いた私の事を蒸し返す七緖くんだった。
だけれど、言われてみれば私って幼なじみの中でも怜央と萌々香ちゃんには特に弱い? と言うか従ってしまうんだよね。意見を言えない感じがするって言うか。
幼なじみ以外の目の前にいる七緖くんに紗理奈にはポンポン意見を言えるのに。そういえば、安原さんにも結構強気の発言をしたし。
(いつからこんな風になってしまったのだろう)
私は喫茶店「銀河」の二階、休憩室代わりの部屋で毛足の長い絨毯の上にぺたんと座っていた。部屋にはソファベッドとテーブルとテレビ、そしてたくさんの本が積まれている本棚。狭い部屋だが心地の良い空間。持ち主の博さんの性格が優しいからかな。
「うーん」
私はテーブルに頬杖をついて首を傾げ唸る。
「うーん?」
向かい側のソファベッドに足を広げて座る七緖くん。薄いグレーのTシャツから伸びた白い腕。そして前のめりになりながら長く伸びた髪をかき上げて私と同じ様に首を傾げた。
七緖くんは初めて髪の毛上げた顔を見せて以来、二人きりの時時々髪の毛を上げる様になっていた。そして話をする時は宝石の様な琥珀色の瞳で私の顔を探る様に見つめる。ウェーブした髪の毛を大きな手で押さえる仕草も段々と見慣れて来た。
私はその瞳をじっと見つめていると、分からなかった事が分かって来る様な気がした。
「昔からそう言う態度で接していたから、かな?」
「昔から気をつこうてたって事なん? 幼なじみなんに」
「幼なじみだからかな? 結局……お互いの事なんて何も知らないのよ」
私が二人の関係を知って以来ずっと感じていた事を口にする。七緖くんは大きな手で自分の口元を覆った。それから顎をさすりながら首を傾げた。
「知らんって。才川くんとは家もお隣なんやろ? めっちゃ近いんに」
「距離が近くったって……幼なじみってただそれだけなのよ」
私は目の前に広がっているノートを見つめながらぽつりと呟いた。
「ふぅん……不思議やね。ずっと一緒なんに。幼なじみでも気い使う事ばっかなんやね」
七緖くんはそう言うとこの日それ以上を聞いてくる事はなかった。
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