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081 9月12日 二回目 1/3
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七緖くんが私の体を斜め後ろから抱きしめる。背中に七緖くんの体温を感じる。長い腕が回されて右手が私の顎を優しく掴む。そして左手はお腹をスッと撫でて腰を優しく掴んだ。
顎をゆっくり上げる様に七緖くんに促された私は、斜め後ろにいる愛しい人を見上げる。そこには琥珀色の瞳が優しく笑っていた。金色と黄色の混ざった色。美しい宝石みたい。
「ここからは待ったなしや。ええの?」
七緖くんは囁く様にゆっくりと私に近づいてくる。キスだって止めるつもりはないくせに。だって顔が傾いている。
私は七緖くんの瞳から高い鷲鼻、そしてピンク色をした薄い唇に視線を移して瞳を少しずつ閉じる。それでも最後の最後まで近づく七緖くんを見つめていたい。
(七緖くんの唇がこれから私に優しく触れるの)
そう考えるだけで私はドキドキする。
後少しで唇が触れるその時に私は小さく呟いた。
「うん。七緖くんの好きにしていいよ」
後数ミリで触れるその場所で七緖くんがピタリと止まった。そして瞳を見開き眉の根元に皺を寄せて困り顔になっていた。
「~っっ。ほんな事言うたら。知らんよ?」
滑舌のいい声で囁かれるとそれだけでもう──私はもう一度返事をしようと口を開いた。
「さっきから大丈夫って言ってるよ? う、んっ……」
開いた途端チュッと小さく唇をついばまれる。「知らんよ?」と言いながら結局は優しいキス。ゆっくりと吸い上げて離れると再び吸いつかれる。二度、三度繰りかえされると今度は突然食べられる様に唇ごと食べられた。
息ごと飲み込まれる。下唇をべろりと舐められて驚いた私は小さく口を開いてしまう。その瞬間すぐにするりと七緖くんの舌が入り込んできた。
ゆっくりと私の口内に入り込んで優しく舌を絡める。さっき七緖くんが飲んだアイスコーヒーの味がする。たっぷりと濡れている私の舌と絡まると去ろうとする。
だから私は七緖くんの舌を追いかける。そんな事を繰りかえしているとキスが長くなっていく。途中大きな口を開けても離れがたくて、お互いの舌を絡め合う。
「キ、スって」
私が途切れ途切れに呟くけれども七緖くんはその言葉ですらキスで飲み込んでいく。
(気持ちが良いね)
そう思いながらゆっくりと閉じていた瞼を持ち上げると、優しく七緖くんも同じ様に瞳を細めて私を見ていた。
「うん……ほう、やね。んっ」
私の考えを読んだのか、七緖くんが同意をしながら再び優しくキスに溺れていく。
窓はレースカーテンを閉めて日差しを遮っている部屋。更にエアコンが心地よい気温にしてくれているのに、私と七緖くんの触れあう部分だけが異常に熱を帯びていく。
(熱くて痺れる様な感じ)
私の頭は芯が痺れた様になり何も考えられなくなった頃、七緖くんの両手が脇の下から回り、ゆっくりと私の胸の上に乗った。
「!」
シャツワンピースの上からゆっくりと胸を掬い上げる。大きな手がゆっくりと揉み上げる。一瞬私の体が硬直したのが分かったのだろう。徐々に七緖くんは力を加えていく。優しく優しくその触れ方がもどかしいぐらいで、私は膝を擦り合わせてしまう。
(もっと触れて欲しい。もっと──って?)
そんな自問自答をしていると七緖くんがキスを止めて離れた。今度は耳元にピタリと唇を這わせると囁く。
「脱がしてもええ?」
私はゴクンと唾を飲み込んで必死に首を縦に振る。あまりにも良い声でその声だけで体がビクンと動いたから恥ずかしくなってしまう。私の無言の返事を聞いて七緖くんが長い指で丁寧にシャツワンピースのボタンを上から順番に外していく。
(いつもだったら上から三個ぐらいボタンを外したらスポンと脱いじゃうんだけどな……)
そんな事は知らない七緖くんは腰の辺りまで丁寧にボタンを外す。だけどその長い指の動きが、私の指と違うので何だか注目してしまう。脱がされているという感じが官能的だと思った。
七緖くんはボタンを外すとシャツワンピースの前を開いて肩から滑り落とす。
レースのブラジャーを晒すと、七緖くんは溜め息をついた。それからブラジャーのワイヤー部分をなぞりながら、後ろのホックに触れる。
「前のんと違うんやね。何や複雑なつくり」
ポツリと七緖くんは呟いてホックを外した。胸が解放される感覚がして私は声をひっくり返す。前のと違うとは、初めてエッチをした時の下着の事を言っているのだろう。
「まっ、前のはカップがついてるシャツみたいなもんだし」
あの下着はあの下着で機能的で好きなのだけれども。可愛さ色気もない。そもそも突然関係してしまったあの状況ではどうしようもない。
(そもそも可愛い下着なんてあんまり持ってないし。毎日レースの上下セットってわけにもいかないし……)
考えてもどうしようもない事をぐるぐると一人考える。その間、七緖くんは長い指で器用に下着を外して脇にポトリと落とす。
私の頭上で、晒された乳房をじっと見つめてゴクンと七緖くんが唾を飲み込んでいるのが分かる。
よく考えたら真っ昼間だ。ベッドにもたれた七緖くんの真下、自然光の下に晒された私の体。バルコニーの壁で外からは見えないと思う。
(前は暗かったのに、こんなに明るいところなんて)
見られる事になるとは考えていなかった。
「あんまり見ないで。小さいし変だし恥ずかしいし」
消え入る声で呟きながら、私は自分の体を両手で隠そうとした。だけどその腕を七緖くんに掴まれ阻まれてしまう。
「何で隠すん? もっと見たいし、もっと触りたい」
「さっ、触っ」
「だって僕の好きにしてええって言うたやんか」
そう言うと七緖くんは私の唇を再び塞ぐ。
そして私の腕を放すと、後ろから掬い上げる様にして直接胸を揉み始める。ゆっくりと持ち上げてやわやわと触れる。長い指がささやかな乳房を覆い尽くす様に持ち上げる。しっとりと汗ばんだ手のひらが私の胸に吸いつく。
初めての時は力一杯握りしめられたけれども、今回は優しく触れる。まるでどんな触れ方が一番いいのかを確かめる様に。
「ああ……柔らかい。ほうやった。びっくりするぐらい柔らかいんよね。こんな風にお椀をひっくり返した様な綺麗なかたちやのに」
うっとりと七緖くんは呟きながら唇に吸いつく。口内に入り込んだ舌、そして七緖くんは私の尖った乳首をキュッと小さくつまんだ。しかも両方同時に。私は足を引きつる様にして曲げる。びくりと体が跳ねる。
(そこっ。強くは駄目っ)
心の中で歯を食いしばった。だって口内は七緖くんがずっと居座っていて声だって上げられない。
「~っっ」
官能的とはほど遠い呻き声が七緖くんの口内に消えていく。
私のその反応に何かヒントを得たのか七緖くんは乳首を弄り始める。固く尖った先を指で弾く。何度も何度もしつこく弾かれて、私はその度に両膝を擦りつけたり伸ばしたりを繰りかえす。
(ムズムズするって言うか。ヤダ凄くお腹が熱くなっていくっ)
私の様子を見つめた七緖くんがキスをやめるとゆっくりと私の首筋にキスを落とした。
「ひっあっ! んんっ!」
思わず首を反らしたら大きな声が出てしまって、慌てて私は歯を食いしばった。
すると七緖くんが乳首をキュッと優しくつまんだ。だから私は胸を突き出す様にして反り、我慢したはずの悲鳴を上げた。
「ああっ」
慌てて右手の甲に口に当てて声を抑える。すると七緖くんがゆっくりと私の腰を持ち上げると腰に留まっていたシャツワンピースを下ろして、足からスポンと抜き取ってしまった。おかげで私はパンツ一枚だけの姿になってしまった。
「声は我慢せんでええよ。ほんなに歯を食いしばったらあかんって」
七緖くんは後ろから私の右手を優しく握ると手の甲にキスをした。
「私ばっかり裸って。何か狡いわよ」
私は恥ずかしさをごまかす為にわめく。ぎゅっと瞳を閉じ膝を立てる。
(靴下とパンツだけだなんて信じられない)
するとごそごそと後ろで七緖くんがTシャツを脱いでいる衣擦れの音がした。そしてデニムのパンツのボタンを外しファスナーを下げる音が聞こえる。
「えっと、ズボンを全部脱ぐんは後からでもええ?」
七緖くんの恥ずかしそうな声に私は振り向く。
すると、上半身裸になってズボンの前を全開に開いた七緖くんがいた。白い肌で痩せ型だ。でも、たるんでいる様子はない。運動は苦手らしいけど、体は引き締まっている方だ。
(均整の取れた体……綺麗……あっバナナ、じゃないけど)
顔から首、そして胸からお腹をたどって視線を下げていくと、後からでもいいかと聞かれたズボンの全開になった部分に視線が落ちた。
そこには、ピッタリと七緖くんの性器を縁取っているボクサーパンツが見えた。前と同じ薄いグレーだ。私と一緒に自分の股間に視線を落とした七緖くんは「ヒッ」っと小さく悲鳴を上げていた。
「また僕は薄いグレーをはいてしもうとった! アカン……完全な油断や」
頬はほんのり薄ピンクに染まっていたけれども、パンツを見て七緖くんは瞬間湯沸かし器の様に赤くなった。しかも首まで。
「でもそんなシミとかには……」
私はフォローのつもりで視線を落としたまま呟くと七緖くんがわめいた。
「ほんな問題と違うし! これからたっぷり先が濡れるっ……て、何を言わすんや巽さんは。もう、僕、格好悪い」
がっくりと肩を落としながら七緖くんは呟いた。その様子に私は思わず微笑んでしまった。
(七緖くんだって今日こんな事になるなんて思ってなかったんだよね)
私と同じなのだろうと思うと恥ずかしいという気持ちも少しだけ和らいだ。
「あのね、七緖くん」
「うん?」
「私、ちゃんとコンドームを買ったから」
七緖くんだけに任せるわけにはいかないから。そう言いたくてポツリと呟いた。
(きっと七緖くんも同じ気持ちでいると思うから。恥ずかしくはないよね)
七緖くんは突然の私の言葉に目を丸めるが、それから優しく笑った。
「うん。僕も普通のん買うたよ。ちゃんと普通サイズやから」
やたら「普通」を強調する七緖くんだ。博さんにからかわれた事が嫌だったのだろうか。
「分かってるよ。でも今日こうなるなんて思ってなかったから持ってこなかったの……ごめんね」
私がポツリと呟くと七緖くんが笑って私を抱きしめた。
「うん。大丈夫僕のがあるし。えっと、続きしてもええかな?」
七緖くんの熱い声が私の耳をくすぐる。
「うん……」
私の答えを七緖くんは聞くと、ベッドに引き上げた。
顎をゆっくり上げる様に七緖くんに促された私は、斜め後ろにいる愛しい人を見上げる。そこには琥珀色の瞳が優しく笑っていた。金色と黄色の混ざった色。美しい宝石みたい。
「ここからは待ったなしや。ええの?」
七緖くんは囁く様にゆっくりと私に近づいてくる。キスだって止めるつもりはないくせに。だって顔が傾いている。
私は七緖くんの瞳から高い鷲鼻、そしてピンク色をした薄い唇に視線を移して瞳を少しずつ閉じる。それでも最後の最後まで近づく七緖くんを見つめていたい。
(七緖くんの唇がこれから私に優しく触れるの)
そう考えるだけで私はドキドキする。
後少しで唇が触れるその時に私は小さく呟いた。
「うん。七緖くんの好きにしていいよ」
後数ミリで触れるその場所で七緖くんがピタリと止まった。そして瞳を見開き眉の根元に皺を寄せて困り顔になっていた。
「~っっ。ほんな事言うたら。知らんよ?」
滑舌のいい声で囁かれるとそれだけでもう──私はもう一度返事をしようと口を開いた。
「さっきから大丈夫って言ってるよ? う、んっ……」
開いた途端チュッと小さく唇をついばまれる。「知らんよ?」と言いながら結局は優しいキス。ゆっくりと吸い上げて離れると再び吸いつかれる。二度、三度繰りかえされると今度は突然食べられる様に唇ごと食べられた。
息ごと飲み込まれる。下唇をべろりと舐められて驚いた私は小さく口を開いてしまう。その瞬間すぐにするりと七緖くんの舌が入り込んできた。
ゆっくりと私の口内に入り込んで優しく舌を絡める。さっき七緖くんが飲んだアイスコーヒーの味がする。たっぷりと濡れている私の舌と絡まると去ろうとする。
だから私は七緖くんの舌を追いかける。そんな事を繰りかえしているとキスが長くなっていく。途中大きな口を開けても離れがたくて、お互いの舌を絡め合う。
「キ、スって」
私が途切れ途切れに呟くけれども七緖くんはその言葉ですらキスで飲み込んでいく。
(気持ちが良いね)
そう思いながらゆっくりと閉じていた瞼を持ち上げると、優しく七緖くんも同じ様に瞳を細めて私を見ていた。
「うん……ほう、やね。んっ」
私の考えを読んだのか、七緖くんが同意をしながら再び優しくキスに溺れていく。
窓はレースカーテンを閉めて日差しを遮っている部屋。更にエアコンが心地よい気温にしてくれているのに、私と七緖くんの触れあう部分だけが異常に熱を帯びていく。
(熱くて痺れる様な感じ)
私の頭は芯が痺れた様になり何も考えられなくなった頃、七緖くんの両手が脇の下から回り、ゆっくりと私の胸の上に乗った。
「!」
シャツワンピースの上からゆっくりと胸を掬い上げる。大きな手がゆっくりと揉み上げる。一瞬私の体が硬直したのが分かったのだろう。徐々に七緖くんは力を加えていく。優しく優しくその触れ方がもどかしいぐらいで、私は膝を擦り合わせてしまう。
(もっと触れて欲しい。もっと──って?)
そんな自問自答をしていると七緖くんがキスを止めて離れた。今度は耳元にピタリと唇を這わせると囁く。
「脱がしてもええ?」
私はゴクンと唾を飲み込んで必死に首を縦に振る。あまりにも良い声でその声だけで体がビクンと動いたから恥ずかしくなってしまう。私の無言の返事を聞いて七緖くんが長い指で丁寧にシャツワンピースのボタンを上から順番に外していく。
(いつもだったら上から三個ぐらいボタンを外したらスポンと脱いじゃうんだけどな……)
そんな事は知らない七緖くんは腰の辺りまで丁寧にボタンを外す。だけどその長い指の動きが、私の指と違うので何だか注目してしまう。脱がされているという感じが官能的だと思った。
七緖くんはボタンを外すとシャツワンピースの前を開いて肩から滑り落とす。
レースのブラジャーを晒すと、七緖くんは溜め息をついた。それからブラジャーのワイヤー部分をなぞりながら、後ろのホックに触れる。
「前のんと違うんやね。何や複雑なつくり」
ポツリと七緖くんは呟いてホックを外した。胸が解放される感覚がして私は声をひっくり返す。前のと違うとは、初めてエッチをした時の下着の事を言っているのだろう。
「まっ、前のはカップがついてるシャツみたいなもんだし」
あの下着はあの下着で機能的で好きなのだけれども。可愛さ色気もない。そもそも突然関係してしまったあの状況ではどうしようもない。
(そもそも可愛い下着なんてあんまり持ってないし。毎日レースの上下セットってわけにもいかないし……)
考えてもどうしようもない事をぐるぐると一人考える。その間、七緖くんは長い指で器用に下着を外して脇にポトリと落とす。
私の頭上で、晒された乳房をじっと見つめてゴクンと七緖くんが唾を飲み込んでいるのが分かる。
よく考えたら真っ昼間だ。ベッドにもたれた七緖くんの真下、自然光の下に晒された私の体。バルコニーの壁で外からは見えないと思う。
(前は暗かったのに、こんなに明るいところなんて)
見られる事になるとは考えていなかった。
「あんまり見ないで。小さいし変だし恥ずかしいし」
消え入る声で呟きながら、私は自分の体を両手で隠そうとした。だけどその腕を七緖くんに掴まれ阻まれてしまう。
「何で隠すん? もっと見たいし、もっと触りたい」
「さっ、触っ」
「だって僕の好きにしてええって言うたやんか」
そう言うと七緖くんは私の唇を再び塞ぐ。
そして私の腕を放すと、後ろから掬い上げる様にして直接胸を揉み始める。ゆっくりと持ち上げてやわやわと触れる。長い指がささやかな乳房を覆い尽くす様に持ち上げる。しっとりと汗ばんだ手のひらが私の胸に吸いつく。
初めての時は力一杯握りしめられたけれども、今回は優しく触れる。まるでどんな触れ方が一番いいのかを確かめる様に。
「ああ……柔らかい。ほうやった。びっくりするぐらい柔らかいんよね。こんな風にお椀をひっくり返した様な綺麗なかたちやのに」
うっとりと七緖くんは呟きながら唇に吸いつく。口内に入り込んだ舌、そして七緖くんは私の尖った乳首をキュッと小さくつまんだ。しかも両方同時に。私は足を引きつる様にして曲げる。びくりと体が跳ねる。
(そこっ。強くは駄目っ)
心の中で歯を食いしばった。だって口内は七緖くんがずっと居座っていて声だって上げられない。
「~っっ」
官能的とはほど遠い呻き声が七緖くんの口内に消えていく。
私のその反応に何かヒントを得たのか七緖くんは乳首を弄り始める。固く尖った先を指で弾く。何度も何度もしつこく弾かれて、私はその度に両膝を擦りつけたり伸ばしたりを繰りかえす。
(ムズムズするって言うか。ヤダ凄くお腹が熱くなっていくっ)
私の様子を見つめた七緖くんがキスをやめるとゆっくりと私の首筋にキスを落とした。
「ひっあっ! んんっ!」
思わず首を反らしたら大きな声が出てしまって、慌てて私は歯を食いしばった。
すると七緖くんが乳首をキュッと優しくつまんだ。だから私は胸を突き出す様にして反り、我慢したはずの悲鳴を上げた。
「ああっ」
慌てて右手の甲に口に当てて声を抑える。すると七緖くんがゆっくりと私の腰を持ち上げると腰に留まっていたシャツワンピースを下ろして、足からスポンと抜き取ってしまった。おかげで私はパンツ一枚だけの姿になってしまった。
「声は我慢せんでええよ。ほんなに歯を食いしばったらあかんって」
七緖くんは後ろから私の右手を優しく握ると手の甲にキスをした。
「私ばっかり裸って。何か狡いわよ」
私は恥ずかしさをごまかす為にわめく。ぎゅっと瞳を閉じ膝を立てる。
(靴下とパンツだけだなんて信じられない)
するとごそごそと後ろで七緖くんがTシャツを脱いでいる衣擦れの音がした。そしてデニムのパンツのボタンを外しファスナーを下げる音が聞こえる。
「えっと、ズボンを全部脱ぐんは後からでもええ?」
七緖くんの恥ずかしそうな声に私は振り向く。
すると、上半身裸になってズボンの前を全開に開いた七緖くんがいた。白い肌で痩せ型だ。でも、たるんでいる様子はない。運動は苦手らしいけど、体は引き締まっている方だ。
(均整の取れた体……綺麗……あっバナナ、じゃないけど)
顔から首、そして胸からお腹をたどって視線を下げていくと、後からでもいいかと聞かれたズボンの全開になった部分に視線が落ちた。
そこには、ピッタリと七緖くんの性器を縁取っているボクサーパンツが見えた。前と同じ薄いグレーだ。私と一緒に自分の股間に視線を落とした七緖くんは「ヒッ」っと小さく悲鳴を上げていた。
「また僕は薄いグレーをはいてしもうとった! アカン……完全な油断や」
頬はほんのり薄ピンクに染まっていたけれども、パンツを見て七緖くんは瞬間湯沸かし器の様に赤くなった。しかも首まで。
「でもそんなシミとかには……」
私はフォローのつもりで視線を落としたまま呟くと七緖くんがわめいた。
「ほんな問題と違うし! これからたっぷり先が濡れるっ……て、何を言わすんや巽さんは。もう、僕、格好悪い」
がっくりと肩を落としながら七緖くんは呟いた。その様子に私は思わず微笑んでしまった。
(七緖くんだって今日こんな事になるなんて思ってなかったんだよね)
私と同じなのだろうと思うと恥ずかしいという気持ちも少しだけ和らいだ。
「あのね、七緖くん」
「うん?」
「私、ちゃんとコンドームを買ったから」
七緖くんだけに任せるわけにはいかないから。そう言いたくてポツリと呟いた。
(きっと七緖くんも同じ気持ちでいると思うから。恥ずかしくはないよね)
七緖くんは突然の私の言葉に目を丸めるが、それから優しく笑った。
「うん。僕も普通のん買うたよ。ちゃんと普通サイズやから」
やたら「普通」を強調する七緖くんだ。博さんにからかわれた事が嫌だったのだろうか。
「分かってるよ。でも今日こうなるなんて思ってなかったから持ってこなかったの……ごめんね」
私がポツリと呟くと七緖くんが笑って私を抱きしめた。
「うん。大丈夫僕のがあるし。えっと、続きしてもええかな?」
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私の答えを七緖くんは聞くと、ベッドに引き上げた。
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