剣も魔法も使えない【黒蝶少女】は、異世界に来ても無双する?

べるの

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第8蝶 ちょうちょの英雄編2

シスターズ登場!

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前回のあらすじ

ユーアの為にオオカミの魔物を連れてきたのを、
すっかり忘れていた澄香は、一度引き返すことに。

そこへ向かう途中に、オオカミからやってきて、ユーアと感動の再会を果たす。
そしてまた一行は街へと向かう。

 新たな仲間と、新たな問題を引き連れて。





「ね、ねえっ、本当に大丈夫なんだよね?クレハン」


 私はみんなを乗せた、透明壁に平行に走りながら、
そうクレハンに確認する。

 もうここは整地された広い街道だ。
そろそろコムケの街の外壁が見えてくる頃だろう。

 因みにユーアは、


「むにゃむにゃ、オオカミさ~ん、ハラミ~~良かったよぉ~~」


 感動の再会を果たしたオオカミの魔物の『ハラミ』の上で眠っている。
色々な事があったし、オオカミとの邂逅でも疲れてしまったんだろう。
安心したのか、泣き疲れるように眠ってしまった。

 そして『ハラミ』はこのオオカミの魔物の名前で、ユーアが名付けていた。

 なぜ、名付けてたって過去形になるかというと、元々ユーアは、
オオカミと最初に別れる時には決めていたらしい。

 冒険者になりたてのユーアを先導してくれたお礼として。


『名前を付けてあげたのはいいけど、食べるつもりじゃないよね?』

 私はふと、そう思う。

 だって『ハラミ』だよ?直球すぎない?


 どう考えたって、ユーアが考えた名前の『ハラミ』は、
何かの動物の肉の部位だよね?希少部位だよね?


 それが、お肉大好きユーアが名付けたってだけで、
私の中では、その信憑性が増す。


「むにゃむにゃ、大きくて美味しそうだね、ハラミ~~むにゃむにゃ」


「!!!!!!ッ」


 き、聞かなかった事にしよう。見なかった事にしよう。
ハラミの上で涎を垂らしているユーアの寝言は。
それとハラミ、これ以上大きくならない方がいいかもっ。


『………………あれっ?髪がなびいてないね』


 背中に抱き着いているユーアは、ハラミの駆ける動きで、
多少揺れてはいるが、振り落とされる様子も、風圧を受けている様子も
全くない、これもこのハラミの、何かの能力なんだろうか?

 
「ええ、大丈夫です。スミカさんっ!!」


 私はそのクレハンの答えで、思考を元に戻す。

 そうだった。

 クレハンにハラミが街に入れるかを、聞いていたんだった。


「わかった。それじゃクレハンに任せるよ」

「はい、お任せください。スミカさんっ!!」


 クレハンの珍しく、自信ある発言に私はほっと胸を撫で下ろす。
ユーアにこのオオカミの事で、心配かけたくなかったから。



―――――――――――――――




「ああっ!ルーギルっ!それとスミカっ!お前たち大丈夫だったのかっ!魔物は、街は、いったいどうなるんだっ!」


 そう私たちを街の門で迎えてくれたのは、ワナイ警備兵だった。

 私のパンツ報告人専門の――


「オイッ、落ち着けよワナイ。魔物は全て討伐してきた。この街はもう大丈夫だ。だからお前もいつ魔物が攻めて来るかもしれない中、門の守りご苦労だったなッ」

 ルーギルは、私たちを迎えて、その動向が心配だったワナイの肩に「ポン」と手を置いてそう語る。

「そ、そうかっ!さすがはルーギルだなっ!街はお前に救われたって訳だっ!!」

「あ~~それはそうかも知んねえがァ、俺は只の、付き添いみたいなもんだったぜ? 実質、街を救ったのはここにいるスミカ率いる――――――」

 ルーギルは、そう言って私たち4人を促し前に送り出す。
そうすると、残りの私達4人は、必然的に一歩前に出る事になる。

 そして私たち4人は、


「こ、この街を魔物の脅威から救ったのはっ!!」
  と私。

「ここにいるっ私たち4人といっぴきのっ!!」
 とナゴタ。

「その名もっ!!」
 とゴナタ。

「び、美少女戦士っ!?」
 とユーア。



「「『バタフライ、シスターズッッッ!!!!』」」


 《ちゅどぉぉぉぉぉぉぉぉんっっっっっっ!!!!!!》



「……………………」「……………………」「……………………」
「……………………」「……………………」「……………………」
「……………………」「……………………」「……………………」
「……………………」「……………………」「……………………」


 し―――――――――――――――ん。



「はっ?はっはぁ?ルーギルお前何言ってっ!?って、スミカたちは一体何やってんだっ!!な、なんだっ、よく見たら、ナゴタゴナタ姉妹と、ま、魔物までいるじゃねえかっ!!ユーアはお前はなんで魔物の上にっ乗ってっ!?」


 いち早く我に返ったワナイが、そんな私たちに食って掛かる。


 周りの人々も、私たち4人と一匹の、某戦隊風を真似た登場の仕方に、
目を見開いて驚いている。

 他に街へと入る門に並んでいる人たちも、そして、もう一人の若い警備兵も、目を見開き口をあんぐり開いている。皆一様に唖然としている。


『~~~~~~~~~~っ』


 そりゃそうだろう。

 街を救ったらしい者が、ルーギルの言う4人の少女と一匹だし。

 少女4人で救ったって話も眉唾物なのに、更にその中にナゴナタ姉妹も
混ざっているし、しかも魔物まで引き連れている。


 そして、私たちは一様に、謎のポーズを決めている。


 ユーアは、ハラミの上に乗って片足を上げ何故か、

『ツルのポーズ』

「ううっ~~~~~」

 ちょっと全身がプルプルしている。しかも涙目。


 ナゴタは、四つん這いになって片手をクイっと上げて、

『女豹のポーズ』

「んふっ♪」

 妖艶なポーズでウインクしている。なんかノリノリだ。
む、胸元の谷間は気にしない。


 ゴナタは、両膝立ちで、肘を曲げて両手を前に伸ばしている。

『ワンワンのポーズ』

「わふ~っ!」

 にこやかな笑みを浮かべて「ハッハッ」と腕を上下に振っている。
つ、ついでに二つの丸い|○○|も上下に揺れている。


 私は、ここに来る前に、3人にポーズを教えていた。
それぞれに合ったポーズを。


 そして私は――――――

「~~~~~~っ!」


「ヒラヒラ」していた。


 スカートの裾を指先で摘まんでヒラヒラと。

 『蝶』 だけに。


『~~~~~~~~っ!!』


 な、なんで私だけこんなハレンチなのっ!?
なんで私だけ、昆虫なの!?背中の羽根でいいじゃんっ!?


 ってか、みんなのポーズを決めたのは私だけどっ!
そして私のポーズを決めたのは、ユーアたちだけどっ!


 ヒラヒラヒラ


『は、早くっギルド長コンビ先を進めてっ!いつまでもこんなっ!集まっている男たちの視線に堪えられないっっ!絶対私の白い生足を凝視しているって!?そしてその先だって想像してっ――――』


 私は恥ずかしくて閉じていた目をゆっくり開く。
これ以上じらしたって意味がないし、先に進まないし堪えられない。


「あれ?誰も!?」

 ヒラヒラヒラヒラ


 私を見ていなかった。

 目を開いた私は、私を見る穢れた視線を受けていなかった。


『……………………』


 みなその視線は女豹と犬の方向を見ていたからだ。
ナゴナタ姉妹の方に、一同視線を這わせていたからだ。


 みんな、その大きなものに釘付けだ。
「ウフン」と「ワンワン」に。


『――――――――』


 ファサッ


 私は摘まんでいたスカートから手を離した。


 所詮この世は大きいものが正義なんだと思った。


 『大は小を兼ねない』事を知った。


 そして私は一気に熱が冷めていくのを感じていた。
元々熱は上がってないけど。

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