剣も魔法も使えない【黒蝶少女】は、異世界に来ても無双する?

べるの

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第10蝶 初デートは護衛依頼

姉妹の帰還

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「お、お帰りなさい、スミ神さまとラブナ姉さま」」
「お帰りっ! スミカ姉ちゃんたちっ!」
「お帰りなさいですっ! スミカお姉さんたち」

「「「お帰り~っ! スミ神さまぁ~っ!」」」

 孤児院の中に入ると、シーラを筆頭にボウとホウ、それと子供たちが元気よく出迎えてくれた。ボウとホウもたった一日で随分と仲良くなったようで安心した。


「うん、ただいま。で、ユーアは?」

 帰宅の挨拶もそこそこに、女神のユーアがいない事に気付く。

「ユ、ユーアお姉さまは今はいません。スミ神さま」
「え? 何でっ!?」

 シーラがすぐに答えてくれた。

「何か、男の子っぽい話し方する子と出かけたよ? 名前は――――」
「男とっ!? あの、野獣で魔獣で猛獣な傲慢で無礼で高慢な下等生物の生き物と!? 私との面談なしにっ!」

 次いでボウが驚愕の事実を教えてくれる。

「スミカ、あなたって、男をそんな風に思ってるの? そんなの子供たちに悪影響じゃないのさ。それに神さまって、自分の事そう呼ばせてるの? あと、面談って何さ?」

 後ろでリブが色々と小言を言ってるが聞く耳持たない。
 今はそんな話をしてる場合じゃないし。

「ス、スミカお姉さん、その子は女の子で、名前はゴマチさんでしたよっ!」
「え、な、なんだ、ゴマチかぁ。ちょっと焦っちゃったよ。あはは」

 最後にホウが補足説明をしてくれる。
 何故か私と同じように、あたふたしていたけど。


「あのさ、そのゴマチはいいんだけど、私たちの事も話してくれない?」

 ユーアに悪い虫が付かなくて、ホッとしている私にリブが声を掛けてくる。
 その後ろにはエーイさんたちもいる。

「あ、ああ、ごめんねリブとエーイさん。妹がいなくて行く先を聞いてたんだよ。でももう大丈夫だから、みんなに紹介するね」

 気を取り直して、リブたちと子供たちを見て口を開く。

「え~と、こっちの大人の4人は――――」
「ねぇねや。ここでは手狭じゃから、中で話をした方がいいと思うのじゃが」
「あ、そうだね。なら食堂に集まろうか? みんなもそれでいいよね?」

 ナジメの提案で、室内に入って自己紹介をする事にした。
 温かい今日の陽気では喉も乾いちゃうしね。


――――――――



「ふぅ~、少し落ち着いたかも」

 各々に自己紹介を済ませ、食堂テーブル脇の娯楽スペースの床で寛ぐ私。
 座り込む私の足の間には、小さな重みとホワホワした髪の毛があってくすぐったい。

 そんな寛ぐ私とは対照的に、お手伝い組のエーイさんたちは、ナジメのお屋敷の人も混ざって細かい話が続いている。どうやら引継ぎと仕事の話が始まっているようだった。

「あのぉ、ねぇねや…………」
「何?」
「わしを可愛がってくれるのは嬉しいのじゃが、いつまでわしはここにいればいいのじゃ? みんなの視線がくすぐったいのじゃが……」

 そう顔を向けてモジモジと話すナジメは、今は私の足の間に座っている。

「あ、そうだね。ナジメも疲れちゃうよね。ありがとうね」
「う、うむ」

 私は最後にギュッとナジメを抱き開放する。
 それはユーアがまだ帰ってきてないので、ナジメから成分を補充していた為だ。

 最初はラブナでもいいかなと思ったんだけど、抱き心地がユーアと全然違う事に気付いたので止めておいた。きっとある部分の格差にショックを受けるから。主にラブナが。

 その点、ナジメは小さいけど、体型と感触に関しては一番似ている。
 ストレートな体と、薄い双丘はユーアと比べて遜色ない。

 って、言っても最近のユーアはキチンと食べてふっくらしてきたので、そろそろナジメでも厳しいかもしれない。

『ん~、それだと、シーラも違い過ぎる。ユーアの方が小さくて可愛いし。ボウとホウが最適だけど、それで嫌われてもイヤだからね。それじゃ次に近いのは――――』

 数人の子供たち、そして一緒に床で寛いでいるリブたちを見る。

『マハチとサワラは意外と…… あるね? それに比べ、リブは背が高いけど厚みはないから似てるって言えば似てるけど、さすがに、ね?』

 チラチラと盗み見る様に、みんなの部分に視線を這わす。
 これもユーアがいない禁断症状だろうか。


「………………何さ?」
「え?」

 そう言った視線に敏感なのか、リブが訝し気に見ている。

「何か、嫌な視線を感じたんだけど」
「き、気のせいじゃない? 私はただみんなを眺めていただけだよ」薄い胸を。ボソ
「本当? 何かずっと私の同じとこ見てたわよ?」
「う、それは――――」

「リブや。ねぇねは二日でノトリの街まで往復したのじゃ。それにユーアがいないから気を休めないんじゃろう。じゃから少しは多めに見てやってくれなのじゃ」

「あ、はいっ! ナジメさまっ! もういくらでも見ていいですっ!」

 私とリブのやり取りに、見かねたナジメが間に入ってくれた。
 それを聞いて、両手を広げて見て見てアピールするリブ。

『………………』

 いや、もうそれ見ても、私も凹むだけだから。

 そんなリブは、ナジメの素性を聞いてからずっとこの調子だ。

 メンバーのマハチとサワラは、孤児院に着くまでに打ち解けて、色々と魔法関連の話で盛り上がってたって言うのに。


 ツンツン

「………………」
「何?」

 私の隣に座り直したリブが脇腹をつついてくる。

(何? じゃないわよっ! 何でナジメさまがスミカのパーティーメンバーなのさっ! あの人元Aランクじゃない、しかも今は領主さまなんでしょっ! 本当にどうなってるのさっ!)

 小声ながらも、怒気を含んだ声で話すリブ。器用だね?

(ん~、そんな事言われてもねぇ。ナジメが仲間になりたいって言ってきたんだし)

 私もリブに合わせて小声で話す。

(それもおかしいのさっ! 何で領主さまがメンバーになるのよ、意味がわからないわっ! それともう聞きたくないけど、他のメンバーってどんな人たちなのっ! あと何人?)

(後は、私の魔獣使いの妹のユーアと、その他は双子姉妹のナゴ――――)


「ただいま~っ! ごめんね少し遅くなっちゃって。あっ! スミカお姉ちゃんっ、お帰りなさいっ!」

 タタタ――――
 ガバッ

「うんっ! お帰りユーアっ!」

 リブと内緒話をしていると、私を見付けて、トテテと駆けてきて胸元にダイブしてくるユーア。私はそれを優しく受け止めて、いつものように頭を撫でる。

「もう、ゴマチとはいいの? どこ行ってたの? 大丈夫だった?」

 首元をクンカクンカとユーア成分を補充しながら聞いてみる。

「うんっ! 今日は一緒に孤児院のお買い物して、冒険者ギルド見てきたの。ゴマチちゃんのお父さんが忙しいからって。それとハラミも一緒だから大丈夫だったよっ!」

『わうっ!』

「そうなんだ。それは楽しかったね。ハラミもごくろうさま」

 一緒に着いて来たハラミも撫でてあげる。
 そんなハラミは目を細め気持ちよさそうにしている。


「そ、その子がスミカの妹なのね、本命の? ゴ、ゴクッ」

 ユーア成分を満喫している横では、リブが真剣な表情で聞いてくる。
 気のせいじゃなければ、ノドを鳴らしていたような……

「う、うん。そうだけど…… なんで?」

 何やら不穏なものを感じながら聞き返す。

「べ、別にっ! それよりも、いきなり魔物が来たから驚いたわよっ! さっき聞いてなかったら魔法をぶっぱしてたわよっ! あはは――」

 何かをはぐらかす様に、早口で捲し立てるリブ。

「ん~、ならいいんだけど。それとユーアはあなたの嫁じゃないからね」
「え? いきなり何言ってるのさっ!? そんな事思ってないわよっ!」
「そう? 私の気のせいだったのかな?」
「………………」
 
 視線を逸らし、無言になるロンドウィッチーズのリーダー。
 見間違いじゃなかったら、マスメアと同じ目をしてたんだけど。


『後は、ナゴタとゴナタが戻れば全員集合だね。もうすぐ暗くなるから、そろそろかな? お仕事が終わって帰ってくるのも』

 窓の外を見て、二人の帰宅が近いことを悟る。

 後はみんなでご飯を用意して、今日一日も終わりだ。

 明日も予定がギッシリだけどね。

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