剣も魔法も使えない【黒蝶少女】は、異世界に来ても無双する?

べるの

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SS バタフライシスターズの慰安旅行

最後の料理とは?

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「さて、最後はナジメの料理だね?」

 ユーアとハラミのウトヤの森組。
 ナゴタとゴナタとラブナのビワの森組。

 10種類以上になる、その2組の料理はどれもこれも美味しかった。
 なので必然的に残ったものがナジメの料理となる。

 このウトヤの森の湖のぬし
 見た目ウー〇ールーパーの、パルパウの料理だ。


『う~ん、見た目的にはあまり美味しそうには見えない魔物だったなぁ』

 青白い体に、伸びる&合体する触手。
 そして獲物を捕らえる狡猾な頭脳と、敵を前にしての凶暴な性格。

『まぁ、それでも食材として提供しているお店もあったらしいけどね。 確か白身魚みたいな淡泊な味だったかな? 何かの記事で見た感じだと……』

 こっちはあくまでも『元の世界』での話。
 だと、心の中で付け加える。


 なぜなら目の前にそっと置かれたものは、全くの別物だったから。


『うぇ~、見た目がもの凄くまずそうなんだけどっ!』

 予想の斜め上を行く食材を見て、心の中で毒を吐く。

『だって、切り分けた身の色がなんだもんっ!』

 ナジメが頑張って採ったものなので、さすがに口には出さないが、パルパウの身は真っ青で、所々に黄色と赤色の斑点模様が浮かんでいた。

 こんなものが美味しいとは思えない。それに自然でできた色とも思えない。
 絶対に体に悪そうだ。


「こ、これってお刺身? で、最初に食べるのが…… 私?」

 ゴクリと唾を飲み込みながら、私の前に置いたナジメに確認する。

「え? そうじゃよ。まずはねぇねに食べてもらわぬと始まらないのじゃ」
「そうなのっ!?」

 ナジメの返答を聞いて身を乗り出し、みんなに同意を求める。


 そんなみんなは一瞬、目を逸らした後で、

「そ、そうですねっ! 最初はスミカお姉ちゃんからだよねっ!」
「え?」

 これはユーア。
 私を見ているようで、視線は別のところを見ている。


「ナ、ナジメとユーアの言う通りだわっ! やっぱり毒…… じゃなくて、これを企画したリーダーに最初に食べてもらいたいわねっ!」

「ちょっ!」

 次にラブナ。
 良い事言ってる気がするけど、なんか毒味って言いかけなかったっ!?


「や、やっぱりお姉さまから感想を聞きたいですっ! その方が安しn…… ではなく、遠慮なくいただけますのでっ!」
「うんっ! ナジメもお姉ぇに最初に食べてもらいたいって…… 言ってたような気がするんだっ! だからよろしくなっ!」
 
「ええっ! ナ、ナゴタ?ゴナタ?」

 最後に姉妹の二人。
 私の後が安心って言いかけなかったナゴタっ!?
 ゴナタっ! それ絶対にナジメ言ってないよねっ!?

 
『ううう~っ!』

 なんだよっ!
 なんでみんなして、毒見させようとしてるのっ!?
 そもそも私が最初に食べるって、そんな決まりなかったよねっ!


「はぁ~」

 仕方ない。
 
 サクっ

 フォークに差して、口に入れる前に繁々ともう一度見てみる。

『……うわ、見れば見るほど不気味なんだけど、なんで真っ青なの? しかも黄色と赤の模様がまだらにあるって…… 変な虫とかもいたりして、ううう~』


「ねぇね、どうしたのじゃ? 早く食べてくれんかのぉっ!」
「うっ!」

 食べる事に躊躇していると、キラキラした目でナジメが急かしてくる。
 その様子を見ると、早く感想が欲しいのはわかる。

 きっと満足の行く答えを言って欲しいんだ。ってね。


『く、もう覚悟を決めようっ! 大体このパターンだと、見た目に反して美味しいのが鉄板だし、虫の魔物がいい例だしねっ!』 

 パクッ

 意を決して、一気に口の中に放り込む。
 そしてゆっくりと奥歯で噛んでいく。

 モグモグ

「う……」

「「「うっ?……」」」

「…………う、う、うわ~~っ! メチャクチャ不味いっ! これ食べちゃダメな奴だよっ! 噛めば噛むほど苦みと甘みと辛みが出てくるよぉ~っ! おえぇ~っ!」

「「「えっ!?」」」

 予想外の味に涙目になり、ぺっぺと地面に吐き出す。

 多少の不味さだったら、何となしに褒めるつもりだったけど、それどころではない。
 歯応えはまだしも、濃厚で不味いものなんて、絶対に我慢出来る訳が無い。


「ね、ねぇね? そんなに不味かったのか? 泣く程美味しくなかったのか?」

 食べさせた張本人のナジメが心配そうに聞いてくる。

「ちょっと待って、今飲み物を飲むからっ! うぇ~っ!」
「う、うむ」
「ゴクゴクゴク」

 取り敢えず、甘い果実水を飲んで口内を洗浄する。

「ふぃ~、ちょっと落ち着いた~」
「ねぇね?」  
「あのさ、多分、生では食べちゃダメだよ、これって。そもそもナジメは揚げ物か焼く方が良いって言ってなかった? ごほごほ」

 討伐する前の説明を思い出して聞いてみる。

「う、うむ、そうだったのじゃが、わしが一番準備が遅かったので、簡単なものにしてみたんじゃ…… 刺身とかサラダや、和え物にして…… むぅ……」

「ああ、そう言えばそうだね……」 

 下を向いてボソボソと話すナジメ。
 どうやら落ち込んじゃったみたいだ。


「なら、せめて焼いてみようか? 大型鉄板もあるし、それなら時間もかからないから。ラブナ、ちょっと火を出してもらっていい?」

 冷めた鉄板の横に移動して、ラブナに頼む。

「はぁ? 焼くのにわざわざ魔法を使うの? スミ姉」
「うん、だってその方が早いでしょ? それに練習にもなるし」
「ま、まぁ、確かに火加減の練習になるわねっ! じゃ、アタシに任せなさいっ!」

 ツンと胸を張りながら、鉄板の前に陣取るラブナ。

「ならわしは、肉を焦がさないように返すから、慎重にお願いするのじゃ、ラブナ」
「うん、わかったわっ!」

 そこにナジメを加わり、二人でパルパウの肉を焼いていく。

 ジュ~~~~

 すると――――

「ん? これは」

 漂ってきた匂いにスンスンと鼻を鳴らす。

「いい匂いがしてきましたね? お姉さま」
「お姉ぇ、なんか美味しそうな匂いなんだけど」

「クンクン、スミカお姉ちゃんっ! 今度はもの凄く美味しそうな匂いだよっ!」
『わうっ!』

 ナゴタたちに続き、ユーアも鼻を鳴らして、その匂いを絶賛する。

 コト

「ふぅ~、結構上手に焼けたわっ!」
「で、出来たのじゃ」
 
 焼き具合に満足げなラブナと、自信なさげなナジメがみんなの前に並べていく。

「あれ? 色が変わったんだけど」

 出されたお肉を見て、そう感想を口に出す。
 元の不気味な色合いが消えていた。

「うん、普通のお肉みたいな色になったね? 美味しそうかも…… じゅる」
 
 ユーアも同じような感想を言う。
 ただし、口端から光るものが見えるけど。

「そうですね、あの毒々しい色がなくなりましたね?」
「しかも、普通以上に美味しそうな匂いだぞ? 色も気持ち悪くないなっ!」

 姉妹の二人も、その変化に驚いている様子。

 ってか、毒々しいとか、気持ち悪い言うな。
 私はそれを食べたんだからね。


「ど、どうじゃ、ねぇね、今度はいけそうかのぉっ!」

 みんなの反応を見て、期待の眼差しになるナジメ。

「わかんない。そもそも焼いたからって劇的に味が変わるとも思えないんだよね」

 フォークで差して持ち上げながら答える。

『ん~、それにしても、あの信号機みたいな色はどこ行ったんだろう?』

 元々は真っ青なお肉に、中身が黄色と赤の斑点があった。
 そして嚙み潰した時に、何とも言えない味が押し寄せた。

 苦みと甘みと辛みの3つの、怒涛の波状攻撃だった。


「それじゃ、今度は全員で一気に食べようね? これはリーダーとしての命令ね?」

 固唾を飲んで、私が食べるのを待っているシスターズ全員を見る。

「え? ボクたちもですか、スミカお姉ちゃんっ!?」
「うわっ! アタシ焼いてあげたからいいと思ったのにっ!」
「お、お姉さま、それは私たち姉妹にも、行儀悪く口に入れた物を吐き出せと?」
「え~っ! なら飲み物用意しておかなきゃっ! もっと甘い物欲しいっ!」

「ううう、みんな酷いのじゃ~ …………」

 それを聞いたみんなは一様に不満をあらわにする。
 ただし1名は涙目だったけど。


「みんなそれぞれ持ったね? 早く終わらせたいから一気に行くよっ!」

「「「は~~い」」」
『わう』
「ちょ、ねぇねっ!」

 パクッ ×6
 ガブッ ×1

「「「う、ううう――――」」」

 ナジメも含め、一気に口に入れた私たち。

 その味に、今度は――――


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