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エピローグ
氷の蝶は死神の花の夢をみる
しおりを挟む時間は、数日前に遡り──
「──ん……」
彩岐蝶梨は、目を覚ます。
そして重い瞼を開けながら、どうして気を失っていたのか、記憶を辿る。
……そうだ。汰一くんとのお祭りデートの帰りに、河原で真っ黒なバケモノに襲われたのだ。
巨大な手に掴まれ、気を失ったようだけど……
「……ここは……どこ…………?」
周囲を見回すが、自分の姿さえ見えないほどの真っ暗闇が彼女を包んでいた。
あのまま、あのバケモノにここへ連れて来られたのだろうか?
あまりの暗さに、自分が失明したのではないかと不安になる。
それとも……
既にここは、死後の世界、とか……
「たっ……汰一くんっ。汰一くん!!」
音も光もない暗闇に、蝶梨は恐怖しながら汰一を探す。
「怖いよ……やだよ。どこにいるの? 汰一くん……っ」
震える瞳から、涙が溢れかけた──その時。
「──あぁ、ごめんごめん。いま明かり点けるから」
……そんな声と共に。
突然、目の前が激しく明滅した。
あまりの眩しさに、蝶梨は目を瞑りながら後退りをする。
やがて光が収まったかと思うと……そこに、一人の男が立っていた。
ド派手なアッシュピンクの頭髪。
爬虫類を思わせる美しい顔立ち。
耳にピアスを光らせているが、その装いは白と紫を基調とした狩衣という和装だ。
「あ、あなたは……?」
アンバランスな格好の男に、蝶梨は警戒しながら尋ねる。
すると、男は穏やかな笑みを讃え、こう言った。
「ボクの名は柴崎……じゃなかった。まったく、誰かさんのせいですっかりこの呼び名が定着しちゃったよ」
んんっ、と咳払いをし。
男は、あらためて答える。
「ボクは、深水之白夜礼淵神。さっきキミが拝んでくれた深水神社の神さまだよ。はじめまして」
「かっ、神さま?」
「そ。お祭りに来てくれてありがとうね、彩岐蝶梨サン」
突然現れた、神を名乗る妙な男。
普通であれば大いに怪しむところだが、蝶梨は不思議とそれを信じることができた。
彼女の中の勘のようなものが、この男の声に、目に、纏う雰囲気に、人間とは違う何かを感じ取ったのだ。
だからこそ、蝶梨はやはり涙を浮かべ、問う。
「神さまってことは……やっぱり私は、死んだの?」
それに、神──柴崎は慌てて手を振る。
「いやいや、まだ生きているよ。キミはお祭りの帰りに裏坂未亜が生み出した付喪神に襲われて、気を失っているんだ。その意識に少しお邪魔させてもらっているんだよ」
「裏坂さんの、つくもがみ……?」
「そう。裏坂家で半世紀に渡り大事に受け継がれてきた浴衣……それに、刈磨汰一を想う裏坂未亜の"念"が宿ってしまったんだ」
未亜が汰一を想う気持ちがあのバケモノを生み出しただなんて、悪い夢のような話だが……
現実離れしたバケモノと、いつもと雰囲気の違う未亜を既に目の当たりにしていた蝶梨には、それが事実なのかもしれないと思うことができた。
「汰一くんは……汰一くんは無事なんですか? すごい怪我をしていたんです。お願いです、彼を助けてください!」
汰一がバケモノの爪に切り裂かれたことを思い出し、蝶梨は必死に懇願する。
しかし、柴崎は落ち着いた様子で首を振る。
「大丈夫、彼なら無事だ。もう全て終わらせた後だよ。だからこそボクは……彼の話をしに、キミに会いに来た」
「え……?」
驚く蝶梨に、柴崎は……
一つずつ、真実を語り始めた。
汰一が罪を犯した神の生まれ変わりで、罰として不運な人生を運命付けられていること。
神代町を護る神が蝶梨に恋をし、蝶梨を殺すため、汰一の身体を乗っ取ろうとしたこと。
しかし、汰一は魂の奥底に眠る力を呼び覚まし、逆にその神を取り込んでしまったこと。
その結果……神でも人でもない、中途半端な存在になってしまったこと。
「そんな……汰一くんが、私のために……?」
蝶梨が、震える声で言う。
「汰一くんは、どうなるの? このまま普通の人間として……汰一くんとして生きていけるの?」
「前例のないことだから、ボクもまだ予想でしか話せないけど……見た目は変わらないから、今まで通り人間として生活できるだろう。でも、既に彼の身体は変わりつつある。睡眠による休息が必要なくなっているし、傷の治りも早い。その内、食事も要らなくなるだろう。人間の何倍も長く生きる可能性もあるし、老化もしないかもしれない」
柴崎が告げる予想に、蝶梨は胸が締め付けられる。
汰一は自分を護るために、他の人間とは異なる時間を生きる存在になってしまったのだ。
自分や、知っている者が全て死んだ後も、汰一だけは生き続ける。
一体それは……どれほど孤独で、寂しいことだろう。
「……どうすればいいですか?」
蝶梨は、柴崎の目を真っ直ぐに見つめ、
「どうすれば、汰一くんを救えるんですか? その方法があるから、私に会いに来たんですよね?」
そう、尋ねる。
その瞳に宿る意志の強さに、柴崎は思わず笑みを浮かべる。
「キミは賢いね。そう。汰一クンを今の中途半端な状態から救う方法が一つだけある。それは、キミにしかできないことなんだよ」
「私にしか、できない……?」
柴崎は一つ頷いて、こう続ける。
「キミがこのまま清く正しく生き、天寿を全うしたら、キミは神さまになれる。その神入りの儀式の際、一つだけなんでも願いを叶えられるんだ。そこで、汰一クンのことを願ってあげてほしい。『彼を神さまにしてください』、ってね」
その言葉に、蝶梨はハッとなる。
そして、先ほど汰一と交わした約束を思い出す。
『蝶梨が死んで、神さまになったら……俺を、迎えに来てよ』
『俺、神さまになった蝶梨に殺されたい。そうすれば、蝶梨のいないこの世を離れて……死んだ後も、あの世でずうっと一緒にいられるはずだ』
神さまになるだなんて、どうしてそんな突飛なことを言うのだろうと思ったが……
「……汰一くんは、私が神さまになれることを知っていたんですね」
答え合わせをする蝶梨の言葉を、柴崎が肯定する。
「うん。でも、神さまになったキミと、今の状態の汰一クンとでは接触することも許されない。神さまと人間の恋は禁じられているから」
「だから、汰一くんを神さまにすることができれば……私たちは、死んだ後もずっと一緒にいられるってことですよね」
「そゆこと。ね? 悪くない話でしょ?」
「悪くないどころか良いことづくめです。わかりました。この話は死ぬまで……いえ、死んでも必ず覚えておきます。汰一くんにも教えてあげなきゃ」
「あーだめだめ。汰一クンには内緒だよ? 彼は今、神さまとしての試用期間中だから。損得ナシに"エンシ"を……神さま候補なキミをしっかり護り抜いたっていう実績があった方が、神さまになった時に何かと都合が良いんだ」
「そ、そうなんですか?」
「うん。だからキミは何も知らないフリをして、これからも汰一クンに護ってもらってね。彼にはちょっとキツイ死神みたいな仕事もお願いしているから、辛そうな時は支えてあげて。キミがいれば、彼はなんでも頑張れてしまうから」
……という、柴崎の言葉に。
蝶梨は、ほんのり頬を染め、
「しっ、死神……?」
……と、熱のこもった声を上げるので。
柴崎は、思わず「え」と聞き返す。
「汰一くんが、死神……ふぁ、かっこいい……死神ということは殺しのプロ……嗚呼、いつか私の命も奪ってほしい……」
「あの……彩岐蝶梨サン?」
「はっ! ご、ごめんなさい。つい独り言を……とにかく、彼は私を護るために大変な思いをしているから、私は知らないフリをしつつ彼を支えれば良いと、そういうことですね?」
気を取り直し、話をまとめる蝶梨。
賢い子なんだろうけど……この変わった癖は筋金入りなんだな。
と、柴崎は内心苦笑しつつ答える。
「そう。彼の苦労を見て見ぬフリするのは辛いだろうけど、長い目で見れば彼のためになることだからね。死んだ後も神さまとして二人一緒に過ごすために、この話は覚えておいて」
「わかりました」
力強く頷く蝶梨に、柴崎は満足そうに微笑む。
「それじゃあ、キミの意識を身体に戻すから。今聞いたことはオフレコということで。よろしく~」
そんな軽すぎる挨拶を最後に──
蝶梨は、汰一の腕の中で、目を覚ました。
* * * *
祭りの日。
失った意識の中で相見えた神の言葉を、蝶梨は思い出す。
あれから数日が経ち、あれは都合の良い夢だったのではないかと、蝶梨は思い始めていた。
だって、汰一が死神で、自分もいつか神になって、願えば彼と永遠を共にできるだなんて……あまりにも出来すぎている。
夢だったのだろう。
祭りの帰りに未亜が現れ、真っ黒なバケモノに襲われたことも、失った意識の中に神が現れたことも。
そう自分に言い聞かせながら、彼女は家を出た。
今日は、夏休みの初日。
汰一と、海に出かける日だ。
自転車に乗り、待ち合わせ場所へと向かう。
眩しい夏の日差しに目を細めながら住宅街の角を曲がると、約束した場所で待つ汰一の姿が見えた。
また待ち合わせ時間よりだいぶ早くに集合しちゃったなと、蝶梨は自転車を漕ぎながら彼に手を振る。
汰一もこちらに気付き、すぐに振り返してくれる。それが嬉しくて、蝶梨は自転車を漕ぐ速度を上げた。
今日はこれから駅まで行って、電車で海水浴場を目指す。
そして途中でスイカを買って、浜辺で割るのだ。
いつか話した自分の変な要望を、彼はちゃんと覚えていてくれて、実現しようとしてくれている。
優しい彼との、初めての夏休み。
この夏は、人生で一度きり。楽しい思い出をたくさん作りたい。
そんなことを考えながら、自転車を走らせるが……
その背後から、大型のトラックが猛スピードで迫って来た。
狭い住宅街の道路に響くエンジン音に、蝶梨は振り返る。
そして、自転車を道の端に慌てて寄せた。
しかし、自転車の前輪が側溝の段差に擦れ、バランスを崩す。
そのまま、トラックが迫り来る車道の方へと倒れそうになり……
すぐそこに迫る死の匂いに、蝶梨は思わず目を瞑った。
が……直後。
何かを叫ぶ汰一の声が聞こえたかと思うと、瞬きをするより速く、蝶梨の身体は汰一の腕に抱きとめられていた。
車道に残った自転車が倒れ、すぐ横を通過したトラックが急ブレーキをかけた。
蝶梨は、早鐘を打つ鼓動に生きていることを実感する。
そして……
「た、汰一くん……ありがとう」
腕の中で汰一を見上げながら、確信した。
……嗚呼、そうか。
あれは、夢なんかじゃなかった。
彼の今の動き……間違いなく人間離れしていた。
彼はもう人間ではなくて、私を護るために見えないところで戦っている。
その事実を前に、蝶梨は罪悪感で胸が押し潰されそうになる。
しかし、同時に……
永遠を共にする死後の世界への期待に、甘い悪寒を感じていた。
安堵の息を吐きながら、汰一が言う。
「よかった……もう、気を付けないとダメだろ? 蝶梨は…………俺が殺すんだから」
低く、熱を孕んだ囁き。
それに、蝶梨は頬を赤らめると……
汰一の腕を、きゅっと掴んで、
「ごめんなさい。ちゃんと気を付けるから…………私のことは、汰一くんが殺してね」
そう、恍惚の表情で微笑んだ。
いつか私が、寿命を迎えたら。
その時はきっと、首に手をかけ、口づけをして。
優しく、あなたの手で送ってほしい。
そうして神さまになったら、あなたを迎えに行くから。
死神として生きるあなたを、神さまにするよう願うから。
死んだ後も、ずっと……ずっと一緒にいてね。
だって、私は……
あなたに、どうしようもなく恋をしているから。
「──よかったのか? "エンシ"とはいえ、まだ人間である彼女に真実を話して」
トラックを回避し、汰一の腕に抱かれる蝶梨を遠巻きに眺め、艿那が言う。
それに、隣に立つ柴崎は肩を竦める。
「だって、考えてもみてよ。彼女が神になった後で今の汰一クンの状況を知ったら、絶対に『なんとかしなきゃ』って思うでしょ? 神入りと同時に堕ちるなんて言語道断だよ。だから先に根回ししたの」
「ふーん。そもそも、あの小僧を今の状態のまま使うことを上がよく許したな。神の魂を持ってはいるが、あくまで"贄の器"じゃぞ? "エンシ"の側に置くべきではないじゃろ」
「しょーがないじゃん。引き離したら引き離したで汰一クンは生きる目標失って闇堕ちするかもしれないし、彩岐蝶梨もショックで自殺するかもしれないんだもん。同じ博打なら、神さま候補を二人いっぺんに失うよりも二人いっぺんに増やせるシナリオに賭けたい、って考えたんでしょ」
「……と、思わせるようにぬしが上を言いくるめたんじゃな?」
艿那の指摘に、柴崎はため息をつく。
「そりゃー"エンシ"からあんなに熱心にお参りされたら叶えてあげなくちゃという気にもなるよ。ボク、いちおう縁結びの神さまだし」
「ほう、あの祭りの時じゃな。どんな願いだったんじゃ?」
「『汰一くんと死ぬまで、いや、死んでも一緒にいられますように』って、三秒間に十回くらい。しかもお賽銭いくらだったと思う?」
「五十円……いや、百円か?」
「五百円」
「ごひゃく?! た、大金じゃないか!」
「でしょー? 女子高生からそんなにもらっちゃったら無下にはできないよねー」
……などと、神ならではの会話を交えてから。
柴崎は着物の裾に手を通し、腕を組む。
「ま、このシナリオが上手くいって新神が一気に二柱も増えたら、ボクの評価も爆上がりだろう。そのためにも、汰一クンには頑張ってもらわなきゃね」
「ぬしは相変わらず出世のことばかりじゃな。縁結びだ何だと言いつつ、結局はあの二人のことも昇進に利用しているだけなのか」
「……あのねぇ。ボクが何のために必死こいて出世しようとしているかわかってる?」
「んあ? 今度は髪をムラサキにしたい、とかか?」
「……根無草な誰かさんに、お社を買い戻してやるために決まってるでしょ」
柴崎の言葉に、艿那は首を傾げながらその意味を考え……
やがて理解したのか、ぱぁあっとあからさまに顔を輝かせる。
「なんと! われのためだったとは! なんじゃなんじゃ、ぬしは本当にわれのことが大好きじゃのう!」
「ちっがうよ、キミの元の姿が見た目的にタイプなだけ。お社がなきゃいつまで経っても点数増えないし、元に戻れないでしょ?」
「またまた~照れ隠しするでない。やはり全てを救うのは愛じゃな、愛」
「これだから福神は……能天気なだけでムードも色気もあったもんじゃない」
得意げに笑う艿那から目を逸らしながら、柴崎は小さく悪態をつく。
「……とにかく、そういうことだから。キミにお社を買い戻せるのは七十年は先になりそうだよ。それまでは地道にコツコツと福をもたらして、それ以上小さくならないようにしておくんだね」
柴崎の言葉に、艿那はこくこく頷く。
「うむっ。では早速福をばら撒いてくるとしよう! 暫しお別れじゃな、柴崎!」
「……キミにその名で呼ばれるくらいなら、『水神の若造』って呼ばれ続ける方がまだマシだよ」
「そうか! じゃあ行ってくるぞ、水神の若造!」
言って、艿那は懐から団扇を取り出すと、それをひらりと仰ぎ……
吹き起こした風に乗り、どこかへ消えていった。
それを見送り、柴崎は小さく嘆息する。
「まったく……人の気も知らないで」
それから。
倒れた自転車を起こし、共に歩き始めた汰一と蝶梨の後ろ姿を眺める。
あの二人は、いつか神になる。
その未来を、柴崎は純粋に喜ばしいことだと思う。
神の世界は快適だ。
死の恐怖も、生の焦りもない。
痛みや悲しみも、此岸に比べればずっと少ない。
だから、あの二人もきっと気に入ってくれるはずだ。
しかし、ひとつだけ。
柴崎には、此岸に生きる彼らを羨ましいと思う要因があった。
それは──"恋"という感情。
神の世界に、"愛"はあっても"恋"はない。
"恋"とは、番を見つけるための衝動だ。人間は命に限りがあるからこそ、番を見つけて自分の遺伝子を残そうとする。
一方、神には寿命が存在しない。子孫を残す必要がないため、"恋"という感情そのものが不要なのだ。
だからこそ、万が一にも人間に恋をしてしまえば厳しく罰せられる。人間特有の営みを妨害することになるからだ。
他者を思いやる、穏やかで清らかな"愛"さえあれば良い世界。
それが、神の住まう世界。
そのことは重々承知しているし、そうあるべきだと、柴崎は心から思う。
しかし…………今でも思い出すのだ。
彼が、人間から神になったばかりの頃。
風と共に現れ、何かと世話を焼いてくれた美しい女神がいた。
彼女に対し抱いていた想いこそ、恐らく恋だった。
だが、胸の高鳴りも、会えない寂しさも、醜い嫉妬心も、いつの間にか鳴りをひそめ、消えていた。
それは、自分が名実共に神になったから。
人間だった頃の感覚を忘れ、すっかり神になってしまったからだ。
残ったのは、凪いだ海のように穏やかな"愛"だけ。
それも悪くはないが、それでも柴崎は……
もう一度だけ、あの狂おしいまでの衝動を味わってみたかった。
だからこそ、彼女を──艿那を、あの頃の姿に戻そうと躍起になっているのだ。
「……なーんて。彼女には口が裂けても言えないけど」
そう自嘲気味に呟き、彼はもう一度、汰一たちを見る。
人間は、いつか死ぬ。
だからこそ、誰かに恋をすることができる。
胸を焦がすようなときめきも。
心に穴が空くような寂しさも。
バケモノを生んでしまう程の嫉妬心も。
すべて、人間だけに許された特権なのだ。
だから。
限りある命の中で寄り添い生きる彼らの恋が……
柴崎には、少しだけ羨ましかった。
「……ま、だからといって"贄の器"になりたいとは一ミリも思わないけどね。せいぜい今だけの青春を謳歌してくれたまえ、刈磨汰一クン」
なんて、その背中に投げかけて。
「さぁーて。初恋のおねーさんに会うために、今日もお仕事頑張りますかぁー」
そう、気怠げに伸びをしてから。
アスファルトの陽炎に紛れるように、姿を消した。
─完─
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