2 / 3
『鬼ごっこ』
しおりを挟む
ショッピングモール、店内放送「本日は御来店頂きまして誠に有難うございます。」
爆音、機械の稼働音。
店内放送「当店は間も無く閉店のお時間でございます。」
またしても爆音、"鬼"が吹き抜けを貫く。
(俺は怯む、それに抵抗する術を持たない)
空のギターケースを背負った男は物陰へ、黒い衣服や頭髪は薄闇に溶け込む、ギターケースには武器は勿論夢も希望も愛も無い、今の所は渋々空虚を詰め、威勢を張っている。
"鬼"の容姿は見えるだろうか?剥き出しの心臓に、不気味な笑みを浮かべる顔、肉体は無く血管や消化器官に類似したチューブがずりずりと垂れている。
(気味が悪い、早く探索を)
男は"鬼"から逃げるように探索をする。
(知っているだろう、ギターケースの中身さ)
ショッピングモールの中は朝陽に満ちていた、この日と恐怖、非常に目覚めに近い。
(久しいな、此処まで鬼気迫るものは)
男は夢と共に現れ、夜明けに攫われ消えて行く、ギターケースの中身を探し歩く者だ。
男はショッピングモール内の案内版に駆け寄る、指と目で道をなぞる。
(……無い、ここには無い)
瞬間、上空、男を定める目。
舞うチューブ、鮮血。
バスは停車している、白髪の運転手がこちらを見やり「何処まで?」と。
男は濡羽色の虹彩を運転手に向ける、言葉は向けずに。
「…近くの街へ送りましょう、今後、此処へは近付かぬよう。」
バスは走り出す、窓の外、転がる景観は荒れ果てていた。
(この街は目覚めに近い、なんとも浅い街だ)
男の溜息だけが街を歩いていた。
爆音、機械の稼働音。
店内放送「当店は間も無く閉店のお時間でございます。」
またしても爆音、"鬼"が吹き抜けを貫く。
(俺は怯む、それに抵抗する術を持たない)
空のギターケースを背負った男は物陰へ、黒い衣服や頭髪は薄闇に溶け込む、ギターケースには武器は勿論夢も希望も愛も無い、今の所は渋々空虚を詰め、威勢を張っている。
"鬼"の容姿は見えるだろうか?剥き出しの心臓に、不気味な笑みを浮かべる顔、肉体は無く血管や消化器官に類似したチューブがずりずりと垂れている。
(気味が悪い、早く探索を)
男は"鬼"から逃げるように探索をする。
(知っているだろう、ギターケースの中身さ)
ショッピングモールの中は朝陽に満ちていた、この日と恐怖、非常に目覚めに近い。
(久しいな、此処まで鬼気迫るものは)
男は夢と共に現れ、夜明けに攫われ消えて行く、ギターケースの中身を探し歩く者だ。
男はショッピングモール内の案内版に駆け寄る、指と目で道をなぞる。
(……無い、ここには無い)
瞬間、上空、男を定める目。
舞うチューブ、鮮血。
バスは停車している、白髪の運転手がこちらを見やり「何処まで?」と。
男は濡羽色の虹彩を運転手に向ける、言葉は向けずに。
「…近くの街へ送りましょう、今後、此処へは近付かぬよう。」
バスは走り出す、窓の外、転がる景観は荒れ果てていた。
(この街は目覚めに近い、なんとも浅い街だ)
男の溜息だけが街を歩いていた。
0
あなたにおすすめの小説
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
義弟の婚約者が私の婚約者の番でした
五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」
金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。
自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。
視界の先には
私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
カウントダウンは止められない
柊
ファンタジー
2年間の「白い結婚」の後、アリスから離婚を突きつけられたアルノー。
一週間後、屋敷を後にするが……。
※小説になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる