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第2章 それぞれの向き合い方
結婚式 準備中
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シンとリリスの結婚式は、リリスの実家であるマクウェル家の庭を使ってこじんまりとしたガーデンウェディングをすることになっていた。
手作り挙式と言えば聞こえが良いが、準備に手間がかかる。
シンは林に入って木を切って来ては客用の長いガーデンチェアをこしらえたり、ステージ用のセットを作ったりと、休みの日には肉体労働の日々だ。
まさかここから手作りしなければならないとは思ってもおらず、結婚式準備のためにシンは既にリリスの家に住み着いている。
もともと苦手ではなかった大工仕事は、ますます得意になっていた。
シンは実家の農家が人手不足になっていないか気にしていたが、マクウェル家の厚意と昇進のお陰でその分の仕送りができていた。
シンの実家は父親の作った借金の返済で苦労をしていたが、リリスとの結婚が決まった途端、『利息が勿体ないから一括で返済すればいいのよ』というリリスの一声でマクウェル家があっさり肩代わりをした。
現在はシンがリリスに毎月返済をしているが、リリスが受け取りたくないと言ったため、そのお金は結婚式の費用に充てられている。
そんな流れから、シンはリリスに頭が上がらない。
結婚式準備も、ほぼ全てリリスの言いなりになっていた。
「ねえ、シン……。このドレスじゃ地味過ぎない??」
リリスがAラインの総レース製ドレスに身を包み、不安そうにシンに尋ねる。
シンプルな形にレースで表情の付いたドレスは、彼女の華やかなハッキリとした顔を引き立てていた。
「地味じゃないよ。綺麗だよ」
シンがウェディングドレスを見せられるのは、これで4度目だ。
残念なことに、1度目に披露されたものからこれまでの少しずつ行われてきたマイナーチェンジの変遷がシンにはさっぱり分からなかった。
リリスは何度も「ちょっと違う気がする……」と悩んでいる。
シンが肉体労働で様々なものを作り出す間に、リリスはどんどん落ち込んでいった。
「どうして、分かってくれないのよ……」
リリスは泣きそうな顔でシンを責めるが、ドレスに興味のないシンにはリリスの「ちょっと違う」点が全く分からず、慰めようとする度に叱られる羽目になる。
シンが困り果てていると「もー嫌……」とリリスは怒ってドレスを脱ぎ捨て、自分の部屋に籠ってしまった。
「うーん……ドレスのことが分からないだけで、こんなに揉めるものなのか?」
シンは納得できない様子で自分の作った椅子に座る。
(俺だって、式のために頑張ってるんだけどなあ……)
まさか挙式を前にリリスと喧嘩になるとは、シンも想定外だった。
「リリスが着てるだけで、どんなドレスだって可愛いのに……」
シンはそう呟いて溜息をつくと、喜怒哀楽の激しいリリスに声を掛けるために、また今日も部屋に向かうのだった。
手作り挙式と言えば聞こえが良いが、準備に手間がかかる。
シンは林に入って木を切って来ては客用の長いガーデンチェアをこしらえたり、ステージ用のセットを作ったりと、休みの日には肉体労働の日々だ。
まさかここから手作りしなければならないとは思ってもおらず、結婚式準備のためにシンは既にリリスの家に住み着いている。
もともと苦手ではなかった大工仕事は、ますます得意になっていた。
シンは実家の農家が人手不足になっていないか気にしていたが、マクウェル家の厚意と昇進のお陰でその分の仕送りができていた。
シンの実家は父親の作った借金の返済で苦労をしていたが、リリスとの結婚が決まった途端、『利息が勿体ないから一括で返済すればいいのよ』というリリスの一声でマクウェル家があっさり肩代わりをした。
現在はシンがリリスに毎月返済をしているが、リリスが受け取りたくないと言ったため、そのお金は結婚式の費用に充てられている。
そんな流れから、シンはリリスに頭が上がらない。
結婚式準備も、ほぼ全てリリスの言いなりになっていた。
「ねえ、シン……。このドレスじゃ地味過ぎない??」
リリスがAラインの総レース製ドレスに身を包み、不安そうにシンに尋ねる。
シンプルな形にレースで表情の付いたドレスは、彼女の華やかなハッキリとした顔を引き立てていた。
「地味じゃないよ。綺麗だよ」
シンがウェディングドレスを見せられるのは、これで4度目だ。
残念なことに、1度目に披露されたものからこれまでの少しずつ行われてきたマイナーチェンジの変遷がシンにはさっぱり分からなかった。
リリスは何度も「ちょっと違う気がする……」と悩んでいる。
シンが肉体労働で様々なものを作り出す間に、リリスはどんどん落ち込んでいった。
「どうして、分かってくれないのよ……」
リリスは泣きそうな顔でシンを責めるが、ドレスに興味のないシンにはリリスの「ちょっと違う」点が全く分からず、慰めようとする度に叱られる羽目になる。
シンが困り果てていると「もー嫌……」とリリスは怒ってドレスを脱ぎ捨て、自分の部屋に籠ってしまった。
「うーん……ドレスのことが分からないだけで、こんなに揉めるものなのか?」
シンは納得できない様子で自分の作った椅子に座る。
(俺だって、式のために頑張ってるんだけどなあ……)
まさか挙式を前にリリスと喧嘩になるとは、シンも想定外だった。
「リリスが着てるだけで、どんなドレスだって可愛いのに……」
シンはそう呟いて溜息をつくと、喜怒哀楽の激しいリリスに声を掛けるために、また今日も部屋に向かうのだった。
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