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第3章 それが日常になっていく

ルリアーナ城に現れた騎士団長

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 その日、ルリアーナ城に久しぶりに現れた騎士の姿に、城内の使用人が沸いていた。

「ハウザー様! お久しぶりでございます!」

 ルリアーナ城のバトラーだったハオルは、元主人の居なくなった城でルイスに仕えていた。
 大抵の使用人はそのまま主人がルイスになっただけで同じ仕事を任されているのだと言う。

「お久しぶりです。お元気そうで」

 カイがそう言ってハオルに口元だけの微笑を浮かべると、ハオルは今にも羽を生やして飛んでいくのではないかという程、嬉しそうに顔を上気させて目に涙を溜めていた。

「本日は、どうされたのでしょうか? いえ、とても嬉しいのですが、ハウザー様は既に別の方に雇われていらっしゃるとうかがっておりましたので……」

 応接室に行くまでの間、ハオルはカイと共に城内を歩いていた。カイにとっては以前生活していたよく知った城内だったが、今は部外者として城を訪れているのだと不思議な心地がする。

「よう、久しぶり!」

 懐かしい声が後ろからして振り返ると、ルイス付の護衛であるブラッド・クラウスが嬉しそうな顔でカイを見ていた。

「本当だな。久しぶりだ」

 カイは久しぶりに会ったブラッドを眺める。特にブラッド自身には変わったところはなさそうだ。

「部下の色男たちは元気にしてるか?」
「ああ、部下は……シンがこの間結婚したな。ロキは相変わらずだが……まあ、思ったより元気だった」
「ああ、あいつ結婚したのか……いいなあ……年下のお嫁さん……」

 ブラッドは、自分より1つ下のシンが年下の女性と結婚したことを羨んでいる。カイは、相変わらずブラッドは女性関係には恵まれていないのだろうなと、あえて尋ねることはしなかった。

「それより、ルイス殿下はどうなんだ、お前から見て」
「大丈夫ではないというか、あの人は、別人になったよ」ブラッドは意味深にそう言うと、「まあ、会えば分かる」とそれ以上の発言は避けていた。

 カイはなぜブラッドがハッキリとルイスの様子を言わないのか不思議に思ったが、会えば分かる、ということは外見に何か変化があったのだろうかと想像しながら歩く。

 レナに付いて何度も護衛に入った応接室に到着すると、カイは初めて客側の席に案内されたのだった。
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