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第3章 それが日常になっていく
ライト商事は年中無休
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ロキがルリアーナに派遣した渉外担当のルーカス・マイヤーからの報告書を読んでいると、ノックもせずに強面のデニス・レンナーが入って来た。
「ロキウィズ、あのルリアーナ産のオレンジジュース、売れ行き好調だぞ。誰かに聞いたか?」
営業部長のデニスは、社長のロキに対して誰よりも友達感覚で話をする。
「ああ、何となく。ハッキリ数字は聞いてないけど」
ロキが視線をデニスにやらずにそう言うと、デニスは「で、誰かさんはルリアーナから帰って来てから、女絶ちでもしてるのかって噂になってるな」とロキの反応を観察しながら付け加えた。
「勘弁してよ……。なんでそんな噂が出るんだ……」
ロキは呆れた顔でデニスを見ると、そういえばデニスはいつも自分の女性関係に興味のある様子だったことを思い出した。
「何しろ、うちの社長のゴシップは面白い」
「俺の私生活はゴシップか」
ロキが溜息をつきながらデニスを睨むと、「いや、マジな話、営業先からそのゴシップを色々聞かれる身にもなってくれよ」とデニスは真剣な目でロキを見ている。
「知らないよ。適当に誤魔化しておいてよ」
ロキは面倒くさそうに言うと、半年以上その手の話に無縁になっていたのだと気付く。
「いや……そこまで仕事一辺倒になった理由が何なのか、気にしたらいけないのか?」
デニスがそう言ってロキの手からルーカスの報告書を奪い取る。
「まだ、あの国のお姫様のことを調べてるのか。任務から帰って、もうそろそろ半年だろ?」
デニスがルーカスの報告書を見てそう言うと、ロキは慌てて報告書を取り返す。
「デニスには関係のないことだろ。減給されたくなかったら、今すぐ出て行ってくれないかな……」
明らかにそれ以上は聞かれたくないという態度で、ロキはデニスに苛立ちを隠さない。
「関係なくないだろ。心配してんだよ。明らかに働き過ぎだ。ロキウィズがそうなった理由に、何か大きなことがあったのは分かる。カミラだって、本気でどうしたらいいのか悩んでいるんだぞ」
デニスは引かなかった。実際、デニスはロキを心配している。
「聞いてどうするんだ……? デニスにどうこうできることはないよ。ひとりにしてくれないか」
ロキがこうなると頑ななことを、デニスはよく知っていた。
「ルリアーナの王女と、何かあったのか」
デニスは鎌をかけてみた。ルリアーナの任務から帰ってきた日に、王女の訃報を聞いて落ち込んだあの姿が忘れられないでいたのだ。
「何か、ね」
ロキはそう言って力なく笑っただけだった。
デニスは急に勘が働いた。あのロキウィズが女性と「何か」あったかと聞かれて否定をしない。そして現在、女性との交際に後ろ向きになっている。……ということは……。
「まさか、よりにもよって王女に手を出したのか……?」
デニスは確信めいた口調でロキに尋ねた。ロキウィズという人間は、自分に物怖じをしない強さと聡明さを持つ美しい女性を好む。
(ルリアーナの王女は、美人だと聞いたことがある……)
ロキは何も答えなかった。まるで、何も聞かなかったようにデニスの言葉を聞き流したのだ。
(当たりじゃねえか……)
デニスはそれ以上、ロキを追及することはやめた。王女とロキの間に何かがあったのだとしたら、とんでもないスキャンダルだが、ロキはその女性を失ったばかりだということになる。
(確かに、それは背負いきれないな……)
デニスは、仕事に打ち込み続けるロキの心の内が分かった気がした。大切な人を亡くすと、別のことに夢中になることでしか日常が送れなくなることがある。
「で、他に用事が無いんなら出て行ってもらえる? もう少ししたら別の商品の件で打ち合わせするんだ」
ロキは何事もなかったかのようにそう言って、デニスを部屋から追い払った。
デニスが部屋から出ると、そこにはカミラが立っていた。
「ロキウィズ、あのルリアーナ産のオレンジジュース、売れ行き好調だぞ。誰かに聞いたか?」
営業部長のデニスは、社長のロキに対して誰よりも友達感覚で話をする。
「ああ、何となく。ハッキリ数字は聞いてないけど」
ロキが視線をデニスにやらずにそう言うと、デニスは「で、誰かさんはルリアーナから帰って来てから、女絶ちでもしてるのかって噂になってるな」とロキの反応を観察しながら付け加えた。
「勘弁してよ……。なんでそんな噂が出るんだ……」
ロキは呆れた顔でデニスを見ると、そういえばデニスはいつも自分の女性関係に興味のある様子だったことを思い出した。
「何しろ、うちの社長のゴシップは面白い」
「俺の私生活はゴシップか」
ロキが溜息をつきながらデニスを睨むと、「いや、マジな話、営業先からそのゴシップを色々聞かれる身にもなってくれよ」とデニスは真剣な目でロキを見ている。
「知らないよ。適当に誤魔化しておいてよ」
ロキは面倒くさそうに言うと、半年以上その手の話に無縁になっていたのだと気付く。
「いや……そこまで仕事一辺倒になった理由が何なのか、気にしたらいけないのか?」
デニスがそう言ってロキの手からルーカスの報告書を奪い取る。
「まだ、あの国のお姫様のことを調べてるのか。任務から帰って、もうそろそろ半年だろ?」
デニスがルーカスの報告書を見てそう言うと、ロキは慌てて報告書を取り返す。
「デニスには関係のないことだろ。減給されたくなかったら、今すぐ出て行ってくれないかな……」
明らかにそれ以上は聞かれたくないという態度で、ロキはデニスに苛立ちを隠さない。
「関係なくないだろ。心配してんだよ。明らかに働き過ぎだ。ロキウィズがそうなった理由に、何か大きなことがあったのは分かる。カミラだって、本気でどうしたらいいのか悩んでいるんだぞ」
デニスは引かなかった。実際、デニスはロキを心配している。
「聞いてどうするんだ……? デニスにどうこうできることはないよ。ひとりにしてくれないか」
ロキがこうなると頑ななことを、デニスはよく知っていた。
「ルリアーナの王女と、何かあったのか」
デニスは鎌をかけてみた。ルリアーナの任務から帰ってきた日に、王女の訃報を聞いて落ち込んだあの姿が忘れられないでいたのだ。
「何か、ね」
ロキはそう言って力なく笑っただけだった。
デニスは急に勘が働いた。あのロキウィズが女性と「何か」あったかと聞かれて否定をしない。そして現在、女性との交際に後ろ向きになっている。……ということは……。
「まさか、よりにもよって王女に手を出したのか……?」
デニスは確信めいた口調でロキに尋ねた。ロキウィズという人間は、自分に物怖じをしない強さと聡明さを持つ美しい女性を好む。
(ルリアーナの王女は、美人だと聞いたことがある……)
ロキは何も答えなかった。まるで、何も聞かなかったようにデニスの言葉を聞き流したのだ。
(当たりじゃねえか……)
デニスはそれ以上、ロキを追及することはやめた。王女とロキの間に何かがあったのだとしたら、とんでもないスキャンダルだが、ロキはその女性を失ったばかりだということになる。
(確かに、それは背負いきれないな……)
デニスは、仕事に打ち込み続けるロキの心の内が分かった気がした。大切な人を亡くすと、別のことに夢中になることでしか日常が送れなくなることがある。
「で、他に用事が無いんなら出て行ってもらえる? もう少ししたら別の商品の件で打ち合わせするんだ」
ロキは何事もなかったかのようにそう言って、デニスを部屋から追い払った。
デニスが部屋から出ると、そこにはカミラが立っていた。
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