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第5章 追われるルリアーナ元王女
2人の朝
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「うん……」
レナはカーテンの隙間から漏れる朝日を浴びて、眩しそうに小さく唸った。そのままゆっくり目を開けて朝日を避けようとするが、すぐ横で美しい男性の顔がこちらを見ているのが目に入ってくる。
驚き過ぎて一気に目が覚め、同時に心臓まで止まりそうだった。
「カイ」
昨日のことは夢ではなかったのだ。まさか男性の泊まっている部屋で、一晩を共にしてしまうとは。
一体自分の身に何が起きてしまったのだろうかと狼狽する。
「眠れたか?」
「ええ……」
カイはベッドから起き上がると洗面の方へ行ってしまった。よく見るとカイは昨日の夜に見た服とは違う格好をしている。
それはつまり、レナが寝ている間にカイは着替えたり身支度をする余裕があったということで、自分はカイの前で堂々と寝落ちたという証拠なのだろう。
(ど、どうなのかしら……恋人同士でもないのに、一緒に朝を迎えてしまった……何も無かったから、深い意味はないけれど……)
レナは、カイにとって雇用関係の切れた自分はどんな存在なのだろうかという疑問が、モヤモヤと頭の中で育って来ていた。
レナは何も持たずにカイの部屋に泊まってしまったので、朝は顔を洗うくらいのことしかできない。アウルへの出勤や、昨日の夜に聞いたブリステに一緒に行こうという話を、カイと詳しくしなければとレナも洗面に向かった。
「きゃあああああああっ!」
「…………おい」
洗面でレナが見たのは、着替えをしている最中のカイだった。完全にレナが覗いてしまった形になる。
上半身の着替えをほぼ終えている最中だったので、特別カイの何かを見たわけでもなければ、おかしな雰囲気になるところでもない。ただ、レナにはその状況の刺激が強かっただけのことだ。
カイはレナの叫び声に参って白けた顔をした。勝手に覗かれて大声で叫ばれたのが納得いかない。
「ご、ごめんなさい。あの……まさか着替え中だとは思わなくて」
レナが平謝りしているのをカイは仕方がないなと小さく笑う。
「良かったよ。平民生活で擦れてしまっていたら、こんな反応にはならなかっただろうから」
「擦れる?」
カイが言っている言葉の意味が、レナはあまりよく分からなかった。とにかく怒っていないようで安心する。
「朝食を取ったら、共同生活をしている場所に連れて行ってくれ。レナの雇用主に挨拶しなければな。それから荷物をまとめて、ブリステに向かうぞ」
(私のこと、レナって呼ぶのね)
ずっと殿下と呼ばれていた間柄が急に近くなったようで、レナは何だかくすぐったかった。
「ええ、分かった」
とうとうアウルシスターズと、長い間世話になったイサームとの別れが来たのだ。レナはいよいよ訪れる別れの時に、どうしようもなく寂しさが襲う。
不意に、その頭の上にカイの手が置かれた。
「別れは、つらいな」
(まさか、これがあのカイ? あの、騎士団長なの?)
レナはやはり昨日から夢を見ているのではないかと思う。
「カイ……あなた、変わった?」
置かれた手から覗き込むようにレナはカイを見た。
「そりゃ、1年近く時間が経てば、人間変わるだろ」
カイは意味深にそう言うと、レナを朝食に誘う。傍から見ると完全に恋人同士のような状況に、レナは違和感が拭えずにいるのだった。
レナはカーテンの隙間から漏れる朝日を浴びて、眩しそうに小さく唸った。そのままゆっくり目を開けて朝日を避けようとするが、すぐ横で美しい男性の顔がこちらを見ているのが目に入ってくる。
驚き過ぎて一気に目が覚め、同時に心臓まで止まりそうだった。
「カイ」
昨日のことは夢ではなかったのだ。まさか男性の泊まっている部屋で、一晩を共にしてしまうとは。
一体自分の身に何が起きてしまったのだろうかと狼狽する。
「眠れたか?」
「ええ……」
カイはベッドから起き上がると洗面の方へ行ってしまった。よく見るとカイは昨日の夜に見た服とは違う格好をしている。
それはつまり、レナが寝ている間にカイは着替えたり身支度をする余裕があったということで、自分はカイの前で堂々と寝落ちたという証拠なのだろう。
(ど、どうなのかしら……恋人同士でもないのに、一緒に朝を迎えてしまった……何も無かったから、深い意味はないけれど……)
レナは、カイにとって雇用関係の切れた自分はどんな存在なのだろうかという疑問が、モヤモヤと頭の中で育って来ていた。
レナは何も持たずにカイの部屋に泊まってしまったので、朝は顔を洗うくらいのことしかできない。アウルへの出勤や、昨日の夜に聞いたブリステに一緒に行こうという話を、カイと詳しくしなければとレナも洗面に向かった。
「きゃあああああああっ!」
「…………おい」
洗面でレナが見たのは、着替えをしている最中のカイだった。完全にレナが覗いてしまった形になる。
上半身の着替えをほぼ終えている最中だったので、特別カイの何かを見たわけでもなければ、おかしな雰囲気になるところでもない。ただ、レナにはその状況の刺激が強かっただけのことだ。
カイはレナの叫び声に参って白けた顔をした。勝手に覗かれて大声で叫ばれたのが納得いかない。
「ご、ごめんなさい。あの……まさか着替え中だとは思わなくて」
レナが平謝りしているのをカイは仕方がないなと小さく笑う。
「良かったよ。平民生活で擦れてしまっていたら、こんな反応にはならなかっただろうから」
「擦れる?」
カイが言っている言葉の意味が、レナはあまりよく分からなかった。とにかく怒っていないようで安心する。
「朝食を取ったら、共同生活をしている場所に連れて行ってくれ。レナの雇用主に挨拶しなければな。それから荷物をまとめて、ブリステに向かうぞ」
(私のこと、レナって呼ぶのね)
ずっと殿下と呼ばれていた間柄が急に近くなったようで、レナは何だかくすぐったかった。
「ええ、分かった」
とうとうアウルシスターズと、長い間世話になったイサームとの別れが来たのだ。レナはいよいよ訪れる別れの時に、どうしようもなく寂しさが襲う。
不意に、その頭の上にカイの手が置かれた。
「別れは、つらいな」
(まさか、これがあのカイ? あの、騎士団長なの?)
レナはやはり昨日から夢を見ているのではないかと思う。
「カイ……あなた、変わった?」
置かれた手から覗き込むようにレナはカイを見た。
「そりゃ、1年近く時間が経てば、人間変わるだろ」
カイは意味深にそう言うと、レナを朝食に誘う。傍から見ると完全に恋人同士のような状況に、レナは違和感が拭えずにいるのだった。
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