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第6章 新生活は、甘めに
団長と副団長
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カイがレナを騎士団本部に連れて来た翌日、団長室にシンが現れた。
カイはてっきり仕事のことだと思っていたので、シンから出た質問に対する答えを準備していなかった。
「団長って、いつから殿下……いや、レナ様のことが好きだったんですか?」
とりあえずカイの視線が明後日の方向を見たので、「バレバレなんで、誤魔化さなくて大丈夫です」と、シンにハッキリと断言された。
カイは、そんなに分かりやすいものかと愕然とする。
「彼女が生きていたこと……ロキにはまだ言ってないんですよね?」
「まあな」
「それって、いわゆる独占欲ってやつですよね?」
「……いや?」
「じゃあ、俺がロキに言っても良いですか?」
「……なんでだ」
シンに聞かれたくない事ばかりを聞かれ、カイは困っていた。
カイは、レナがロキに惹かれていたと勘違いしている。つまり、レナをロキに会わせたくないのは完全に独占欲だった。
「ロキの……国内の情報網を舐めない方が良いんじゃないですか? そのうちバレますよ?」
シンの言うことは一理ある。ロキは国内各地に情報網を張り巡らせていた。
カイの領地内ですらロキの店や拠点がある。様々な事業における情報がいち早く集まるようにしているのが、ライト商事の強みなのだ。
「まあ、そうだな……ロキもレナをずっと探していたしな……」
自分だけが生存を知っているというのは、フェアではないのかもしれない。
が、フェアかどうかなどどうでも良いと、なりふり構えなくなるのが厄介なところだ。
「ロキに会わせるのが、心配なんですか?」
「……まあな」
「それは、ロキに彼女を奪われるのがってことですよね?」
「……いや?」
「じゃあ、すぐに会わせればいいじゃないですか」
「……なんでだ」
会話が、完全に巡る。カイが本音を誤魔化せば誤魔化すほど、話が進まなくなる。
「ロキに会わせようものなら、あいつの周りにいる記者にレナの素性を探られるかもしれないだろ」
カイがそう言うと、シンは少し唸っていた。
「それで……バレることってありますかね? 辿れないんじゃないですか? 亡くなった王女だったなんて」
そう言うシンの主張に、カイはそんなものだろうかと考えてみるが、どうにも不安が拭えない。
「それで……団長は彼女と今後どうするつもりなんですか?」
「どう、か……」
シンが鋭い質問ばかりを浴びせて来るので、カイはずっと歯切れが悪い。
なるべく考えないように、口に出さないようにしていたことばかり問われている。
「レナ様と……気持ちは通じ合っているんですよね?」
「…………」
「一緒に生活しているのに、そこも、まだなんですか?」
「難しいんだ、そこは」
カイはずっと考えないようにしていたことをシンに白状した。
「レナは今、身寄りがないだろう。なるべく、気兼ねせずに頼ってもらいたいんだ。ここで俺が彼女に特別な想いを寄せていると言ってみろ……無理をして応えようとするか、うちを出て行くかを選ぶ気がしないか……」
カイはそう言うと、レナの無邪気な笑顔を思い出していた。
「素のままで、いて欲しいんだ。彼女が以前俺を雇っていたのは事実なんだから、その恩で頼れる場所があったと思われるくらいが、丁度いいだろ」
「団長……そこまで考えていたんですか」
「そりゃ、考える」
「その割に、気持ちがダダ洩れですけどね」
「安心しろ、レナはお前が思っている数倍鈍い」
限度というものがある、とシンはレナを思い出し、いやあの元王女なら確かに予想外に鈍いのかもしれない、と考えを改めた。
「まあ、2人が納得しているんなら自分のような部外者がどうこう言う話じゃないんですけど」
シンはそう前置きをした上で、「いい歳した男女が一緒に暮らすなんて、周りから見てあんまり普通じゃないですからね」と忠告のように釘を刺した。
カイが気兼ねをさせずに家に置こうと考えているとしても、レナが周りから浴びる視線や評判を考えれば当然のことだ。
「……ああ、そうだな」
カイは、彼女のためだと口にしながらも、そこにある自分のエゴがいつかレナを傷付けてしまうかもしれない事実を、静かに受け止めるしかなかった。
カイはてっきり仕事のことだと思っていたので、シンから出た質問に対する答えを準備していなかった。
「団長って、いつから殿下……いや、レナ様のことが好きだったんですか?」
とりあえずカイの視線が明後日の方向を見たので、「バレバレなんで、誤魔化さなくて大丈夫です」と、シンにハッキリと断言された。
カイは、そんなに分かりやすいものかと愕然とする。
「彼女が生きていたこと……ロキにはまだ言ってないんですよね?」
「まあな」
「それって、いわゆる独占欲ってやつですよね?」
「……いや?」
「じゃあ、俺がロキに言っても良いですか?」
「……なんでだ」
シンに聞かれたくない事ばかりを聞かれ、カイは困っていた。
カイは、レナがロキに惹かれていたと勘違いしている。つまり、レナをロキに会わせたくないのは完全に独占欲だった。
「ロキの……国内の情報網を舐めない方が良いんじゃないですか? そのうちバレますよ?」
シンの言うことは一理ある。ロキは国内各地に情報網を張り巡らせていた。
カイの領地内ですらロキの店や拠点がある。様々な事業における情報がいち早く集まるようにしているのが、ライト商事の強みなのだ。
「まあ、そうだな……ロキもレナをずっと探していたしな……」
自分だけが生存を知っているというのは、フェアではないのかもしれない。
が、フェアかどうかなどどうでも良いと、なりふり構えなくなるのが厄介なところだ。
「ロキに会わせるのが、心配なんですか?」
「……まあな」
「それは、ロキに彼女を奪われるのがってことですよね?」
「……いや?」
「じゃあ、すぐに会わせればいいじゃないですか」
「……なんでだ」
会話が、完全に巡る。カイが本音を誤魔化せば誤魔化すほど、話が進まなくなる。
「ロキに会わせようものなら、あいつの周りにいる記者にレナの素性を探られるかもしれないだろ」
カイがそう言うと、シンは少し唸っていた。
「それで……バレることってありますかね? 辿れないんじゃないですか? 亡くなった王女だったなんて」
そう言うシンの主張に、カイはそんなものだろうかと考えてみるが、どうにも不安が拭えない。
「それで……団長は彼女と今後どうするつもりなんですか?」
「どう、か……」
シンが鋭い質問ばかりを浴びせて来るので、カイはずっと歯切れが悪い。
なるべく考えないように、口に出さないようにしていたことばかり問われている。
「レナ様と……気持ちは通じ合っているんですよね?」
「…………」
「一緒に生活しているのに、そこも、まだなんですか?」
「難しいんだ、そこは」
カイはずっと考えないようにしていたことをシンに白状した。
「レナは今、身寄りがないだろう。なるべく、気兼ねせずに頼ってもらいたいんだ。ここで俺が彼女に特別な想いを寄せていると言ってみろ……無理をして応えようとするか、うちを出て行くかを選ぶ気がしないか……」
カイはそう言うと、レナの無邪気な笑顔を思い出していた。
「素のままで、いて欲しいんだ。彼女が以前俺を雇っていたのは事実なんだから、その恩で頼れる場所があったと思われるくらいが、丁度いいだろ」
「団長……そこまで考えていたんですか」
「そりゃ、考える」
「その割に、気持ちがダダ洩れですけどね」
「安心しろ、レナはお前が思っている数倍鈍い」
限度というものがある、とシンはレナを思い出し、いやあの元王女なら確かに予想外に鈍いのかもしれない、と考えを改めた。
「まあ、2人が納得しているんなら自分のような部外者がどうこう言う話じゃないんですけど」
シンはそう前置きをした上で、「いい歳した男女が一緒に暮らすなんて、周りから見てあんまり普通じゃないですからね」と忠告のように釘を刺した。
カイが気兼ねをさせずに家に置こうと考えているとしても、レナが周りから浴びる視線や評判を考えれば当然のことだ。
「……ああ、そうだな」
カイは、彼女のためだと口にしながらも、そこにある自分のエゴがいつかレナを傷付けてしまうかもしれない事実を、静かに受け止めるしかなかった。
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