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第10章 新しい力
リディアの献身
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ルリアーナ城で、その日もリディアはルイスの部屋にいた。
「お父様とお兄様の軍は、既に国王陛下のお城近くに待機しているようです」
リディアは実兄から届いた書簡をルイスに差し出すと、ルイスはそれを受け取って満足気に頷いた。
「リディアは・・ご家族を動かすことに長けているな。君の家は特に気位が高いと聞いていたが」
「・・それが妻として生きる女の務めだと、育てられてきましたから。ルイス様のお役に立てれば、それが私の幸せ・・」
リディアは頭を下げて言うと、そのまま側で立っているルイスの胸に顔を寄せた。
「使えるものは、何でもお使い下さい。国王陛下を討つには、並大抵の兵力では足りないでしょう・・。ここに来た日には想像もできませんでした。私は、ルイス様がポテンシア王国を統治する日を夢見ております」
「さして良い国が築けるとも思えないが・・父上を討つ以上、そういう事になるわけだな」
ルイスは自分の身体に密着しているリディアをじっと見つめる。茶色い瞳を輝かせながら話をするようになったリディアは、常に嬉しそうな表情でルイスに語り掛ける。ルイスから見ても、随分とリディアは女性らしく美しい表情を見せるようになった。
「どうか・・お命を落とすような選択はお避け下さいませ・・。私の知るあなたは、いつもこの世を捨てそうな目をして・・それが、私には辛いのです」
「この世を捨てそうな目か・・。私は、なぜ今、こうして生きているのだろうな・・」
ルイスは自分の背にあるレナの肖像に、リディアと密着しているところを見られているのだなと思う。
「ルイス様がこうして生きて、私の前にいて下さる事・・それが今は私の幸せです。どうか・・そのお心に新しい安寧が訪れますよう・・」
「安寧・・か。死ぬまで訪れなかったら、どうしてくれる?」
相変わらず濁った瞳をしたルイスは、冷たい声でリディアに尋ねた。
「地獄に向かうおつもりでしたら、どこまでもご一緒します」
リディアはハッキリと言うとルイスを力強い目で見つめた。その気高く意志の強い表情に、ルイスはいつか見たレナの目を重ねる。
「地獄に向かう・・か。リディアは知らないらしいな。ここはもう、とっくに地獄で・・私は亡くなった一人の王女を追い求める亡霊でしかないんだよ」
「それでは、亡霊に惹かれた私は、愚か者でしょうか?」
「・・愚かだね」
ルイスはそう言うと、先程受け取って手に持っていた書簡をくしゃっと握る。その手をリディアの背中に回すとリディアの口を荒々しく塞いだ。
「君は、亡霊に利用され、ここまで周りを巻き込んで・・なんて愚かな人なんだ」
離れたルイスがそう言うと、リディアは薄っすら目に涙を溜めている。
「地獄のお供には、それなりの準備や覚悟が必要でしょう。私は愚か者ですが・・それでもあなたを・・心からお慕いしていますから」
リディアが寂しそうに笑うので、ルイスはつられて顔を歪めた。
「君は、私に似合いかもしれないな。自分の夫を殺した仇の私に献身するなど、正気の沙汰ではない。愚かで・・どうしようもない人だ」
ルイスが再度リディアの唇を奪った時、リディアの涙が口を伝って落ちていった。
それがリディアの嬉し涙であることを知ると、ルイスは良心を痛めながらその好意に必死にすがる。
幼い頃から焦がれて来た相手を失った者同士、埋め合わせるのには丁度いい関係なのだろうとルイスはリディアに自分を投影した。
「お父様とお兄様の軍は、既に国王陛下のお城近くに待機しているようです」
リディアは実兄から届いた書簡をルイスに差し出すと、ルイスはそれを受け取って満足気に頷いた。
「リディアは・・ご家族を動かすことに長けているな。君の家は特に気位が高いと聞いていたが」
「・・それが妻として生きる女の務めだと、育てられてきましたから。ルイス様のお役に立てれば、それが私の幸せ・・」
リディアは頭を下げて言うと、そのまま側で立っているルイスの胸に顔を寄せた。
「使えるものは、何でもお使い下さい。国王陛下を討つには、並大抵の兵力では足りないでしょう・・。ここに来た日には想像もできませんでした。私は、ルイス様がポテンシア王国を統治する日を夢見ております」
「さして良い国が築けるとも思えないが・・父上を討つ以上、そういう事になるわけだな」
ルイスは自分の身体に密着しているリディアをじっと見つめる。茶色い瞳を輝かせながら話をするようになったリディアは、常に嬉しそうな表情でルイスに語り掛ける。ルイスから見ても、随分とリディアは女性らしく美しい表情を見せるようになった。
「どうか・・お命を落とすような選択はお避け下さいませ・・。私の知るあなたは、いつもこの世を捨てそうな目をして・・それが、私には辛いのです」
「この世を捨てそうな目か・・。私は、なぜ今、こうして生きているのだろうな・・」
ルイスは自分の背にあるレナの肖像に、リディアと密着しているところを見られているのだなと思う。
「ルイス様がこうして生きて、私の前にいて下さる事・・それが今は私の幸せです。どうか・・そのお心に新しい安寧が訪れますよう・・」
「安寧・・か。死ぬまで訪れなかったら、どうしてくれる?」
相変わらず濁った瞳をしたルイスは、冷たい声でリディアに尋ねた。
「地獄に向かうおつもりでしたら、どこまでもご一緒します」
リディアはハッキリと言うとルイスを力強い目で見つめた。その気高く意志の強い表情に、ルイスはいつか見たレナの目を重ねる。
「地獄に向かう・・か。リディアは知らないらしいな。ここはもう、とっくに地獄で・・私は亡くなった一人の王女を追い求める亡霊でしかないんだよ」
「それでは、亡霊に惹かれた私は、愚か者でしょうか?」
「・・愚かだね」
ルイスはそう言うと、先程受け取って手に持っていた書簡をくしゃっと握る。その手をリディアの背中に回すとリディアの口を荒々しく塞いだ。
「君は、亡霊に利用され、ここまで周りを巻き込んで・・なんて愚かな人なんだ」
離れたルイスがそう言うと、リディアは薄っすら目に涙を溜めている。
「地獄のお供には、それなりの準備や覚悟が必要でしょう。私は愚か者ですが・・それでもあなたを・・心からお慕いしていますから」
リディアが寂しそうに笑うので、ルイスはつられて顔を歪めた。
「君は、私に似合いかもしれないな。自分の夫を殺した仇の私に献身するなど、正気の沙汰ではない。愚かで・・どうしようもない人だ」
ルイスが再度リディアの唇を奪った時、リディアの涙が口を伝って落ちていった。
それがリディアの嬉し涙であることを知ると、ルイスは良心を痛めながらその好意に必死にすがる。
幼い頃から焦がれて来た相手を失った者同士、埋め合わせるのには丁度いい関係なのだろうとルイスはリディアに自分を投影した。
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