145 / 229
第10章 新しい力
副団長の力
しおりを挟む
「よお、ロキ。久しぶり。・・で、そこに寝転がってるのが団長・・。あれ、目が開いてますね?」
シンが到着し、カイのテントに入って早々その場の雰囲気が変わる。レナは急に和やかになる空気に緊張が解けて行くようだった。
「そうそう。今は目だけが動くんだって。殺気が出ない団長って面白いよ」
「面白いって・・。まあ、確かに目しか動かない団長なんて、もはや団長じゃないところが面白いかもしれないけど・・」
シンが苦笑いをする。レナも釣られて愛想笑いを浮かべた。
「レナ様、ご無事で何よりです。ロキに雇われて来ました」
シンは胸に手を当てながら、頭を軽く下げてレナに言った。その言葉にカイの目が見開く。なんと今回は団員であるはずのロキが雇用主らしい。
「あ、団長。ロキ、かなりの高額報酬を用意してくれて。本部の仕事は残った部下たちに割り振りました。いやー俺、金の亡者になったつもりはないんですが、こんな仕事、断るわけにいかないなって」
シンは、横たわっている金の亡者に報告をする。カイは悔しそうに目を細めて眉間に皺を寄せた。目だけで舌打ちをしているようにも見える。
「今回雇用主だから・・シンは俺に忠誠を誓うわけ?」
「えっ? うーん・・そうか。そうかもな」
ロキに仕えるシンというのがしっくりこないロキとシンは、何となく気持ち悪さを抱えながら唸った。
「まあ、いつも通りでいいよ。シンが俺に頭を下げるとか、ちょっと居心地悪いし・・」
ロキがそう言ってシンを見て口角を上げると、シンはふっと表情を和らげる。
「今回は、団長が倒れるような事態に陥ってる。ポテンシアかリブニケか分からないけど、一波乱あるだろうから、動き方を考えよう」
ロキは、シンとカイに向けて言った。レナも深刻な顔で頷いている。カイはどこか遠くを見るような目をしていた。
「『ご主人様』には、秘策でもあるのか?」
「秘策なんかないよ。でも・・情報戦は得意なんだ」
シンはわざとロキに「ご主人様」を使って尋ねたが、ロキは特に気にもしていなかった。普段から社長業で敬われることに慣れ過ぎているのだろうと、レナはその光景に納得する。
「目指すのは、リブニケでもポテンシアでもない。ルリアーナにいるルイス王子だ。リブニケ兵を操ってポテンシア内で戦争を起こしているのは、誰でもなくルイス王子だからね」
「ああ、確かにそうだな。でも、ルイス王子の軍は今やポテンシア王国一の数と質を誇るらしいと聞いた」
「そうだね。調べたところによると、新しく側室に迎えた公爵家の後ろ盾で、優秀な軍が手に入っているらしいから」
ロキとシンの会話を聞きながら、レナは『ルイスの側室』という単語に、今更自分が出て行ったところで何も事態は変わらないかもしれないという不安が過る。
(ルイス様も既に新しい人生を歩んでいる。今更私が生きていたと出て行ったところで、もう何もできないのかもしれない・・)
レナは不安に押しつぶされそうになった。こんな時ほどカイと話をしたかったのにと残念に思う。
当のカイは、やはり目だけしか動いておらず、シンとロキに絡まれながら目だけで会話をしようとしていた。
シンが到着し、カイのテントに入って早々その場の雰囲気が変わる。レナは急に和やかになる空気に緊張が解けて行くようだった。
「そうそう。今は目だけが動くんだって。殺気が出ない団長って面白いよ」
「面白いって・・。まあ、確かに目しか動かない団長なんて、もはや団長じゃないところが面白いかもしれないけど・・」
シンが苦笑いをする。レナも釣られて愛想笑いを浮かべた。
「レナ様、ご無事で何よりです。ロキに雇われて来ました」
シンは胸に手を当てながら、頭を軽く下げてレナに言った。その言葉にカイの目が見開く。なんと今回は団員であるはずのロキが雇用主らしい。
「あ、団長。ロキ、かなりの高額報酬を用意してくれて。本部の仕事は残った部下たちに割り振りました。いやー俺、金の亡者になったつもりはないんですが、こんな仕事、断るわけにいかないなって」
シンは、横たわっている金の亡者に報告をする。カイは悔しそうに目を細めて眉間に皺を寄せた。目だけで舌打ちをしているようにも見える。
「今回雇用主だから・・シンは俺に忠誠を誓うわけ?」
「えっ? うーん・・そうか。そうかもな」
ロキに仕えるシンというのがしっくりこないロキとシンは、何となく気持ち悪さを抱えながら唸った。
「まあ、いつも通りでいいよ。シンが俺に頭を下げるとか、ちょっと居心地悪いし・・」
ロキがそう言ってシンを見て口角を上げると、シンはふっと表情を和らげる。
「今回は、団長が倒れるような事態に陥ってる。ポテンシアかリブニケか分からないけど、一波乱あるだろうから、動き方を考えよう」
ロキは、シンとカイに向けて言った。レナも深刻な顔で頷いている。カイはどこか遠くを見るような目をしていた。
「『ご主人様』には、秘策でもあるのか?」
「秘策なんかないよ。でも・・情報戦は得意なんだ」
シンはわざとロキに「ご主人様」を使って尋ねたが、ロキは特に気にもしていなかった。普段から社長業で敬われることに慣れ過ぎているのだろうと、レナはその光景に納得する。
「目指すのは、リブニケでもポテンシアでもない。ルリアーナにいるルイス王子だ。リブニケ兵を操ってポテンシア内で戦争を起こしているのは、誰でもなくルイス王子だからね」
「ああ、確かにそうだな。でも、ルイス王子の軍は今やポテンシア王国一の数と質を誇るらしいと聞いた」
「そうだね。調べたところによると、新しく側室に迎えた公爵家の後ろ盾で、優秀な軍が手に入っているらしいから」
ロキとシンの会話を聞きながら、レナは『ルイスの側室』という単語に、今更自分が出て行ったところで何も事態は変わらないかもしれないという不安が過る。
(ルイス様も既に新しい人生を歩んでいる。今更私が生きていたと出て行ったところで、もう何もできないのかもしれない・・)
レナは不安に押しつぶされそうになった。こんな時ほどカイと話をしたかったのにと残念に思う。
当のカイは、やはり目だけしか動いておらず、シンとロキに絡まれながら目だけで会話をしようとしていた。
0
あなたにおすすめの小説
田舎暮らしの貧乏令嬢、幽閉王子のお世話係になりました〜七年後の殿下が甘すぎるのですが!〜
侑子
恋愛
「リーシャ。僕がどれだけ君に会いたかったかわかる? 一人前と認められるまで魔塔から出られないのは知っていたけど、まさか七年もかかるなんて思っていなくて、リーシャに会いたくて死ぬかと思ったよ」
十五歳の時、父が作った借金のために、いつ魔力暴走を起こすかわからない危険な第二王子のお世話係をしていたリーシャ。
弟と同じ四つ年下の彼は、とても賢くて優しく、可愛らしい王子様だった。
お世話をする内に仲良くなれたと思っていたのに、彼はある日突然、世界最高の魔法使いたちが集うという魔塔へと旅立ってしまう。
七年後、二十二歳になったリーシャの前に現れたのは、成長し、十八歳になって成人した彼だった!
以前とは全く違う姿に戸惑うリーシャ。
その上、七年も音沙汰がなかったのに、彼は昔のことを忘れていないどころか、とんでもなく甘々な態度で接してくる。
一方、自分の息子ではない第二王子を疎んで幽閉状態に追い込んでいた王妃は、戻ってきた彼のことが気に入らないようで……。
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
5分前契約した没落令嬢は、辺境伯の花嫁暮らしを楽しむうちに大国の皇帝の妻になる
西野歌夏
恋愛
ロザーラ・アリーシャ・エヴルーは、美しい顔と妖艶な体を誇る没落令嬢であった。お家の窮状は深刻だ。そこに半年前に陛下から連絡があってー
私の本当の人生は大陸を横断して、辺境の伯爵家に嫁ぐところから始まる。ただ、その前に最初の契約について語らなければならない。没落令嬢のロザーラには、秘密があった。陛下との契約の背景には、秘密の契約が存在した。やがて、ロザーラは花嫁となりながらも、大国ジークベインリードハルトの皇帝選抜に巻き込まれ、陰謀と暗号にまみれた旅路を駆け抜けることになる。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。
そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。
カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。
やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。
魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。
これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。
エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。
第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。
旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。
ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる