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第10章 新しい力
夜は更けて
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「何だったの? 呼び出し」
カイがレナを寝かしつけてから部屋に戻ると、シンとロキは何か話をしていたようだった。
ロキは部屋を訪れたレナの顔を見ていたため、何を思いつめていたのかが気になっている。
「ルイス王子に国を託したことで、自分を責めていた。眠れないようだったから話を聞いて側にいただけだ」
カイが報告したのを、ロキは面白くなさそうに「そう」と言って部屋に備え付けられていたブランデーをグラスに注ぐ。
「はい。付き合いなよ、今日くらい」
「ああ、別に構わないが」
ロキに差し出されたグラスを受け取ると、カイもシンの隣に座り、3人は小さなテーブルを囲む形になる。
「正直さ、今回どうするべきなのかって、まだ迷ってるんだ」
「ルイス王子との接触か?」
ロキとカイはレナの身を一番に案じている。危険な目に遭わせたくない部分においては意見が一致した。
「普通に考えて、『会いたかった』なんて再会になるはずがないだろ? 身も危険だし、それに……もうこのまま平民として生きて欲しいよ、俺はさ」
ロキの話に、カイは悲痛な表情を隠さなかった。
平民として生きて欲しい。カイはその望みから目を背けてきたのだ。
「団長、お酒の席でくらい、いいんじゃないですか?」
シンに声を掛けられて「こういうことでは敵わないな」とカイは口元を緩めた。
「もう、レナを過去に戻すのは嫌だ。今の彼女を見ていると――。
王女だった頃のレナは孤独すぎた。平民として何にも縛られずに周囲から愛されて天真爛漫に生きる彼女が、幸せそうで……」
「平民のままならこのまま結婚できちゃいそうだもんねえ。それが、王女だったとなったら、そう簡単にはいかないだろうな」
ロキは短い息を吐いた。カイの隣で頬を染めるレナは、間違いなく今が幸せだろうと分かる。
「レナ様がルイス王子を目指そうとする理由は何なんですか?」
シンは純粋な興味で尋ねる。カイはレナの様子を思い出しながら、言いづらそうに口を開いた。
「恐らく、ルイス王子を救いたいんだろう。間違いなく、レナを失って正気でなくなっているのは間違いない。レナは、自分なら……救えるのだろうと、漠然と分かっているような気がする」
カイの口元が固くなり、目に憂いが浮かんだ。シンは黙って頷いている。
「ああ、あの人、そういうとこ、あるよね」
ロキもポツリとそう言うと顔を曇らせた。これまでロキが見て来たレナ・ルリアーナは、他人の犠牲を許さず、自分を犠牲にするところがあった。
「やだなあ……。そんなの。もっと利己的に生きて、自分のためだけに笑っててくれたらいいのに」
ロキが独り言のように苦痛に顔を歪ませながら呟く。
「間違いないな。でも、それはもうレナではない」
ブランデーをひと口含んだカイはグラスを額に付けながら祈るように言った。
カイがレナを寝かしつけてから部屋に戻ると、シンとロキは何か話をしていたようだった。
ロキは部屋を訪れたレナの顔を見ていたため、何を思いつめていたのかが気になっている。
「ルイス王子に国を託したことで、自分を責めていた。眠れないようだったから話を聞いて側にいただけだ」
カイが報告したのを、ロキは面白くなさそうに「そう」と言って部屋に備え付けられていたブランデーをグラスに注ぐ。
「はい。付き合いなよ、今日くらい」
「ああ、別に構わないが」
ロキに差し出されたグラスを受け取ると、カイもシンの隣に座り、3人は小さなテーブルを囲む形になる。
「正直さ、今回どうするべきなのかって、まだ迷ってるんだ」
「ルイス王子との接触か?」
ロキとカイはレナの身を一番に案じている。危険な目に遭わせたくない部分においては意見が一致した。
「普通に考えて、『会いたかった』なんて再会になるはずがないだろ? 身も危険だし、それに……もうこのまま平民として生きて欲しいよ、俺はさ」
ロキの話に、カイは悲痛な表情を隠さなかった。
平民として生きて欲しい。カイはその望みから目を背けてきたのだ。
「団長、お酒の席でくらい、いいんじゃないですか?」
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「もう、レナを過去に戻すのは嫌だ。今の彼女を見ていると――。
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「平民のままならこのまま結婚できちゃいそうだもんねえ。それが、王女だったとなったら、そう簡単にはいかないだろうな」
ロキは短い息を吐いた。カイの隣で頬を染めるレナは、間違いなく今が幸せだろうと分かる。
「レナ様がルイス王子を目指そうとする理由は何なんですか?」
シンは純粋な興味で尋ねる。カイはレナの様子を思い出しながら、言いづらそうに口を開いた。
「恐らく、ルイス王子を救いたいんだろう。間違いなく、レナを失って正気でなくなっているのは間違いない。レナは、自分なら……救えるのだろうと、漠然と分かっているような気がする」
カイの口元が固くなり、目に憂いが浮かんだ。シンは黙って頷いている。
「ああ、あの人、そういうとこ、あるよね」
ロキもポツリとそう言うと顔を曇らせた。これまでロキが見て来たレナ・ルリアーナは、他人の犠牲を許さず、自分を犠牲にするところがあった。
「やだなあ……。そんなの。もっと利己的に生きて、自分のためだけに笑っててくれたらいいのに」
ロキが独り言のように苦痛に顔を歪ませながら呟く。
「間違いないな。でも、それはもうレナではない」
ブランデーをひと口含んだカイはグラスを額に付けながら祈るように言った。
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