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第10章 新しい力

狙いは何だ

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ロキの提案で、レオナルドに会いに行くことになった。

レナを連れて行くかについては意見が割れたが、置いていくのは心配だ。
レナ自身が何かあれば呪術を使うと強い意志を示したので、4人で向かうことに決まる。

「あの間諜だったら、ここが見つかるのも時間の問題だと思うけど……、向こうからわざわざコンタクトを取って来たってことは暗殺の線は薄いんじゃないかって考えたんだ。その上で、屋内や戦う場所が狭いとレオナルドみたいなタイプの方が有利だから」

ロキの意見にシンも賛成した。

「団長が能力を使えるような、なるべく開けたところで対峙したいですけどね」

そんなやり取りの末、レオナルドが現れたという街に向かって馬を走らせている。

「団長の能力は、どの位戻ってますか?」
「感覚的には、以前の半分は戻っている」
「戦力は大幅減か……」

シンとロキはカイが万全でない状況を悔やむ。
レナはレオナルドが訪ねてきた時のことを思い出した。

「レオナルドは、術の発動を抑える宝石を持っていたわ。私を暗殺しに来た時」
「最悪だな。俺の能力は使えないかもしれない」

レナが矢に撃たれた時、呪術の発動を抑える宝石を持っていた兵士がいたせいでカイの術は発動しなかったのだ。

「あの間諜からナイフが飛んで来たらまずいね」
「ナイフくらいなら、急所を外せば死にはしない」
「刺される前提で会いに行くの嫌なんですけど……」

3人が馬上でそんな会話をしている間、レナは何かを考え込んでいた。

「やけに大人しいな。何か思うことがあれば、口を挟んでくれてもいいんだぞ」

カイが自分の目の前で密着してクロノスに乗っているレナに声を掛ける。

「え? 思うこと?」

まだ意識が考え事から戻って来ていないようで、レナは受け答えもうまくできていなかった。

「何か気になることでもあるのか?」

カイに尋ねられて、レナは後ろを振り向いてカイを見上げる。

「レオナルドは、なんでロキが動いてるって思ったのかしらって……。ロキの事なんて、ポテンシア国王が調べることはなさそうでしょ?」
「ああ、そういうことか。確かに、うちの騎士団にコンタクトを取って来るのであれば俺に何か用事があるのかと思うが、あえてロキに行ったのは謎だな」

横並びで進んでいたロキは、その会話を聞きながら暫く唸っていた。

「俺、王女殿下の訃報が出てから、調査員いっぱい潜伏させてたから……それでかな?」
「……なるほど、それはあり得るな」
「もしかすると、うちの会社が王女を保護しているかどうか、確かめようとしたとか?」
「……何のためだ」
「国王からしたら、ルイス王子の牙城を崩せるかもしれないだろ」

4人はそれぞれにレオナルドの狙いを考えてみたが、あの間諜の真の狙いなど到底分からないという結論に至った。

「こんなに会うのに気が進まない人間もそういないよ」

ロキは溜息をついて憂鬱そうな顔を隠していない。シンはいつもの穏やかな表情を崩していなかったが、概ねロキの意見に賛成のようだった。
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