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第12章 騎士はその地で
女王様の発見 1
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レナは自室でブライアンの取材を受けていた。
「ええとーー。私はずっとカイのファンだったんですけど……」
「それは、『騎士物語』がきっかけだったとか?」
「ええ、そうなんです」
嬉々として語るレナは、ブライアンの質問に包み隠さない真実を述べている。
「つまり、実質は私が2人の仲人ということになりますかね」
「あっ。そうですね。でも、あの『騎士団長様』よりカイの方が魅力的でした」
「……そうですか」
ブライアンは嬉しそうに話すレナに、この女王の趣味は少し変わっているのかもしれないと小首を傾げた。
周辺の王侯貴族から数々のアプローチを受けていたと聞くが、なぜあのカイ・ハウザーだったのか。
『騎士物語』の中の主人公の方が性格的には余程いい男だ。
「参考程度に教えていただきたいのですが。なぜ、カイ・ハウザーだったのですか?」
「あの人は、嘘がないわ。そして不器用だけど本当は情が深い方です」
「……恋は盲目といいますからね」
ブライアンは、カイ・ハウザーの情の深さなどその辺の水溜まり程度にしか思っていない。しかもその水溜まりは干上がりかけだ。
まだハン・ヨウケンの方が情に深いのではと思っている。
「あら、信じていらっしゃらないようだわ」
「あの男には、女王陛下にだけ見せる顔がおありなのでしょうかね?」
「カイが私にしか見せない顔をするようになったのは、割と最近かもしれません」
「と、いうことは……女王陛下は金の亡者を好きになられたわけですか」
ブライアンは一作目を出す際に、カイの持つ金への執着をすべてなかったことにした。
できるだけ騎士という職業を崇高なものにしておきたかったためだ。
「まあ、そうですけど」
レナは一旦認めた上で、これでは誤解が生じると焦った。
「別にそこが良い所だと言いたんじゃありません。カイは、そういう部分でもはっきりしていて嘘がないの。騎士団経営にはお金がかかると言って、安い仕事は請けないようにしていただけで」
「いや、忠誠心で主君を守る騎士団長様の方がカッコイイと思いますが」
ブライアンは自分の判断で改変した「騎士団長様」の性格が成功に結び付いたのだと信じている。
「確かに、物語の中ではその方が素敵だったかもしれませんね。でも……」
レナは自分のデスクに置かれたカイとの挙式中を描かれた絵に視線を落とす。
「ブライアン様は、私よりもお金があればできることを広くご存じのはずだわ。カイは自分の評判がどうだとか金の亡者と言われることを特に気にしていないの。だけど、社会の中ではじかれたように生きる若い人をスカウトするくらいには、ちゃんと世界を変えている」
レナが笑うと、ブライアンは言葉に詰まった。
カイがそんな意図で金に執着しているとは想像もしていなかった。
「カイは自分が幼くして自立しなければならなかったから、カイにしか分からない苦悩があったのだと思います。冷たい口調で人に気を遣えない人ではあるけれど、根は本当に真面目でしっかりしているわ」
「そうですか、なるほど……」
ブライアンは今一度考えてみた。女王が護衛につけた騎士をそこまで理解するなど、何があったのかと興味深い。
「答えられる範囲でお伺いしたいのですが、なぜそこまでカイ・ハウザーのことを深く知ったのでしょうか?」
ブライアンの尋ねることに、レナはゆっくり語り始めた。
*
「で? ペラペラと語ったわけだな?」
一日の終わりに、カイは着替えながら眉間に皺を寄せている。
ブライアンの来訪はカイが招いた事態だとはいえ、多忙なレナが協力するなど不本意極まりない。
レナは隠し事など絶対にしない。全てを話すに決まっているとカイは頭が痛かった。
「あなたが嫌がりそうなことは、あんまり答えなかったわよ」
「……それは意外だな。なにを隠したんだ?」
「キスのことはノーコメントにしたの」
「……あとは全部言ったのか……」
カイは頭が痛くなって来た。そんな部分的な隠ぺいなど嬉しくもなんともない。
それに、ブライアンがそんなことをレナに尋ねたのかと思うと寒気がする。
「ええとーー。私はずっとカイのファンだったんですけど……」
「それは、『騎士物語』がきっかけだったとか?」
「ええ、そうなんです」
嬉々として語るレナは、ブライアンの質問に包み隠さない真実を述べている。
「つまり、実質は私が2人の仲人ということになりますかね」
「あっ。そうですね。でも、あの『騎士団長様』よりカイの方が魅力的でした」
「……そうですか」
ブライアンは嬉しそうに話すレナに、この女王の趣味は少し変わっているのかもしれないと小首を傾げた。
周辺の王侯貴族から数々のアプローチを受けていたと聞くが、なぜあのカイ・ハウザーだったのか。
『騎士物語』の中の主人公の方が性格的には余程いい男だ。
「参考程度に教えていただきたいのですが。なぜ、カイ・ハウザーだったのですか?」
「あの人は、嘘がないわ。そして不器用だけど本当は情が深い方です」
「……恋は盲目といいますからね」
ブライアンは、カイ・ハウザーの情の深さなどその辺の水溜まり程度にしか思っていない。しかもその水溜まりは干上がりかけだ。
まだハン・ヨウケンの方が情に深いのではと思っている。
「あら、信じていらっしゃらないようだわ」
「あの男には、女王陛下にだけ見せる顔がおありなのでしょうかね?」
「カイが私にしか見せない顔をするようになったのは、割と最近かもしれません」
「と、いうことは……女王陛下は金の亡者を好きになられたわけですか」
ブライアンは一作目を出す際に、カイの持つ金への執着をすべてなかったことにした。
できるだけ騎士という職業を崇高なものにしておきたかったためだ。
「まあ、そうですけど」
レナは一旦認めた上で、これでは誤解が生じると焦った。
「別にそこが良い所だと言いたんじゃありません。カイは、そういう部分でもはっきりしていて嘘がないの。騎士団経営にはお金がかかると言って、安い仕事は請けないようにしていただけで」
「いや、忠誠心で主君を守る騎士団長様の方がカッコイイと思いますが」
ブライアンは自分の判断で改変した「騎士団長様」の性格が成功に結び付いたのだと信じている。
「確かに、物語の中ではその方が素敵だったかもしれませんね。でも……」
レナは自分のデスクに置かれたカイとの挙式中を描かれた絵に視線を落とす。
「ブライアン様は、私よりもお金があればできることを広くご存じのはずだわ。カイは自分の評判がどうだとか金の亡者と言われることを特に気にしていないの。だけど、社会の中ではじかれたように生きる若い人をスカウトするくらいには、ちゃんと世界を変えている」
レナが笑うと、ブライアンは言葉に詰まった。
カイがそんな意図で金に執着しているとは想像もしていなかった。
「カイは自分が幼くして自立しなければならなかったから、カイにしか分からない苦悩があったのだと思います。冷たい口調で人に気を遣えない人ではあるけれど、根は本当に真面目でしっかりしているわ」
「そうですか、なるほど……」
ブライアンは今一度考えてみた。女王が護衛につけた騎士をそこまで理解するなど、何があったのかと興味深い。
「答えられる範囲でお伺いしたいのですが、なぜそこまでカイ・ハウザーのことを深く知ったのでしょうか?」
ブライアンの尋ねることに、レナはゆっくり語り始めた。
*
「で? ペラペラと語ったわけだな?」
一日の終わりに、カイは着替えながら眉間に皺を寄せている。
ブライアンの来訪はカイが招いた事態だとはいえ、多忙なレナが協力するなど不本意極まりない。
レナは隠し事など絶対にしない。全てを話すに決まっているとカイは頭が痛かった。
「あなたが嫌がりそうなことは、あんまり答えなかったわよ」
「……それは意外だな。なにを隠したんだ?」
「キスのことはノーコメントにしたの」
「……あとは全部言ったのか……」
カイは頭が痛くなって来た。そんな部分的な隠ぺいなど嬉しくもなんともない。
それに、ブライアンがそんなことをレナに尋ねたのかと思うと寒気がする。
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