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第12章 騎士はその地で
女王様の発見 2
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「勿論、夫婦生活のことも話していないわよ」
「当たり前だろう。まさかそんなことまで聞かれたのか?!」
「はっきりとは聞かれなかったけど、ニュアンス的に聞きたそうだったかしら」
カイはソファに座るレナの横に腰かけると、言いようのない気持ちが湧き上がってきた。
レナとのことを、全世界に発信などしたくない。
「なんだか……今からでも中止させた方が良い気がしてきたな」
「嫌よ。私、すごく楽しみにしているのに」
カイが今回の話を伝えたところ、レナはずっと喜んでいた。
取材にもなるべく協力したいと言い出し、ブライアンを驚かせたのだ。
「ルリアーナのことは、確かにブライアンの言う通り書物に残すべきかもしれないが……それは小説でなくたっていい。レナと俺の話は関係ないだろう」
「でも、あの『騎士団長様』の恋愛ストーリーだなんて絶対素敵だもの」
「だからあれは俺じゃない」
「あなたよ。少しだけ改変されたけれど」
レナは「むう」と口をへの字にして抗議した。
少しだけ改変というのは、女性嫌いのカイをレディファーストな紳士にした部分だろうか。
金払いのいい仕事しか請けないカイを、忠誠心に篤い騎士団長に仕立て上げた部分だろうか。
どちらにしても、主人公の構成要素としては少しだけとはとても言い難い。
「あの中に出てくる『騎士団長様』と俺では、恋愛ストーリーにするとしてもギャップがありすぎる」
「あなたも『騎士団長様』も、恋愛に積極的じゃないところは一緒よ。でも、あなたは私を選んでくれたでしょ? きっと『騎士団長様』も一度忠誠を誓った王女と再会して、恋に落ちるのよ」
レナが隣に座るカイに体重をかける。カイはごく自然にその頭を抱え込んだ。
「それは事実とは違うな。騎士団長は、任務を解かれた時に王女への気持ちを知るんだ。再会したのは、王女を探していたからであって……」
カイが事実を伝えると、レナの反応がない。そういえば、この辺のことは伝えたことが無かったかもしれない。
「どうした? ああ、驚かせたか?」
「……知らなかった」
レナはてっきり、再会して一緒に過ごすうちにカイの情が沸いて恋愛になっていったのだと思っていた。
自分の元に来てくれたときに、カイに気持ちがあったなど全く想像もしていなかった。
「人のことを言えない程度に、王女様は鈍かったからな」
「そうだったのね」
レナは初めて知る事実に、再会した当時を思い出してみる。そういえば、配偶者として入国させるなどとカイは入国審査で申請していた。
「ど、どうしよう……」
レナは明らかにオロオロしている。ブライアンに間違ったことを言ってしまったのを困っているのだろうか。
「別に、小説にそう書かれるならそれでもいい。でも、考えてもみろ。なんで好きでもない元雇用主をわざわざ探しに行くんだ。訃報が出ていたんだぞ」
カイはそう言うと席を立とうとした。レナが寄りかかっていたのでレナの姿勢を元に戻そうとする。
レナは自分の肩を掴んだ手首を握ってカイをじっと見つめた。
「私を想って……探しに来てくれたの?」
「ああ。伝わっていなかったんだな」
「カイ……」
「うん?」
「もっと早く知りたかったわ」
レナが責めるように言うので、カイは途端に立場がなくなる。
てっきり伝わっていたつもりだった、と言い訳をしてもあまり意味がない。
「私たち、随分前から両想いだったのね」
「まあ、そういうことになるな。レナはずっとロキを好きなのだと思っていたが」
「ええ?!」
レナは口を開けてポカンとしている。なぜそんな誤解が生まれたのか訳が分からない。
「ねえ」
レナはカイに目で合図を送る。なんとなく抱擁を求められている気がして、カイは座ってレナを抱きしめた。
「私たち、お互いに誤解ばかりで遠回りをしてきたでしょ? 小説がきっかけっていうのはおかしな話かもしれないけど、カイのことがもっと分かるような気がする」
レナは、小説の話が来て本当に良かったのだと思った。
全てを失い必死に生きていたあの日々も、離れて過ごしていたカイと想いが通じ合っていたのだと知ると、全て今に繋がっていたのだと救われる。
レナが作品を擁護するのは仕方のないのだとカイは理解していた。
前作の小説が無ければレナに雇われることもなかったのだろう。
そう思えば、ブライアンのお陰でレナと出会ってここにいるのだと思えなくもなかった。
「当たり前だろう。まさかそんなことまで聞かれたのか?!」
「はっきりとは聞かれなかったけど、ニュアンス的に聞きたそうだったかしら」
カイはソファに座るレナの横に腰かけると、言いようのない気持ちが湧き上がってきた。
レナとのことを、全世界に発信などしたくない。
「なんだか……今からでも中止させた方が良い気がしてきたな」
「嫌よ。私、すごく楽しみにしているのに」
カイが今回の話を伝えたところ、レナはずっと喜んでいた。
取材にもなるべく協力したいと言い出し、ブライアンを驚かせたのだ。
「ルリアーナのことは、確かにブライアンの言う通り書物に残すべきかもしれないが……それは小説でなくたっていい。レナと俺の話は関係ないだろう」
「でも、あの『騎士団長様』の恋愛ストーリーだなんて絶対素敵だもの」
「だからあれは俺じゃない」
「あなたよ。少しだけ改変されたけれど」
レナは「むう」と口をへの字にして抗議した。
少しだけ改変というのは、女性嫌いのカイをレディファーストな紳士にした部分だろうか。
金払いのいい仕事しか請けないカイを、忠誠心に篤い騎士団長に仕立て上げた部分だろうか。
どちらにしても、主人公の構成要素としては少しだけとはとても言い難い。
「あの中に出てくる『騎士団長様』と俺では、恋愛ストーリーにするとしてもギャップがありすぎる」
「あなたも『騎士団長様』も、恋愛に積極的じゃないところは一緒よ。でも、あなたは私を選んでくれたでしょ? きっと『騎士団長様』も一度忠誠を誓った王女と再会して、恋に落ちるのよ」
レナが隣に座るカイに体重をかける。カイはごく自然にその頭を抱え込んだ。
「それは事実とは違うな。騎士団長は、任務を解かれた時に王女への気持ちを知るんだ。再会したのは、王女を探していたからであって……」
カイが事実を伝えると、レナの反応がない。そういえば、この辺のことは伝えたことが無かったかもしれない。
「どうした? ああ、驚かせたか?」
「……知らなかった」
レナはてっきり、再会して一緒に過ごすうちにカイの情が沸いて恋愛になっていったのだと思っていた。
自分の元に来てくれたときに、カイに気持ちがあったなど全く想像もしていなかった。
「人のことを言えない程度に、王女様は鈍かったからな」
「そうだったのね」
レナは初めて知る事実に、再会した当時を思い出してみる。そういえば、配偶者として入国させるなどとカイは入国審査で申請していた。
「ど、どうしよう……」
レナは明らかにオロオロしている。ブライアンに間違ったことを言ってしまったのを困っているのだろうか。
「別に、小説にそう書かれるならそれでもいい。でも、考えてもみろ。なんで好きでもない元雇用主をわざわざ探しに行くんだ。訃報が出ていたんだぞ」
カイはそう言うと席を立とうとした。レナが寄りかかっていたのでレナの姿勢を元に戻そうとする。
レナは自分の肩を掴んだ手首を握ってカイをじっと見つめた。
「私を想って……探しに来てくれたの?」
「ああ。伝わっていなかったんだな」
「カイ……」
「うん?」
「もっと早く知りたかったわ」
レナが責めるように言うので、カイは途端に立場がなくなる。
てっきり伝わっていたつもりだった、と言い訳をしてもあまり意味がない。
「私たち、随分前から両想いだったのね」
「まあ、そういうことになるな。レナはずっとロキを好きなのだと思っていたが」
「ええ?!」
レナは口を開けてポカンとしている。なぜそんな誤解が生まれたのか訳が分からない。
「ねえ」
レナはカイに目で合図を送る。なんとなく抱擁を求められている気がして、カイは座ってレナを抱きしめた。
「私たち、お互いに誤解ばかりで遠回りをしてきたでしょ? 小説がきっかけっていうのはおかしな話かもしれないけど、カイのことがもっと分かるような気がする」
レナは、小説の話が来て本当に良かったのだと思った。
全てを失い必死に生きていたあの日々も、離れて過ごしていたカイと想いが通じ合っていたのだと知ると、全て今に繋がっていたのだと救われる。
レナが作品を擁護するのは仕方のないのだとカイは理解していた。
前作の小説が無ければレナに雇われることもなかったのだろう。
そう思えば、ブライアンのお陰でレナと出会ってここにいるのだと思えなくもなかった。
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