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第12章 騎士はその地で
ポテンシア王室の一幕 2
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ルイスはそれまでより声を穏やかにして、リディアに意見を求めた。
「私は……。ずっと王妃になれと言われて教育されてまいりました。これまで側室としてルイス様のおそばにいたことが不満だったわけではありませんが、どうしても望んでしまうのです……この国の母になりたいと……」
リディアは話しながら涙を抑えられなかった。
ルイスの元に嫁いでから、兄であるジェラルド以外には本音を隠して過ごしていた。
「申し訳ございません。ファニアになんて失礼なことを言っているのでしょう……」
リディアが嗚咽を漏らすと、ファニアはその身体をそっと抱きしめる。
「そんなの、私にも分かりますよ。リディア様のような出自では、周りからの期待もおありでしょう。側室の立場で満足できるはずがございませんもの」
リディアはファニアに初めて抱きしめられると、優しい香りに気持ちが落ち着いた。ファニアはすっかり母親らしく、人を癒す方法を身に着けている。
「実は私もね、ファニアと同じ意見だ」
ルイスの言葉にリディアは耳を疑った。ルイスがリディアを正室にしようと思っていたなど、初耳だった。
「ジェラルドにも随分助けられたが、君たちの家系をちゃんと繋ぎ止めたい。そして、リディアのような人をポテンシアの正妃として世界にしらしめたいと思ったんだ」
「そうだったのですね。私も賛成です」
ルイスとファニアが嬉しそうに微笑んでいるが、リディアは声が出せない。
とめどなく流れる涙を抑えることが出来ず、声を上げないようにするのに精一杯だった。
「泣きすぎですよ、リディア様」
ファニアがリディアを胸に抱くと、リディアは「ありがとう、ファニア」とかろうじて声を上げる。
リディアは、国外から新しい妃が迎え入れられるのだと思っていた。
ルイスの元に嫁いでから、愛情が加わった分だけ正室の座を諦められなくなっていたのだ。
「この国のためにこの身を捧げ、働きたいのです……」
リディアが涙を流しながら言う。
「そんなことを本音で言う女性、初めて会ったよ。私は、国のために働いていたルリアーナ王女に惹かれたけど、彼女は自ら望んでいたわけではなかったからね」
ルイスが2人の前で初めてレナの話をした。これまで過去の婚約者の話を聞くのはなんとなくタブーだと思っていたリディアとファニアは、その話を聞きたがる。
「この間、ルリアーナのヘレナ女王はご結婚されていましたけど、何があったんですか?」
リディアは興味が抑えられず、涙まみれでルイスに尋ねた。
「うん、彼女は父上の策略で殺されそうだったのを、レオナルドに逃がされたんだ。ポテンシアの町で過ごしていたらしいが、元護衛と再会して結婚したよ」
「ルイス様は、それで納得されたのですか?」
ファニアもルイスに尋ねる。ルリアーナの王女をずっと引きずっているのだと思っていた。
「これまで私は……ヘレナという方に興味があった。それは、あんなに情熱をもって国のために働く人を知らなかったからだ」
ルイスは腕に抱いたマウロをファニアに預ける。マウロは母親が分かるらしく、ファニアの腕ですぐに落ち着いた。
「久しぶりに再会したが、元婚約者の彼女に対しては何の未練もなかったよ」
「そうなのですか?」
「どうしてですか?」
2人に同時に詰め寄られて、ルイスはたじろぐ。
「どうしてだろうかと自分でも不思議だったけどね。恐らく、私は君たち2人がいれば充分なのだろうな」
ルイスは飄々と妻の2人に告白をしたが、ファニアとリディアは「まあ」と怪訝な表情を浮かべている。
「なんでそんな反応なんだい……?」
喜んでもらうつもりだったのだが、不審な目を向けられていた。
「そうやって数々の方を口説いていらしたのでしょう?!」
「軽いです。そういう物言いは、なんだか嫌です」
リディアもファニアも、ルイスの過去をよく知っている。結婚してからは特にそういった話も耳に入りやすくなったのだろう。
「一体どうすればいいんだい?」
妻の扱いが難解でルイスは困惑した。女性とはこんなに分かりづらいものだったのだろうか。
「心がこもっておりません!」「やっぱり外で悪いことをしているのですか?」
「なんでそうなるのかな……」
ルイスは妻の2人を前に、今日も賑やかな会話を楽しんでいる。
これまで表面上の付き合いしかしてこなかったルイスにとって、リディアもファニアも容赦がない。
それはそれで、ルイスにとってはいい刺激になっていた。
「私は……。ずっと王妃になれと言われて教育されてまいりました。これまで側室としてルイス様のおそばにいたことが不満だったわけではありませんが、どうしても望んでしまうのです……この国の母になりたいと……」
リディアは話しながら涙を抑えられなかった。
ルイスの元に嫁いでから、兄であるジェラルド以外には本音を隠して過ごしていた。
「申し訳ございません。ファニアになんて失礼なことを言っているのでしょう……」
リディアが嗚咽を漏らすと、ファニアはその身体をそっと抱きしめる。
「そんなの、私にも分かりますよ。リディア様のような出自では、周りからの期待もおありでしょう。側室の立場で満足できるはずがございませんもの」
リディアはファニアに初めて抱きしめられると、優しい香りに気持ちが落ち着いた。ファニアはすっかり母親らしく、人を癒す方法を身に着けている。
「実は私もね、ファニアと同じ意見だ」
ルイスの言葉にリディアは耳を疑った。ルイスがリディアを正室にしようと思っていたなど、初耳だった。
「ジェラルドにも随分助けられたが、君たちの家系をちゃんと繋ぎ止めたい。そして、リディアのような人をポテンシアの正妃として世界にしらしめたいと思ったんだ」
「そうだったのですね。私も賛成です」
ルイスとファニアが嬉しそうに微笑んでいるが、リディアは声が出せない。
とめどなく流れる涙を抑えることが出来ず、声を上げないようにするのに精一杯だった。
「泣きすぎですよ、リディア様」
ファニアがリディアを胸に抱くと、リディアは「ありがとう、ファニア」とかろうじて声を上げる。
リディアは、国外から新しい妃が迎え入れられるのだと思っていた。
ルイスの元に嫁いでから、愛情が加わった分だけ正室の座を諦められなくなっていたのだ。
「この国のためにこの身を捧げ、働きたいのです……」
リディアが涙を流しながら言う。
「そんなことを本音で言う女性、初めて会ったよ。私は、国のために働いていたルリアーナ王女に惹かれたけど、彼女は自ら望んでいたわけではなかったからね」
ルイスが2人の前で初めてレナの話をした。これまで過去の婚約者の話を聞くのはなんとなくタブーだと思っていたリディアとファニアは、その話を聞きたがる。
「この間、ルリアーナのヘレナ女王はご結婚されていましたけど、何があったんですか?」
リディアは興味が抑えられず、涙まみれでルイスに尋ねた。
「うん、彼女は父上の策略で殺されそうだったのを、レオナルドに逃がされたんだ。ポテンシアの町で過ごしていたらしいが、元護衛と再会して結婚したよ」
「ルイス様は、それで納得されたのですか?」
ファニアもルイスに尋ねる。ルリアーナの王女をずっと引きずっているのだと思っていた。
「これまで私は……ヘレナという方に興味があった。それは、あんなに情熱をもって国のために働く人を知らなかったからだ」
ルイスは腕に抱いたマウロをファニアに預ける。マウロは母親が分かるらしく、ファニアの腕ですぐに落ち着いた。
「久しぶりに再会したが、元婚約者の彼女に対しては何の未練もなかったよ」
「そうなのですか?」
「どうしてですか?」
2人に同時に詰め寄られて、ルイスはたじろぐ。
「どうしてだろうかと自分でも不思議だったけどね。恐らく、私は君たち2人がいれば充分なのだろうな」
ルイスは飄々と妻の2人に告白をしたが、ファニアとリディアは「まあ」と怪訝な表情を浮かべている。
「なんでそんな反応なんだい……?」
喜んでもらうつもりだったのだが、不審な目を向けられていた。
「そうやって数々の方を口説いていらしたのでしょう?!」
「軽いです。そういう物言いは、なんだか嫌です」
リディアもファニアも、ルイスの過去をよく知っている。結婚してからは特にそういった話も耳に入りやすくなったのだろう。
「一体どうすればいいんだい?」
妻の扱いが難解でルイスは困惑した。女性とはこんなに分かりづらいものだったのだろうか。
「心がこもっておりません!」「やっぱり外で悪いことをしているのですか?」
「なんでそうなるのかな……」
ルイスは妻の2人を前に、今日も賑やかな会話を楽しんでいる。
これまで表面上の付き合いしかしてこなかったルイスにとって、リディアもファニアも容赦がない。
それはそれで、ルイスにとってはいい刺激になっていた。
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