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2章
狩りのある日常 3
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「どうぞ」
声をかけると、腰が引けた感じで部屋に入ってくるおばさん。
おばさんと言っても、まだ35歳くらいだろうか。若々しいというか少女っぽいというか。
ペトラと並んでも姉妹で疑われなさそうな雰囲気がする。
「ユリシーズが狩りに行っているからどうしているのかしらと思って……。あら、本を読んでいたの?」
「はい。なんだか気になる本があって」
「あらら、そんな本を」
おばさんは私の読んでいる本を見て顔をしかめた。
この人も人狼なはずだから、この本の研究対象なわけで……。
「ユリシーズは、昼と夜があって大変でしょう?」
「まあ、人間とは違いますが……」
おばさんは私のそばで立っていたから、部屋のソファに案内して、私はその前に座った。
「誰か、お茶をお願い」
ユリシーズの真似をして普通の声で言ってみると「かしこまりました!」と少し離れたところから声がする。
やっぱり普通に遠くからでも聞こえてる……。
「ユリシーズのおばさまも、旦那様は人狼なのですか?」
「いいえ、この家で厩務員をしている人間です」
馬を飼育しているのは人間か。人狼の人もいるのかもしれないけれど。
「昨日の夜は、ボール遊びに参加されていなかったですよね?」
「ええ、夜は自宅に帰って家族と過ごしているもの。話を聞いて羨ましかったのよ」
「またそのうちやりましょうね……って、結局夜はこちらにいないのでしたね」
扉がノックされて「お茶をお持ちしました」と声がする。早い。
「どうぞ、入って」
声をかけると、朝起きたときに駆けつけてくれた人狼の女性がティートローリーを押して入ってくる。
「奥様……と、ミレイさん。こんなところで奥様に甘えて何しているんですか!」
「いいじゃない、奥様は甥っ子ユリシーズの嫁だもの」
ミレイさん。なんかイメージ通りの名前ね。
おばさん、はちょっと違う気がしていたからミレイさんって呼ばせていただこう。
「あなたはなんて言うの?」
「はい?」
「名前を教えて」
「あっ……シンシアです、奥様」
「じゃあ、シンシアもミレイさんと一緒にお茶をしましょう」
「いえ、わたくしは……」
「大丈夫よ、ユリシーズには私から言っておくから」
シンシアは同席する立場に無いのだからと恐縮してなかなか席に着かなかった。
結局ミレイさんが「あなた、奥様命令なんだから観念しなさい」と言ったので渋々席に着く。
なんだか、女性同士でこうやって座っていると、お友達ってこんな感じなのかしらと思えてきて嬉しい。
「実は私、お友達って知らなくて」
「えっ?」
「両親は私を外に出さないようにして同年代の女性との接触も禁止されていたから」
「どうしてですか?」
「都合が悪かったのだと思う。両親は普通じゃなかったから、それに気付かれるとまずかったんじゃないかしら」
「奥様の古い怪我は……」
「両親から受けたものよ。実際に手を上げてくるのは母親だったけれど」
「そんな……」
「でも、飼っていた犬や、餌をほしがって私を訪ねてくる猫がいたし、厩舎にいけば馬がいたから寂しいとは思わなかったの」
シンシアが絶句してしまった。ミレイさんはお茶を飲みながら焼き菓子をつまんでいる。
「動物は嘘がなくて好きなの。昔から」
私がそう言って笑うと、シンシアは「奥様」と言って震えていた。
「子どもの頃って、親が養育に適していないと悲劇よねえ。でも、よかったじゃないの、ユリシーズと結婚して」
ミレイさんはあっけらかんとしていて、重く受け止めていない感じがする。
それがかえってありがたかった。
「最初の婚約者は中年で脂ぎった感じのいやらしい男で」
「ええっ。奥様のような美しい方なら、もっと素敵な男性と結婚できるのでは……」
「両親の借金を肩代わりしてくださる方で、実家に援助をしてくれると約束をしてくれたから……ほら、貴族ってなかなか恋愛結婚はできないでしょう?」
「その縁談は……」
「相手の方が亡くなったわ」
「それで、ユリシーズと結婚したのね。お互いようやく縁が巡ったという訳かしら」
ミレイさんに言われてしまうと、どうしてもペトラの顔が浮かんでしまう。
「でも、ペトラはユリシーズと結婚したかったのでしょう?」
「そうね、でも親として反対したわ。ユリシーズがペトラに惹かれていなかったから」
ミレイさんはそう言ってティーカップについた口紅を指で拭った。
「人狼同士は、相手を匂いで落とせなかったら絶望的なのよ」
「それで反対をしたのですか?」
「生涯の伴侶に選ばれていないのに結婚するなんて、悲劇でしょ」
ミレイさんはそういってふふっと笑う。「わたくしは、ちゃんと生涯の伴侶を選んだのだから」と得意げに言った。
シンシアはニコニコしながらも、お茶にもお菓子にも手が伸びていない。
「そうそう、この子、ジュディの娘よ」
突然ミレイさんが言ったので、一瞬なんのことか理解できなかった。
ミレイさんはシンシアのほうをくいっと顎で示している。
「……ってことは、シンシアはメイド長と料理長の娘さん?」
「そうなの。だからこの子には隠れファンが多いらしいわよ。メイド長と料理長が怖くてシンシアには近づけないから」
「両親は、ちょっぴり過保護なのです」
なるほど。親がメイド長と料理長だからなのか、しっかりしているし頭も育ちもよさそう。
シンシアのくりっとした茶色い目を見て、人狼の目の中でも比較的人間に近い印象を受ける。
ミレイさんの目はユリシーズと同じ銀色をしていてなんというか……獣っぽい。
「ところで、ユリシーズは何を狩りに行ったの? 随分と頻繁に出かけているようだけれど」
「どうやら猪を生け捕りにするらしくて」
「そう。それは重労働ね。猪はちょっとの変化にも敏感だから、罠にかかりにくいのよ」
「いざとなったら体当たりだとか」
「ユリシーズなら死なないでしょうけれど、怪我くらいはしそうね」
「やっぱり、危険なんですね? 猪以外の猟に切り替えることはできないのかしら」
ミレイさんから聞いた猟の話に、そこまで危険なら止めて欲しいとユリシーズに言おうと思った。
「さあねえ。ユリシーズが猪と決めたら、今回は猪なんでしょうね」
そういえば、あの人は頑固だ。
初めてこちらに来た時には分からなかったけれど。膝枕に対しても並々ならぬ執着をしていたし……やたら嗅ぐし……。
「猪が必要なのは、満月の前の日ですか?」
「はい、ご主人様は14日の夜に生き血を口にしないと満月の日に大変なことになります」
「大変なこと……」
それってどういう、と聞こうと思ったところでユリシーズが帰ってきたらしい。
外に馬車の音が近づいてきたらしく、シンシアとミレイさんはユリシーズの部屋に座ってお茶をしている状況に大いに焦り、慌てて立ち上がって目の前を片付け始める。
「大丈夫よ、私からユリシーズに言っておくし」
「昼間のご主人様が許してくださっても、夜のご主人様はこういうのが特にお嫌いです」
シンシアは、耳が頭から生えていたら垂れ耳になっているだろうなという表情で一生懸命食器や焼き菓子の残骸を片付けていた。
「そういうことを考えずに誘ってしまってごめんなさい」
私が二人に謝ると、ミレイさんは「いいのよ、私は別に怒られても。でも、シンシアはジュディに職場と家で怒られたら可哀想でしょ」と片づけを手伝いながらシンシアの持ってきたティートローリーを廊下に出すために扉を開けて誘導していた。
そっかあ……。職場の上司がお母さんだとそういうの大変よね。
私は……母親っていえば怖い人っていうイメージしかないけれど、私の知っている怖さとジュディの怖さはまた違うんだろう。
ジュディは不衛生な屋根裏部屋にシンシアを閉じ込められたりしないと思う。
「奥様、こうやって気にかけていただけて嬉しかったです」
シンシアが部屋から出ていくとき、ティートローリーを押しながらそう言ってにこりと微笑む。
「楽しかったです。また話し相手が必要でしたら」
「あら、わたくしだっておばさまとして参加希望よ」
「ありがとうございます」
二人が部屋をそそくさと出て行ったのを見送る。確かに主従関係がある中だから、私が命じたら二人は同席を断ることはできない。
関係が対等ではないというのに、私が楽しめるように接してくれたのだから、感謝をしなくちゃ。
ユリシーズに二人と一緒にお茶をしたと報告したらノクスが怒るきっかけになってしまうのかしら。
そんなことを考えながらユリシーズを出迎えに玄関に向かった。
帰ってきたユリシーズは手の甲にかすり傷を作っていた。どうしたのかと心配すると、「途中の道で軽くぶつけただけです」と何でもないように言う。
狩りに行く道すら危険なのかもしれない。猪と対峙するのなら本当に危ない。
「やっぱり、猪を狩るのは止めた方が……」
私が心配しているというのに、「今日、罠を仕掛けてきたから大丈夫ですよ」とユリシーズは何も気にしていない。
前々から思っていたけれど、自分に対する危機感がどこか他人事なんじゃないかしら。
「ねえ、あなたって自分を過信しすぎているんじゃない?」
「過信、ですか?」
「現に怪我をしているのに、どうしてそんなに楽観的なの?」
「このくらい、怪我でもなんでもないというか……」
「どうして?! 心配している方がおかしいの?!」
思わず大きな声が出てしまい、ユリシーズがきょとんとしている顔が目に入る。
「あの……」
ユリシーズの手が私の肩に触れそうになり、思わずそれを避ける。
その場から逃げるように走り去り、私は自分の部屋に入って扉に鍵をかけた。
声をかけると、腰が引けた感じで部屋に入ってくるおばさん。
おばさんと言っても、まだ35歳くらいだろうか。若々しいというか少女っぽいというか。
ペトラと並んでも姉妹で疑われなさそうな雰囲気がする。
「ユリシーズが狩りに行っているからどうしているのかしらと思って……。あら、本を読んでいたの?」
「はい。なんだか気になる本があって」
「あらら、そんな本を」
おばさんは私の読んでいる本を見て顔をしかめた。
この人も人狼なはずだから、この本の研究対象なわけで……。
「ユリシーズは、昼と夜があって大変でしょう?」
「まあ、人間とは違いますが……」
おばさんは私のそばで立っていたから、部屋のソファに案内して、私はその前に座った。
「誰か、お茶をお願い」
ユリシーズの真似をして普通の声で言ってみると「かしこまりました!」と少し離れたところから声がする。
やっぱり普通に遠くからでも聞こえてる……。
「ユリシーズのおばさまも、旦那様は人狼なのですか?」
「いいえ、この家で厩務員をしている人間です」
馬を飼育しているのは人間か。人狼の人もいるのかもしれないけれど。
「昨日の夜は、ボール遊びに参加されていなかったですよね?」
「ええ、夜は自宅に帰って家族と過ごしているもの。話を聞いて羨ましかったのよ」
「またそのうちやりましょうね……って、結局夜はこちらにいないのでしたね」
扉がノックされて「お茶をお持ちしました」と声がする。早い。
「どうぞ、入って」
声をかけると、朝起きたときに駆けつけてくれた人狼の女性がティートローリーを押して入ってくる。
「奥様……と、ミレイさん。こんなところで奥様に甘えて何しているんですか!」
「いいじゃない、奥様は甥っ子ユリシーズの嫁だもの」
ミレイさん。なんかイメージ通りの名前ね。
おばさん、はちょっと違う気がしていたからミレイさんって呼ばせていただこう。
「あなたはなんて言うの?」
「はい?」
「名前を教えて」
「あっ……シンシアです、奥様」
「じゃあ、シンシアもミレイさんと一緒にお茶をしましょう」
「いえ、わたくしは……」
「大丈夫よ、ユリシーズには私から言っておくから」
シンシアは同席する立場に無いのだからと恐縮してなかなか席に着かなかった。
結局ミレイさんが「あなた、奥様命令なんだから観念しなさい」と言ったので渋々席に着く。
なんだか、女性同士でこうやって座っていると、お友達ってこんな感じなのかしらと思えてきて嬉しい。
「実は私、お友達って知らなくて」
「えっ?」
「両親は私を外に出さないようにして同年代の女性との接触も禁止されていたから」
「どうしてですか?」
「都合が悪かったのだと思う。両親は普通じゃなかったから、それに気付かれるとまずかったんじゃないかしら」
「奥様の古い怪我は……」
「両親から受けたものよ。実際に手を上げてくるのは母親だったけれど」
「そんな……」
「でも、飼っていた犬や、餌をほしがって私を訪ねてくる猫がいたし、厩舎にいけば馬がいたから寂しいとは思わなかったの」
シンシアが絶句してしまった。ミレイさんはお茶を飲みながら焼き菓子をつまんでいる。
「動物は嘘がなくて好きなの。昔から」
私がそう言って笑うと、シンシアは「奥様」と言って震えていた。
「子どもの頃って、親が養育に適していないと悲劇よねえ。でも、よかったじゃないの、ユリシーズと結婚して」
ミレイさんはあっけらかんとしていて、重く受け止めていない感じがする。
それがかえってありがたかった。
「最初の婚約者は中年で脂ぎった感じのいやらしい男で」
「ええっ。奥様のような美しい方なら、もっと素敵な男性と結婚できるのでは……」
「両親の借金を肩代わりしてくださる方で、実家に援助をしてくれると約束をしてくれたから……ほら、貴族ってなかなか恋愛結婚はできないでしょう?」
「その縁談は……」
「相手の方が亡くなったわ」
「それで、ユリシーズと結婚したのね。お互いようやく縁が巡ったという訳かしら」
ミレイさんに言われてしまうと、どうしてもペトラの顔が浮かんでしまう。
「でも、ペトラはユリシーズと結婚したかったのでしょう?」
「そうね、でも親として反対したわ。ユリシーズがペトラに惹かれていなかったから」
ミレイさんはそう言ってティーカップについた口紅を指で拭った。
「人狼同士は、相手を匂いで落とせなかったら絶望的なのよ」
「それで反対をしたのですか?」
「生涯の伴侶に選ばれていないのに結婚するなんて、悲劇でしょ」
ミレイさんはそういってふふっと笑う。「わたくしは、ちゃんと生涯の伴侶を選んだのだから」と得意げに言った。
シンシアはニコニコしながらも、お茶にもお菓子にも手が伸びていない。
「そうそう、この子、ジュディの娘よ」
突然ミレイさんが言ったので、一瞬なんのことか理解できなかった。
ミレイさんはシンシアのほうをくいっと顎で示している。
「……ってことは、シンシアはメイド長と料理長の娘さん?」
「そうなの。だからこの子には隠れファンが多いらしいわよ。メイド長と料理長が怖くてシンシアには近づけないから」
「両親は、ちょっぴり過保護なのです」
なるほど。親がメイド長と料理長だからなのか、しっかりしているし頭も育ちもよさそう。
シンシアのくりっとした茶色い目を見て、人狼の目の中でも比較的人間に近い印象を受ける。
ミレイさんの目はユリシーズと同じ銀色をしていてなんというか……獣っぽい。
「ところで、ユリシーズは何を狩りに行ったの? 随分と頻繁に出かけているようだけれど」
「どうやら猪を生け捕りにするらしくて」
「そう。それは重労働ね。猪はちょっとの変化にも敏感だから、罠にかかりにくいのよ」
「いざとなったら体当たりだとか」
「ユリシーズなら死なないでしょうけれど、怪我くらいはしそうね」
「やっぱり、危険なんですね? 猪以外の猟に切り替えることはできないのかしら」
ミレイさんから聞いた猟の話に、そこまで危険なら止めて欲しいとユリシーズに言おうと思った。
「さあねえ。ユリシーズが猪と決めたら、今回は猪なんでしょうね」
そういえば、あの人は頑固だ。
初めてこちらに来た時には分からなかったけれど。膝枕に対しても並々ならぬ執着をしていたし……やたら嗅ぐし……。
「猪が必要なのは、満月の前の日ですか?」
「はい、ご主人様は14日の夜に生き血を口にしないと満月の日に大変なことになります」
「大変なこと……」
それってどういう、と聞こうと思ったところでユリシーズが帰ってきたらしい。
外に馬車の音が近づいてきたらしく、シンシアとミレイさんはユリシーズの部屋に座ってお茶をしている状況に大いに焦り、慌てて立ち上がって目の前を片付け始める。
「大丈夫よ、私からユリシーズに言っておくし」
「昼間のご主人様が許してくださっても、夜のご主人様はこういうのが特にお嫌いです」
シンシアは、耳が頭から生えていたら垂れ耳になっているだろうなという表情で一生懸命食器や焼き菓子の残骸を片付けていた。
「そういうことを考えずに誘ってしまってごめんなさい」
私が二人に謝ると、ミレイさんは「いいのよ、私は別に怒られても。でも、シンシアはジュディに職場と家で怒られたら可哀想でしょ」と片づけを手伝いながらシンシアの持ってきたティートローリーを廊下に出すために扉を開けて誘導していた。
そっかあ……。職場の上司がお母さんだとそういうの大変よね。
私は……母親っていえば怖い人っていうイメージしかないけれど、私の知っている怖さとジュディの怖さはまた違うんだろう。
ジュディは不衛生な屋根裏部屋にシンシアを閉じ込められたりしないと思う。
「奥様、こうやって気にかけていただけて嬉しかったです」
シンシアが部屋から出ていくとき、ティートローリーを押しながらそう言ってにこりと微笑む。
「楽しかったです。また話し相手が必要でしたら」
「あら、わたくしだっておばさまとして参加希望よ」
「ありがとうございます」
二人が部屋をそそくさと出て行ったのを見送る。確かに主従関係がある中だから、私が命じたら二人は同席を断ることはできない。
関係が対等ではないというのに、私が楽しめるように接してくれたのだから、感謝をしなくちゃ。
ユリシーズに二人と一緒にお茶をしたと報告したらノクスが怒るきっかけになってしまうのかしら。
そんなことを考えながらユリシーズを出迎えに玄関に向かった。
帰ってきたユリシーズは手の甲にかすり傷を作っていた。どうしたのかと心配すると、「途中の道で軽くぶつけただけです」と何でもないように言う。
狩りに行く道すら危険なのかもしれない。猪と対峙するのなら本当に危ない。
「やっぱり、猪を狩るのは止めた方が……」
私が心配しているというのに、「今日、罠を仕掛けてきたから大丈夫ですよ」とユリシーズは何も気にしていない。
前々から思っていたけれど、自分に対する危機感がどこか他人事なんじゃないかしら。
「ねえ、あなたって自分を過信しすぎているんじゃない?」
「過信、ですか?」
「現に怪我をしているのに、どうしてそんなに楽観的なの?」
「このくらい、怪我でもなんでもないというか……」
「どうして?! 心配している方がおかしいの?!」
思わず大きな声が出てしまい、ユリシーズがきょとんとしている顔が目に入る。
「あの……」
ユリシーズの手が私の肩に触れそうになり、思わずそれを避ける。
その場から逃げるように走り去り、私は自分の部屋に入って扉に鍵をかけた。
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