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3章
クリスティーナへ
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夜遅く、ベッドで休んでいると部屋をノックする音がした。
「……誰?」
眠りが浅かったのか、すぐに目覚めて声をかける。
「ウィリアムです。アイリーン妃からの手紙が届きました」
こんな夜遅くに? と怪しみながらベッドから出て、そっとドアを開けた。
光る二つの目が視界に飛び込んできて、手紙を持ったまま尻尾を振って興奮している様子が分かる。
「早速返事が来ました、奥様」
手紙を届けるのも人狼にとってはボールを持ってくる感じなのかしら。
私はここ最近の諸々ですっかり疑り深くなってしまったらしく、まだクリスティーナからの連絡が来たのかは信じられずに封を開けた。
暗くて何色なのかが分からない封蝋印が砕けて床に落ち、厚手の便箋が2枚入っている。
『わたくしの片割れ、クリスティーナ・オルブライト伯爵夫人』
宛名が焼き付けられるように目に飛び込んできた。
そして、この瞬間まで手紙が偽物かもしれないと疑っていた私は、その後の文章を読もうと必死に目を凝らす。
扉の近くではロウソクの灯がなかなか届かなくて、廊下側にいたウィリアムをそのままに宿のデスクに向かい、燭台の上のロウソクに火を灯した。
『貴女からの手紙を受け取ったとき、わたくしがどれだけ飛び上がったのか想像がつくかしら?
積もる話がありそうだから、是非この手紙を持ってなるべく午前中にわたくしを訪ねていらして。
早く会いたくて、遅くに連絡をしてしまってごめんなさい。でも、きっと貴女にとってもこの方がいいのではないかと思ったの。
具体的なことは、直接お話しましょう。
アイリーン』
手紙を持ったまま、「うそ……」と小さく声を漏らして現実を噛みしめた。
こんな風に、すぐにクリスティーナに会えるなんて。
「奥様……どうされたのですか?」
廊下からこちらを見ているウィリアムが、両目を光らせながら首を傾げている。
「やったわ。明日、妃殿下に会いに行けることになったの……!」
「おめでとうございます!」
私は公爵家出身の伯爵夫人だから、侍女と護衛を連れて行くのは自然よね。
ということは、エイミーとウィリアムを連れてお城に入るのが良いのかしら。
「ウィルは軍服なんか持っていないわよね、料理人だから」
「……そうですね」
「まあ、しょうがないわ。料理人兼護衛ということで連れて行くから、適当に話を合わせてね」
「ええっ??」
本当は泊まり込みでクリスティーナ妃の側仕えに採用してもらって、彼女に色々と話をしたかったのだけれど。
問題は、料理人兼護衛というこの男の子が、夜になると耳と尻尾が生えてしまうこと。
ウィリアムが被っているハンチング帽子は耳が中に収められていても不自然じゃないけれど、お城で制服を用意されてしまったら耳が隠せなくなる可能性もある。
「人狼の秘密をどう隠すかはあるけれど、迷っている時間がもったいないわ。行ってみて対策を考えるから、エイミーと一緒に来てくれるかしら?」
「かしこまりました。エイミーさんと奥様の安全に尽力いたします」
ああもう。そこでいちいち尻尾が振れるからかわいいのだわ。きっと新月と満月には茶色い狼になるのね。小麦色の……。
「あと、いま尻尾が出ているわよ」
「はっ!!」
ただ、ちょっと抜けている子なのかもしれない。
「……誰?」
眠りが浅かったのか、すぐに目覚めて声をかける。
「ウィリアムです。アイリーン妃からの手紙が届きました」
こんな夜遅くに? と怪しみながらベッドから出て、そっとドアを開けた。
光る二つの目が視界に飛び込んできて、手紙を持ったまま尻尾を振って興奮している様子が分かる。
「早速返事が来ました、奥様」
手紙を届けるのも人狼にとってはボールを持ってくる感じなのかしら。
私はここ最近の諸々ですっかり疑り深くなってしまったらしく、まだクリスティーナからの連絡が来たのかは信じられずに封を開けた。
暗くて何色なのかが分からない封蝋印が砕けて床に落ち、厚手の便箋が2枚入っている。
『わたくしの片割れ、クリスティーナ・オルブライト伯爵夫人』
宛名が焼き付けられるように目に飛び込んできた。
そして、この瞬間まで手紙が偽物かもしれないと疑っていた私は、その後の文章を読もうと必死に目を凝らす。
扉の近くではロウソクの灯がなかなか届かなくて、廊下側にいたウィリアムをそのままに宿のデスクに向かい、燭台の上のロウソクに火を灯した。
『貴女からの手紙を受け取ったとき、わたくしがどれだけ飛び上がったのか想像がつくかしら?
積もる話がありそうだから、是非この手紙を持ってなるべく午前中にわたくしを訪ねていらして。
早く会いたくて、遅くに連絡をしてしまってごめんなさい。でも、きっと貴女にとってもこの方がいいのではないかと思ったの。
具体的なことは、直接お話しましょう。
アイリーン』
手紙を持ったまま、「うそ……」と小さく声を漏らして現実を噛みしめた。
こんな風に、すぐにクリスティーナに会えるなんて。
「奥様……どうされたのですか?」
廊下からこちらを見ているウィリアムが、両目を光らせながら首を傾げている。
「やったわ。明日、妃殿下に会いに行けることになったの……!」
「おめでとうございます!」
私は公爵家出身の伯爵夫人だから、侍女と護衛を連れて行くのは自然よね。
ということは、エイミーとウィリアムを連れてお城に入るのが良いのかしら。
「ウィルは軍服なんか持っていないわよね、料理人だから」
「……そうですね」
「まあ、しょうがないわ。料理人兼護衛ということで連れて行くから、適当に話を合わせてね」
「ええっ??」
本当は泊まり込みでクリスティーナ妃の側仕えに採用してもらって、彼女に色々と話をしたかったのだけれど。
問題は、料理人兼護衛というこの男の子が、夜になると耳と尻尾が生えてしまうこと。
ウィリアムが被っているハンチング帽子は耳が中に収められていても不自然じゃないけれど、お城で制服を用意されてしまったら耳が隠せなくなる可能性もある。
「人狼の秘密をどう隠すかはあるけれど、迷っている時間がもったいないわ。行ってみて対策を考えるから、エイミーと一緒に来てくれるかしら?」
「かしこまりました。エイミーさんと奥様の安全に尽力いたします」
ああもう。そこでいちいち尻尾が振れるからかわいいのだわ。きっと新月と満月には茶色い狼になるのね。小麦色の……。
「あと、いま尻尾が出ているわよ」
「はっ!!」
ただ、ちょっと抜けている子なのかもしれない。
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