2 / 107
< 本編 >
2.電話越しにキミと(1)
しおりを挟む♫♩♬~
桜も咲き始めた頃、俺のスマホに通知が鳴った。
メールだ。今日、送付されることは分かってた。
件名には、『試験結果のお知らせ』の文字。
恐る恐る、画面をタップする。
『合格おめでとうございます』
届いたメールには、期待していた一文が載っていた。
「……!……やった…………!!!」
国立慧明学院大附属慧明学院中高等学校
第二性検査でαの診断を受けた全国のα達が中等科から通う中高一貫校。
第二性が現れ始めて、問題になったのは学力の格差だ。
αは突出して頭がいいため、よりよい環境で高度な勉強を進めたいαやαの家族の要望で、国が設立した学校だ。
ほとんどの生徒がαだけど、学力の高いβも、ここ近年在籍している。
ちなみに、俺は頭がいいわけじゃない。
成績は中の……どちらかというと下の方。
でも、この学校に入学するためにめちゃくちゃ勉強した。
国立で尚且つハードルが高い学校だからか、入学できたβには国からの支援金も多額に出る仕組みだ。
そんな事もあり、家族の全面的なサポートに本当に助けられた。
でも1番助かったのは、αで幼馴染の総兄……佐伯 総司の存在かもしれない。
総兄が持ってきてくれた対策問題を解きまくって、何とか頭に叩き込んだ。
その甲斐あってか、最初E判定だった模試も、最後の模試にはA判定まで持っていくことが出来た。
自信を持って試験に臨めたのが本当にデカい。
俺が同じ学校に行くために必死に勉強してるのを知った総兄が突然のお宅訪問。
「これ、対策問題だから、頑張ってみな」って大量の資料を持ってきてくれた。
あの時は嬉しすぎて泣きながら抱きついちゃったな。
あ……あの時、俺、総兄が着てる服に鼻水つけてなかったかな。
総兄の服、ハイブランドだから……今更になって心配になってきた……。
鼻水付いてたら、ごめん。総兄。
この学院の存在は有名だったから昔から知っていた。
だけど俺には関係のない学校だ、とずっと思ってた。
でも総兄がここに進学するって知って。
一緒にオープンスクールとかも行かせてもらったのがキッカケで、ここが俺の志望校になった。
あの時は母さん、めっちゃ嬉しそうだったなあ。
総兄はほんとは中等科から慧明に行くはずだったらしい。
でも、どうしてもこっちの中等科に通いたくて、高等科は慧明に必ず行くって約束を親としたからだったって母さんから聞いて、総兄ってマジでαなんだ……!ってビックリしたっけ。
ちなみに、何でウチの母さんが総兄の情報通かというと、総兄のお母さんとは超がつくほどの仲良しだから、情報は筒抜けらしい。
俺のことも総兄ん家で話題になってるのかなあ。
母さん、変なこと言ってないといいけど…。
とにかく、入学したい、と思い立って1年と少し。
必死に勉強してきた結果が実を結んだ。
親に報告、じいちゃんにも報告して……や、まてよ。
1番に報告するのは、やっぱり、総兄だな。
5回ほど呼び出しのコールが鳴り、掛け直そうかな、と切ろうとした瞬間に中性的な声が右耳に飛び込んできた。
『士郎!どうした?』
「総兄……!長々鳴らしてごめん。報告したくて電話したんだ。…………試験、合格したよ!」
『マジかー!おめでとう!………………あ、士郎ちょっと。いきなりで悪いんだけど、電話替わるわ。』
「へ???え、誰に…」
『 ────── もしもし。』
うわ。すごい。低い声。
「………もし、もし?」
『キミは…… ────── いや。なんでもない。佐伯、やはり大丈夫だ。β枠は必要ない。』
β枠????なんじゃそりゃ????
『ってちょ、黒木、どこに……!あ、ごめん士郎…!と、とにかく、入学おめでとう。学院で待ってるからな。急に変な電話になってごめん!入学してから、キチンと説明するから。またな。』
「う、うん。……また、ね。」
総兄から急に変わった声は総兄よりも低くて。
電話越しでも、よく響く声だった。
「ていうか、何だったの、今の…………ま、いっか。」
よく分からない内容に疑問符は残ったけど、この時は合格出来た喜びで、突然電話を替わった理由も、内容も、特に気にならなかった。
今になって思うと、これが、圭介先輩……
生徒会長である、黒木 圭介さんと俺の初めての会話だった。
86
あなたにおすすめの小説
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる
ちょんす
BL
自分の居場所がほしくて始めたゲーム実況。けれど、現実は甘くない。再生数は伸びず、コメントもほとんどつかない。いつしか実況は、夢を叶える手段ではなく、自分の無価値さを突きつける“鏡”のようになっていた。
そんなある日、届いた一通のDM。送信者の名前は、俺が心から尊敬している大人気実況者「桐山キリト」。まさかと思いながらも、なりすましだと決めつけて無視しようとした。……でも、その相手は、本物だった。
「一緒にコラボ配信、しない?」
顔も知らない。会ったこともない。でも、画面の向こうから届いた言葉が、少しずつ、俺の心を変えていく。
これは、ネクラ実況者と人気配信者の、すれ違いとまっすぐな好意が交差する、ネット発ラブストーリー。
※プロットや構成をAIに相談しながら制作しています。執筆・仕上げはすべて自分で行っています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる