<完結> βの俺が運命の番に適うわけがない

燈坂 もと

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< 本編 >

21.切り替えたい気持ちの先に

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「士郎くん!早く早く!こっちだよ!」

教室に到着した俺を、既に式典に向かう列にが出来ていた中にいた祥くんが手招きしてくれた。

「祥くん、ありがと。助かった……!」
「士郎くん、四阿どうだった?ボクも今度一緒に行きたいな~!あっ食堂も今度一緒に行こうね!」

慧明オタクの祥くんの瞳がキラキラしている。かわいい。
俺はそんな祥くんに、うん、と答えて整列した。

四阿で圭介先輩と総兄と別れた後、少しひとりで、ぼうっとした。
あり得ない事ばかりを、勝手に妄想してた自分が恥ずかしくなってしまったからだ。

先輩とのハグは約束してしまったから、最低1日1回は必ずする。けど、それ以上はなるべくしない。
きっと、先輩も初めて自分の体調がマシになって、少し俺に依存気味になっているだけなんだろう。
俺も今まで他人と抱き合ったり、戯れあったりとかの経験がないから、少し、変な方向に気持ちが昂ってしまっただけだ。
だから、必要以上に関わらないようにすれば、いい。
あの変な高揚感はただの勘違いでしかないのだから。

「……俺は、Ωじゃ、ない」

発した言葉は、不思議と俺の感情が勘違いだ、と教えてくれた様な気がした。

先輩には運命の番が現れて、きっと今よりもっと幸せになる。
その時におめでとうって言える関係でいたい。

胸の奥が少しだけ痛んだ気がしたけど……
きっとそれも勘違いだろう ──────  


「士郎!同じクラスだったんだな」

ポンと肩を叩かれて声のした方に振り向くと、咲耶が俺の斜め後ろにいた。

「咲耶!あれ?入学式は出ないんじゃ……」
「予定変更になってな。お披露目だから出ろ、だと。ほんと勝手だよなあ。」

お披露目?お披露目って何をするんだろう……?

くあ。と欠伸をしながらそう答えた咲耶に、祥くんが大きい目を更に大きくしながら話しかけた。

「えっ、もしかして、鷲宮コンツェルンの鷲宮さんですか……?!同じクラスだったなんて……!」
「咲耶、で構わない。士郎、この子は?」
「同じクラスの寺畑祥大くんだよ。」
「寺畑、祥大……、ははっ!士郎はすごいな。引き寄せる力でもあるみたいだ。面白い。」

そう言いながら咲耶はニィっと笑った。
?俺、何もしてないけど……。

「祥大、よろしく。鷲宮咲耶だ。この様子だと俺のことは知ってるみたいだな。年齢的にはひとつ上だが、学年は一緒だ。タメ口で構わないからな」

ひえええとなってる祥くんは咲耶の事も詳しく知ってそうだ。
そうこうしてる間に、教授から移動をすると言われ入学式の会場である体育館に移動になった。


新入生は12クラス480名。
在校生は2年生は15クラス550名、3年生は13クラス500名。
1クラス40名計算で数が合わないのは、退学している人がいるという事だ。

頑張って入学出来ても勉強について行けなくて、単位が足りず辞めていくβが山程いる。
俺がどうして、こんなに厳しい学院に必死になって入ったかというと、『総兄がいるから』という理由だけじゃない。
この学院に憧れてる教授が、いる。
その人の講義を受けたい、というのが1番の理由だった。
その講義を受けるには、2年生に上がらないと受けれない専攻分野だったため、振り落とされない様にしなければ。
頑張らないと、いけない。

『新入生の入場です。』

会場の奥の方で呼び声が聞こえる。
新入生の波が動き始めた。

「………………よし。」



闘いが始まる気がして、気合いを入れた。


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