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< 本編 >
35.近くて、遠い。手に入れたい、全てを:side黒木
士郎も、俺と同じ気持ちと知って、舞い上がったのも束の間。
一気に、奈落の底へ落とされた気分だった。
運命の番の話を切り出した彼の表情は、今までに見た事がないほど辛そうで。
見ているこっちまで、悲しくなるほどだった。
「……朝まで一緒に、いたい。何もしないと約束する。士郎を抱きしめて眠りたいんだが……ダメだろうか」
「……俺は、圭介さんに良い返事が出来ません。これ以上、期待させる様な事は出来ない……。キス、強請ったくせに断るとか……何考えてんだって感じ、ですよね……。本当に申し訳ないと、思ってます。貴方と……したかった事が叶うって思ったら、止められなくて……」
「……んんっ。士郎、その辺でストップだ。そんな事を言われたら、また、欲しく、なる。」
すみません……!と顔を真っ赤にして謝る彼は、とてつもなく可愛すぎる。愛しい。触りたい。
また、その口唇に触れたくなる ──────
「け!圭介!さん!」
「む」
士郎の両手は、俺の口を押さえていた。
無意識に彼の口唇に吸い寄せられていた様だ。
「今日は……!これ以上しちゃうと、俺も気持ちがブレるというか……!」
「ブレたらいい。ブレたら、お前は、俺のモノになるだろう?」
「な、なりませんよ!!!貴方には……番がいるんだから……!」
第二性なんて、クソ喰らえだ。
俺は士郎だけいれば、それでいいのに。
「……俺のモノにならないなら、キス、しても……構わない……よな?」
「……それ、揚げ足取りって……言うんですよ」
知ってる、と言って士郎の両手を横にズラした。
現れたピンク色の口唇に、ごくり、と唾を呑む。
さっきまで、あんなに重ねていたのに。
まだ、足りない。
もっと触れ合っていたい。
欲望が、湧き出て止まらなくなる。
彼の表情から彼も、俺を求めているのが分かった。
誘われるままに、目の前のかわいい口唇に、俺の口唇を落とした。
ちゅ、と優しく触れるだけの口付けを交わす。
さっきまでの激しいキスも刺激的だったが、穏やかな、こういうキスも堪らなく唆られる。
結局は士郎とする事、全てに興奮するのだろう。
この部屋に来る前、何十回と果てておいてよかった。
多分、それをしていなければ俺は……最低で、最悪の結末を迎えていた様に思う。
欲望のまま、腕を組み敷いて、無理やり俺をぶち込んで、この子を泣かせていたかもしれない。
あんなに果てたのに、士郎と口唇を触れ合わせた瞬間に、俺のソコは反り立っていた。
今までの不能を取り戻すかの様に、本能が止まらない。
士郎が眠りについてから……もう一度、自分を慰めないと、眠れないだろう。
口唇を離した先の士郎の表情は艶やかで。
物足りない、という顔をしていた。
「……もう一回、する?」
「 っ!も、もう!しません!寝ます!」
「ははっ。そうか……でも、いつでも、俺は士郎と触れ合いたい。────── したくなったら……いつでも、言って?」
そう、士郎の耳元で呟くと、声を響かせた方の耳を手で隠し、真っ赤な士郎が、そこにいた。かわいい。
「圭介さんは!本当に……っ、スケベだと思います……っ!」
「そうだな……。自分でも、驚いている。今まで、性欲なんて、これっぽっちも感じた事はなかった。……士郎だけだ。俺が唆られるのは」
「~~~~~ッ!!!!」
プンプンと、真っ赤になって怒っている士郎は、俺を置いて自分の部屋に行こうとする。
怒っている士郎も、かわいい。
何でも許せそうだ。
ニコニコと彼をの後ろ姿見ていると、ピタッ止まり、彼がくるっと俺の方を振り返った。
「……一緒に、寝るん、ですよね……?行きますよ……!」
「ああ。朝まで、横に居させてほしい。 ……ありがとう、士郎」
優しくて、かわいい……君が、好きだ。
存在の見えないモノが不安に思うなら、その不安さえも払拭出来るくらい、俺が君を愛そう。
例え、君のいう『運命の番』が、俺の前に現れたとしても、俺は運命に抗うと誓おう。
俺が一生を共に過ごしたいのは、君しかいない。
「……眠った、か。今日は最高で……最悪な夜、だったな」
眠っている彼の髪を撫ぜる。
溢れるばかりに愛しさが込み上げてくるのに、気持ちのやり場がなくて、もどかしかった。
意識のない彼に角度を変えて、何度も、口唇を落とした。
堪らなく、愛しい。
何としてでも、手に入れる。
俺の運命の番は ────── 士郎。君、だけだ。
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