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< 本編 >
55.愛しい君:side黒木
しおりを挟む士郎は、真面目で素直で……優しい。
佐伯からは、今まで付き合った事も、他人と触れ合った事もない、と聞いていた。
……もし、士郎が、俺以外の人間と、過去にそういう事をした事があるなら……想像しただけでも吐きそうだ。
わざわざ、その人間を締め上げに……までは行かないが、士郎に気づかれないところで、その人物の特定をし、士郎と引き合わせない様に仕組むくらいはしてしまうだろう……我ながら狭量過ぎて情けない。
俺は、彼を一生手放すつもりはない。
例えば……絶対に、あり得てはいけない事だが、もしもの話。
彼が俺の前から姿を消そうとするなら……俺はどんな手を使ってでも彼を見つけだしてみせる。
俺から二度と離れたい、なんて考えが起きないくらい彼を愛して……全てを俺で埋め尽くして。
俺なしじゃ生きれなくする。彼には俺だけいればいい。
それほど俺は……あの子でないと、ダメで。
あの子が笑えば、俺も嬉しくなるし、あの子が悲しければ……俺も、切ない気持ちになる。
こんなこと、今まで感じたことのない感情だ。
士郎と出逢って、俺はいろんな感情を知った。
士郎がいると……モノクロだった世界が、色鮮やかになった。
俺に求められるまま、受け止めるだけ、かと思っていた士郎は、予想外に自分の欲望を押し殺す事なく、素直に俺としたい事を言う子だった。
そのお陰で……俺ばかりが求めているのではなくて、この子も俺を求めてくれている、と感じる。
佐伯に報告した後、士郎の部屋で朝まで過ごした時も……彼は積極的に俺にキスをせがんだ。
「……圭介さん……もっとこっち、きて……?くっつきながら……キス、したい……だめ?」
「……っ、ダメ、なんかじゃ、ない……、嬉しい……士郎が、俺を……求めてくれている……」
「……俺、貴方の事、……だいすき、だから……好きな人と……貴方と、えっちなこと……いっぱい、したい……んだけど、……いい、よね?」
「っ、!……当たり前、だ。俺も、……たくさん、君と……気持ちいい事を、したい」
「……嬉しい……ん、」
貪る様にお互いに口唇を求めて。
抱きしめ合いながらする甘美な口付けは、胸が酷く締め付けられた。
する、と俺は指を彼のお尻に滑らせる。
どうしても、俺の意思も……伝えたかったからだ。
「……っ、!ふ、ぁ」
「俺は……いつか、ここにも……入りたい。俺で、いっぱいにして……君を、ぐちゃぐちゃに……したい。」
くにくに、と将来、俺を受け入れるであろう場所の入り口をズボンの上から、指で刺激する。
ビク、と反応した士郎の表情は、不安そうで。
その表情を見て、時間が必要だと感じだ俺は、士郎が俺を受け入れられるまで、時間をかける心算をつける。
「……すぐにとは、言わない。いつか……君とひとつになりたい。君が、俺をほしい、と言うまで……俺はいつまでも待つ。俺がそうなりたい、という事だけは……覚えておいて……?」
「……すぐに、いいよ、って言えなくて……ごめんなさい。やっぱり……今は、まだ、怖くて……」
「構わない。……しかし、士郎の中に入る人間は……後にも先にも……俺だけだ。他の人間を入れるのも、他の人間に入るのも……絶対に、許さない。」
頬に、瞼に、耳に、おでこに。口唇を落とす。
彼は口唇が触れる度に、ビク、となって……口唇に早く欲しいとせがんでいる様だった。
この子が、愛しい。この子は……誰にも、渡さない。
「……ね、……士郎から……キス、して?」
「……俺には、圭介さん……だけ、だよ……、ん……」
その日は、士郎が眠りに付くまで、お互いにキスをし続けた。
「じゃあ、帰るね。また、帰る時は連絡する」
お義母さんの車の前で、士郎がご家族に挨拶をした。
時間は9時30分。寮へ帰って士郎といちゃいちゃする時間が減ってしまうのを、阻止したかった俺は10時に出るとご両親に伝えてあった。
俺のもとに、優斗が電車のミニチュアを持ってやってきた。
「にぃに!きをつけてね!けーすけにいちゃんも、またあそぼうね?……それまで、これ。もってて!ゆうのにばんめにおきにいりの、でんしゃ!」
「優斗、ありがとう。また、来る。……お義父さんお義母さん、お邪魔、しました。学院でも、卒業後も……士郎くんの事は俺にお任せください。」
「……ははっ。頼もしいな。士郎を、よろしくお願いします。……ところで、圭介くん……圭介くんのお父さんって……慧明の卒業生、じゃないかな……?」
「あ、ハイ。父は……慧明卒業生で……」
ブゥン、と黒塗りの車が家の前で止まった。
その車は……まさかとは思ったが、間違いない。俺が見慣れた、車だ。
まさか、昨日の、今日で……?と慄いた俺は口を開いた。
「嘘、だろ。……確か、今日帰国の予定……だった、筈だ……まさか、予定を早めて、こっちに直行、してきた……のか?」
「?圭介さん?」
車から、バタン!とドアが閉じる音がして、出てきた男性は、……俺の父だった。
「圭介!連絡もらって、仕事繰り上げて飛んで来たよ!……!やっぱり!成一郎の息子さんだったか……!成一郎、優里香さん、久しぶりだな」
「……!圭史……!やっぱりか。圭史に、圭介くんはそっくりだったから……そうじゃないかと思っていた。久しぶり。」
俺の、恐れていた事が……起こる予感がしている。
士郎は、俺の顔がめちゃくちゃタイプらしい。
ということは、だ。
恐る恐る……士郎を、見る。
「……っ、……圭介さん、のお父さん……かっこ、いい……」
これは、帰ってから……お仕置き確定、だな。
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