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< 本編 >
54.生まれ育ったお家でキミと(4)
しおりを挟むあたたかい……安心する匂いに包まれてる。
ああ。きっとこれは、夢の中だ。
トクトク、トクトク、穏やかな鼓動が響いて、ずっと聞いていたい。
もうちょっと、このままで、いたい。
今までで1番、幸せな夢を見ている様で。
でも……遠くから、俺を呼ぶ声が聞こえる。
まだ、起きたくない……けど、この声は。
俺の1番好きな……声。
愛しい、彼の、声だ。
……そういえば、昨日は……えっちなことを……彼とたくさん、したんだった……
きもち、よかった、な……幸せ、だった……
……俺は、1回イった後……意識が遠のいて……
あの後……寝ちゃったんだろうか……?
髪を撫ぜられる感覚があって、ゆっくり、目を開けた。
「……士郎……?そろそろ……起きないと、いけない時間になりそうなんだが……、起きるのをやめて……このまま……ふたりで、こうして、いようか……?」
「……ぅ、ん……このままが、いい……圭介さん……かっこいい……すき……」
「……っ!……俺も、好きだよ。……目、閉じて……?」
「…………けいすけ、さん……ん、」
嬉しい……朝から彼と抱き合ってキスできるなんて……
これも、夢の続きなのかも……
………………?
感触が、やけに、リアル…………だな……?
あ、これ、現実かも。
「……!……おはよう、ございます……っ!」
「……なんだ。もう目が覚めてしまったのか……残念だ」
そう言って、彼は俺のおでこに、ちゅ、と口唇を落として、不敵な笑みを浮かべている。
……こんな表情も……かっこいい……ツラい……
「起きるの、遅くなってごめんなさい……!今、何時……?」
「……遅くない。まだ、大丈夫だ。……しかし、士郎は俺の事、かっこいい、と思ってくれてたんだな……嬉しい」
「……かっこ、いいです、よ。……顔が近いと、いまだにドキドキする……」
は ────────……、と。
俺を抱きしめながら、彼は深く……それはふかーくため息を吐いた。
「け、圭介さん?どうしました?体調……よくない……?」
「……俺は。……今まで、かっこいい、とか……タイプ……とか……言われても、何も感じる事が無かった……だけど……」
掴んだ俺の手を、圭介さんは自分の心臓付近へ置いた。
ドッ、ドッ、ドッ、ドッ。
え、すご……早すぎるんでは???
吃驚して圭介さんの顔を見ようと上を向いたら、いつの間にか彼の顔が目の前にあった。
「け、いすけ、さ」
「……君、だけだ。────── 俺をこんな気持ちにさせるのは……」
貴方、だけだ。
こんなに見つめられて……ドキドキ、するのは。
もっと、俺の方に……来たら、いいのに。
「もう1回だけ……ここに……触れたい」
「 ……ね、もっと、こっち……来て……?……車で、俺、言ったでしょう?貴方とキスするの、好きだって……」
「……っ。……俺も 、すきだ……」
「……圭介さ、……ん、」
1回で終わる筈のキスは、何回も続いて。
大好きな彼の顔が見たくなって、目を開けると、目の前に目を閉じていない、興奮で余裕のない彼がいて。
彼の顔は昨日みたいに必死で……熱の籠った目で俺を見ていた。
ぞくぞく、する。
「……士郎……このまま、ずっとくっついていたいが……お義父さんとの約束を破るわけには行かない。そろそろ、準備をしなければ。」
「……うん、そう、だね。……わかり、ました」
……残念だ……正直、もっといっぱいしたかった……
だって男の子だもん……
くっついてた箇所が離れるのが寂しい。
そんな訳ないのに、まるで、生まれた時からずっとくっついてたみたいで。くっついてるのが当たり前だったみたいに離れた部分が変な感じだ。
そんな俺に気付いたのか、彼が口を開く。
「……帰ったら、俺の部屋で……いっぱいしよう……?……士郎を、閉じ込めて離さない……」
「……約束、だよ?帰ったら……絶対……離さないでね……?……ね、圭介さん……出かける前に、最後に、キス、したい……」
「……俺も、したいな、って思っていた。……ふふ。気が合うな。……口、開けて……?」
お互いに舌先で遊ぶ様に数秒、愛撫した後ねっとりと舌を絡めて口唇を塞ぐ。
卑猥な音が響いて、くらくらした。
早く準備をしなきゃと思うけど、口唇を離したくなくて彼の首に腕を回すと、彼も俺を強く抱きしめる。
ヤバい……イきたく、なって、きた……
「……っ、は、……ん、けいすけ、さ」
「……しろぅ……!ん、……っ。ぁ。」
彼の手が、俺のソコに伸びかけた、その時。
ドンドンドンドン!
「にぃにー!!!ごはんできたよー!おきてー!!!」
「ゆ、う……!ちょっと、まって……!」
早く服着替えてきてねー!と、走っていった。
あ、危なかった……!優斗が来なかったら、多分普通にこのままイチャイチャし続けてしまってただろう。
「……圭介さん……じ、準備。しましょっか。」
「……む、うむ。そ、そうだな。」
ふたり揃って、頭をポリポリと掻きながら。
顔を見合わせて、ふはっ、と笑ってしまったのだった。
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