<完結> βの俺が運命の番に適うわけがない

燈坂 もと

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< 本編 >

92. 君と、運命の番になりたい:side黒木⁂

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※士郎と圭介のRシーンありです。

──────────────────




ゆっくりと、俺の寮の部屋のベッドへ士郎を降ろす。
俺ではない、別の人間のフェロモンに当てられた士郎はアレルギー反応を起こしている状態で、身体に力が入っていない。

士郎はβだが……Ωの要素を持っている。
恐らくだが、俺と出逢ったのが原因だろう。
俺も佐伯も……βに擬態している番を、本能で見つけ出した結果だった。

以前、士郎との婚約を生徒会室で発表した際に、比良坂教授と佐伯に教授の執務室へ呼び出され、俺は教授に喧嘩を売った直後だった事もあって、佐伯に喧嘩上等と腕を回していた。
しかし、ふたりはソワソワしながら報告がある、と俺に切り出したのだ。

拍子抜けした俺は、俺の前に横に並んだ2人を見ながら口が開くのを待った。

「実は……高人さん、あ、教授の名前ね。高人さんが、……Ωにスイッチして。俺と……番になったんだ」
「黒木くんに、先に報告をしておこうと思ってね。」

教授は寒くもないのに来ていた分厚いタートルネックの首元を捲って見せてくれたソコには、カラーが付いていた。

「……俺は、生粋のβだ。フェロモンを発した事もなければ、香りなど感じた事はなかった。しかし、彼と交わっている内に……総司の香りだけは、判別が出来るようになったんだ。それと並行して……総司も、俺に香りがある、と。きっと、αが本能でβに擬態している運命の番を見つけているんじゃないかと……俺は仮説を立てた。黒木くんの、時任くんへの執着心は総司に似ている。時任くんも……俺と同じなんじゃ、ないだろうか」

そこで初めて、教授の論文を読ませてもらった。
確かに、士郎の香りはβのソレではない。
彼も俺から香りを感じるようで、俺が興奮してフェロモンを大量放出した時はフェロモンに当てられて興奮しているようだった。
この仮説が、士郎にも当て嵌まるのなら……彼の不安はもっと払拭される筈。

ただひとつ。懸念点がある。
ずっとβだった士郎がΩへスイッチする事への恐怖はないのか。
それだけが気掛かりで、俺は士郎にこの事を切り出せずにいた。


「……圭介さん……くっつき、たい」
「いいよ……俺も、君にくっつきたかったから、嬉しい。士郎の、感覚が戻るのに……時間がかかる筈だ。力が入り始めたら、教えて……?」

コクリと頷いた士郎を纏っていた布を全てなくして。
俺も同じ状態になって彼を抱きしめた。
手を、足を、全てを絡めて。隙間がないように俺で包む。
腕だけは何とか力が入るようで、俺の首元に必死に腕を絡めようとする士郎の仕草に愛しさが込み上げる。

うっとりとした彼の表情に誘われるかのように、俺は彼の口唇にゆっくりと俺の口唇を落とした。

「……ん、ぁ。……ちゅう、きもちぃ」
「ん、……気持ち、いいな……、ぁ、口、開けて……?舌、出せる……?」
「……ぁ、だせ、る、よ……あ、きもちぃぃ、」
「ふふ、士郎……これ、好き……だもんな。いっぱい、キス……しようか」
「……うん……圭介さんと……いっぱい、したい」

士郎のかわいい舌先を俺の舌先で遊ぶ。
この時の士郎の表情が、とても好きだ。
えっちで、かわいくて……唆られる。

次第に、俺の凶器に彼の可愛いソコがむっちりと膨らんで当たる。
俺の手を、ソコへ移動させて……俺たちを包んで上下に動かした。

「……ぁ、ん、……きもち、……ぃ……け、すけさ、……あ、ぁ、あ……ちゅう、もっと、して……?、んぁ」
「……っ、あ、しろ、……きもちい、……あ、ん、」

ぐちゅぐちゅと、上も下も卑猥な音が響いてゾクゾクする。
ゆるゆると彼の腰が動き始めた。
力が、入り始めたのだろうか。

「ぁ、け、すけさ、……ちょっと、ずつ、動ける……ん、ぁ、……あ、や、ィ、く……いくいくいくいく……!」
「イって……?出して士郎……気持ちよく、なって……?」

彼の弱い耳元に俺の低い声を落として、イくのを促す。
かわいくて、仕方ない。

「声、やば……!ぁ、あ、ぁ……っ!──────── ィ、くッ!」

俺の下腹部に、士郎の白い蜜が飛び散る。
この瞬間が幸せで……やめられない。

「……っ、は、ぁ……ん、……きもち、ぃ……、……あ、……意識が、ちょっと……ハッキリ、してきた、かも。」
「そうか、よかった……士郎……?士郎に、ひとつ、確認したい事が、ある」
「……?……なに……?」

こんなに言葉を切り出すのが……怖いなんて。
生まれて、初めて、だ。

それでも、切り出さずには……いられない。
俺は、この子だけしか、いらないのだから。


「……Ωになって、俺の番になって欲しい。君は……俺の ────── 本当の運命の番、なんだ」


絶対に、離さない。


俺だけの、番。




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