20 / 20
20.ふたりの元魔王と魔塔主様と大魔導師
しおりを挟む──── あれから。
……サボに会った日から、2年が経過した。
今日は、僕と。
そして、元魔王達……ふたりとの、婚姻式だ。
レオニスは宣言通り、法律改正を1週間で済ませた。
そして、改正してから今日まで……レオニスは僕だけしか見えてないアピール(実際、僕の事をすごく大事にしてくれているんだけど)をしていて。
舞い込んでくる釣書は徐々に減っていき……1年前くらいから、とうとう届かなくなった。
" レオニス国王陛下の将来の伴侶は魔塔主様 " がアステルフォード王国の共通認識になったのもこの頃くらいからだ。
「エリちゃん……っ!かわいい~~!絶対、ふたりとも……めろっめろだよ~!!!」
「ア、アヤメ……!そんなこと、ないから……!でも、そう言ってもらえて……嬉しい。ありがと。」
アヤメのきゃぴきゃぴした反応に、周りで支度をしてくれている従者達も微笑ましい、という風にクスクス笑っている。
あの後、オウミとレオニスはふたりだけで魔王の執務室に篭って話し合いをしていた。
僕は、サボにお茶を淹れてもらって、サボと魔術談義に花を咲かせていたんだけど……戻ってきたオウミとレオニスが嬉しそうに僕達を見ていたのに気付いた時には、ふたりが謁見の間を出てから3時間も経ってたそうだ。
サボ視点の魔術論は僕に無いものばかりで、すごく楽しくて夢中になっていたら、どうやらサボも同じだったみたいで「いつでもお時間作りますので、またお付き合い頂きたい」と誘われてしまった。
何だか嬉しくて、二つ返事で承諾したらオウミとレオニスに「ふたりが仲良くしてくれるのは嬉しいんだが、何だか複雑だ」と言われて。
え、何で?と首を傾げているとサボが横で「必ずふたりだけで会いましょうね」と耳打ちして来たので、「わかった」と答えたら、ふたりは何故か頭を抱えていて。
100年前には、こんな未来が訪れるなんて予想もできなかったから……そんなふたりを見てクスクス笑うサボは本当に嬉しそうで……何だか僕まで嬉しくなった。
オウミは、あの後。
魔国に残って……サボの下で魔術の鍛錬を始めた。
サボはやっぱり闇の魔力のスペシャリストだからか、オウミの魔力量も闇の魔術の取り扱いも、素晴らしく向上した。
闇の魔力の能力と黒い角の大きさが比例しているのかは不明だけど、人間である筈のオウミの頭には今、当時と変わらない黒い角がふたつ、生えているのだ。
1年前、オウミは魔国の魔王の座に就いた。
100年前から魔王のファンだった魔族が多数いて、満場一致、賛の声しかないままに決定したのだった。
2年前から、僕が魔国へオウミやサボに会いに毎日逢いに来ていたのと、サボの広報(?)の力も手伝って " アステルフォード王国の魔塔主様は、魔王様の100年前から運命で定められている番 " だと魔国民達の間で小説にまでされる程、僕達の関係は浸透していた。
そして両国民の中で『僕』の認識として共通しているのは、 " アステルフォード王国、魔国、両国王の愛する花で、最愛である。 " という事だ。
……恥ずかしい、けど。……でも、僕の気持ちとしても……間違いではないから……そう認識してもらえて、浮気だーなんて騒がれなくて安心している。
こんな気持ち、不誠実かもしれない。
でも、僕の初恋で、僕が唯一愛しいと感じた人の魂が別れてしまった事が始まりだけど……
今は、ふたりともが同じくらい愛しくて、僕の心を離さないのだ。
どちらかが欠けても、きっと……ダメなんだと思う。
「でも……吃驚、した。アヤメが……カイル様と、結婚するなんて。」
「それは、僕も、同じ。……あんなに、オウミくんしか見えてなかった筈なのに……今は、カイルしか、いらない……って、も、もう!恥ずかしいから……この話は終わりにしよう……?!」
アヤメは、聖女教育を受けながら、1年間、魔力溜まりの発生する原因と、発生箇所を特定したカイル様と共にアステルフォードだけでなく、世界中を回ってくれていた。
浄化の力は、教育が始まってすぐ、発揮されてめちゃめちゃ吃驚したのを昨日のことの様に思い出せる。
アヤメ曰く、前世の聖女……アヤメがめちゃくちゃ手伝ってくれてる、との事だ。
アヤメがアヤメの転生者だなんて……本当にすごい。
実は、アヤメが僕にだけこっそり教えてくれた事だけど、カイル様はルークの転生者らしい。
カイル様にそれとなく聞いてみたら、たまに夢で自分が剣士で、聖女の女の子と話をしている時、無性に胸が締め付けられる、という夢を見ていたそうだ。
何だか、その話を聞いて……僕は勝手に救われた気持ちになった。自分勝手、なんだけどね。
アヤメは、オウミに半年くらいで気持ちを伝えた。
それも「好きだった」と過去形で。
カイル様を大事にしたいと、それはもうあっさりと告白していて。
その時、オウミはニッコリ笑って、アヤメの頭をポンポンとした。
オウミから聞いた話だと、闇の魔力が強まったお陰で、聖女の力が強いアヤメにも触れる様になったと確信したから、試しに触ったら触れたらしい。
「初めてオウミくんから、触ってもらえた……!」と感動してたアヤメをカイル様は、ふたりの間に割り込んで「アヤメ。余所見は、もう終わりだ。……もう我慢しなくて……いいよな?」と言いながら、すごい勢いで連れ去って丸1日部屋から出てこなかった。
その次の日に婚姻届と婚姻式を行なって、あっという間にアヤメはカイル様の家族になったのだった。
カイル様の仕事が早すぎる。さすがです。
そう。だから……アヤメは僕の、大先輩なのだ。
「ふふ。アヤメこそ、可愛い。……色々、教えてね……?僕、結婚するの……初めて、だから……」
「……っ!エリちゃん……ほんとに、かわいい……今も……幸せ、だろうけど。もっと、ずっと、幸せになって。おめでとう。……あのふたりが、旦那様なんて……体力いくつあっても足りないかもだけど……ふふふ。」
言われて、顔中ぼぼぼ、と真っ赤になってしまって、支度をしてくれている従者たちに「アヤメ様!余計な事言っちゃ支度のお時間が長引きます!」とアヤメは叱られて「ごめーん!つい!」とテヘペロしたアヤメはやっぱり可愛かった。
その通り、なのである。
闇の魔力を完璧に使いこなせる様になったオウミに、レオニスが以前、依頼していた世界の時間を止める魔術。
それをほぼ毎日行なっていて……毎晩……すごいのだ。
魔力量の多さは精力の多さに比例する、のか。
僕も、まあ、負けてないんだけど。
だから……逆にない日は物足りなくて、寂しい。
これはもう完全に、ふたりに調教されている。こわい。
「……アヤメ。あまりエリオス様を困らせるな。最強なあのお二人から御冠が飛ぶぞ。」
「カイル!ごめんごめん!エリちゃんが可愛くて……つい。そのお二方は、もう準備、出来てるの?」
「まだ見ぬ伴侶を、今か今かと見てられないほどにソワソワしながらお待ちだ。……ほんと、あんなにも凄い方達なのに……貴方は凄い方ですよ、エリオス様。」
「僕は何も……!て、いうか……待たせてるなら、急いだ方がいいんじゃ?みんな、もう大丈夫だから…!行こう、アヤメ」
「あ!待ってエリちゃん!……エリオスに今後も尽きることのないご加護を……、……ん。よし!さ、僕の手を取って。旦那様達のところへ、連れて行ってあげる!」
アステルフォード王国と魔国を繋ぐ、魔の森。
この場所に、オウミとレオニスはひとつの王宮を建設した。
魔の森で生活をしている動物達に危害を加えることなく。
暗くて鬱蒼としていた場所に少し光を照らして。
少しでも僕との時間が欲しい、と僕専用の魔塔も隣接してくれたのだ。
今日の婚姻式は、その魔塔で、執り行われる。
***
「……やっと、この日が来たな。」
「ええ。長い様で、短かったですが……感慨深いですね。」
「 ──── !……お主ら、エリオスが来た様じゃぞ。」
儂の可愛い、最愛の孫……エリオス。
生まれてからこれまで、辛い思いをしてばっかりだったこの子が、苦難を乗り越え、やっとめぐり逢えた国王ふたりと伴侶になれる今日は、儂にとっても最高の日じゃ。
「……ッ!……綺麗だ……リオ。」
「……堪らない……!リオ……最高に、美しい。」
「……ふふ。ふたりも、とっても、恰好良い……、ふたりとも、爺ちゃんも、お待たせ、しました。」
「……っ、……おめでとう、エリオス。儂もこの場におれて、幸せじゃよ。」
この国王ふたりが、この子を泣かせる未来など
絶対にありえんと……未来視は出来んが
はっきり、断言できる。
「──── 大魔導師、モルドレッド・カナライト・クロウヴェル、聖女、アヤメより……3人に祝福の加護を!」
どうか、この子が悲しむことがないよう。
このふたりと、永遠に幸せに ──── 。
<終>
────────────────────
ここまでお読み頂きありがとうございました!
ファンタジーに初挑戦でしたが、めちゃめちゃ難しかったです…!
ファンタジー書かれてる作家さん達本当に凄い!と改めて実感しました…!
未熟な作品でも、読んでくださる方がいて下さって凄く有り難かったです( ; ; )
また、別の作品でもお会い出来たら嬉しいです!
本当にありがとうございました!
2026.1.20 燈坂もと
21
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
オークとなった俺はスローライフを送りたい
モト
BL
転生したらオークでした。豚の顔とかマジないわ~とか思ったけど、力も強くてイージーモードじゃん。イージーイージー!ははは。俺、これからスローライフを満喫するよ!
そう思っていたら、住んでいる山が火事になりました。人間の子供を助けたら、一緒に暮らすことになりました。
子供、俺のこと、好きすぎるのやめろ。
前半ファンタジーっぽいですが、攻めの思考がヤバめです。オークが受けでも別に大丈夫という方のみお読みください。
不憫オークですが、前向きすぎるので不憫さは全くありません。
ムーンライトノベルズでも投稿しております。
【完結】竜王陛下に囁かれて、異世界で恋人契約結ばれました。~元社畜秘書、今では夜の寵愛係!?~
リリーブルー
BL
異世界に転移した元秘書・瀬名律の新しい役目は、竜王ゼルに「愛されること」。
「お前は、我の番だ」――艶めいた囁きに、心も身体も溶かされていく。
濃密な“番契約”の儀式により魂が共鳴し、魔力と快楽に目覚めていく律。
二人の絆は、王国全体をも揺るがす――
――竜王の執着と、魂の深くで結ばれる、溺愛異世界ロマンス。
目を覚ましたら、竜王陛下の“番”になっていました――。
「お前は、我の“番”だ。……誰にも渡さない」
ゼル=ドラグリス。竜王。
“番契約”という甘く濃密な儀式。
名前を囁かれ触れられ深く繋がれていくたびに、律の中の何かが目覚めていく。竜の魔力に応える“器”としての本質――。
誰かに必要とされることもなく働いてきた律。
ゼルは、寂しさや痛みまで
「だからこそ、お前がいい」と抱きしめる。
律の持つ力は、王国の未来に関わるほど大きく、
その存在を快く思わない者たちも現れる。
“番”として与えられる寵愛ではなく、
“あなた”だからこそ愛されたい。
竜王の番として選ばれ、抱かれ、支えられていくうちに――
今度は、自分の足で、隣に立ちたいと願うようになる。
***
『竜王陛下に囁かれて、異世界で恋人契約結ばれました。~元社畜秘書、今では夜の寵愛係!?~』
孤独だったふたりが出会い、心と身体を通して結ばれていく異世界転生BLファンタジー。
甘く、切なく、そしてあたたかい――恋と運命の物語。
『番になれない僕〜』
『喰われる秘書、囁く社長』
と関連してます❣️
スパダリ攻め 甘々 前世の記憶 不器用受け 運命の番 再生 ボーイズラブ 異世界転生 溺愛 竜王×元社畜 魔法 ハッピーエンド 独占欲強め攻め 執着攻め 魂の絆
【完結】生まれ変わってもΩの俺は二度目の人生でキセキを起こす!
天白
BL
【あらすじ】バース性診断にてΩと判明した青年・田井中圭介は将来を悲観し、生きる意味を見出せずにいた。そんな圭介を憐れに思った曾祖父の陸郎が彼と家族を引き離すように命じ、圭介は父から紹介されたαの男・里中宗佑の下へ預けられることになる。
顔も見知らぬ男の下へ行くことをしぶしぶ承諾した圭介だったが、陸郎の危篤に何かが目覚めてしまったのか、前世の記憶が甦った。
「田井中圭介。十八歳。Ω。それから現当主である田井中陸郎の母であり、今日まで田井中家で語り継がれてきただろう、不幸で不憫でかわいそ~なΩこと田井中恵の生まれ変わりだ。改めてよろしくな!」
これは肝っ玉母ちゃん(♂)だった前世の記憶を持ちつつも獣人が苦手なΩの青年と、紳士で一途なスパダリ獣人αが小さなキセキを起こすまでのお話。
※オメガバースもの。拙作「生まれ変わりΩはキセキを起こす」のリメイク作品です。登場人物の設定、文体、内容等が大きく変わっております。アルファポリス版としてお楽しみください。
亡国の王弟は女好きの騎士に溺愛される
コムギ
BL
アラバンド国の王弟ルカーシュは、騎士のシモンによって地下牢から救い出された。
その時、肌に触れたシモンに、やけどのような怪我を負わせてしまう。
ルカーシュは北の魔女の末裔であり、魔力を持っていた。
魔力を持たない者に触れると、怪我をさせてしまうという。
騎士団長からの命令で、シモンはルカーシュの護衛につくことになった。
※他サイトにも掲載しています。
魔王の求める白い冬
猫宮乾
BL
僕は交通事故に遭い、別の世界に魔王として転生した。最強の力を貰って。だから何度勇者が訪れても、僕は死なない。その内に、魔王はやはり勇者に倒されるべきだと思うようになる。初めはそうではなかった、僕は現代知識で内政をし、魔族の国を治めていた。けれど皆、今は亡い。早く僕は倒されたい。そう考えていたある日、今回もまた勇者パーティがやってきたのだが、聖剣を抜いたその青年は、同胞に騙されていた。※異世界ファンタジーBLです。全85話、完結まで書いてあるものを、確認しながら投稿します。勇者×魔王です。
【完結】討伐される魔王に転生したので世界平和を目指したら、勇者に溺愛されました
じゅん
BL
人間領に進撃許可を出そうとしていた美しき魔王は、突如、前世の記憶を思い出す。
「ここ、RPGゲームの世界じゃん! しかもぼく、勇者に倒されて死んじゃうんですけど!」
ぼくは前世では病弱で、18歳で死んでしまった。今度こそ長生きしたい!
勇者に討たれないためには「人と魔族が争わない平和な世の中にすればいい」と、魔王になったぼくは考えて、勇者に協力してもらうことにした。本来は天敵だけど、勇者は魔族だからって差別しない人格者だ。
勇者に誠意を試されるものの、信頼を得ることに成功!
世界平和を進めていくうちに、だんだん勇者との距離が近くなり――。
※注:
R15の回には、小見出しに☆、
R18の回には、小見出しに★をつけています。
【完結】その少年は硝子の魔術士
鏑木 うりこ
BL
神の家でステンドグラスを作っていた俺は地上に落とされた。俺の出来る事は硝子細工だけなのに。
硝子じゃお腹も膨れない!硝子じゃ魔物は倒せない!どうする、俺?!
設定はふんわりしております。
少し痛々しい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
羽山さ〜ん!!!
お忙しいのに読んでくださって嬉しい😭✨✨
ありがとうございますー!
サンド、失礼しました…っ!
1対1が勿論ベースなんだけど、受を全力で愛する攻ふたり(双子とか片割れとか兄弟とか)の構図がめちゃめちゃ癖でして…!
サンドは好みが分かれるのでどうしようか悩んだんですけど、βの時に、ひとり悲しませてしまったので、レオニスには成就して欲しいという親心が発動してしまいました。笑
リオは全力でかわいいを目指しているので、羽山さんにそう言ってもらえて嬉しすぎます✨
ありがとうございます🥹
何か連載してると取り憑かれた様に文字打ちたくなっちゃうから不思議😂
無理しすぎない程度に頑張りますね✊✨
感想ありがとうございました〜!
読みに来ました〜✨✨
1です!
謎がたくさんのスタートですねっ😆
マサキは魔力持ちですよね。
アヤメは聖女の力ですよね。
これは、マサキ×アヤメのカプ?
けど、マサキが執着している、魔塔主って、、、?
先が気になりますっっ!
小池さん〜!お読み頂きありがとうございます😭✨✨嬉しい…!
ふたりの力の事はなにも言えない…!
関係性がぐっちゃぐちゃの話なので、ストレートにこのCPです!と、言えないのです🤭💦
言えない尽くしで申し訳ないのですが、お暇な時ありましたら、良ければ続きも読んでやってください♡
もれなく燈坂が大喜びします💃✨✨
感想ありがとうございました!
3話まで読みました。
なんだかそれぞれがそれぞれの思惑がありそうですね!
これからそれがどう絡んでいくのか?
先の見えない展開!
続きを楽しみにしています😍
未希さん〜!お読みいただきありがとうございます😭✨✨嬉しい…!
主要メンバー毎の視点で書いているので話の流れはノロノロ🐢〜" ですが、お付き合いくださると嬉しいです🥹💓
感想ありがとうございました!