angel observer

蒼上愛三(あおうえあいみ)

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holy war

剣戟乱舞

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 カンッ、カンッ、ガキン、ガチガチ。剣戟の最中熱く、激しい金属音とともに、火花が飛び散る。
 太陽の沈んだ港で少女と青年は剣を交える。しかし、お互いに殺気は無く、その表情は明るい。
「フッ、その程度では、もうすでに斬られているぞ」
 青年は、剣戟を止めて座り込む少女に告げた。
「仕方ないでしょ、剣なんて初めてだしそれにコレ」
「そうだな、確かに君に聖剣は早すぎたな。私の用意したレプリカだが、正直もう少し骨のある奴だと思ったのだがな、私としたことが過大評価してしまったか」
「うるさい、ちょっと重いだけよ。こんなものこうやって」
 少女は、目の前コンテナ運搬用の大型クレーンの鉄骨目掛けて剣を振るうと、聖剣はカッと閃光を放ち20メートル程先の鉄骨をスパッと横一文字に、一刀両断。青年はは顔を歪めてため息を吐く。
「あっ」
「ハァー、全く君は、いやいい」
「私、まずったかしら」
「ああ、かなりな。今日はもうこれで終わりだ。剣の力は出せるようだし、後は制御することを覚えねば使い物にならないがね」
 そして青年は、斬られたクレーンの元へ歩み出す。
「後は私がしておくから君は、帰ってしっかり休息したまえ」
「あっ」
 少女は、青年を止めようと手を伸ばすが、止めた。そしてそのまま、彼女は帰路についた。翼を生やして。

 「うぅぅ、おもい。おなか」
 私が目を覚ますと、コイオス、クリオスという順番に私のお腹に乗りかかっていた。強引に起き上がり2人を部屋の隅に押しやる。
 敷布団なのでベッドと違い落ちることはないが、2人の表情が徐々に曇り出す。すると、目を開け私を見つけるや否や、目を爛々とさせ襲いかかってくる。それが日課だった。
 ひと段落して、下へ降りると真理亜が朝食の準備を終え先に食べ始めていた。
「お疲れ様です。朝ご飯出来てますよ」
「ありがとう、顔を洗ってくる」
 顔を洗って鏡を覗き髪を整えているとふと左手の甲から中指の先までにある痣か傷のようなものを見つけ、左手を見る。
「こんなのあったけな」
 ちょんと触ると、今度ははっきりとした形が浮かび上がって眩しく輝く。
「なななっなな・・・・何んなのだ」
「やあ、おはようお嬢さん、今度は何だね」
 若よ、動揺しすぎだ。
「姉様」
「それは」
 私は息を呑んでコイオスとクリオスの言葉を待つ。
「「・・・・・・・・知りません」」
 何ですとー。
「知らないならいいわ、朝ご飯食べてきなさい」
「はい、姉様」
「いただきます」
「あッ痛たたたた、僕ごはんじゃないから」
 どうやら2人はまだ寝ぼけているようだ。若の両腕を右は、コイオス、左は、クリオスがハムハムと噛み付いている。だが、そうこうしているうちに左手の光は治ってまた黒い痣に戻っていた。
 朝食を済ませ12月最後の学校へ向かう道中、懐かしい顔触れに出会う。
「あっ、ヒルデさん。お久しぶりですその制服・・・、うちのですよね」
「ああ、そうですね。10月の終わり頃に転入したのですよ」
「へぇ、って、エェェェェ」
いや、そんなに驚かなくても。
「でも、雰囲気変わりましたね。もっとこう体育会系と言う風な口調だったような」
「オホホ、ソウデシタカシラー」
「はい、あの時のこと、私、よく覚えているんです。私が私でなくなりそうになった時に駆けつけて、颯爽と救ってくれたあの姿。今でも忘れられません」
 事件のことは、ほとんど忘れてしまうはずだが、水季は少し違うのか。何にせよこれ以上、天使と関わらせるわけにはいかない。少し酷なことではあるが距離を置いた方が良さそうだな。
「水季、済まないが・・・水季」
「やっぱり私、ヒルデさんが10月頃学校にいたような気がするんです」
 私は面食らった。やはり水季はダメだこれ以上深入りしてはいけない。私でも、どうなっているのかもうさっぱりなのに、普通の子がこれ以上沈み込むのは危険すぎる。
「私、転入したことは気が付きませんでしたが、どうか困ったことがあったら私をたよ・・・・」
 ズゴーン。
 学校へ抜ける道がある都市の高層ビル群の背に港がある。そのコンテナの1つが水季の背後に降ってきたのだ。
「なに」
「コレは、来る・・・・・。走れ水季」
 咄嗟に、水季の手をとって私港方向へ走り出す。相手がコンテナを投げてくるのなら相手に近づけば、都市の被害は減るに違いない。
 港までは、約3分その間にコンテナは6つ降ってきた。そのどれもが空で助かった。コンテナはくしゃりと潰れている。
「ついた。水季は早くここから逃げろ」
「でも、コレ。ヒルデさんを狙って」
「いいから、私のことは心配するな午後には学校へ向かうから」
「絶対ですよ」
 彼女が意外と聞き分けが良くて助かった。
「さあ、いつでもいいわよ。その顔拝ませてもらおうじゃないの」
 黒い靄のような塊が、ぬうっとコンテナの後ろから現れた。見た目は女のようだ。髪は長く、胸もあるが、顔は獣のそれだった。
「whooooーーーーー」
 耳をつんざくような声、いや叫びあるいは、雄叫びを上げてこちらに駆け出した。
「嘘、早っ」
 瞬きをすると死ぬ。そんなことを思いながら、何か武器になりそうなものを探す。
「これしかないか。ガッ」
 どうやら甘かったようだ。すでに黒い女は、私の隣にいて私を蹴り上げていた。高さにしてどれくらいだろうか。おそらく50メートルは軽く飛ばされたと思う。しかし、こんなこともあろうかと、今日は上着の中にイカロスを装着して登校してきておいたおかげで、コンテナと同じ末路を辿らずに済みそうだ。
「Gaaaaーーーー」
 それから奴は雄叫びを上げる。まるで生きていることに腹を立てているかのようだ。追撃をするためにコンクリートを抉ってロケットのように垂直に飛んで来た。
「残念だったわね。こっちにはこれがあるんだから」
 Brooo、ブイーン。さっき見つけたチェーンソーを抱えて、上昇する敵目掛けて、急速降下し、思い切り振りかぶり敵の左肩から右腹への袈裟斬りを狙い、高速回転する刃を振り下ろす。
「もらったーーーー」
 私から見たら右肩、つまり敵から見たら左肩に寸分違わず綺麗な軌道では入ったはずだった。だが、予想外にも黒い身体は鋼のように硬く、先に悲鳴を上げたのは、チェーンソーであった。チェーンソーは粉々に砕けて霧散してしまった。
「なんで、キャッ」
 困惑する私の隙を敵は逃さない。女は、私の手首を掴み、地面に叩きつけた。
「痛ッ。ゴホッ、ゴブォ」
 胃の中で朝ご飯が、暴れまわっている。油断したら一気に口から吐き出されるであろう。が、我慢できなかった。
「ガハッ、ウヴェ、オフ」
 朝ご飯だと思ったものは、何故か赤かった。そうか内臓に傷が入ってしまったみたいだな。
 港のコンクリートに血を吐き続けているため、一面真っ赤である。黒い女はどこから出したのか、弓を構えて矢をこちらに向ける。もうこれで終わりか。あっけないものだなと、最後の時を覚悟する。
 体は、痛いが、すでに限界を超える失血で意識もはっきりしないため痛いのか、熱いのか、寒いのか、もうそんなことをただ頭の中でぐるぐると変えている。
 矢は放たれた。黒く、邪気をまとった矢が一直線に心臓を捉えようとする。
「やれやれ、あれだけ忠告したにもかかわらず、呑気に外を出歩こうとは、君を殺すこことは簡単そうだな」
 空気が一点に圧縮して膨張すると、豪風と共にオケアノスが、剣を構えて矢を斬り払う。
「ハッ」
 斬られた矢は、どういうわけか閃光と激しい熱を放出し爆発した。
「大丈夫、ではないようだな。一旦引くぞ文句はないな」
 動けない私を脇腹に抱えて大きく跳躍する。彼は、飛ぶ羽がなくとも空を自由に舞っていた。そこで私の意識は、とうとう闇へと落ちた。
 頭、痛い。意識が戻ると、いつの間にか見知らぬ樹海にいた。
「ここは」
 木々の隙間から差し込む光、並び立つ木々の表面に付着した苔の水滴が神秘的にキラキラと輝き、生命のなんたるかを感じさせる。
「おーい、だれかー」
(おーい、だれかー)
 声は、反芻するだけで、私の声以外は帰ってこない。と、
「少しは静かに出来ないのか。それとも、早々に傷口を広げたいのか君は」
「なっ何よ。いたの」
 顔が火照っているのが分かる。私は、そっぽを向くと、オケアノスが呆れて言う。
「心外だな。ここは、私の心象を具現化した世界だ。そうさな、差し詰めマイホームならぬ、マイワールドといったところか」
「意外とピュアな趣向なのね」
「ああ、自然が私と良く合うのだよ。つまり、この胸の鼓動とこの自然に流れる時の波動とが、マッチングして心地よいのさ」
 どうも、焚火をこしらえてくれていたようだ。ここからでも火の温かさを感じる。日の差す森の中は、案外ひんやりとしていて、肌寒く感じられる。
「寝起きに騒々しくて申し訳ないが、状況を教えて貰おうか」
「ええ、いいわよ。私としては、最悪よ。チェーンソーで戦ったのだけれど傷はおろか、先にチェーンソーがお亡くなりなる程硬い皮膚で、おまけに多彩な武具としなやかな動きが特徴ね」
「なるほど、加えて君は戦闘経験はない」
「当たり前でしょ」
 そうだ、私は戦ったことはない。あると言えば、コイオスとクリオスから逃げ惑っていただけである。だってわたしは・・・・、
「観測者か」
 オケアノスが小さく呟いた。
「君は、なぜ自分があれだけの深手を負って生きていられたかわかるか」
「私が悪魔で」
「残念だがその認識は間違いだ。ではもう1つ聞くが、自分が悪魔だとだれから教えてもらったのかな」
「・・・・・」
 その質問に私は答えられない。なぜか、そう答えは、初めから分かっていた。誰からも教えてもらっていないからだ。額に汗が流れる。
「悪魔では、神の一撃には耐えられない。また、悪魔は人間の悪性から産まれるものだ。君からは、何ら悪たらしめる気配はない」
「それじゃあ私は、私は、何者だというのだ。名前もない、夢もない、記憶もない私は何だって言うんだ」
 眼には溢れんばかりの涙が、溜まって一粒、雫が落ちた。
「そう悲観することはない。君には、今がありそして、大切な仲間、家族がいるのだから」
 ハッとして、私はオケアノスの顔を見る。オケアノスは、私の目を見て、観て、視て、逸らさない。真剣そのものな表情で言う。
「君にはあるが、私にはないものがある何だかわかるか」
「・・・・・」
「愛だ。私には、愛が分からん。神は等しく、横並びに、水平に万物を扱う。だから、愛というものを責任や義務とで天秤にかけることはない」
「それこそ簡単よ。守りたい、助けたいと思ったら、それが愛よ」
 オケアノスは、顎に手を当てて考え込む。少しの間森の中が静寂に包まれる。
「私が、堕ちてしまった弟たちを救いたいと思っていることも」
「ええ、愛ね」
「なるほど、愛とは奥深いものなのだな。男女の相思相愛だけではないのか。いやはや、君は、かなりの知識人とみえる。かのソフィストたちを相手にしているようだ」
「うーん、まあ、そうね知識だけは、なぜだかあるのよね」
オケアノスは、スッと立ち上がると樹海が霞んでいく。ものの数秒でもとの港の近くに、私はいた。
「帰って来たか。あーあ、学校どうしよう」
「帰って来て早々申し訳ないのだが、先ほどの礼に、君に剣を教えよう。いつまた、昨日のやつと戦うかわからんからな、私も追ってはみるが、もう1日経ってしまったようなものだ」
 港から水平線の方を見ると、穏やかな波の中へ太陽が半分だけ顔を出して、夜の訪れを告げようとしている。すると、オケアノスが、一本の剣を渡してきた。
「これは」
「聖剣の類いだ。レプリカたが、使いこなせば本物を打ち破るかもしれん。使いこなせば、だが」
「ふーん、ようは、あんたの剣を超えればいいのね」
「果たしてそう簡単にいくかな」
「やってみなきゃ、わかんないでしょ」
私はオケアノス切り掛かるが、サッと避けて、私の腕を掴むと柔道のような投げ技を見事に決めた。
「力任せに切り掛かると、隙も大きく
使った力を相手に利用されてしまう。人間は、合気道と呼ぶな」
私は、日が暮れても、一向に一太刀入れることができない。ぶつけ合う度、剣の振動で手が痛い。オケアノスは、簡単に、剣の側面で私の頭を軽く叩いはこう言う。
「これが刃だったら、即死だぞ。やれやれ体力造りから始めるべきだったか」
などと、ぶつくさ、ぶつくさ呟く。ガキンと、剣がしのぎを削り合う。何度も何度もその刃を削っては、火花を散らす。
「少し本気を出すとしよう」
オケアノスを包む空気が変わった。張り詰め緊張感と集中力。私は、負けられない、たとえこれが遊びだったとしても、私は負けない。「ほう」と何かに感心したオケアノスが、間合いを詰め、剣を振るう。私はそれを凌いで、カウンターに持ち込むが、やはり避けられ、剣を振る速度が増していき、もう受けることしか出来ない。
 私は、ただじっと次の機会を避けて、凌いで、受ける。オケアノスの激しく、力強い剣さばきは、まさしく剣戟乱舞していた。そしてその時は来た。
 オケアノスが突こうと腕を引いた瞬間、前転して彼の背後を取りその背中に突進したのだが、剣を軸にオケアノスはアクロバットを披露して宙返り、次の瞬間には、喉元に剣を突き立て、動けないように腕ごと私の体を余った片方の大きな腕で、しっかりと固定していた。
「いっ、いつまで掴んでるのよ」
「ああ、済まない」
 解放されるとすぐにその場に座り込み、オケアノスを見上げる。
「フッ、その程度では、もう斬られているぞ」
「仕方ないでしょ。剣なんて初めてだし、それにコレ」
「そうだな、確かに君に聖剣は早すぎたな。私が用意したレプリカだが、正直もう少し骨のある奴だと思ったのだがな、私としたことが過大評価してしまったか」
「うるさい、ちょと重いだけよ。こんなものこうやって」
 聖剣のレプリカを構えると、ブワッと剣が緋く発光したのにも気づかずに、横一文字に、大型クレーン目掛けて振ると、剣から閃光が放たれて、クレーンの鉄骨がスパッと見事に一刀両断された。
「あっ」
「ハァー、全く君は、いやいい」
「私、まずったかしら」
「ああ、かなりな。今日はこれでもう終わりだ。剣の力は出せるようだし、
後は制御することを覚えねば使い物にならないがね」
 オケアノスはクレーンに近づきこちらを見て、「後は私がしておくから君は、帰ってしっかり休息したまえ」と言うので、一言何かに言おうと思ったが、
「あっ」
 彼は、何か詠唱を始めてしまったので「ありがとう」の一言も言えずに、見つけ出しておいたイカロスを機動させて、闇の支配するそらへ飛び立つ。
「また、会えるよね」
 多少の心残りはあるけど、これで少しは戦える。さあ、帰ろうあいつの言う大切な家族、私の大切な家族の元へ。
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