angel observerⅢ 大地鳴動

蒼上愛三(あおうえあいみ)

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大地の章

混濁

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 「あっ、ヒルデじゃん何してんの」
 その声の主は美沢華蓮だった。「いや、えっと、そう花壇の様子をちょっとね」
「へぇー。優等生様はやっぱ朝から違うわ。あたしは奏花探してるんだけど、いなくって」
「お休み」
「違う、違う。一緒に登校してきて新聞部の活動。新聞貼りを手分けしてたんだけど、あいついないんだよなあ」
「私も探そうか」
「本当に、サンキュー。私の探してないのは校舎の中だけだからさ。ホームルームには間に合うと思うからさ。あたしは食堂の方行ってみるから。ヒルデは購買の方よろしくな」
 ということで任されたわけだが、田島奏花の捜索か。彼女なら確かに食堂か購買にいそうな雰囲気よね。
 私たちの教室があるのは購買側で華蓮も気を使ってくれたのだろう。それにしても上から来たのがバレてなくてよかった。
 私はそっと胸を撫で下ろして、校舎へと入った。
 靴を履き替え、そのまま購買へ立ち寄る。報告はホームルームの時でいいだろう。
 購買ではパンやおにぎり、ちょっとしたお菓子に文房具類あとは体操服と制服のオーダー票があり、わりとここでなんでも揃うので、いつの時間もそれなりに人がいる。大きさはコンビニエンスストアの四分の一くらいだろうか、広いと私は思う。
 しかし奏花がいそうなのは食品コーナーだろうが、
「いない。購買にはいないのかしら」
 ぐるりと一回りしてみたものの彼女姿はない。やはりここにはいないようだ。一度教室で華蓮の帰りを待とう。
 教室で待っているとホームルームのチャイムと共に華蓮が戻って来た。
「ヒルデ、奏花は」
 私はかぶりを振る。
「あいつどこ行っちまったんだよ」
「席についてください。ホームルームを始めます」
 担任はまたも日出陽菜でクラスのメンバーも同じだ。このクラスはクラス替えがないらしく一年生の時から一緒だと後で華蓮に聞いた。「あら田島さんがいないのね」と出席簿に欠席を入れようとした時一人の女子が「さっきトイレでみましたよ」と言った。トイレ、私もここへ来る時前を通ったがその時はいなかった。「どこのトイレ」と先生が聞き返し、「プールサイドのところ、朝練の後に更衣室よったときに見かけました」奏花の話はここまでとなり、あとは最後の一年とか最高学年として云々と言った話をしてホームルームは終了した。
「ヒルデ1限までの間付き合って、お願い」
 華蓮が手を合わせて、お願いして来た。おそらくプールサイドのトイレに行くらしい。断る理由もないので二言返事で「いいわよ」と言って早速プールサイドのトイレに向かった。
「奏花、おい奏花。たくどこに」
「アレ奏花じゃない」
 私はプールサイドの椅子に腰掛けている。奏花見つけ華蓮に確認をとる。
「ああ、奏花だ。奏花こんなとこで何してんのさ。授業始まるぞ」
「あ、華蓮ちゃん」
「あ、華蓮ちゃんじゃない。初日から先生やみんなを心配させるなよ」
「ごめん、ちょっと考えごとしてて」
 奏花の手には一枚の写真が握られている。
「その写真と関係があるのかしら」
「そうだよ。この写真に写ってる子のこと考えてたんだ」
 華蓮が写真を受け取り私もそれを横から見る。その写真には奏花と美麗が並んで写っていた。中学生の時の物だろうか。
「それで、なに悩んでんのよ。能天気な奏花がめづらしいね」
「華蓮ちゃん、ひどーい。私だって悩んだりしーまーすー」
「奏花、本当に何をそんなに悩むことがあったのか話してもらえないかしら」
 私が再び催促すると。「この写真の・・・」奏花は俯き加減で話してくれた。どうやら写真に写ってる美麗のことが思い出せないで悩んでいたようだ。
「手を繋いで写ってるってことは、仲が良かったってことだよね。なのにそんな子のこと思い出せないの。友達かもしれないのに」
 私はポケットの中にあのロケットを入れて来ていたのを思い出し、ロケットを取り出した。
「これ高台の上の公園に落ちてたのよ。あなたたちのじゃないかと思って拾っておいたのだけど」
「中、見てもいい」
 華蓮がロケットを開く。すると華蓮の顔が固まって、頭を抱えて座り込んでしまった。
「どうしたの華蓮ちゃん」
「いやちょっとな。ヒルデ、悪い返すわ。あたしそれ持ってると頭・・・痛いし」
「ヒルデちゃん、私も見る」
 華蓮から返されたロケットをなかば奪いとるようなかたちで奏花が持っていった。
「あっ、私と華蓮ちゃんと・・・またあの子だ」
 今にも泣き出しそうな顔で、それを一度抱きしめ「ごめんね」と奏花は呟き、ロケットを私に差し出した。
「私も返すね。ヒルデちゃんが持っていた方が今はいい気がするんだ」
 私も彼女たちの間に何があったのかは知らない。ただ言えることは彼女たちは、もう櫻田美麗に会うことは叶わないということだけは変わりようのない事実だ。
 しかし私はそれを口にする勇気がない。記憶がないなら、彼女たちのためにも言わない方がいいのだろうか。
 そうして三人が各々の考える中、一限を告げるチャイムの音が誰もいない、満たされることのないプールサイドに鳴り響く。
「一限よ。また・・・また、みんなで考えればいいわよ」
「そう、だな」
「うん」
 私たちはひとまず教室に戻り授業を受けた。けれど私は授業中も美麗のことを考えていた。
 このタイミングでこのロケットを見つけたのにはまだ彼女に関してのピースが足りないということ。さっきの奏花の言葉はあながち間違いではないのかもしれない。「ヒルデちゃんが持っていた方がいいと思うから」この言葉がどうにもに引っかかる。
 そうこうしてる間に、昼休みになり私は購買でパンを買い屋上に向かった。人気がなく考え事するにはうってつけだからだ。加えて明るいので、体育館裏や校舎の陰よりはマシな考えが浮かぶかもしれないと思ったのも一理ある。
「整理すると、要は前回の戦いがまだ続いているってことよね。なら」
 屋上のドアを開けると真上にある太陽が温かく輝いている。私は給水タンクの横に座ってパンを頬張りながら、再び思考実験に埋没する。
 なら、前回からおさらいすればいいのかしら。今回の事件、オケアノスの怪我、ロケット、三人の関係、日本に現れた美麗の体を操るガイア。
「オケアノスの怪我は美麗の体を使っているガイアの仕業」
 でもちょっと待って、ガイアはあの体は馴染まないって言ってた。ということはあの体も複製なのかしら。
 ああ、わかんなくなってきた。
「そうだ、美麗のウチに行ってみるのはどうかしら」
 そこまで考えて私は重大なミスを見つけた。
「美麗の家どこか知らなかった」
 これで振り出し。頭の中はもうごちゃごちゃでいっぱいだ。勉強ならできるつもりだったが、ここまでとは私はバカだったのか。いやこれは単に管轄外なだけよ。
 頼るべきはこういう違った謎解きをする人物か誰かだが、誰かいたか、こうナゾナゾが好きですとか、以前テレビで見た『た・ん・て・い』みたいな人はいないものか。
 一番の候補はオケアノス、けど療養中だし、二番目は父さんことクロノス、でも一人旅中だし神出鬼没。三番目は、
「というわけなんだ若、ちょっとした推理のレクチャーをしてほしいの」
「いやあ、僕が三番目に頼れるというだけで嬉しいよ。確かに勉学とはまた違った頭の賢さが必要な案件だねお嬢さん」
「そうなんだ。私も考えたのは考えたのよ。でも今ひとつなのよ」
「じゃあまず、何を明確にしたいのか確認してごらん。それが固まったら、次はパズルを解く。最後にパズルの色をつける。これで一枚の絵は出来上がる」
 なるほど手順として私は、何を本当に知りたいのかがあやふやだったのだ。その工程を飛ばしていたがために、見えるものも見えなかったわけだ。
「わかった。ちょっと考えてみる」
 私が一番知りたいこと、ガイアのこと、それとも美麗の過去、私自身のこと。
「ダメ、知りたいことが多すぎて一つになんて絞れないわ」
「ははは、お嬢さんが何を知りたいかはわからないけど、身近なことからでいいじゃないかな」
「身近なことか」
 私に身近なことは、自分のことをもっと知りたい。そうよ、私は私を知らなさすぎるんじゃないかしら。私ってナニかよくよく考えてみればわからないじゃない。
「私って何かしら、若」
「・・・・・おう、いきなりのぶっ飛び質問頂きました」
「アレ、言い方おかしかった。じゃあ、私の存在とはどういうものかしら・・・ん、これもおかしい気がする」
 若は困ったように苦笑いで答える。
「自分のことなんて自身が一番気づきにくいものさ。だってそれは考えるものじゃない、見つけるものなんだよ」
「見つけるもの」
「そう、自分の心を見つけてごらん。そうすると自分の本当の心、本心てやつがなにかわかるかもしれない」
 若の言いたいことはよくわかる。考えてわかるならみんな考えて自分が何者か気づけばいい。だけどそうじゃないから、探して探してようやく自分とは何かの欠片を拾い集めて、ようやく自分という形に、在り方に気づくのだ。
 若は知りたいことは考えるだけじゃない。知るということは行動するということだと言いたいのだ。
「行動あるのみってことなの」
「そうとも言うね」
 なら私がすべき行いは、自分のルーツから探ることにある。今一度、私自身が何ができて何ができないのかをはっきりさせなくては。
 そうと決まれば、コイオスとクリオスに・・・はダメだ。彼女たちにはギリシャの情報収集を頼んでるんだった。
「よし、真理亜にまず聞こう」
 そろそろ帰ってくる時間のはずだ。
「ただいま」
「真理亜っちょっといいか」
「何ですか」
「私って真理亜から見てどう思う」
「ええっ、あっえっとどうと言われましても。優しくて頼りになるお姉さんって感じですかね。なんか恥ずかしいですね」
「わかった。『優しくて頼りになる』だな。少し出かけてくる。夕飯までには帰るから」
「はあ、行っちゃった」
 なるほど、真理亜から見れば私は優しくて頼りになるように見えるのか。
 勢いで飛び出してきたが大丈夫かな。
「お姉さん、お姉さん、ちょっと寄って来な」
 商店街を歩いている途中に、左腕をぐいっと引かれてとある店に連れ込まれた。
 抗おうとしたが、引く力がやけに強く足がもつれて、力が入らなかったのだ。半ば引きずられるようにして入店となってしまったが、客引きとはこうも力強いものなのか。
「ちゃうちゃう、うちやゼウス」
 この独特な雅な京言葉は、なるほど抵抗できなかったのも頷ける。店内はオレンジ灯に彩られて温かみを視覚情報で得られる。カウンターには、エプロン姿のウェスタが堂々とかつ流麗に立っていた。
「ウェスタ、もとい姉さん。どうして日本に」
「ゼロの扉は使えへんけど、うちらには、翼があるどこにいてもおかしないんやで」
「はあ、それでこの店は」
「よう気づいてくれたわ。これはうちの四号店かっこ仮ってやつや。アラスカとタイの山岳に二号店と三号店の釜だけはもうあるで」
 私は絶句している。かつこの姉の適当ぶりに開いた口が塞がらない。なぜ四号店からオープンさせたのか。
「四からなん不思議やろ。でも訳はあるさかい、話せば長なるいうて話さんのもつまらんし、ちと付きおうてもらいまほか」
 ウェスタはカウンター内にあるお酒をグラスに注いでグイと飲み干した。そして咳払いを一つして「ほな」と話を切り出した。
「ウチらの都、ギリシャは我が祖母ガイアの軍勢に攻め込まれた。人間らはたいそう、惑い逃げよった。『やれ大災害だ』『やれ震災だ』ほんまは違う。流れ込んで来たのは津波やのうて海の魔物、地を鳴らしよったのは悪鬼の足音。空から降るのは蛇蝎磨羯だかつまかつの息吹。街はやけ多くの人間が死によった。ウチら必死になって止めよった。
 けどあかんかった。間に合わへんかったんとちゃう。諦めたんや。そんでここへ逃げて来た。伯父オケアノスも負傷し、ネプトゥヌスは海の魔物と共に行方知れず。
 ウチら女衆はとりあえずアジアの中ほどまで逃げよったけど、途中で逸れてもうた。そないな中ウチは追ってを振り切りここまで来たそして三号店予定地に釜を置き、ここの商店街に四号店を新たに開店・・・」
「待って、待って最後のはいらない気がするけど、結局『諦めた』ってどういう意味なの」
 ウェスタはグラスをの中の氷をカランと鳴らしてまた、そこにお酒を注ぐ。
「諦めたのはウチらやない、人間や」
 私は話に追いつけていない。ウェスタの言っていることが今ひとつ掴めない。人間が諦めることとギリシャの被害が増えることの何処に関係するというのか。
「分からんか、ウチらの力の源は何や」
「私たちの力の源、確か『信仰力』」
「せや、そいで人間ら極限状態に達したら神なんておると思うか。思わんやろ。逆にこんな酷いことなって誰も救ってくれへんし神なんておらへん思うのが普通や」
 そう言って飲み干したグラスを強めにカウンターのテーブルに置いて「普通はな」と付け足した。
「ウチらが逃げ切れたんは、一部の人間が『神の天罰や』とか思うてくれたからや。こんなもんほんまは天罰やあらへん。神の侵略行為やで」
「でもじゃあ、ガイアはどうして力を保ったままで入られたの」
「それはガイアが地球そのものやから、信仰力の供給源がウチらと根本的に違うんや」
 ウェスタに言わせれば、私たちがゼンマイならガイアはガソリンで動くほどの力の差があるようだ。
「天使を観測する。あの人には分かっとったんかも知れんな」
 彼女はポツリと呟く。私にはその言葉が意味深に聞こえ曖昧な返答をした。
 天使を観測する。考えてみれば一番最初の目的はそれだった。私と人間を繋いだ出来事。ターニングポイントというやつだ。私はふと思い立った。
「まあ、なんか食べてくか何でもええよ。サービスや」
「ありがとう。でも今日はいいやウチで、若の家で真理亜が待っているから」
「そやけ。ならしゃあないな。あんたとこの物好きな男とあの子、うちにはどうも危なっかしい思うんや。あんたがしっかりと守ったり、ゼウス。ほなさいなら、冷えへんうちにお帰りな」
「ありがとう姉さん。話せて良かった。またみんなに会ったら私にも教えてね、じゃあ」
 ポロンポロンと扉に付けられた金が音を鳴らして扉がゆっくりと背後で閉じた。
 帰る前にひと作業終えてから帰ろう。「天使の観測」この出来事を始めなければならなかった理由とガイアの争乱の動機が繋がっている気がする。確証はないが私は強くそう思った。
 私は商店街の突き当たりにある地下鉄の駅を降り都心行きの電車に乗った。ギリシャが壊滅状態に陥るのに話を聞いた限り、2日足らずでほとんどの地域を制圧したようだ。このまま世界中を侵略してくるとしたら、そう悠長に構えていることもできない。
 対策を練ろうにも情報も人手もない。何とかしてバラバラになったみんなと連絡を取らなければ。
 そうだコミュニティ、ああでも私繋ぎ方知らないや。もうだめじゃん。頭を抱えてしゃがむと、天使の記録帳「レコード」そろそろちゃんとした名称をつけるべきかしらね。ともかくこのレコードがひとりでに振動する。マナーモードの携帯電話のようにだ。
「開けろってこと、きゃっ」
「ブハー」
 なんか出た。いやまあ天使だということは言うまでもないのだがいきなりなので少し驚いた。
「オッツー。あんたが神さんか。呑気そうな顔してんのなー」
「誰」
「誰とはご挨拶な。オレはあんたが捕まえた、観測した、閉じ込めた天使、NO.30から50の間の天使だぜ。性別はないが体つきは女だ。だが女扱いはごめんだ。そこんとこよろしくな」
 はあー。私は彼女をじっと見つめる。イヤどこからどうみても男だなと思ってしまう。まあ胸もあるが薄い、私より薄いのではないだろうか。しかし肌質は柔らかそうじゃなくて、そんな解説は後回し。
「何で出てきたの名前は」
「いや、なんか体動かしてえなと思ったらあんたがコイツをちょうど広げたからよ。そしたらなんか出てたんだ。んで名前はあんたが付けてくれ。不自然に空白のページがあればそこがオレのページだ。探してみろよ」
 とりあえず店の前でもなんなので、路地裏に入り改めてレコードのページをめくる。あった『NO.34、筋肉の神に仕える天使。体の屈強さ頑強さは天使の中でもトップクラスだが能力ではなく純粋な筋肉』他のページは天使の説明と天使の絵が合わせて描かれているが、このページだけ絵がない。おそらくこのページで間違いないだろう。
 名前か三十四だしまあ簡単に「ミヨシ」と名付けておこうか。
「オレは基本、動く専門だ体を使ったことならオレを呼べ、でオレの名前はなんだ」
「ミヨシって名前はどうかしら」
「344じゃないがいいのか、その本は勝手にページが増えてくの知ってるだろ」
 なんだと、私知らない。そんなこと知らないのですが。
「じゃあ、じゃあ。イドゥ。ガンマとデルタでイドゥよ」
「おっいいじゃん。気に入ったグドゥじゃないだけマシだ。オレはイドゥだよろしくな主さん」
「ええイドゥ、よろしく」
「じゃあ、この街ひとっ走りして戻るわ」
 ええっ、走る。街が見たいなら飛べば。
「あっ飛べよとか思ってるだろ。分かってないな。夕焼けの中堤防を爆走すんのがこの国の楽しみっつうもんだろ。じゃあ、行ってくるぜ」
「ああ」
 彼女、いやもう彼でいいか。彼は夕陽に向かって商店街を走り去って行った。何の影響を受けたんだ一体。しかし残念ながら彼が走って行った方に堤防はない真逆である。
 お決まりの展開ね。
 彼は夕飯の買い物に終われる主婦たちの間を突っ切っていくが、どうやら天使は人間の体を透き通って行けるようだ。
 以前、オケアノスから聞いた話では、天使は魂の導き手であると。それ故にエデンへと導き昇華させるため、翼を持ち神の代行として、降臨するのだとか。
 しかし、ここ最近では、降臨コールはなく本当に静かと言わざるおえないのだが。
 自分探しに出てかれこれ二時間と少し、自分のルーツを辿ればきっとガイアの存在に行き当たることは間違いない。過去をよく知る人物、もとい過去をよく知る神に会えれば、私のこの悩みも万事解決となるのだが、神といえどそう上手くいくことはないのである。
「でも、ウェスタがここに、日本に逃げてきたってことは、もしかしたら他にも日本に来てるかもしれない」
 コイオスとクリオスには悪い気がするが、こちらはこちらで姉兄に会えれば僥倖ではないのか。手間も省けるというもの、となれば一番日本に来ている可能性が高いのは、ネプトゥヌスかユーノ。その次にケレス、最後にプルトか。ユーノは正直どこにいそうかも検討がつかないので、ネプトゥヌスがいそうな海から当たってみるとしよう。
 幸いにも、この町には港がある浜辺はないが貨物船やら漁船などたくさん停泊するのだ。
 そうと決まれば早い方がいい。夕飯までには帰らないと真理亜に申し訳ないし。
 私は路地裏に戻りアーケード街の外階段を登り人目がつかないところに出て、飛翔した。はじめの頃とは比べ物にならないほど速度も高度も上げられるが、なにぶん慣れないもので、六枚羽根をぎこちなく動かして港へと向かうのだった。
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