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攻防
幕間2
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一方、ウェスタはいつも通り厨房に立ち、お腹を空かせた客をもてなしていた。
普段と違うといえば、ここにケレスとユーノがいることだった。
「お前さんらいつまで食べはるん?」
「こいつが折れるまでよ」
「あらケレス姉さんは甘いこと」
ケレスとユーノは、ウェスタの釜飯をその胃袋に詰め込んでいく。ウェスタは呆れてものも言えない。だがただ一言だけ口にできたことは。「ありがたみがあらへんなあ」だけである。
もちろんのこと二人は聞いているはずもなく、黙々と食べ進めるのであった。
しかし、この二人とて単に大食い対決をしているわけではない。
「力付けなあかんのはわかるけど、あんたらそれでええんか?」
「いいんだよ。今更、修行とか特訓とか面倒だし、これが一番手っ取り早いのさ」
「そうね。ウェスタ姉さんには感謝こそすれ、こればかりは目を瞑ってもらう他にありません。女は度胸ですからここぞという大一番では、体力の消耗は大きいですから」
「そうかいな」
ウェスタは厨房の裏に行った。
カウンター席に並んで座る二人はお互いの皿を平らげると、伸びをして外に出て行った。
「さて、ここが正念場かね」
「どうでしょう。あの子ちょっと調べてみたけど、バランスが以上だったわ」
「ん?栄養か?」
「バカ言ってないで真面目な話なのよ」
「私はいつも真面目ですー」
「はいはい。でねおかしいのは三位一体に関することなんだけど、彼女にはそのどれもがある。けれどどれも完全じゃない。精神も魂も身体も、全部そのまま三等分。精神が三つ魂も三つ
身体も三つに分けられてしまっている」
ケレスは腕を組んで唸る。
「つまりどういうこと」
「それはね・・・」
「分けられとるはずやのに一人一人に『個』というものがある。それも薄く引き伸ばして今にも切れてしまうほどの自我がそれぞれにあるわけやね」
ウェスタが厨房とカウンターの流しの間にある暖簾から、顔を出して言った。
「ウェスタ姉さんの言う通りよ。ただしそうなると、性格は精神に左右される。ケレス姉さんの農場にいたあの子は『怒』の彼女。残るは」
「『喜』『哀』『楽』か」
三人は沈黙する。どういった経緯であの少女があのようになってしまったのか、それを知るものは誰もいない。
しかしウェスタは考えはすれど同情はしなかった。
そんな沈黙を破ったのはケレスだった。
「でもさ敵なんだろ。なら抗うしかないと私は思う」
「私もそう思うな、相手さん各個人として自我はあっても状況はわからんのやろ。ならその無垢なる心を鎮めるのもまた私らの仕事とちゃう」
ユーノは少し考える。彼女は信じていた。少女を救うとこが自分にはできることを。
「まあ、気張ってからの話やけどな」
「姉さん」
以外な言葉にユーノは驚く。
「なんややらんのか」
「や、やるわ。私の全力できっとあの子を救ってみせる」
ウェスタは微笑し厨房へと消えていった。
ケレスはというと少し楽しげに笑っている。
どうやら三人の気持ちは同じ方向を向いていたようだ。
普段と違うといえば、ここにケレスとユーノがいることだった。
「お前さんらいつまで食べはるん?」
「こいつが折れるまでよ」
「あらケレス姉さんは甘いこと」
ケレスとユーノは、ウェスタの釜飯をその胃袋に詰め込んでいく。ウェスタは呆れてものも言えない。だがただ一言だけ口にできたことは。「ありがたみがあらへんなあ」だけである。
もちろんのこと二人は聞いているはずもなく、黙々と食べ進めるのであった。
しかし、この二人とて単に大食い対決をしているわけではない。
「力付けなあかんのはわかるけど、あんたらそれでええんか?」
「いいんだよ。今更、修行とか特訓とか面倒だし、これが一番手っ取り早いのさ」
「そうね。ウェスタ姉さんには感謝こそすれ、こればかりは目を瞑ってもらう他にありません。女は度胸ですからここぞという大一番では、体力の消耗は大きいですから」
「そうかいな」
ウェスタは厨房の裏に行った。
カウンター席に並んで座る二人はお互いの皿を平らげると、伸びをして外に出て行った。
「さて、ここが正念場かね」
「どうでしょう。あの子ちょっと調べてみたけど、バランスが以上だったわ」
「ん?栄養か?」
「バカ言ってないで真面目な話なのよ」
「私はいつも真面目ですー」
「はいはい。でねおかしいのは三位一体に関することなんだけど、彼女にはそのどれもがある。けれどどれも完全じゃない。精神も魂も身体も、全部そのまま三等分。精神が三つ魂も三つ
身体も三つに分けられてしまっている」
ケレスは腕を組んで唸る。
「つまりどういうこと」
「それはね・・・」
「分けられとるはずやのに一人一人に『個』というものがある。それも薄く引き伸ばして今にも切れてしまうほどの自我がそれぞれにあるわけやね」
ウェスタが厨房とカウンターの流しの間にある暖簾から、顔を出して言った。
「ウェスタ姉さんの言う通りよ。ただしそうなると、性格は精神に左右される。ケレス姉さんの農場にいたあの子は『怒』の彼女。残るは」
「『喜』『哀』『楽』か」
三人は沈黙する。どういった経緯であの少女があのようになってしまったのか、それを知るものは誰もいない。
しかしウェスタは考えはすれど同情はしなかった。
そんな沈黙を破ったのはケレスだった。
「でもさ敵なんだろ。なら抗うしかないと私は思う」
「私もそう思うな、相手さん各個人として自我はあっても状況はわからんのやろ。ならその無垢なる心を鎮めるのもまた私らの仕事とちゃう」
ユーノは少し考える。彼女は信じていた。少女を救うとこが自分にはできることを。
「まあ、気張ってからの話やけどな」
「姉さん」
以外な言葉にユーノは驚く。
「なんややらんのか」
「や、やるわ。私の全力できっとあの子を救ってみせる」
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どうやら三人の気持ちは同じ方向を向いていたようだ。
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