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RE.プロローグ
天使
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天使の存在は、結局のところなんだったのだろう。これは、僕とお嬢さんの共通疑問である。
お茶を淹れて、僕たちは向かい合って、事務所のソファに座っていた。
初の遭遇。正夢に近い体験。お嬢さん曰く、「天啓てやつだづたんじゃない」と、言ってティーカップに口を付けた。天啓か、困ったことにならなければいいんだけど。
「でも、天使は観測されたし、この件はこれでもう終わったらのかなぁ?」
「どうかしら。まだ、沢山いて次から次へとやって来るんじゃない」
お嬢さんは、ククッ笑いながら恐ろしい事を口にする。
「冗談じゃない。給料も出ないのに」
「私は、帰るけど、天使が何者か気になるし、事後考察には付き合ってあげる」
お嬢さんは、ティーカップを皿に乗せて、手を膝の上に置いた。
「で、あなたはどう思う。あれが天使かどうか?」
僕の意見としては、まず見たことがないということが、前提にくる。
僕は、送られて来たメールと先ほどの映像を録画して置いた物の、丁度あの子が映っている瞬間のところの画像をコピーした紙をお嬢さんに差し出した。
写真には、あの子が手をかざした場面が収められている。よく見ると、翼が生えて見るからに天使という感じである。
「ふーん。確かにこうしっかり見ると天使ね」
「それと後、僕のインカムの音声記録もあるよ。聞くかい?」
僕はこの音声記録こそが、今回の鍵だと思っていた。その内容はとても興味深く、お嬢さんが聞けば「帰る」とは言えなくなるに違いなかった。
「聞かせて」
僕は、パソコンの前に立って、画面のウインドをクリックして音声を再生した。
『angel No.1 observe complete』
そして、雷鳴が轟くと、その後は静寂がいつまでも続き、音声は終了した。
「どうだい?お嬢さんの声だっただろう」
「ええ、そうね。でも私こんなこと言ってない」
「つまり、無意識だったと言いたいんだね」
お嬢さんは、コクンと頷いた。だが無意識とはいえ、お嬢さんが、天使を何らかの方法によって撃退したことには変わりない。
「でも、私、天使の倒し方なんて知らないわ」
「だろうね。しかし、お嬢さん。果たしてお嬢さんは天使を倒したと言い切れるのだろうか」
「どういうこと?」
「お嬢さんの声らしき人物は、最後に『observe complete』と言ったのは覚えているかい?」
お嬢さんは、パッとしないのか、首を傾げたままだ。まあ、話を続けよう。
「つまり、観測完了ということは、メールの文の『観測せよ』に、一致するんだ。だから、お嬢さんは天使を倒したのではなく、観測したんだよ」
「観測・・・した、私が?」
僕は、静かに頷いた。
すると、僕のパソコンがメールを受信した。(メールの受信音が室内に響いた)
すぐに画面を確認すると、またしても、宛先なし、メールアドレスもなしの一方的なメールを受信したたのだ。
えっと、今度は何だ。
〈はじめに、ありがとう。そして、私は確信した。君が私の信頼に足る人物であったことを嬉しく思う。
さっそくだが、次の天使を観測せよ。次の天使は・・・・・〉
と、次に天使が現れる場所が、メールに書かれているが、日にちは、半年ほど先だった。これはまた、随分と几帳面な性格だな。
「お嬢さん、話の途中ですまなかったね。また、天使観測の依頼メールだったよ。でも次は何とか僕ができ・・・」
「私がやる」
お嬢さんは、僕の言葉を待たずに言った。
「えっ」
「私がやってあげるって言ってるの。まあ、何?乗りかかった船だし、途中で投げ出すなんて中途半端だから」
僕は黙っていた。いや言葉が出なかったのだ。正直なところ、お嬢さん無しではきっと、この依頼はこなせないだろうと踏んでいた。
それならばと、僕は、
「じゃあ、僕から改めて言うよ。お嬢さん、観測者『observer』として、天使の観測を君に依頼します」
お嬢さんは、深呼吸をして胸に当てた手を強く握りしめ、
「その依頼、お引き受けします」
そして、僕たちはこの日から協力関係に成った。
お茶を淹れて、僕たちは向かい合って、事務所のソファに座っていた。
初の遭遇。正夢に近い体験。お嬢さん曰く、「天啓てやつだづたんじゃない」と、言ってティーカップに口を付けた。天啓か、困ったことにならなければいいんだけど。
「でも、天使は観測されたし、この件はこれでもう終わったらのかなぁ?」
「どうかしら。まだ、沢山いて次から次へとやって来るんじゃない」
お嬢さんは、ククッ笑いながら恐ろしい事を口にする。
「冗談じゃない。給料も出ないのに」
「私は、帰るけど、天使が何者か気になるし、事後考察には付き合ってあげる」
お嬢さんは、ティーカップを皿に乗せて、手を膝の上に置いた。
「で、あなたはどう思う。あれが天使かどうか?」
僕の意見としては、まず見たことがないということが、前提にくる。
僕は、送られて来たメールと先ほどの映像を録画して置いた物の、丁度あの子が映っている瞬間のところの画像をコピーした紙をお嬢さんに差し出した。
写真には、あの子が手をかざした場面が収められている。よく見ると、翼が生えて見るからに天使という感じである。
「ふーん。確かにこうしっかり見ると天使ね」
「それと後、僕のインカムの音声記録もあるよ。聞くかい?」
僕はこの音声記録こそが、今回の鍵だと思っていた。その内容はとても興味深く、お嬢さんが聞けば「帰る」とは言えなくなるに違いなかった。
「聞かせて」
僕は、パソコンの前に立って、画面のウインドをクリックして音声を再生した。
『angel No.1 observe complete』
そして、雷鳴が轟くと、その後は静寂がいつまでも続き、音声は終了した。
「どうだい?お嬢さんの声だっただろう」
「ええ、そうね。でも私こんなこと言ってない」
「つまり、無意識だったと言いたいんだね」
お嬢さんは、コクンと頷いた。だが無意識とはいえ、お嬢さんが、天使を何らかの方法によって撃退したことには変わりない。
「でも、私、天使の倒し方なんて知らないわ」
「だろうね。しかし、お嬢さん。果たしてお嬢さんは天使を倒したと言い切れるのだろうか」
「どういうこと?」
「お嬢さんの声らしき人物は、最後に『observe complete』と言ったのは覚えているかい?」
お嬢さんは、パッとしないのか、首を傾げたままだ。まあ、話を続けよう。
「つまり、観測完了ということは、メールの文の『観測せよ』に、一致するんだ。だから、お嬢さんは天使を倒したのではなく、観測したんだよ」
「観測・・・した、私が?」
僕は、静かに頷いた。
すると、僕のパソコンがメールを受信した。(メールの受信音が室内に響いた)
すぐに画面を確認すると、またしても、宛先なし、メールアドレスもなしの一方的なメールを受信したたのだ。
えっと、今度は何だ。
〈はじめに、ありがとう。そして、私は確信した。君が私の信頼に足る人物であったことを嬉しく思う。
さっそくだが、次の天使を観測せよ。次の天使は・・・・・〉
と、次に天使が現れる場所が、メールに書かれているが、日にちは、半年ほど先だった。これはまた、随分と几帳面な性格だな。
「お嬢さん、話の途中ですまなかったね。また、天使観測の依頼メールだったよ。でも次は何とか僕ができ・・・」
「私がやる」
お嬢さんは、僕の言葉を待たずに言った。
「えっ」
「私がやってあげるって言ってるの。まあ、何?乗りかかった船だし、途中で投げ出すなんて中途半端だから」
僕は黙っていた。いや言葉が出なかったのだ。正直なところ、お嬢さん無しではきっと、この依頼はこなせないだろうと踏んでいた。
それならばと、僕は、
「じゃあ、僕から改めて言うよ。お嬢さん、観測者『observer』として、天使の観測を君に依頼します」
お嬢さんは、深呼吸をして胸に当てた手を強く握りしめ、
「その依頼、お引き受けします」
そして、僕たちはこの日から協力関係に成った。
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