極上御曹司の純愛〜幼馴染に再会したら身も心も囲い込まれました〜

吉生伊織

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⭐︎トラウマの代償

9


「へぇ~、そうなんですね。ふふふ、隠さなくてもいいですよ。さっき門のところでイケメンの男性に送ってもらってたの、二階のバラ組さんの窓から見えてましたから」
「え!?」
「彼氏ですか? いいなぁ~、あんな格好いい男性の彼女なんて羨ましいです」
「い、いやいや、彼氏とかじゃないですから」
「またまたぁ、照れなくていいですって。まぁ今日は風邪ってことにしておきますけど、今度詳しく話聞かせてくださいね」
「だから、違いますって」

 焦って否定したけれど、それが逆に不自然すぎると思ったのか、本橋先生はニヤニヤとずっと笑っている。

 違いますよ! と何度言っても「ふふふ」と笑うだけで取り合ってくれない。

 あぁ……もう。

 あんなに堂々と門の前まで送られてれば誰かに見られていてもおかしくないのに、朝日くんのことが気になってそこまで頭が回らなかった。

 ただの友人、ただの幼馴染の関係だと胸を張って言い切れなくなってしまった今、否定するだけで精一杯だ。

 なんでこんなことになってしまったのか、自分でも理解できないでいた。




 朝日くんとホテルでの一件があってから四日目。お互いに連絡は取り合っていない。

 食事の時に提案された保育士としての引き抜きについても、結局園長先生になにも言えないままだ。

 朝日くんは一週間の猶予をくれると言っていたけれど、やっぱり転職する気にはなれないでいる。

「あまかわしぇんしぇー、ももちゃんがおもらしちてるよー」
「えっ! あらら、ももちゃん我慢してた? お昼寝の時間だからお着替えしようか。オトくん教えてくれてありがとうね」

 午睡を始める時間になり簡易ベッドのコットを並べていたところで、男の子のオトくんがももちゃんの粗相を見つけて教えてくれた。私は教室の隅で泣きそうな顔をしているももちゃんに駆け寄り、膝をついた。

「ももちゃん大丈夫だよ。風邪ひいちゃうからお着替えしようね」

 じっと立ったまま涙を浮かべ、私の言葉にコクンと小さく頷く。
 小さいながらに申し訳ない気持ちになったのだろう。お友達に指摘されて恥ずかしさで余計に固まっている。

「めんちゃい……」

 駆け寄った私に、俯き加減で消え入りそうな声で謝ってくる。
 そのいじらしさに、胸をぎゅっと掴まれ抱きしめたくなってしまう。

 溢れそうな母性本能を引っ込め、とにかく着替えさせなければお尻もかぶれて本当に風邪をひいてしまう。

 見ると足から床に伝って漏れているため、他の子が踏んでしまう前に雑巾を置いて染み込ませた。その間に、ももちゃんの可愛い頭を優しく撫でてから、手を繋いで洗面所へ向かう。

「ももちゃんぜーんぜん大丈夫だよ。先生が忙しくしてたからお声かけられなかったんだね。先生こそごめんね気がつかなくて」

 そう言うと、ずっと我慢していたのかももちゃんは泣きだしてしまった。
 大丈夫大丈夫と泣き止ませながらパジャマに着替えさせ、暗くした保育室へ連れて行きコットの上に寝かせた。

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