22 / 32
第22話・少女達への想い
しおりを挟む
シャルロッテさんの計らいにより、思いがけず海での初遊びが出来る事になった俺達は、それぞれシャルロッテさんが用意してくれた水着に着替え、今日は海で遊んでみる事にした。
「それにしても綺麗だよなあ……」
カラーモンスターの出す瘴気の影響により、エオスにある水は汚染されている場所が多い。それにもかかわらず、初めて見る海は一片の穢れすら感じさせないくらいに太陽の光を受けて煌いている。
こんな光景を見ていると、ユキほどではないかもしれないけど、どうして海は汚染されていないんだろうかと不思議にはなる。
「お兄ちゃ――――ん!!」
用意してあった青色の短パン水着に着替えた俺が、太陽の光を受けてキラキラと輝く海を眺めながらそんな事を考えていると、近くの岩場の陰に移動をして着替えをしていたティアの俺を呼ぶ声が聞こえ、その声がする方へと振り向いた。
「お兄ちゃーん! えいっ!」
「おっと!」
黒い生地に白の水玉模様が描かれたフリル付きワンピース水着。
それを着たティアが大きく手を振りながら漆黒のロングヘアーを揺らして目の前まで走って来ると、そのままピョイっと俺の身体へ飛び付いた。
そしてそれなりの勢いでティアに飛び付かれた俺は、飛び付いて来たティアを両手で支えながらその場で何度かクルクルと回ってしまった。
「いきなり飛び付いたりすると危ないぞ? ティア」
「えへへっ♪ ごめんなさい♪ それよりもどお? 水着、似合ってるかな?」
飛び付いた俺から手を離して一歩後ずさると、ティアはそう言いながら両手で左右のフリル部分をちょこんと掴み、その場でクルリと一回転をした。
黒を基調とした白水玉模様のフリル付きワンピースはティアにとても似合っていて、歳相応の可愛らしさを感じさせる。まあ、普段から歳相応に子供っぽい部分が多いティアだけど、それでもモンスタースレイヤーとしての役目がある以上、同じ年頃の少女達に比べれば大人な部分も多い。
そんなティアがこうして無邪気な笑顔を見せていると、兄的立場の俺としては安心する。
「うん。俺が思ってたとおり、凄く似合ってて可愛いよ。ティア」
「やった♪ お兄ちゃんに可愛いって言われるの、凄く嬉しいよ♪」
「そっかそっか」
「えへへ~♪」
俺の言葉にその場でぴょんぴょんと跳ねながら喜ぶティアへと手を伸ばし、その艶やかな長い黒髪の頭を優しく撫でると、ティアはニヤニヤと顔をとろけさせながら恍惚の表情を浮かべた。
「こんな水着を着るのは初めてだけど、悪くない開放感ね」
嬉しそうに顔をニヤつかせているティアを見ていると、今度は別の岩場の陰で着替えをしていたユキが戻って来た。
上下共に明るい空色のフリル付きビキニ水着を身に着けたユキは、白銀色のサラサラとした長い髪を揺らめかせながら自分の姿を細かくチェックし、そんな感想を口にする。
普段から大人顔負けの冷静で知的なユキにビキニ姿はとてもマッチしていて、身体つきはまだまだ幼いながらも、十分にビキニ水着を着こなしているから驚きだ。
そしてユキのこの凛とした姿を見ているだけも、ユキは将来、きっととてつもない美人に成長するだろうと断言できる。
「……お兄ちゃん? ユキに見惚れちゃってるの?」
「えっ!?」
頭の上にあった手をガシッとティアに両手で掴まれると、冷たく重い声でそんな言葉が聞こえてきた。
そんな言葉に慌ててティアを見ると、さっきまでのとろけた笑顔はどこへやら。ティアは見つめるだけで凍り付いてしまいそうな目で俺を見ていた。
「あ、いや、別にそういうわけじゃないけどさ……」
「あら? 私にこの水着は似合っていないかしら?」
「い、いや、そんな事はないよ! 凄く似合ってる!」
「そう。それじゃあやっぱり、私に見惚れてたのね?」
「はい?」
「何言ってるの!? お兄ちゃんが見惚れるのは私だけなんだからっ!」
俺に冷たい視線を向けていたティアが、ユキの言葉に対して猛烈な反論を始めた。こうなるともう、いつもの様な展開を迎えるのは目に見えている。
「そうかしら? さっきのエリオスは、私の事をじっと見つめてたじゃない」
「違うもん違うもんっ! そんな事ないもん!」
「はあっ……あなたもいい加減、現実を見つめた方がいいわよ? エリオスはあなただけのものではないんだから」
「お兄ちゃんは私だけのお兄ちゃんだもん! 絶対に誰にも渡したりしないんだもんっ!」
「まったく……あなたには少し現実ってものを見せた方がいいのかもしれないわね」
そう言うとユキはこちらへと近付き、俺の空いている方の腕に両手を絡めて抱き付いて来た。
「ちょっとユキ! 何してるの!?」
「どお? エリオス。少しはドキドキするんじゃない?」
「あー、えっとあの……」
年齢的には子供ではあるが、ティアよりも身体的発育が良く雰囲気は大人顔負けのユキにそんな事をされ、俺は言われたとおりに少しドキドキしていた。
しかしそんな思いを軽々しく口に出せば、ティアのご機嫌がどうなるかは火を見るよりも明らかだ。
そしてそんな状況に陥れば、ティアのご機嫌が直るまでに数日はかかる。モンスタースレイヤーになる為の修行もあるし、機嫌を損ねたティアはまともに修行をしてくれなくなるから、できればそんな事態になるのは避けたい。
「正直に言っていいのよ? エリオス。もしもこの子が機嫌を損ねて修行をしてくれなくなっても、私がその分、しっかりと修行をつけてあげるから」
「ちょっと! お兄ちゃんを強くするのは私の役目なんだからね! だから私を差し置いて勝手にお兄ちゃんの修行をしたら許さないんだからっ!」
「あら? どお許さないって言うの?」
「えっ!? え、えーっと……ユキに出されるご飯を全部私が食べちゃうんだからっ! そうなったらお腹が空いて、ユキはお兄ちゃんの修行をできなくなっちゃうんだからね!」
ティアの考える嫌がらせの方法がなんとも可愛らしく、俺は思わずクスッと微笑んでしまった。
「お、お兄ちゃん! 何で笑ってるの!?」
「あ、ああ。ごめんごめん。ティアが可愛らしくてついね」
「えっ? 可愛らしい?」
「うん。でもティア、俺はティアの事は凄く大切だけど、ユキの事もとても大切なんだ。だから、喧嘩も程々にね?」
「うっ……もぉ……分かったよぉ」
「わ、私も大人気なかったと思うわ。ごめんなさい。エリオス、ティア」
ユキは顔を赤らめながらそう言うと、少し恥ずかしそうにしながらゆっくりと俺の腕に絡めた両手と身体を離した。
「ううん。私もごめんね。ユキ」
「よしよし。それじゃあ、さっそく3人であそぼっか!」
「そ、そうね。そうしましょうか」
「うん! 沢山遊ぼう!」
「よしっ! それじゃあ行くぞーっ!!」
「おー!!」
こうして一悶着はあったものの、無事にそれも解決し、俺達はそのまま海の方へと走り始めた。
「それにしても綺麗だよなあ……」
カラーモンスターの出す瘴気の影響により、エオスにある水は汚染されている場所が多い。それにもかかわらず、初めて見る海は一片の穢れすら感じさせないくらいに太陽の光を受けて煌いている。
こんな光景を見ていると、ユキほどではないかもしれないけど、どうして海は汚染されていないんだろうかと不思議にはなる。
「お兄ちゃ――――ん!!」
用意してあった青色の短パン水着に着替えた俺が、太陽の光を受けてキラキラと輝く海を眺めながらそんな事を考えていると、近くの岩場の陰に移動をして着替えをしていたティアの俺を呼ぶ声が聞こえ、その声がする方へと振り向いた。
「お兄ちゃーん! えいっ!」
「おっと!」
黒い生地に白の水玉模様が描かれたフリル付きワンピース水着。
それを着たティアが大きく手を振りながら漆黒のロングヘアーを揺らして目の前まで走って来ると、そのままピョイっと俺の身体へ飛び付いた。
そしてそれなりの勢いでティアに飛び付かれた俺は、飛び付いて来たティアを両手で支えながらその場で何度かクルクルと回ってしまった。
「いきなり飛び付いたりすると危ないぞ? ティア」
「えへへっ♪ ごめんなさい♪ それよりもどお? 水着、似合ってるかな?」
飛び付いた俺から手を離して一歩後ずさると、ティアはそう言いながら両手で左右のフリル部分をちょこんと掴み、その場でクルリと一回転をした。
黒を基調とした白水玉模様のフリル付きワンピースはティアにとても似合っていて、歳相応の可愛らしさを感じさせる。まあ、普段から歳相応に子供っぽい部分が多いティアだけど、それでもモンスタースレイヤーとしての役目がある以上、同じ年頃の少女達に比べれば大人な部分も多い。
そんなティアがこうして無邪気な笑顔を見せていると、兄的立場の俺としては安心する。
「うん。俺が思ってたとおり、凄く似合ってて可愛いよ。ティア」
「やった♪ お兄ちゃんに可愛いって言われるの、凄く嬉しいよ♪」
「そっかそっか」
「えへへ~♪」
俺の言葉にその場でぴょんぴょんと跳ねながら喜ぶティアへと手を伸ばし、その艶やかな長い黒髪の頭を優しく撫でると、ティアはニヤニヤと顔をとろけさせながら恍惚の表情を浮かべた。
「こんな水着を着るのは初めてだけど、悪くない開放感ね」
嬉しそうに顔をニヤつかせているティアを見ていると、今度は別の岩場の陰で着替えをしていたユキが戻って来た。
上下共に明るい空色のフリル付きビキニ水着を身に着けたユキは、白銀色のサラサラとした長い髪を揺らめかせながら自分の姿を細かくチェックし、そんな感想を口にする。
普段から大人顔負けの冷静で知的なユキにビキニ姿はとてもマッチしていて、身体つきはまだまだ幼いながらも、十分にビキニ水着を着こなしているから驚きだ。
そしてユキのこの凛とした姿を見ているだけも、ユキは将来、きっととてつもない美人に成長するだろうと断言できる。
「……お兄ちゃん? ユキに見惚れちゃってるの?」
「えっ!?」
頭の上にあった手をガシッとティアに両手で掴まれると、冷たく重い声でそんな言葉が聞こえてきた。
そんな言葉に慌ててティアを見ると、さっきまでのとろけた笑顔はどこへやら。ティアは見つめるだけで凍り付いてしまいそうな目で俺を見ていた。
「あ、いや、別にそういうわけじゃないけどさ……」
「あら? 私にこの水着は似合っていないかしら?」
「い、いや、そんな事はないよ! 凄く似合ってる!」
「そう。それじゃあやっぱり、私に見惚れてたのね?」
「はい?」
「何言ってるの!? お兄ちゃんが見惚れるのは私だけなんだからっ!」
俺に冷たい視線を向けていたティアが、ユキの言葉に対して猛烈な反論を始めた。こうなるともう、いつもの様な展開を迎えるのは目に見えている。
「そうかしら? さっきのエリオスは、私の事をじっと見つめてたじゃない」
「違うもん違うもんっ! そんな事ないもん!」
「はあっ……あなたもいい加減、現実を見つめた方がいいわよ? エリオスはあなただけのものではないんだから」
「お兄ちゃんは私だけのお兄ちゃんだもん! 絶対に誰にも渡したりしないんだもんっ!」
「まったく……あなたには少し現実ってものを見せた方がいいのかもしれないわね」
そう言うとユキはこちらへと近付き、俺の空いている方の腕に両手を絡めて抱き付いて来た。
「ちょっとユキ! 何してるの!?」
「どお? エリオス。少しはドキドキするんじゃない?」
「あー、えっとあの……」
年齢的には子供ではあるが、ティアよりも身体的発育が良く雰囲気は大人顔負けのユキにそんな事をされ、俺は言われたとおりに少しドキドキしていた。
しかしそんな思いを軽々しく口に出せば、ティアのご機嫌がどうなるかは火を見るよりも明らかだ。
そしてそんな状況に陥れば、ティアのご機嫌が直るまでに数日はかかる。モンスタースレイヤーになる為の修行もあるし、機嫌を損ねたティアはまともに修行をしてくれなくなるから、できればそんな事態になるのは避けたい。
「正直に言っていいのよ? エリオス。もしもこの子が機嫌を損ねて修行をしてくれなくなっても、私がその分、しっかりと修行をつけてあげるから」
「ちょっと! お兄ちゃんを強くするのは私の役目なんだからね! だから私を差し置いて勝手にお兄ちゃんの修行をしたら許さないんだからっ!」
「あら? どお許さないって言うの?」
「えっ!? え、えーっと……ユキに出されるご飯を全部私が食べちゃうんだからっ! そうなったらお腹が空いて、ユキはお兄ちゃんの修行をできなくなっちゃうんだからね!」
ティアの考える嫌がらせの方法がなんとも可愛らしく、俺は思わずクスッと微笑んでしまった。
「お、お兄ちゃん! 何で笑ってるの!?」
「あ、ああ。ごめんごめん。ティアが可愛らしくてついね」
「えっ? 可愛らしい?」
「うん。でもティア、俺はティアの事は凄く大切だけど、ユキの事もとても大切なんだ。だから、喧嘩も程々にね?」
「うっ……もぉ……分かったよぉ」
「わ、私も大人気なかったと思うわ。ごめんなさい。エリオス、ティア」
ユキは顔を赤らめながらそう言うと、少し恥ずかしそうにしながらゆっくりと俺の腕に絡めた両手と身体を離した。
「ううん。私もごめんね。ユキ」
「よしよし。それじゃあ、さっそく3人であそぼっか!」
「そ、そうね。そうしましょうか」
「うん! 沢山遊ぼう!」
「よしっ! それじゃあ行くぞーっ!!」
「おー!!」
こうして一悶着はあったものの、無事にそれも解決し、俺達はそのまま海の方へと走り始めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる