生まれた時から、運命の君へ

ミルクルミ

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あれから③

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 悠衣が走ってたどり着いた先は、家の近くにある公園だった。
 未だ、悠衣は希望を捨てきれていなかった。
 この場所は泣いた悠衣が良く来て、そんな悠衣を柊が宥めてくれていた場所だ。
 その場所で懐かしさを感じる暇もなくブランコに腰を掛け、声を出さぬよう、数少ない通行人に顔を見られぬよう悠衣は膝を抱える。
 その脳裏にあるのは、初めて体を交わしたあの日の出来事だった。
 悠衣は何も、最初から柊の事が恋愛感情で好きだと分かったわけではない。
 兄弟では番えない、それが頭に根付いていた悠衣は、柊と番う事など考えていなかった。
 ただあの初めての発情期の日、兄弟であるはずなのに柊に発情期が効いていて、部屋に入ってくる良い匂いをしている柊と過ごして、『運命』だったのだと分かって。
 感情が溢れだしたかと思った。
 苦しかった、『好き』の想いが強すぎて。
 幼い時より触れ合わせた唇が、兄弟を超えた行為が、徐々に悠衣に『好き』を募らせていっていた。
 それは柊も、きっと同じで。
 悠衣に発情期が訪れた日、あの日から変わったのだ。
 互いの感情が『好き』だと気づいて、説得されないように、何も言わずに柊は出て行った。

「普通の兄弟って……何?」

 涙声になりながら、悠衣は呟いた。
 先程聞いた柊の言葉が脳内で再生され、もうあの手が自分のものではないのだと思うとまた落ち込んで、腕に付けていたおでこをそっと上げて空を伺った。
 明るかったはずの空はオレンジ色になりかけて、それがあの日、手紙を読んで泣いたあの日が思い起こされて、悠衣は完全に顔を上げた。

「悠衣、か?」

 と、そんな悠衣に声が掛けられビクリとしたままそちらを向くと、そこには海の姿があった。
 一瞬柊が来てくれたのかと思い勢いよく振り返った悠衣に、その顔もあって、「何があった?」と真剣な面持ちになった海は隣のブランコに腰を下ろす。

「先生、いたのか?」
「うん……恋人連れて……帰って来てた」
「恋人!?」

 海も、柊が恋人を連れてくることを予測していなかったらしい。
 声を張り上げ、それから悠衣の顔を見てそれが真実であると確認して、「そうか」とだけ呟いた。

「あの頃……傍から見たら、お前ら以上に幸せそうな奴もいなかった。互いに互いを想い合っている、理想のカップルだったよ。例えお前らがそれを、意識していなくてもな」
「……うん」

 幸せな時間は、いつしか終わりが来てしまう。
 永遠に続くと思っていた時間にもこうして、終わりが来た。
 けれどまた再会した。
 つまり、絆は……失われては、いないのだ。
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