生まれた時から、運命の君へ

ミルクルミ

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あれから⑦

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「最近は……進捗は、なさそうだな」

 悠衣は、ちょくちょくと現状の報告を緋佐と、それからメールで海にもしていた。
 報告と言ってもほとんどが『何もなかった』で終わるようなもので。
 それでも吐き出すことで、悠衣は何とか保てていた。

「あれから四日か……二人きりにも、なれないのか?」
「うん。僕は大学、柊兄は家にいるんだけど……ずっと、実川さんと一緒に居るから」

 仲睦まじい雰囲気に率先して入っていけるはずもなく、柊と二人になったのはあの日の朝のみ。
 今日も、それから昨日も、悠衣は母の声で起こされた。
 きっと避けられているのだろう。
 二人きりにならないように、もう終わったのだと、見せつけるように。
 なので悠衣は柊に何も言えず、問い詰める事も出来なかった。
 ただ恋人としての二人を見て、神経がすり減らされるだけの生活。
 柊の事を考えては夜も中々眠れず、悠衣の目の下には隈が目立っていた。

「次の講義はないんだろ? なら、少しくらい休んだらどうだ?」
「……でも、保健室には行きたくない」
「分かってるよ。裏庭と屋上、どっちが良い?」
「……裏庭」

 屋上は日に直接あたることになる、だから日陰のある裏庭を悠衣は選択した。

「なら、早く食え」
「……うん」

 悠衣の目の前には、全然進んでいないカレーライスが置かれていた。
 対して緋佐の前には、完食間際のうどんが。
 けれどあまり食欲もない悠衣は、それを半分ほど食べた所でスプーンを置く。
 それを咎める事もなく、逆に『頑張ったな』というように悠衣の頭を軽く叩いた緋佐と共に、トレイを持って立ち上がった。

「ほら」
「うん……ごめん」

 裏庭に着くと昼食時のこの時間、加えて普段から人通りも少ない場所のベンチに二人は並んで座り、緋佐は膝を叩いた。
 頷いた悠衣も謝りその膝に自身の頭を預ける。

「授業前には、起こしてやるから」

 それに首肯する前に、日ごろの疲れがたたり、悠衣は眠りに落ちた。
 その上で触り心地の良い髪を撫でつけてから、緋佐は側に置いてある悠衣の鞄を探る。
 目当てのものを見つけそろりと抜き出した緋佐は、指紋認証を悠衣がぐっすりと眠っている事を確認しながら指を押し付けクリアする。

『はい』

 連絡先に登録されていた目当ての人を見つけた緋佐は、すぐにタップして耳に押し付けた。
 ワンコールで取った相手は、冷静な様子で『どうしたのです?』と返す。

「俺は、悠衣の友達の名倉緋佐という者です。少し話したいんですけど、今時間ありますか?」
『はい、大丈夫です』

 悠衣ではないことに驚いたのか柊は一瞬息を呑んだがそれも一瞬で、すぐに場所を移動しドアを閉める音がした。
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