生まれた時から、運命の君へ

ミルクルミ

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兄弟か、恋人か③

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「それは五年経っても変わらず、悠衣には『兄弟』として接して欲しかった。けれども悠衣は戸惑いを覚え、僕の取る態度に泣きそうになっていました。それは悠衣が『兄弟』を選ばなかった証。そして僕とて、本当は『兄弟』ではなく悠衣と『恋人』として接したいです」

 柊の口からこぼれ出る愛情に、柊はそっと楽の顔を伺った。
 柊に告白をしてきた楽。
 いくら『好きになることは無い』と伝えているとはいえ、こんな話を聞かせて辛くはないだろうかと表情を覗き見る。
 けれどその表情は真摯に柊を見つめ続けるだけで、真意は読めなかった。

「柊は……『恋人』として過ごすために、『兄弟』を捨てようとしている、そういう事か?」
「はい」

 家族に向かって残酷な事を柊は口にした。
 それは裏切りともいえる行為。
 今まで育ててくれた家族を、捨てるともいえる行為。
 簡単にはそれを許容できるはずもない両親の沈黙に、口を挟んだのは楽だった。

「あ、あの……オレからも、良いですか?」
「ああ……もちろん」

 これはいわば家族の話である。
 そんな所に口を挟んだ部外者ともいえる楽に少々驚きながらも、父は続きを促した。

「お、オレ……柊さんに数年前会って、一目惚れして、ずっと追いかけていて……それが、両親にバレたんです。オレは元々アルファだと期待されていて、オメガだった事が分かると両親は急に冷たくなりました。でもアルファを夫として迎えるのなら、まだ価値がある。そう判断されたオレは、柊さんを絶対に手に入れなさいと言われました」

 ああ、あの事を話すのか、とどこか他人事になりながら柊は楽の話を聞いていた。
 楽の家は大きな家だ。
 曾祖父が立ち上げた会社を祖父が大きくして、それを楽の父が引き継いで。
 生まれてきた楽にも、その会社の後継ぎになるだろうと期待されていた。
 だが中学の時に行われる第二の性の検査で出たのは、なんと『オメガ』という烙印。
 それで一気に、期待は崩れたのだ。

「でも、あの……勝手に柊さんの事について両親が調べたみたいで。そこで出てきたのが、柊さんの亡くなった方の父が、恋人と駆け落ち同然に出て行ったオレの父の兄だということが分かったんです」

 大人しく話を聞いていた両親の視線が、柊に集まった。
 それは両親が、柊に隠していた事実だ。
 高校受験の時戸籍が必要になるが、柊も、そして悠衣もその戸籍にきちんと目を通したことなどなかった。
 だが、どこかで気が付いていたのかもしれない。
 ヒートが効いている時点で血の繋がった兄弟ではないのだと、悟っていたのだろう。
 それが楽と出会うことによって、明らかになった。
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