愛想がないと王子に罵られた大聖女は、婚約破棄、国外追放される。 ~何もしていないと思われていた大聖女の私がいなくなったことで、国は崩壊寸前~

木嶋隆太

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第13話

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「き、危機的状況……どういうこと?」
「このまま祈りが完成しない場合、恐らくだが強化された魔物があちこちに現れるだろう。そうなれば、大聖女が責任をとらされるはずだ」
「……そ、そんな――!」
「まあ、オレとしては貴様の立場はどちらでもよいが……魔物たちにこの大地が汚されるのは我慢ならないからな。そういうわけで、さっさと祈りを続けろ」

 そういって、大精霊が私に魔法を放った。
 私の体は無理やりに動き、それから両手を合わせる。

「む、無理! 死んじゃう……あがぁ!?」

 無理やり祈りを再開させられた私は悲鳴をあげながら、石像に向けて祈りを捧げ続けた。

 ◆

 私が目を覚ましたのは王城内の一室だった。
 私はベッドで寝かされていた。

 よろよろと部屋の時計を見るために首を動かす。
 ……時刻は20時を過ぎていた。
 私が目を覚ますと慌てた様子でメイドがこちらにやってきた。メイドはすぐに外へと出て、遅れてケイナンが部屋へと入ってきた。

「だ、大丈夫かニャルネ!? 一体何があったんだ?」
「お、王子私は一体……」
「聖女の間の前で倒れていたんだぞ? なにがあった?」
「……そ、それは――」

 ケイナンは私の肩を掴んできた。
 その瞬間、体に強い痛みが走り、またケイナンの体をばちんと吹き飛ばした。

「ぐあ!?」

 ケイナンが衝撃に吹き飛ばされた。

「な、なにこれ?」

 私の体から放たれた謎の魔法に驚く。

「お、おいいきなり何をする……っ! オレ様が心配してやっているというのに!」
「ち、違いますケイナン。私は何も――」

 ケイナンが怒った様子でこちらへと近づいてきた。
 だが、またばちんと吹き飛ばす。
 ……あっ! 思い出した! 私が倒れる前に大精霊が何か言っていた気がする。

『貴様の魔力がこれ以上けがれてしまっては本当に大聖女として使い物にならない。任期である最低五年の期間は異性に触れられないようにしておくからな』

 そういって大精霊は魔法を私にかけたはずだ。
 ……たぶん、それが発動しているんだ。

「……ケイナン、実は――」

 私は聖女の間であった出来事について話していった。
 ……本当につらく、涙を流しながら伝えるとケイナンが眉間を寄せた。

「大聖女の祈りがそんなにつらいものなのか?」
「つ、辛かったのです!」
「だが、アーニャの奴はけろっとしていただろう?」
「そ、それは……あ、アーニャに才――」

 才能があった。
 そう口に出すのをためらった。
 だ、だって私がアーニャを認めることになるんだから。

 そんなの絶対に嫌!

「と、とにかく……そ、その祈るだけですが、私には負担で……だ、大聖女を変えるように大精霊様に相談してくれませんか? そうでないと、私王子にも触れられないですし……」

 私は胸を強調するように腕を組む。すると、ケイナンは目を私の胸に釘付けにしてから、こくりと頷いた。

「わかった! おまえのためだ! 大精霊を呼び出し、大聖女の変更、そしておまえにかけた魔法を解除させよう!」
「あ、ありがとうございます!」

 よ、良かったぁ! 別に大聖女にこだわらなくてもケイナンと結婚出来れば私は国のナンバーワン女性なんだから。
 そういえば、大精霊は任期が五年とかなんとか何か言っていたけどどうにかなるよね?

 ほっと胸を撫でおろしながら私はベッドで再び横になった。
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