悪役貴族に転生した俺が鬱展開なシナリオをぶっ壊したら、ヒロインたちの様子がおかしいです

木嶋隆太

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第19話

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 近接での戦闘は、その魔法をいかに相手に当てるかを注力していた方がいいだろう。
 それに、剣をメイン武器にするつもりはない。俺は刀で戦っていきたいと思っていた。
 理由? かっこいいから。

 とりあえず、魔石もかなりの数集まったな。
 ……そろそろ、鍛冶魔法でも習得しようか。

 あるいは、ゲーム知識を使ってこの世界の装備を手に入れてもいいが、最強装備が勇者の剣で、俺には使用不可だからな。

 だったら、【ファイナルクエスト】の武器で作れるものがあれば、それを作ってみるほうが強いだろう。
 【ファイナルクエスト】では魔石だけで作れる武器もあったので……試してみる価値はあるだろう。
 女神様、おっちょこちょいだから、たぶん作れるんじゃないか、と俺は思っている。

 『む?』という声が聞こえた気がしたが、俺は無視してゴブリンを狩り続けていく。
 迷宮の最深部に到着し、ボスのゴブリンリーダーも討伐して、迷宮の制覇だ。

 迷宮自体は、ボスを倒しても特に消滅することはない。
 帰り道、またゴブリンを狩りながら外を目指して歩いていく。

『動けるようになってからかなり時間も経っていますけど、なかなかハードスケジュールですね……』
『そうか?』
『だって、毎日ほぼ休みなく何かしているじゃないですか』
『でも会社員の時はもっと毎日動いてたぞ?』
『うへぇ……ブラックですねぇ』

 そうはいうが、女神様もわりとブラックな仕事だと思う。
 俺にかかりきりなのは、まあ自業自得だが、俺と話しているときも何かしら書類作業をしているし。
 ……女神様の仕事が遅いから、という理由だけなら別にいいが、そういうわけでもなさそうだしな。

 案外、過労などが原因で、ポンコツ化してしまっているのかもしれないな。
 前の人も、過労の末にミスって、嫌になって退職代行使って逃げた可能性もあるし。

 そもそも、俺がハードスケジュールにしているのは妹を助けるためだ。

 俺が二十歳になるまでにゲーム本編をクリアしないと、あちこちで勇者狩りが生まれ、子どもたちが殺されていく。

 もしもそんな状況になったら、妹は間違いなく気にするだろう……。
 第一、妹本人も身を隠しながらの生活になるため、それはもう不自由で仕方ないだろう。

 ゲームではさらっと流されてはいたが、毎日満足に眠ることもできない状態が続くのだから、妹にそんな思いをさせるわけにはいかない。

 ……普通に選択肢を誤れば死ぬようなくらい大変だったはずだしな。

 俺が十七歳になるくらいまでに育成を終わらせ、そこから魔王たちを討伐、あるいは交渉で人間との和平を結び、二十歳までに大魔王を討伐し、ハッピーエンドを迎える。
 完璧な作戦だ。

 ……正直言って、ここからレベルアップのペースも遅くなるわけで、どこまで育つのかは不安なので当初よりも圧倒的力で魔王を葬れない可能性もあるのが残念だ。

 まあ、そもそもだ。
 俺がここまで切羽詰まっている原因が誰にあるのかは一目瞭然だと思うけどな?

『……が、頑張ってください』

 原因である女神様は、それだけを言い残していった。
 ……まあ、俺としては今の縛りプレイのような状況も楽しめてはいるので、悪くはない。
 ……家族や勇者の人生がかかってさえいなければな。



 同じような生活を送っていき、数ヶ月が経過した。
 レベルは21まであがったが、まだここまでしか上がっていないのかという気分ではある。
 やはり、経験値稼ぎの効率があまり良くない。本来、回復行動での経験値稼ぎは圧倒的なHPを持った仲間がいてこそだからな……。

 獲得したスキルポイントを使い、ハイヒール、キュアの魔法を覚えたので、中級魔法使いと呼んでも問題はなくなってきたはずだ。
 この世界の人たちからしたら、すでに上級魔法使いを超えた化け物なんだろうけど。

 キュアはさまざまな状態異常を治療し、ハイヒールはヒールよりHPを回復する魔法だ。
 
 そして、残っていたスキルポイントで鍛冶魔法も手に入れたので、俺は早速鍛冶魔法を発動する。
 素材として、アイテムボックスに入っている大量の魔石を消費し、武器を製作してみる。

 素材で魔石のみを使った、基本中の基本武器。
 果たして作れるのかどうか……。
 不安はあったのだが、MPが消費され、見てみるとアイテムボックスにはカタナ、という武器が入っている。

 おお、できた。
 ……刀系武器の下の上くらいの代物ではあるが。
 【ファイナルクエスト】基準だと対して強くない武器だが、こっちの世界なら一級品だろう。

 魔石の質は違うかもしれないが、ゲーム的には同じ魔石だし、なんとかなるかもと思ったが、なんとかなったな。
 これも多分、女神様のおかげだろう。

『……つ、作れちゃったのは私の設定ミスじゃないですよ』
『本当かよ?』
『た、たぶん……』

 怪しい。女神様は今頃必死に設定関連を見直していることだろう。

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