エロゲー世界のただのモブに転生した俺に、ヒロインたちが押し寄せてきます

木嶋隆太

文字の大きさ
10 / 57

第10話

しおりを挟む


 まず、下級なのに契約ができたことについては簡単だ。
 セラフとルミナスが下級の中でも上級に近しい能力があり、そこにさらに俺が彼女らの感情を高ぶらせたことで、一時的に上級に匹敵する力を手に入れたからだ。
 そしてもう一つ。
 俺が二人同時に契約できたことについては、もうこれは完全に裏設定も裏設定。
 俺が転生者であり、二つの魂を持っているからだろう。
 
 ……それをミカエルとルシファーに話したところで、じゃあ今度はどうしてそんなこと知っているんだ、という話になるわけだ。

「いや……あんまり自分も状況が分かっていないといいますか……」

 とりあえず、笑って誤魔化しておくと、ルシファーは「だよなぁ」と豪快に笑いながら続ける。

「もしかしたら、ルミナスや滝川の体を解剖してみたら何か分かるかもな? なあ、どうだミカエル?」

 何言ってんの!
 ……ルシファーはこういうキャラでもある。敵対する……というわけではないが、容赦がない時もある。
 実際敵対する存在を捕らえ、拷問などはよくしているとか何とか。

 それが、ルシファーのキャラ設定を担当した藤井の性癖だったんだから仕方ない。
 あいつめ、余計なことを……。
 俺も、「いいね!」ってゴーサインを出したのだが、藤井のせいにさせてもらおう。

「そうだねぇ。三人を調べたら、何か分かるかもだし、ありっちゃありかも……?」

 ミカエルは本気で考え込むようにしている。
 この人はこの人で、身内には優しいがそれ以外には非常に冷たい。
 笑顔で簡単に切り捨てられるような人でもある。
 「そのギャップがいいのよ!」と赤崎が鼻息荒く叫んでいたのは、今もよく覚えている。

 ミカエルとルシファーの言葉に、ぶるりとセラフとルミナスが体を震わせていく。

「そもそも、勝手に契魂者を作ることはダメなんだよねぇ」
「そうなんだよな。上級天使と上級悪魔はきちんと申請しねぇと契魂者を増やしちゃダメなんだし、その処分についても色々考えないといけないわけだしなぁ」

 は、話がどんどん最悪な方へと進んでいっている!

「ただ、問題なのが上級に関して、のみしか私たちのユニオン規則には書かれていないんだよねぇ」
「悪魔の方もだっての。ったく、イレギュラーもイレギュラーでどうすりゃいいんだって感じなんだよなぁ」

 セラフとルミナスにダメもとで契約できないかを頼んだのは俺だ。
 ど、どうする?
 ミカエルとルシファーが真剣に処分の方向で話しを始めてしまっている。

 ……俺のことはどうでもいい!
 だが、セラフとルミナスに何かあってはいけない。

 俺の隠していることを打ち明ければ、二人の処分はなくなるかもしれない。
 ……この状況で、隠し事を続けるのは得策ではない、か。

 セラフとルミナスの二人に、これ以上ゲーム本編ではなかったような展開を経験させたくはない。
 物語に歪みを出さないためにも……俺は少し考えるような素振りを見せた後、二人に話しかける。

「……あの、もしかしたら二人と契約できたことについては……実はもしかしたら一つだけ、心当たりがあります」
「え? なんだよ?」

 二人の視線が一気に俺に集中する。少しの迷いはあったけど……俺は深く息を吸い込み、意を決して言葉を続けた。

「俺は……転生者なんです。別の世界から来た人間で、気づいたら滝川悠真になっていたんです」

 一瞬の静寂が流れた後、ルシファーが驚いた表情を浮かべた。それは、ミカエルも同じだ。

「て、転生者……?」
「はい。似たような世界で生きていたんですが……俺は別の人間として過ごしていた記憶があるんです。そして、この世界で滝川悠真として目覚めました。……もしかしたら、それで例えば魂が二つあるから、こうして二人と契約できたんじゃない、かなぁ……って」

 これで、どうなるかは分からないが……少なくとも、セラフとルミナスが不当に扱われることはないだろう。
 俺の扱い? それはどうでもいい。
 今は、二人が助かってくれるなら、何でもいい。
 そのためなら、ルシファーの足だって舐めるつもりだ。むしろ、望むところである。

 転生者であることを打ち明けた瞬間から、部屋の中の空気が変化した。
 それまで、表情一つ変えずに俺たちの動きを監視するようにみていた護衛の人たちも、どこか驚いた様子であった。

 特に顕著なのが、それまで穏やかだったミカエルだ。
 ぴくりと眉尻が上がり、柔和な笑みが少し固くなる。
 ルシファーの瞳は鋭さを増していく。

「……転生者、ねぇ」

 ルシファーが考えるように低く呟き、ミカエルに視線を送る。
 二人の間で何かしらの意図が交錯しているように見えたが、俺にはそれが何なのか分からない。ただ、彼女たちが俺の言葉を慎重に受け止めているのは確かだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

付きまとう聖女様は、貧乏貴族の僕にだけ甘すぎる〜人生相談がきっかけで日常がカオスに。でも、モテたい願望が強すぎて、つい……〜

咲月ねむと
ファンタジー
この乙女ゲーの世界に転生してからというもの毎日教会に通い詰めている。アランという貧乏貴族の三男に生まれた俺は、何を目指し、何を糧にして生きていけばいいのか分からない。 そんな人生のアドバイスをもらうため教会に通っているのだが……。 「アランくん。今日も来てくれたのね」 そう優しく語り掛けてくれるのは、頼れる聖女リリシア様だ。人々の悩みを静かに聞き入れ、的確なアドバイスをくれる美人聖女様だと人気だ。 そんな彼女だが、なぜか俺が相談するといつも様子が変になる。アドバイスはくれるのだがそのアドバイス自体が問題でどうも自己主張が強すぎるのだ。 「お母様のプレゼントは何を買えばいい?」 と相談すれば、 「ネックレスをプレゼントするのはどう? でもね私は結婚指輪が欲しいの」などという発言が飛び出すのだ。意味が分からない。 そして俺もようやく一人暮らしを始める歳になった。王都にある学園に通い始めたのだが、教会本部にそれはもう美人な聖女が赴任してきたとか。 興味本位で俺は教会本部に人生相談をお願いした。担当になった人物というのが、またもやリリシアさんで…………。 ようやく俺は気づいたんだ。 リリシアさんに付きまとわれていること、この頻繁に相談する関係が実は異常だったということに。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

元おっさんの幼馴染育成計画

みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。 だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。 ※この作品は小説家になろうにも掲載しています。 ※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

主人公に殺されるゲームの中ボスに転生した僕は主人公とは関わらず、自身の闇落ちフラグは叩き折って平穏に勝ち組貴族ライフを満喫したいと思います

リヒト
ファンタジー
 不幸な事故の結果、死んでしまった少年、秋谷和人が転生したのは闇落ちし、ゲームの中ボスとして主人公の前に立ちふさがる貴族の子であるアレス・フォーエンス!?   「いや、本来あるべき未来のために死ぬとかごめんだから」  ゲームの中ボスであり、最終的には主人公によって殺されてしまうキャラに生まれ変わった彼であるが、ゲームのストーリーにおける闇落ちの運命を受け入れず、たとえ本来あるべき未来を捻じ曲げてても自身の未来を変えることを決意する。    何の対策もしなければ闇落ちし、主人公に殺されるという未来が待ち受けているようなキャラではあるが、それさえなければ生まれながらの勝ち組たる権力者にして金持ちたる貴族の子である。  生まれながらにして自分の人生が苦労なく楽しく暮らせることが確定している転生先である。なんとしてでも自身の闇落ちをフラグを折るしかないだろう。  果たしてアレスは自身の闇落ちフラグを折り、自身の未来を変えることが出来るのか!? 「欲張らず、謙虚に……だが、平穏で楽しい最高の暮らしを!」  そして、アレスは自身の望む平穏ライフを手にすることが出来るのか!?    自身の未来を変えようと奮起する少年の異世界転生譚が今始まる!

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

処理中です...