帰還した元勇者はVRMMOで無双する。〜目指すはVTuber義妹を推して推しまくる生活~

木嶋隆太

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 街に、到着した。
 門に近づくと、マップ名が表示される。
 ……第二の街『イレルナ』だそうだ。

 第一の街もそれなりの規模だったが、ここはさらに一回り大きいな。
 街に入ると、【イレルナ到着者(Sランク)】という称号が手に入った。

 称号一覧を見てみると、第一の街に関して俺は(Eランク)だった。
 ……もしかしたら、到着順で入手ランクが変わったのかもしれない。

 チュートリアルを楽しみすぎてしまったのが原因だろう。
 ただ、どっちが正解かは分からない。

 【暗殺者】を入手するにはあのタイミングじゃないと難しいだろうしな。
 新しい街に着いた俺は、さっそく近くにいるNPCに声をかける。

「ちょっと聞きたいんだけど……俺異邦人。この街と前の街での違いとかってある?」

 NPC相手なら多少適当に話しかけても大丈夫だろう。

「前の街ってアンタレスか?」
「そうそう。アンタレス。何か違いとかってないか?」

 これまでの傾向から、分からないことはだいたいNPCが知っているようなので、困ったら頼ればいいだろう。
 いきなり話しかけられても嫌な顔せずに男性は答えた。

「そうだなぁ……アンタレスに比べると店の品揃えとかはいいんじゃないかな? あとは周囲にいる魔物がちょっと強かったりするな。そこらへんは冒険者ギルドに行けば色々聞けると思うぜ」
「へぇ、そうか」
「あとは、ここでならクランハウスを借りることもできるから、レベル30以降ならクランも結成できるな」
「……へぇ、クランハウスか」

 クランといえばMMOなどでは定番だな。クランハウスを借りるのが、クランを結成する条件なのだろうか?
 色々と恩恵もあるだろうし、そちらは後で確認しておきたいな。

「ああ、あと転職神殿にはもういったか?」
「いやまだ行ってないな。次の転職ってレベル30にしないとなんだろ?」

 確か、ネット掲示板にそう書かれていた。
 だから、最初に無職ではじめて隠し職業を見つけ次第転職する、というのも一つの手だと。
 その隠し職業に関しては、情報が錯綜していて入手方法は様々なんだけど。

「そうだな。でも、この街でしか手に入らない汎用スキルブックもあるからな。見に行ってみるのはいいかもだぜ?」
「汎用スキル?」
「なんだ、異邦人なのに知らないのか? 職業スキルと組み合わせると色々できるんだろ? まあ、俺は異邦人じゃないからな。あとはおまえさんの方で試してみたほうがいいんじゃないか?」

 ……なんか、色々と面白そうだな。
 職業スキルだけでは少ないと思っていたのだが、あくまでこの街に来るまではチュートリアルなのかもしれない。

 実際、レベル上げもそんなに大変じゃないし、ここからがゲーム本編開始、くらいの感覚なんだろう。

 レベル30で転職したら、そこからさらにスキルも増えるだろうし、やれることの幅が増えていきそうだ。
 さっき聞いた話を色々やってけば、また称号とかも手に入りそうだな
 あとで話を聞きに行ってみようか。

「了解。とりあえず色々行ってみるわ、ありがとな」
「おう。頑張ってくれよ。異邦人が強くなってくれれば俺たちも安全に暮らせるからな」

 ニコリと微笑んだ彼とそこで別れた。
 さて、とりあえず簡単に片付きそうなものからやっていくとするか。

 まずは店だ。
 移動しながら掲示板の情報を装備品関連のスレを見ていたのだが、どうやらこのゲーム店売りの装備品が全体的に弱いらしい。

 プレイヤーが作るか、ドロップアイテムを狙うしかないらしいが、現在鍛冶師系の職業はまだ発見されていないそうだ。
 とりあえず、NPCに店の場所を教えてもらったので、期待半分で武器屋を見てみる。

 それっぽい店構えをした武器屋に入った俺は、早速武器を眺めていく。
 ……店内に並べられた武器を見てみると、確かにどれも性能は微妙だな。
 良いものがあれば買い替える予定だったし、なんなら舞のために購入する予定だったが、これはない。

 俺のレベルで装備できるものもあったのだが、性能としてはモンキーナイフと同じくらいだ。
 ドロップアイテムを狙ったほうがいいな。

「そうだった。この槍とかっていくらで買い取ってくれるんだ?」
「ああ、異邦人さんか。売りたい装備品をインベントリから選択してくれ。こっちで確認するからな」
「へえ、見えるのか?」
「まあね」

 売れる場所ではそういう能力を持ったNPCがいるんだろうな。
 早速、ドロップしたガイコツ兵の槍を売ってみようとしたのだが……売値は2000ゴールド?

 いや、性能的にここに並んでいるものよりも明らかにいいのだが、かなり安い。
 ぼったくりでは?

「おい、店主よ。俺が物の価値がわからない田舎者だと思ってんのか?」
「い、いやとんでもない……。済まないね。オレたちこの世界に住む人間で魔物がドロップした装備をつけられるのは一部の人間だけなのさ。そのものの価値は異邦人たちにしか分からないな」
「……つまりまあ、他のプレイヤーに売れってことか」
「プレイヤー? ああ、異邦人のことか? そういうこった。一応、俺たちの世界にもたまに扱える人もいるんだよ。もしかしたらそういう人なら買ってくれるかもしれないなぁ」

 ……もしかしたら、この世界での重要キャラクターとかだろうか?
 このゲームの目的は異邦人として現地の問題を解決しながら自由に過ごすことだ。

 だが、どうやらメインクエストらしき存在もあるらしい。すでに、あちこちで匂わせのようなことをいうキャラや石碑などがあり、考察班たちの間で盛り上がっているようだ。

 そういったメイン級のキャラクターたちは、魔物のドロップした装備品を扱い、一緒に戦う時もあるのかもしれない。

 とりあえず、魔石とかはともかく装備品は店売りしない方がいいことが分かったので、俺は武器屋を後にした。

 そのうち、どっかでオークションでも開いてまとめて売り捌くとでもするかね。

 重要キャラクターをわざわざ見つけ出して装備品を売りつけるというのも面倒だし、ひとまずはインベントリだ。
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