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しおりを挟むとりあえず目的の一つを達成した俺は、ギルドへと向かう。
ギルド、ねぇ。
異世界でも似たようなものはあったな。
ギルドへと入った俺は早速、魔物の情報を集めるために受付へと向かい、そこで話を聞いていく。
「ちょっと聞きたいんだけど、この辺で短剣をドロップする魔物とかいないか?」
「え? 短剣のドロップですか? ということは、あなたは異邦人ですね?」
「ああ、そうだ」
答えると、何やら注目が集まった。異邦人、というのは基本歓迎されるようで、視線はどこか優しいものだ。
「そうですね……ここから北の山岳エリアにいる盗賊ゴブリンなどが狙い目かもしれませんね。レベルは30くらいになってしまいますが……」
「へぇ、なるほどな。そんじゃまあ、そいつ狩りに行ってみるかな」
「あっ! それでしたら……ついでに、山岳エリアにいる盗賊ゴブリンリーダーも討伐してくれませんか? 最近、北の街との移動の際に襲われる人が増えていて困っているんですよ」
こいつ。
さっき俺を見ていたのは、クエストを依頼するためだな?
ちゃっかりしていやがる。
でもまあ、俺にも利益があるならついでに片付けられるしいっか。
「北に街があるのか?」
「ええ、ちょっと小さいですがありますよ。この世界で四番目に作られた港町です。魚料理が美味しいんですよ」
それはもう、食べたくなるような表情で感想を述べるギルド職員。
これもクエストのようで、盗賊ゴブリンリーダーの討伐が増えている。
まあ、余裕を見て討伐に向かえばいいだろう。
「ゴブリンリーダー倒したら報酬はたんまりくれるんだよな?」
「ゴールドになりますが……」
いや、今はそれが一番欲しいんだよな。
次の転職で新しいスキルも手に入るだろうし。
「わかった。街でやることが済んだら行ってみるよ」
「お願いします! ありがとうございます!」
こう、快く応援されるとこちらとしても頑張りたい気持ちになるな。
異世界で勇者として活動していたときは、俺が助けても、「勇者らしくない」とかぶつぶつ文句を言われたからな。
現地人に、俺は恐らくたいそう嫌われていたことだろう。女神は俺が何かしら達成すれば、文句を言いつつもお礼や感謝をしていたあたり、まだマシだったかもしれない。
でも俺と舞を引き離した罪だけで許せない存在だ。
店、魔物の情報を手に入れた俺はギルドの隣にあった転職神殿へと向かう。
……アンタレスの街と比べると何やら見慣れない石像が増えているな。
近くにいた修道服を着たシスターらしき女性に、声をかける。
「この街でなら、スキルブックが購入できるって聞いたんだけど、それってどこで買えるんだ?」
「買う、ではありません。祈りの対価として、授かるものですよ」
微笑とともにシスターは言ってきた。
笑顔の圧が凄まじい。スキルを購入、ということがかなり無礼なことなのかもしれない。
「え? じゃあタダなのか?」
「多少のお金はかかりますが、購入、ではありません」
「いや、それは買うでいいだろ?」
「何か、言いましたか?」
「いやいや、買うでしょ?」
「……えい」
「えいじゃねぇよ! いきなりビンタしてくるな!」
「神の罰が、くだりましたね」
「勝手に神の代行してんじゃねぇよ!」
まあ相手が美少女だったからまだご褒美で済ませられるものの、男だったらこの場で戦闘開始だっての。
俺は逃げるように石像へと向かう。
石像の前に立つと、メニュー画面が出てきた。
「……おお、結構スキルあるな」
……ただ、どいつもこいつも高い。
一冊10000ゴールドからだ。スキルのランクが関係しているのか、20000、30000と値段が上がっていってるな。
チュートリアルボーナスのお金ももうそんなに残ってない。
魔石を売ったお金だけでは、なんとか一冊スキルが購入できるかという感じか。
どのスキル購入するかねぇ。できれば、【暗殺者】と相性のいいスキルがいいが。
いくつか見ていると、俺の戦闘スタイルと相性のいいスキルを見つけた。
格闘強化、投擲、パリィだ。
格闘強化があれば、今相手の動きを止めるために使っている足払いとか目つぶしとか、そういった物でもダメージを与えられるよな。
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