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第13話
しおりを挟むニュナとともに屋敷を出て、貴族街を歩いていく。
やはり私のような服装だと目立ってしまう。
「……ルーネ様、率直に聞きたいのですが……もしかして、あの姉二人からいじめられていたのでは?」
ニュナの言葉に私は頬をかく。一応家族のことだしあんまり悪くは言いたくないんだけど……。
「確かにいじめられてましたね。ポーション作らせてもらえないときとかあったし」
「いえ、それは別にそこまでではないのでは?」
私にとっては呼吸を封じられたようなものだった。
「私が気になっていたのは、あなたの髪や服装ですね」
「あー、やっぱり薄汚いって感じですか? でも動きやすいですよ?」
「そういった話ではなくて……新しいものを買ってもらえなかったのではないですか?」
あー、なるほど。
確かにそういう見方もあるよね。
「お金は確かに持っていませんけど、私も特に服にこだわりとかなかったのでこんな感じになっちゃいました」
私がそう言って笑うと、ニュナはじっとこちらを見てから……抱きしめてきた。
「どうしたんですか!?」
「そう、強がらなくても良いです。あなたはあの二人よりもとても美しく、才能もあります。これから、たくさん幸せになればいいんですから」
……も、もしかして私が強がって言っていると勘違いされてしまった?
……そういえば、ニュナも一緒に薬屋まで来ていたからうっすらと私の扱いを理解していたのかもしれない。
心配されるのは悪い気はしなかったけど、完全に誤解なんだよね。
ニュナががばっと私の肩を掴み、据わった目で覗き込んできた。
「まずは髪を整えましょう! とてもきれいな髪ですし、きちんと洗えば立派になりそうです。それから服ですね。バルーズ様も自由にと言っていましたので色々選びに行きましょう!」
「い、いや、その……別にそこまでは――」
しかし、私の否定は聞かずニュナは私を強引に連れて行った。
まずは髪を切ってもらうことになった。
散髪屋へ行くと、これまたおしゃれな女性が私の髪を切ろうとして……それから目を見開いた。
「こ、この髪……とても綺麗ですね」
「ありがとうございます」
……たぶん、私が胸を成長させるために飲んでいた栄養ポーションのすべてが髪に行ったんだよね……。
前に、髪の毛が薄くなっていた客に相談されたので試しに渡してみたら、髪が生えるようになったと泣いて喜ばれたし。
栄養ポーションの要素が髪の毛全振りになってたんだろうね。
でも、それ以外の栄養ポーションは中々作れなかったからなぁ。
あとでまた研究しないとね。
さくさく、っと髪を整えてもらい、それからすぐに服を選びに行く。
ニュナが私の体に服をあてていく。
……私よりもずっと真剣な表情だった。着せ替え人形にさせられた私はむしろかなり疲れてしまった。
私のためだって思うと悪い気はしないんだけどね。
実際、服を選ぶというのは中々奥が深いなぁ、とも思っていたし。
「どうですか? どちらが良いですか?」
最後の二着になったところで、私の意見を求めてきてくれた。
私は右と左の服をじっと観察する。あんまり服とかに詳しくないので、私は動きやすかった左の服を指さした。
「……うーん、左のですかね?」
「分かりました。ではこちらでお願いします」
……金額は、十万ゴールドくらいはしていた。これ全部バルーズ様宛でいいのだろうか?
不安になったけど、ニュナはさっとサインをした。
「それではこちらを着て屋敷に戻りましょうか」
「え、それで帰るんですか?」
「はい」
ずいっとニュナが服を差し出してくる。
しょ、正直言って結構明るい服なのでそんな服を着てしまうと目立ってしまうと思う。
……変に思われないかな? と思いつつ、私はそれに身を通していく。
「よくお似合いですよ!」
……そんな店員のお世辞を背中に浴びながら、私は屋敷へと戻った。
屋敷に戻ると、ちょうど廊下を歩いていたバルーズ様がいた。
バルーズ様はこちらを見て、心底驚いたように目を見開いた。
「凄いな……見違えたぞ」
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