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第四章 転移
第37話 ウェールズ国 1485年 エラ
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第37話 ウェールズ国 1485年 エラ
私は我が子を観察するため、週に一度は要塞で過ごしている。まだ小さく、か弱いが――親として見ていたい、その気持ちが強い。ただ、抱くことはできない。観察するだけだが、それでも満足している。名前もつけた。フリオにした。可愛らしい名前で、私はとても気に入っている。
朝になって、フリオにさよならを告げて地上に戻った。鍛冶場では、ギルドから言われた剣と槍を量産している。午前中にノルマを達成し、明日の二十日が最終日で生産は終了だ。二十一日には軍が遠征するらしい。バレリアにどの辺でやるのか聞いてみたら、東の国境から十キロほど行った、なだらかな荒地が有力だと言っていた。前から国境付近に軍を待機させているから、ついに始まるわけね。
なんだかモヤモヤするので、元バレリアの体を整形したポールに店番を任せ、地下でリフレッシュして気分を変えることにした。医療器でリフレッシュモードを作動させれば、一分で気分転換できる。
その後は魔法の練習をして、時間をつぶす。今の先生はバレリアが担当している。体を交換してから、大概の魔法が使えるようになった。私もそれなりに使えるようになったが、人間だからどうも不安定で波が出る。そこが今の課題なのだが、安定にはもう少し時間が必要だ。
私は考えた。もし魔力を鍛冶に生かせば、勇者オリバーが言っていた聖剣が作れるのか――すごく興味がある。そこでバレリアに、魔力を使った剣の鍛冶方法のデータがあるか聞いたら、あるらしい。ただ私の場合は、体が覚えているらしく、作ると決めれば作れる。チートが発動すると言われた。自分よりもバレリアの方が、私の身体のことを分かっているみたいだ。
それに、普通の剣でも魔力を使用して作れば、剣の質が向上すると言われた。知識豊富で万能なバレリアも同じように鍛冶仕事ができるはずだから、作れるかと聞いたら――
「名剣(上級の上)までは作れます。聖剣はチートが無いと無理です。」
と言われた。私は「チート……ヤバイ」と腕を組み、ドヤ顔している自分の姿を妄想した。
▼△▼△▼△▼△
魔力――これがすべての始まりだ。私たちは召喚され、転移してきた。しかし召喚師は転移について極秘事項としており、部外者には教えるつもりはない。逆の立場なら、私もそうしただろう。そこでバレリアに転移について聞いてみた。
「これは解明されていますが、内容に関しては非公開とされています。転移装置からの移動は実用化されていますが、大きさの制限や、もろもろの制約があります。」
つまりシークレットということだ。その後ラシーヤにも確認したが、ここでの調査制限はないらしい。要は、この召喚魔法のレベルでは世界に影響を与えない。この星のみの影響にとどまるから放置しているとのこと。逆に世界に影響するとなれば――怖い!やめよう……。
手がかりは歴史にあると思う。だが私はこの国のことをほとんど知らない。監視衛星では大きな流れを見ているだけで、接触の可能性がないから偽装して内部調査もしていない。細かいことは不明だった。そこで歴史を調べるために金貨をたくさん持ち、エラの店で情報を収集することにした。
「こんにちは、エラ。元気だった?」とバレリアが声をかける。
「お!どうした、その体。変えたのか?」と鋭い質問が飛んできた。
「そうだ、変えた。前より流れが良くなった。」
「そう見える。なにか変な薬でも飲んだか?」――ああ、人間ベースで会話してたんだな。
「食べ物かな?知らんけど!……えー、今日は知りたいことと面白い物を探している。」
「知りたいこと……何?面白い物?魔道具か?」
「知りたいのはここの歴史だ。面白い物は魔道具や魔法関連かな。」
「お!……イザベル、子供はいないぞ……」突然、私に話が振られた。
「生んだ……小さかった。フリオって名前をつけたよ。」
「そーか、辛かったろ。若いからまたできるよ、大丈夫だから。」
気遣ってくれた。意外とやさしいんだな――ガメババァ。
「なんだ、歴史ならこの本を読め。金貨三枚だ。魔道具は、なにが欲しいのか言ってみろ。」
「この本の他にあるのか?だいたいどんなものを置いているのか教えて?」
要約すると、本はそれだけ。他は口伝だ。別の国に行けば別の歴史書があるらしい。魔道具は特別変わった物はなかった。魔法書の中では《聖光の風》と錬金術の本が気になった。だが錬金と魔法は高く、二冊で金貨五十枚と言われたので、四十枚でお願いしたら――
「おととい来な!」と断られた。今回は諦め、目的の歴史書だけ買って終わりにした。
「バレリア、エラってお金に飢えてるね。どう思う?」
「……背景は分かりませんが、預金していると思われます。」
「弱点あるかな?……自白させられれば簡単だけど、ラシーヤから犯罪者以外への使用は禁止されてるからね……」
「身体的なことは分かりました。遺伝子的に百パーセント、アンナの近親者です。姉妹あるいは親子くらい近い関係。年齢は五十四歳、魔力レベルはアンナを超えています。なんらかの理由で外見が変化していません。特に身長、筋力は七十歳相当です。召喚時、現場にいましたから術師関係と思われます。」
「えっ、いたの?知らなかった。」
「転移成功後、裏に移動した者とエラの特徴が一致します。」
「へえ、初めから知っていたんだ。油断できない相手だね。洞察力鋭いし、魔力も見えてる。ただ魔力無しは感知できないみたいだね?」
「そうです。あのタイプは魔力を通して物を見る習慣があるので、そうでない場合は見えないと思われます。監視ドローンを二人に配備して行動を分析し、召喚に関するヒントを探そうと思います。」
私は我が子を観察するため、週に一度は要塞で過ごしている。まだ小さく、か弱いが――親として見ていたい、その気持ちが強い。ただ、抱くことはできない。観察するだけだが、それでも満足している。名前もつけた。フリオにした。可愛らしい名前で、私はとても気に入っている。
朝になって、フリオにさよならを告げて地上に戻った。鍛冶場では、ギルドから言われた剣と槍を量産している。午前中にノルマを達成し、明日の二十日が最終日で生産は終了だ。二十一日には軍が遠征するらしい。バレリアにどの辺でやるのか聞いてみたら、東の国境から十キロほど行った、なだらかな荒地が有力だと言っていた。前から国境付近に軍を待機させているから、ついに始まるわけね。
なんだかモヤモヤするので、元バレリアの体を整形したポールに店番を任せ、地下でリフレッシュして気分を変えることにした。医療器でリフレッシュモードを作動させれば、一分で気分転換できる。
その後は魔法の練習をして、時間をつぶす。今の先生はバレリアが担当している。体を交換してから、大概の魔法が使えるようになった。私もそれなりに使えるようになったが、人間だからどうも不安定で波が出る。そこが今の課題なのだが、安定にはもう少し時間が必要だ。
私は考えた。もし魔力を鍛冶に生かせば、勇者オリバーが言っていた聖剣が作れるのか――すごく興味がある。そこでバレリアに、魔力を使った剣の鍛冶方法のデータがあるか聞いたら、あるらしい。ただ私の場合は、体が覚えているらしく、作ると決めれば作れる。チートが発動すると言われた。自分よりもバレリアの方が、私の身体のことを分かっているみたいだ。
それに、普通の剣でも魔力を使用して作れば、剣の質が向上すると言われた。知識豊富で万能なバレリアも同じように鍛冶仕事ができるはずだから、作れるかと聞いたら――
「名剣(上級の上)までは作れます。聖剣はチートが無いと無理です。」
と言われた。私は「チート……ヤバイ」と腕を組み、ドヤ顔している自分の姿を妄想した。
▼△▼△▼△▼△
魔力――これがすべての始まりだ。私たちは召喚され、転移してきた。しかし召喚師は転移について極秘事項としており、部外者には教えるつもりはない。逆の立場なら、私もそうしただろう。そこでバレリアに転移について聞いてみた。
「これは解明されていますが、内容に関しては非公開とされています。転移装置からの移動は実用化されていますが、大きさの制限や、もろもろの制約があります。」
つまりシークレットということだ。その後ラシーヤにも確認したが、ここでの調査制限はないらしい。要は、この召喚魔法のレベルでは世界に影響を与えない。この星のみの影響にとどまるから放置しているとのこと。逆に世界に影響するとなれば――怖い!やめよう……。
手がかりは歴史にあると思う。だが私はこの国のことをほとんど知らない。監視衛星では大きな流れを見ているだけで、接触の可能性がないから偽装して内部調査もしていない。細かいことは不明だった。そこで歴史を調べるために金貨をたくさん持ち、エラの店で情報を収集することにした。
「こんにちは、エラ。元気だった?」とバレリアが声をかける。
「お!どうした、その体。変えたのか?」と鋭い質問が飛んできた。
「そうだ、変えた。前より流れが良くなった。」
「そう見える。なにか変な薬でも飲んだか?」――ああ、人間ベースで会話してたんだな。
「食べ物かな?知らんけど!……えー、今日は知りたいことと面白い物を探している。」
「知りたいこと……何?面白い物?魔道具か?」
「知りたいのはここの歴史だ。面白い物は魔道具や魔法関連かな。」
「お!……イザベル、子供はいないぞ……」突然、私に話が振られた。
「生んだ……小さかった。フリオって名前をつけたよ。」
「そーか、辛かったろ。若いからまたできるよ、大丈夫だから。」
気遣ってくれた。意外とやさしいんだな――ガメババァ。
「なんだ、歴史ならこの本を読め。金貨三枚だ。魔道具は、なにが欲しいのか言ってみろ。」
「この本の他にあるのか?だいたいどんなものを置いているのか教えて?」
要約すると、本はそれだけ。他は口伝だ。別の国に行けば別の歴史書があるらしい。魔道具は特別変わった物はなかった。魔法書の中では《聖光の風》と錬金術の本が気になった。だが錬金と魔法は高く、二冊で金貨五十枚と言われたので、四十枚でお願いしたら――
「おととい来な!」と断られた。今回は諦め、目的の歴史書だけ買って終わりにした。
「バレリア、エラってお金に飢えてるね。どう思う?」
「……背景は分かりませんが、預金していると思われます。」
「弱点あるかな?……自白させられれば簡単だけど、ラシーヤから犯罪者以外への使用は禁止されてるからね……」
「身体的なことは分かりました。遺伝子的に百パーセント、アンナの近親者です。姉妹あるいは親子くらい近い関係。年齢は五十四歳、魔力レベルはアンナを超えています。なんらかの理由で外見が変化していません。特に身長、筋力は七十歳相当です。召喚時、現場にいましたから術師関係と思われます。」
「えっ、いたの?知らなかった。」
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