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7回目 その3
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「それじゃあ、1番、2番、3番全員で」
「「「ゴクリ……」」」
「王様を抱き枕にする」
ガバッ!!
そんな効果音が付くほど全員が一斉に動いたと認識したのは一瞬後だ。
「れー君ぎゅぅううう♡」
「抱き枕~~~♡」
「ダー――――イヴ~~♡」
「ぐえぇっ⁉」
一斉に抱きつかれ、俺はそのまま絨毯の上に押し倒される。
いや、ふわりには引き倒され、杏奈と鈴音に押し倒されたというべきか。
「ぐほっ⁉ い、息がっ……」
「ふへへへ♡ れー君あったかい♡」
力いっぱいハグをしてくる3人は抱きしめる位置を自分のおっぱいに当ててくる。
ふわふわマシュマロのクッションが一斉に襲い掛かってきて完全に密着して息ができない。
だけどそのまま終わる訳にはいかない。
「3人とも、ちょっと苦しい。場所変わってくれ」
拘束を一斉に解いて体が解放されると、呼吸を確保すると同時に背中にいるふわりを抱きかかえて倒れ込む。
「ひゃん♡」
「んぁ♡」
「きゅひっ♡」
「れ、れー君?」
俺は左右にふわりと鈴音を抱きしめ、体の上に杏奈を乗せる。
杏奈は俺の意図を察したかのように胴体に腕を絡め付け、自分の頭を下にした。
「王様の命令……。3人とも、俺の気持ちを受け止めろ」
「「「ふえっ⁉」」」
「俺は――全員まとめて好きだ。杏奈も、ふわりも、鈴音も、3人全員が大好きだ」
「ひゃいん♡」
「はう♡」
「ふへへ♡」
3人の反応が重なる。
そこには確かな甘味があった。だけど俺は、そこで決定的な勘違いをしていた事を数秒後に理解することになる。
「えへへ~、そっかそっかぁ♡ れー君ってば私達のこと大好きだもんねぇ♡」
「そんなこと言われたら~、もう我慢できなくなっちゃうよー♡」
「れーじ君が悪いんですからね……鈴音達のリミッター、もう外れちゃいましたよ♡」
「……え?」
3匹の肉食獣が目を覚ました瞬間であった。
「え、え、え、ちょ、ちょっと3人ともっ! 何をするかっ。やめ、やめなさいッ、落ち着き給えっ!」
「れー君が悪いんだからねっ! もう少しじっくり熱量を練り上げようと思ってたのにっ」
「そんな嬉し過ぎること言われたら~♡」
「我慢なんてできるわけないじゃないですかっ!」
お、俺は何を間違えたのだろうかっ⁉ 一世一代の告白が、肉食獣……いや、女豹とでも言うべき3匹を目覚めさせてしまった。
「ちょ、ちょっと服を脱がさないでってっ! お、おい杏奈っ、ふわり、鈴音~~~、落ち着けってっ」
「大丈夫♡ 痛くしないからぁ♡」
「3人の美少女だよー♡ 絶対気持ちいいよー♡」
「ちゃんと覚悟はしてありますからね。れーじ君のアームストロングキャノンもちゃんと受け止めますから」
「誰がアームストロングだっ! っていうかおいっ! マジでズボン脱がそうとしないで!」
貞操の危機とはまさにこのことか。いや、期待していなかったと言えば嘘になるが、こんな唐突に襲い掛かられるなんて誰が想像できようか。
「大丈夫大丈夫。ちゃんと3人で一斉にご奉仕する打ち合わせはずっとしてきたから。夢のハーレムプレイでチェリーボーイ卒業しようよ」
「わたしたちも~、痛くても我慢するからね~♡ れーじくんのがどれだけ大きくてもぉ大丈夫だよー♡」
「順番は恨みっこ無しで決めてもらっていいですからねっ! ちゃんと全員男性経験皆無なんでっ! 処女厨のれーじ君は大歓喜ですよ」
人のことを勝手に処女厨とか決めつけないでほしい。
まあ3人が経験ありだとショックで寝込む自信はあるので否定できないのが辛いところだ。
って、そんな事をノンキに考えている場合ではない。
抵抗する俺の力を遙かに凌駕する腕力でズボンを脱がされ、シャツを脱がされ、いよいよ最後の1枚に3人一斉に手を掛けられる。
(くっ! こ、これまでか……)
まさか3人一斉に襲い掛かられてマイチェリーの卒業旅行に突入しようとは……。
俺の抵抗も虚しく、興奮しきった女子3人の手がとうとう俺の最後の領域を――
「あらあら~♪ 4人共、とっても楽しそうね~♡」
「「「「⁉⁉⁉⁉⁉」」」」
「えっ」
予期せぬ方向から声が掛かり、全員が一斉に我に返った。
リビングの扉のところでクスクスと笑っている長身巨乳の美女。
「マ、ママッ⁉ 社員旅行の帰りは夜遅くなるんじゃ」
ふわりが珍しく狼狽した早口であわてふためく。
「予定は変わる事だってあるのよー」
ふわりと同じふわふわ笑顔を更に濃密にしたような甘味の強い柔らかな顔付きと、高い身長、そしてふわりに負けず劣らずの巨大マシュマロがたゆたっている。
甘蔵あまみさん。ふわりのお母さんであるが、その容姿の若々しさはとても子持ちとは思えない。
お姉さんと言われても信じてしまうレベルに瑞々しかった。
「杏奈ちゃんってば大胆な事しちゃって~♪ ついにれー君を仕留めにかかったようね~」
突然の来訪者はふわりのお母さんだけではなかった。
杏奈のお姉さん、ではなく、こちらも杏奈の将来を幻視するかのような快活な美女。
喜多川仙奈さんである。杏奈に負けず劣らずのたわわをお持ちの少女のような女性。
実は幼稚園の頃に俺が初恋を募らせたお人でもあるのは内緒だ。
「あはは、リンちゃんってば、奥手なのに頑張りましたねー♪ 勢いに乗せて大胆~♡」
鈴音をからかうポニーテールの少女がもう1人……というわけではなく、明るくて屈託のない笑顔が鈴音そっくりの女性。
桜岡紫音さんだ。
「え、ええっ、うちのお母さんまでっ。ど、どうしてここにっ⁉」
杏奈も鈴音も大いに慌てている。俺も同じ想いだが、3人が押さえつけたまま硬直してしまって身動きが取れない。
「どうしてって言われてもぉ~」
「社員旅行のついでにうちで晩ご飯でもーって」
「あまみちゃんが誘ってくれたんですよー」
そう、杏奈、ふわり、鈴音の3人ともが母子家庭であり、全員が小中高大でずっと一緒の幼馴染みであり、ふわりママの経営する大手下着ファッションメーカーの幹部社員達だ。
ちなみにそこにうちの母ちゃんも加わるのだが、運良く今日は一緒ではないらしい。
「なになに~? もしかしてエッチしようとしてたの~?」
「だめよー。不純異性交遊は」
「そ、そうですよ。せめてゴムは付けましょうね。っていうか3人でのし掛かってなにをやってるんですか?」
この人達はさすが3人の母親だ。喋る順番が、杏奈、ふわり、鈴音とまったく同じリズムで喋る。
最初に仙奈さんが、その次にあまみさんが、最後に紫音さんが突っ込みと天然をかますという構図。
血は争えないという言葉をここまで体現するお人も珍しい。
「あ~、分かった~。【絶対俺だけ王様ゲーム】でしょー」
「「「エッ⁉」」」
仙奈のさんの口からよもやの言葉である。まさか予言者なのか?
「な、何故その名前を」
「だって、絶対俺だけ王様ゲームって、昔仙奈ちゃんが考えたゲームだもんね~♡」
「ね~」
衝撃の事実である。喜多川家はそんなこと親子でやってたのか。
「そ、それより、とりあえず服着させて……」
「あ、いいよいいよ。そのまま続けて」
「はあっ⁉」
あまみさんがとんでもない事を言い出す。
「やっぱれー君のこと、3人一緒に好きになっちゃったかぁ。まあ私達が経済的にサポートすればいいし、もうすぐ卒業だし、学生結婚もいいんじゃいかしら」
「重婚はできませんけど、内縁の妻ってことにしておけばOKですよね」
ですよね、じゃないでしょっ!
なんかとんでもない方向に話が進みそうだ。俺はまだ固まっている3人を押しのけて、慌てて服を着直した。
「ねーねー、杏奈ちゃん」
「な、なにママ?」
そして仙奈さんがまたもや爆弾発言をぶっ込んできた。
「私達も混ぜて♡」
「ええっ⁉」
「あ、それいいわね~。久しぶりに燃えるわ~。娘のボーイフレンドだし、いいわよね~♡」
「良いはずないでしょっ、何考えるのよママ~」
ふわりもいつものようなふわふわキャラを保っていられないようだ。さすがはふわりのママである。
「とりあえずれーじ君が風邪を引いちゃいますよ。私達で温めてあげましょう♡」
「はいぃ⁉」
何を考えているのか、マミーズ3人は娘達の上から更にのし掛かってくる。
「うわぁああ~、み、皆さん落ち着いて~~~~」
新たなマシュマロが3対も。しかも鈴音と違ってこっちは中々。なんて言おうものなら殴られるので言わない。
大人のマシュマロクッションに包まれ、俺は息苦しいほどの天国地獄を味わうのだった。
「もーーーーっ! ママ達はしゃぎすぎっ!」
あまりにもカオス過ぎる状況にとうとう杏奈がキレて大声を上げる。
「あれあれ~。杏奈ちゃんってばママ達に勝てる自信がないのかな~?」
「れーじくんはママ達に誘惑されちゃうかもしれないよねー」
「そうなったらハーレムで誘惑した意味がなくなっちゃいますよ。頑張れリンちゃん」
ママ達は言いたい放題である。
「ううううっ、負けないもんっ」
「そうだよー。れーじくんは渡しません」
「そうですっ! こうなったらやってやろうじゃありませんかっ」
マジでカオスになってきた。そんなあまりにも混沌を極めた王様ゲームは大盛り上がりをみせ、青春大爆発は免れる事になるのだが……ママ達の誘惑に新たな悩みが発生したのは言うまでもない。
「ぷっ」
「ふふ」
「あはは」
だけど、そんなママ達の大暴走を受けて、娘達3人は突然笑いだす。
「あー、もうおっかしい。ママ達悪ノリしすぎ」
「そうだよー。でも、せっかくだからそれも悪くないよねー」
「そうですね。それなら全員一緒にやりましょう」
「いいわよー。どうせならチーム戦にしましょうよ。娘達バーサス母親チームで、どっちが王様にご奉仕できるか勝負よ」
「望むところよっ!」
混沌を極めた絶対俺だけ王様ゲーム。どうやら俺達の関係はしばらく現状維持にしていく事になりそうだ。
そんなこんなで、結局お流れになってしまった告白だが、俺達の気持ちはちゃんと通じ合ったと言っても過言ではない。
◇◇◇
あれから1ヶ月。
割り箸が再び登場し、輪になって座る。
引き抜いた瞬間――
「……おお~っ、あまみちゃんが王様ですよ~!」
「ママの引きが強い~」
俺達は週末に集まってはゲームをする日々を続けていた。
「じゃあ命令ね……」
あまみさんは頬を赤く染めながら、少しだけためらって、でもすぐに笑顔になる。
「王様はママ達3人にほっぺにちゅーしてくださーい♡」
「ちょっ、ママそれはダメ~」
「あらあら~。ほっぺくらいならいいじゃないのー」
「ダメ~!」
「しょーがないわねー。じゃあママ達3人のハグハグに10秒間耐える♡」
「はい喜んでっ!!」
「れー君ママ達にデレデレしすぎ~」
そうは言われもしゃーないんやでっ!
ママと言うには若く美人すぎる3人。俺は幼馴染み達3人とは違う意味で緊張する体を動かして美女達のハグハグ攻撃に耐える。
「あらん♡ れー君ってば大胆♡ お尻も触ってみる?」
「ちょっとママ~!」
「冗談だってばー」
仙奈さんも容赦が無い。だが誘惑の仕方が完全に杏奈と一緒だ。
正直、たまりません。
「ほらほら~、あまみさんのおっぱいですよー。娘より大っきくて柔らかいでしょ~♡」
「ほふぅ……こ、これは」
ふわりのサイズは120㎝。これはそれよりも更なる高みにあるというのか……。
柔らかなマシュマロクッションに顔を埋めながらズクズクとした衝動に体が熱い。
「れーじ君、顔が赤くなって可愛いですー♡」
紫音さんの体やわやわの熱々だ。それだけで違う何かに目覚めそう……。
「もうっ! お母さん達っ、鈴音達の分残しておいてくださいよっ! そろそろ次のゲームいきますよーっ」
「じゃあ次は幼馴染みチームのターンね」
ママチーム達との対戦形式になったゲームは、ママチーム、幼馴染みチームの順番にクジを引く形式へと変化していた。
「“3番はれーじくんに甘えること!”」
「3番誰だ!?」
ふわりの命令で杏奈が微笑みを浮かべる。
「……あ、私だ」
杏奈がニヤリと笑う。
「にゃあああ~~ん♡」
「ぐへっ⁉」
杏奈の目がキラーン★と光ったと思ったら、猫のように飛びかかってバックハグを仕掛けてくる。
「うにゃーん♡ にゃんにゃーん♡ れーくん好きぃ♡ ちゅきちゅきだいちゅき~♡」
「杏奈ちゃんってば甘え上手~」
あれから杏奈、ふわり、鈴音の3人の態度は微妙に変化を見せることになる。
こういった俺への感情を一切隠さなくなったのだ。
「それじゃあ~、今度は~……」
そうして再びくじ引きへ。
そのうちママ達は用事があると言ってゲームから抜け出し、空間は再び幼馴染み達だけになる。
恐らく気を利かせたのだろう。ママさんチームはあくまでゲームを楽しむだけ。
彼女達3人とは心持ちが違うからだ。いや、娘達の心情をしっているからこそだろう。
今日も俺はこのかけ声を聞いて、女の子達の誘惑に耐える日々を繰り返していた。
「「「王様れーじ君♡♡♡」」」
3人の幼馴染みの女の子達。その声に含まれる確かな甘い色に、俺はキッチリと答えていかないといけないと誓いを立てるのだった。
「「「ゴクリ……」」」
「王様を抱き枕にする」
ガバッ!!
そんな効果音が付くほど全員が一斉に動いたと認識したのは一瞬後だ。
「れー君ぎゅぅううう♡」
「抱き枕~~~♡」
「ダー――――イヴ~~♡」
「ぐえぇっ⁉」
一斉に抱きつかれ、俺はそのまま絨毯の上に押し倒される。
いや、ふわりには引き倒され、杏奈と鈴音に押し倒されたというべきか。
「ぐほっ⁉ い、息がっ……」
「ふへへへ♡ れー君あったかい♡」
力いっぱいハグをしてくる3人は抱きしめる位置を自分のおっぱいに当ててくる。
ふわふわマシュマロのクッションが一斉に襲い掛かってきて完全に密着して息ができない。
だけどそのまま終わる訳にはいかない。
「3人とも、ちょっと苦しい。場所変わってくれ」
拘束を一斉に解いて体が解放されると、呼吸を確保すると同時に背中にいるふわりを抱きかかえて倒れ込む。
「ひゃん♡」
「んぁ♡」
「きゅひっ♡」
「れ、れー君?」
俺は左右にふわりと鈴音を抱きしめ、体の上に杏奈を乗せる。
杏奈は俺の意図を察したかのように胴体に腕を絡め付け、自分の頭を下にした。
「王様の命令……。3人とも、俺の気持ちを受け止めろ」
「「「ふえっ⁉」」」
「俺は――全員まとめて好きだ。杏奈も、ふわりも、鈴音も、3人全員が大好きだ」
「ひゃいん♡」
「はう♡」
「ふへへ♡」
3人の反応が重なる。
そこには確かな甘味があった。だけど俺は、そこで決定的な勘違いをしていた事を数秒後に理解することになる。
「えへへ~、そっかそっかぁ♡ れー君ってば私達のこと大好きだもんねぇ♡」
「そんなこと言われたら~、もう我慢できなくなっちゃうよー♡」
「れーじ君が悪いんですからね……鈴音達のリミッター、もう外れちゃいましたよ♡」
「……え?」
3匹の肉食獣が目を覚ました瞬間であった。
「え、え、え、ちょ、ちょっと3人ともっ! 何をするかっ。やめ、やめなさいッ、落ち着き給えっ!」
「れー君が悪いんだからねっ! もう少しじっくり熱量を練り上げようと思ってたのにっ」
「そんな嬉し過ぎること言われたら~♡」
「我慢なんてできるわけないじゃないですかっ!」
お、俺は何を間違えたのだろうかっ⁉ 一世一代の告白が、肉食獣……いや、女豹とでも言うべき3匹を目覚めさせてしまった。
「ちょ、ちょっと服を脱がさないでってっ! お、おい杏奈っ、ふわり、鈴音~~~、落ち着けってっ」
「大丈夫♡ 痛くしないからぁ♡」
「3人の美少女だよー♡ 絶対気持ちいいよー♡」
「ちゃんと覚悟はしてありますからね。れーじ君のアームストロングキャノンもちゃんと受け止めますから」
「誰がアームストロングだっ! っていうかおいっ! マジでズボン脱がそうとしないで!」
貞操の危機とはまさにこのことか。いや、期待していなかったと言えば嘘になるが、こんな唐突に襲い掛かられるなんて誰が想像できようか。
「大丈夫大丈夫。ちゃんと3人で一斉にご奉仕する打ち合わせはずっとしてきたから。夢のハーレムプレイでチェリーボーイ卒業しようよ」
「わたしたちも~、痛くても我慢するからね~♡ れーじくんのがどれだけ大きくてもぉ大丈夫だよー♡」
「順番は恨みっこ無しで決めてもらっていいですからねっ! ちゃんと全員男性経験皆無なんでっ! 処女厨のれーじ君は大歓喜ですよ」
人のことを勝手に処女厨とか決めつけないでほしい。
まあ3人が経験ありだとショックで寝込む自信はあるので否定できないのが辛いところだ。
って、そんな事をノンキに考えている場合ではない。
抵抗する俺の力を遙かに凌駕する腕力でズボンを脱がされ、シャツを脱がされ、いよいよ最後の1枚に3人一斉に手を掛けられる。
(くっ! こ、これまでか……)
まさか3人一斉に襲い掛かられてマイチェリーの卒業旅行に突入しようとは……。
俺の抵抗も虚しく、興奮しきった女子3人の手がとうとう俺の最後の領域を――
「あらあら~♪ 4人共、とっても楽しそうね~♡」
「「「「⁉⁉⁉⁉⁉」」」」
「えっ」
予期せぬ方向から声が掛かり、全員が一斉に我に返った。
リビングの扉のところでクスクスと笑っている長身巨乳の美女。
「マ、ママッ⁉ 社員旅行の帰りは夜遅くなるんじゃ」
ふわりが珍しく狼狽した早口であわてふためく。
「予定は変わる事だってあるのよー」
ふわりと同じふわふわ笑顔を更に濃密にしたような甘味の強い柔らかな顔付きと、高い身長、そしてふわりに負けず劣らずの巨大マシュマロがたゆたっている。
甘蔵あまみさん。ふわりのお母さんであるが、その容姿の若々しさはとても子持ちとは思えない。
お姉さんと言われても信じてしまうレベルに瑞々しかった。
「杏奈ちゃんってば大胆な事しちゃって~♪ ついにれー君を仕留めにかかったようね~」
突然の来訪者はふわりのお母さんだけではなかった。
杏奈のお姉さん、ではなく、こちらも杏奈の将来を幻視するかのような快活な美女。
喜多川仙奈さんである。杏奈に負けず劣らずのたわわをお持ちの少女のような女性。
実は幼稚園の頃に俺が初恋を募らせたお人でもあるのは内緒だ。
「あはは、リンちゃんってば、奥手なのに頑張りましたねー♪ 勢いに乗せて大胆~♡」
鈴音をからかうポニーテールの少女がもう1人……というわけではなく、明るくて屈託のない笑顔が鈴音そっくりの女性。
桜岡紫音さんだ。
「え、ええっ、うちのお母さんまでっ。ど、どうしてここにっ⁉」
杏奈も鈴音も大いに慌てている。俺も同じ想いだが、3人が押さえつけたまま硬直してしまって身動きが取れない。
「どうしてって言われてもぉ~」
「社員旅行のついでにうちで晩ご飯でもーって」
「あまみちゃんが誘ってくれたんですよー」
そう、杏奈、ふわり、鈴音の3人ともが母子家庭であり、全員が小中高大でずっと一緒の幼馴染みであり、ふわりママの経営する大手下着ファッションメーカーの幹部社員達だ。
ちなみにそこにうちの母ちゃんも加わるのだが、運良く今日は一緒ではないらしい。
「なになに~? もしかしてエッチしようとしてたの~?」
「だめよー。不純異性交遊は」
「そ、そうですよ。せめてゴムは付けましょうね。っていうか3人でのし掛かってなにをやってるんですか?」
この人達はさすが3人の母親だ。喋る順番が、杏奈、ふわり、鈴音とまったく同じリズムで喋る。
最初に仙奈さんが、その次にあまみさんが、最後に紫音さんが突っ込みと天然をかますという構図。
血は争えないという言葉をここまで体現するお人も珍しい。
「あ~、分かった~。【絶対俺だけ王様ゲーム】でしょー」
「「「エッ⁉」」」
仙奈のさんの口からよもやの言葉である。まさか予言者なのか?
「な、何故その名前を」
「だって、絶対俺だけ王様ゲームって、昔仙奈ちゃんが考えたゲームだもんね~♡」
「ね~」
衝撃の事実である。喜多川家はそんなこと親子でやってたのか。
「そ、それより、とりあえず服着させて……」
「あ、いいよいいよ。そのまま続けて」
「はあっ⁉」
あまみさんがとんでもない事を言い出す。
「やっぱれー君のこと、3人一緒に好きになっちゃったかぁ。まあ私達が経済的にサポートすればいいし、もうすぐ卒業だし、学生結婚もいいんじゃいかしら」
「重婚はできませんけど、内縁の妻ってことにしておけばOKですよね」
ですよね、じゃないでしょっ!
なんかとんでもない方向に話が進みそうだ。俺はまだ固まっている3人を押しのけて、慌てて服を着直した。
「ねーねー、杏奈ちゃん」
「な、なにママ?」
そして仙奈さんがまたもや爆弾発言をぶっ込んできた。
「私達も混ぜて♡」
「ええっ⁉」
「あ、それいいわね~。久しぶりに燃えるわ~。娘のボーイフレンドだし、いいわよね~♡」
「良いはずないでしょっ、何考えるのよママ~」
ふわりもいつものようなふわふわキャラを保っていられないようだ。さすがはふわりのママである。
「とりあえずれーじ君が風邪を引いちゃいますよ。私達で温めてあげましょう♡」
「はいぃ⁉」
何を考えているのか、マミーズ3人は娘達の上から更にのし掛かってくる。
「うわぁああ~、み、皆さん落ち着いて~~~~」
新たなマシュマロが3対も。しかも鈴音と違ってこっちは中々。なんて言おうものなら殴られるので言わない。
大人のマシュマロクッションに包まれ、俺は息苦しいほどの天国地獄を味わうのだった。
「もーーーーっ! ママ達はしゃぎすぎっ!」
あまりにもカオス過ぎる状況にとうとう杏奈がキレて大声を上げる。
「あれあれ~。杏奈ちゃんってばママ達に勝てる自信がないのかな~?」
「れーじくんはママ達に誘惑されちゃうかもしれないよねー」
「そうなったらハーレムで誘惑した意味がなくなっちゃいますよ。頑張れリンちゃん」
ママ達は言いたい放題である。
「ううううっ、負けないもんっ」
「そうだよー。れーじくんは渡しません」
「そうですっ! こうなったらやってやろうじゃありませんかっ」
マジでカオスになってきた。そんなあまりにも混沌を極めた王様ゲームは大盛り上がりをみせ、青春大爆発は免れる事になるのだが……ママ達の誘惑に新たな悩みが発生したのは言うまでもない。
「ぷっ」
「ふふ」
「あはは」
だけど、そんなママ達の大暴走を受けて、娘達3人は突然笑いだす。
「あー、もうおっかしい。ママ達悪ノリしすぎ」
「そうだよー。でも、せっかくだからそれも悪くないよねー」
「そうですね。それなら全員一緒にやりましょう」
「いいわよー。どうせならチーム戦にしましょうよ。娘達バーサス母親チームで、どっちが王様にご奉仕できるか勝負よ」
「望むところよっ!」
混沌を極めた絶対俺だけ王様ゲーム。どうやら俺達の関係はしばらく現状維持にしていく事になりそうだ。
そんなこんなで、結局お流れになってしまった告白だが、俺達の気持ちはちゃんと通じ合ったと言っても過言ではない。
◇◇◇
あれから1ヶ月。
割り箸が再び登場し、輪になって座る。
引き抜いた瞬間――
「……おお~っ、あまみちゃんが王様ですよ~!」
「ママの引きが強い~」
俺達は週末に集まってはゲームをする日々を続けていた。
「じゃあ命令ね……」
あまみさんは頬を赤く染めながら、少しだけためらって、でもすぐに笑顔になる。
「王様はママ達3人にほっぺにちゅーしてくださーい♡」
「ちょっ、ママそれはダメ~」
「あらあら~。ほっぺくらいならいいじゃないのー」
「ダメ~!」
「しょーがないわねー。じゃあママ達3人のハグハグに10秒間耐える♡」
「はい喜んでっ!!」
「れー君ママ達にデレデレしすぎ~」
そうは言われもしゃーないんやでっ!
ママと言うには若く美人すぎる3人。俺は幼馴染み達3人とは違う意味で緊張する体を動かして美女達のハグハグ攻撃に耐える。
「あらん♡ れー君ってば大胆♡ お尻も触ってみる?」
「ちょっとママ~!」
「冗談だってばー」
仙奈さんも容赦が無い。だが誘惑の仕方が完全に杏奈と一緒だ。
正直、たまりません。
「ほらほら~、あまみさんのおっぱいですよー。娘より大っきくて柔らかいでしょ~♡」
「ほふぅ……こ、これは」
ふわりのサイズは120㎝。これはそれよりも更なる高みにあるというのか……。
柔らかなマシュマロクッションに顔を埋めながらズクズクとした衝動に体が熱い。
「れーじ君、顔が赤くなって可愛いですー♡」
紫音さんの体やわやわの熱々だ。それだけで違う何かに目覚めそう……。
「もうっ! お母さん達っ、鈴音達の分残しておいてくださいよっ! そろそろ次のゲームいきますよーっ」
「じゃあ次は幼馴染みチームのターンね」
ママチーム達との対戦形式になったゲームは、ママチーム、幼馴染みチームの順番にクジを引く形式へと変化していた。
「“3番はれーじくんに甘えること!”」
「3番誰だ!?」
ふわりの命令で杏奈が微笑みを浮かべる。
「……あ、私だ」
杏奈がニヤリと笑う。
「にゃあああ~~ん♡」
「ぐへっ⁉」
杏奈の目がキラーン★と光ったと思ったら、猫のように飛びかかってバックハグを仕掛けてくる。
「うにゃーん♡ にゃんにゃーん♡ れーくん好きぃ♡ ちゅきちゅきだいちゅき~♡」
「杏奈ちゃんってば甘え上手~」
あれから杏奈、ふわり、鈴音の3人の態度は微妙に変化を見せることになる。
こういった俺への感情を一切隠さなくなったのだ。
「それじゃあ~、今度は~……」
そうして再びくじ引きへ。
そのうちママ達は用事があると言ってゲームから抜け出し、空間は再び幼馴染み達だけになる。
恐らく気を利かせたのだろう。ママさんチームはあくまでゲームを楽しむだけ。
彼女達3人とは心持ちが違うからだ。いや、娘達の心情をしっているからこそだろう。
今日も俺はこのかけ声を聞いて、女の子達の誘惑に耐える日々を繰り返していた。
「「「王様れーじ君♡♡♡」」」
3人の幼馴染みの女の子達。その声に含まれる確かな甘い色に、俺はキッチリと答えていかないといけないと誓いを立てるのだった。
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